成り行き任せのポケモン世界   作:バックパサー

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第26話:マチス少佐の新兵教育(1)

 

 

 

「お-す!クチバジムへようこそ、未来のチャンピオン!」

 

 

扉を潜って屋内に入るなり、ゲームでもお決まりのセリフと共に迎えられる。俺が今いるこの施設は、クチバシティの南西部、海に面した立地に立てられたクチバジム。2個目のジムバッジを手に入れるため、避けては通れない場所だ。

 

ジムリーダーは元軍人だという外国人・マチス。ゲームではイナズマアメリカンとか称していたような記憶があるが、この世界ではそんなことはなく、あちらで実在していた国家はどうも存在しないようだ。じゃあどこ出身なんだよっていうね。イッシュ地方じゃないか?なんて話は耳にしたことがあるが…

 

マチスが使用するポケモンはでんきタイプ。レベルの高いライチュウを使っていた印象が強いが、それ以上にクチバジムと言えば思い起こされるのが、ジムへの入り口を塞ぐ『いあいぎり』が必要な木と…そう、あのゴミ箱地獄だ。

 

 

「クチバジムリーダーのマチスは元軍人。非常にパワフルな戦い方をするでんきタイプのエキスパートだ。一方で、戦場に長く身を置いていたからか非常に用心深い性格でな…ほら、見てみろ」

 

 

ジムの案内人の男に促されるままに奥を見やれば、そこにはゲームとおりにバリバリと音を立てて行く手を阻む強烈な電流…ではなく、重厚そうな扉が鎮座していた。そして、その扉の前の大広間に広がるのは…一面にびっしりと設置されたゴミ箱の大群。こちらはゲームどおり…と言うか、ゲームよりも多くないか?がっでむ。

 

 

「あの奥にある鉄の扉が見えるか?マチスはあの扉の奥でチャレンジャーを待ち受けている。マチスの元に辿り着くには、あの扉の電子ロックを解除しなくてはならない。そして、その電子ロックを解除するための鍵は…もう分かるだろ?そう、この一面に幾つもあるゴミ箱の底に隠されているのさ!」

 

 

初代及びそのリメイク版プレイヤーたちからの悪名高いクチバジムのギミック。ゴミ箱の底に隠されたスイッチを押し、第1ロックを解除。その後、隣接するゴミ箱のどれかに第2ロックを解除するスイッチが出現し、正解のゴミ箱を選ぶことで無事マチスまで辿り着く道が開けるのだが…このギミックの厄介なところは、第1ロックを解除しても、第2ロックでハズレのゴミ箱を選んでしまうとまた第1ロックの解除からやり直さなくてはならないという点。そして、スイッチが出現するゴミ箱は探索済みの物も含めてランダムに選ばれるという点にある。

 

つまり、失敗したらまた全てのゴミ箱を、当たりを引くまで片っ端から漁り直さないといけないワケだ。場合によっては心が折れる。

 

 

「マチスは軍人上がりなだけあって、ポケモンの実力や知識はモチロンだが、それ以上にトレーナー自身に対して強靭な体力と精神力を求めているのさ。まあ、詳しい話は時間が来たら係の者が説明してくれる。とりあえず、受付だけして時間が来るまではそこにある広間で待っていてくれ」

 

 

今はまだ原作よりも昔だから、実はまだまともなジムだった…なんてことをほんのり期待していたんだが、世の中そう甘くはないらしい。事前の情報収集にて、あまりの過酷さから『クチバブートキャンプ』なるどこかで聞いたような異名で呼ばれているのは把握しているが…

 

この先に待つ未来に果てしない不安を覚えながら、案内された部屋でその時を待つ。

 

部屋の中には同じようにジムに挑みに来たトレーナーがひぃふぅみぃ…俺も合わせて20人~30人ぐらいか。何人かはこの間の大会に参加したり、観戦したりしていたようで、俺に気付いて声を掛けてくれた。話をしながら待つこと30分あまり、ジムトレーナーと見られる筋骨粒々の屈強な男性が入ってきて、説明が始まる。

 

 

 

「皆さん、お待たせしました。ただ今からクチバジムリーダー・マチスへの挑戦権を賭けた、チャレンジャー選抜を開始します。皆さんにやっていただくことの最終的な目標は単純明快、ジムリーダーであるマチスの下へ辿り着いていただきます。入場の際に目にされたと思いますが、ジムリーダーの部屋は電子ロック式の扉で施錠されており、この電子ロックを解除しなくては辿り着けません。ロックを解除するためのスイッチは、大広間に無数に設置されたゴミ箱の底に設置されています。皆さんにはゴミ箱の中身を掻き出しながら、正解のスイッチを探し出していただきます。全てのゴミ箱の底にスイッチがありますが、ロックの解除に繋がる正解のスイッチはごく一部。そして、どのスイッチが解除する鍵になっているかは完全にランダム。我々にも分からないようになっています」

 

 

話を聞いていくが、やはりマチスに挑むためにはゲームと同じことをする必要があるようだ。覚悟はしていたが、あの数のゴミ箱をせっせと漁りまくらないといけないのか…う~ん、早くも心が折れそう。

 

説明はさらに続く。

 

 

「扉のロックは二重ロックとなっており、1つ目の正解のスイッチを押した後、一定時間内に2つ目の正解のスイッチを押すことで見事解除となります。正解のスイッチを押すことが出来た方は、その後正解だったスイッチの前後左右に隣接するゴミ箱のうち、どれか1つが第2ロックを解除するスイッチへと変化しますので、1分以内に押していただき、正解のスイッチを押すことが出来ればロックが解除され、ジムリーダーに挑戦する権利が与えられます。不正解のスイッチを押してしまうと解除失敗となり、第1ロックの解除が無効化されます。この場合、第1ロックの解除からやり直しとなりますのでご了承下さい」

 

 

ここもゲームと大枠では変化なし。あるのは時間制限が出来たぐらいか。

 

 

「どなたか1人がロック解除に成功するか、開始から30分が経過する毎に正解のスイッチが変更され、全てのスイッチの中からまたランダムにいくつかのスイッチが正解のスイッチへと変化します。このスイッチはそれまでに皆さんが調べられたゴミ箱のスイッチも対象となります。また、第2ロックの解除に失敗された場合も同様に正解のスイッチはランダムに変更となります」

 

 

うへぇ、ここにもある種の時間制限があんのかよ…これは体力勝負になりそうだ。

 

 

「そして、30分が経過する毎に皆さんにはジムトレーナーとバトルをしていただきます。このバトルに負けた場合、その時点で失格となります。なお、バトル中の時間も30分の中に含まれますのでご注意下さい。ジムトレーナーとの勝負での勝利数が10に到達した挑戦者には、救済措置としてその時点でジムリーダーへの挑戦権を認めます。アイテム使用につきましては、挑戦中を通しまして、キズぐすり系統・状態異常回復系統合わせて5つまで使用を認めます。持ち物は使用可で、制限の中には含みません」

 

 

…oh、ジムトレーナーはこういう感じで絡んでくるのか…トレーナーがゴミ箱漁りで体力と精神を消耗したところでバトルを強要し、合わせてポケモンも消耗させるワケだ。それでも負けたら失格だから、全力でいくしかない、と。さらに、バトルの時間も探索時間に含まれるということは、バトルが長引けば長引いた分だけ探索時間を削られる。非常にシビアな条件下での挑戦になりそう。

 

これは体力勝負だ。素早くクリアするためには1つでも多くのゴミ箱を漁って正解を見つけ出す他無く、早く終わらせるために体力を消耗する。ダメだったらバトル。それが終わればまたゴミ箱漁り…うん、これ結構鬼畜な内容だわ。或いは最初から10回勝利狙いで構える…

 

 

「ただし、挑戦姿勢に問題ありと判断された場合、挑戦権を認めないことがございますので御了承下さい。何か質問がありますか?………ありませんね。それでは、早速ですが始めさせていただきます。皆さんは所定の位置まで移動をお願いします」

 

 

…というのは無理そうだな。全部真面目にやれってことか。

 

説明が終わり、説明していたジムトレーナーに着いて部屋を出て、例のゴミだらけの大広間へ。他のトレーナーたちと一緒にスタート地点に立つ。大広間を見渡せば…え、ちょっと待って、何コレ!?ゴミ箱いくらなんでも多すぎやしませんかね!?少なくとも100…いや、200個は余裕でありそうな感じなんですが!?

 

 

「スタート!!」

 

 

開始の合図と共に、トレーナーたちが思い思いの方向へと駆け出していく。手近なゴミ箱から漁り始める奴、奥のゴミ箱へと向かう奴、四隅のゴミ箱を狙う奴。三者三様だ。

 

ゴミ箱の数に驚いて少し出遅れてしまったが、俺も遅れてはならぬとゴミ箱に向かう。本当は四隅から攻めたかったけど、流石に11歳の子供でなおかつ出遅れ…スタートダッシュで勝てなかったので、やむなく真ん中辺りの適当なゴミ箱に手を付ける。中にはそれなりの重さを感じる何かが詰められた小さな土嚢のような袋がびっしりと入っていた。中身を何とかしないとスイッチが押せないようになっているようだ。

 

引っくり返せるかと思ったけど、どうやらゴミ箱自体が床に固定されているらしく、諦めて中身を頑張って掻き出していく。

 

やがて、底の方にスイッチが見えてくる。さあ、一発クリアなるかな?ポチッとな。

 

 

『ブブー!ハズレです!』

 

 

ご丁寧にスイッチの横に備え付けられていたスピーカーから、不正解を告げる音声が流れる。まあ、そんな上手いことはいかないよな。ジムトレーナーが掻き出した中身をせっせとゴミ箱に戻す姿を尻目に次へ向かう。

 

 

『ブブー!ハズレです!』

『ブブー!ハズレです!』

『ブブー!ハズレです!』

『ブブー!ハズレです!』

『ブブー!ハズレです!』

『ブブー!…』

『………』

 

 

 

 

…がああああああッ!!!!くそっ、ゴミ箱多すぎんだろおおおッ!!!!かれこれ20個ぐらい漁ったけど、かすりもしないんですけどぉ!?

 

と言うか、ゴミ箱どんだけあるんだよ!?20個でもほんの一部でしかないとか、どうなってんだよ…それにこの中身の袋も意外と重いし…

 

 

『ピンポーン!第1ロックが解除されました』

 

 

そんなことをしていると、誰かが正解のスイッチを押すことに成功したのだろう。壁に設置されたスピーカーから放送が流れる。

 

すると、該当のトレーナー以外のトレーナーはゴミ箱漁りを中断させられ、セカンドチャレンジを見守ることになる。

 

正解を掴んだトレーナーが選んだのは、俺から見て左隣のゴミ箱。急いで中身を掻き出し、ポチッとな。さあ、判定は…?

 

 

 

 

『ブブー!不正解です。第1ロックの解除が無効化されました。解除プログラムをリセットします』

 

 

落胆する正解者を尻目に、残りのトレーナーはまた一心不乱にゴミ箱漁りを再開する。そして、これで今までの頑張りも全てリセットされたわけだ。

 

うん、この数の中から当たりを見つけるのって無謀なように思えてきた。

 

 

 

…まあ、うだうだとくだを巻いていても何にもならない。頑張りますかね、はぁ…

 

 

 

 

 

 

 

 

-----

 

 

 

~30分後~

 

『開始30分が経過しました。挑戦者の皆様は行動を中断してください』

「ふぃ~…」

 

 

 無心になってゴミ箱を漁り、不正解の音源を聞き続け、気付けばもう30分。アナウンスに従って手を止める。一息ついて額を拭うと、汗で袖が濡れた。たった30分とは言え、かなり体力を使うな…やっぱりこれは体力勝負になりそうだ。ただ、宝探ししてるみたいで童心に帰れて意外と面白かった。

 

その後、監督役のジムトレーナーから名前を呼ばれたら指定された部屋に入るように指示があり、指示に従って8番の番号が割り振ってある扉を開く。

 

扉の向こうはバトルフィールドとなっていて、すでに相手と審判役となるジムトレーナーがスタンバイしていた。

 

 

「それでは、ジムトレーナー戦を行います。使用するポケモンはジムトレーナー側は1体、挑戦者は2体まで使用可能です。挑戦者は前へ」

「子供と言えど、手加減はしないぜ!」

 

 

なるほど、多少は挑戦者の方に有利なようになっているのか。アイテム使用制限があるし、全体で見ればバランス取れてる…のか?まあ、多少の有利不利があろうとこんなところで負けるつもりはないが。

 

でも2vs1か…そういうことなら、まずはコイツに任せてみるか。

 

所定の位置に着き、ボールを構える。

 

 

「試合開始!」

「でんきポケモンの恐ろしさ、思い知らせてやるぜ!いけ、ビリリダマ!」

「ロコン行くぞ!」

 

 

相手のポケモンは『ビリリダマ』。でんき単タイプでモンスターボールそっくりなのが特徴。登場作品ではどこかしらでアイテムに擬態してプレイヤーに襲いかかり、まひの状態異常をばらまいたり、『じばく・だいばくはつ』で特攻してくる爆弾ボールだ。

 

こちらは『コイル』を警戒してロコンを選択。はがねタイプを併せ持つから、今の手持ちだと対処し辛いと思って選んだんだが、残念ながら外れてしまった。

 

まあ、外れたとはいえほのおタイプとでんきタイプ。相性的に有利不利はない、十分にやれる。ビリリダマのスピードと爆発だけには要注意だな。

 

さ、気合い入れ直して行こう。

 

 

 

 

 

 

その後、バトルの方はレベル差もあったか、『あやしいひかり』で行動を制限している内に押し切って難無く勝利を収め、俺は再び意気揚々と宝探し(ゴミあさり)へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

…そして、俺は地獄を見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

~1時間後~

 

 

『ブブー!ハズレです!』

 

『30分が経過しました。挑戦者の皆様は行動を中断してください』

「フー…見つからなかったかぁ…」

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

~2時間後~

 

 

『ブブー!ハズレです!』

『ブブー!ハズレです!』

『30分が経過しました。挑戦者の皆様は行動を中断してください』

 

「ハァ…ハァ…ハァ…くっそ……もう30分か…」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

~3時間後~

 

 

『ブブー!ハズレです!』

『ブブー!ハズレです!』

『ブブー!ハズレです!』

 

『30分が経過しました。挑戦者の皆様は行動を中断してください』

「…………」

 

 

…おい、全然当たりのゴミ箱引かないんだが?どうなってんだよこれ。他の人もポツポツ当たりは引くものの、第2ロックの4択にほとんど成功しねぇ。ここまで第2ロック解除に成功したのはわずか3人。20数人中の3人だ。ゲームでもここまでひどくはなかったぞ。これはもう悪意ある操作がなされていると言われても俺は驚かない。

 

最初20人ちょっといた挑戦者も、バトルに負けたり、体力が尽きてギブアップしたりで、気付けば俺を入れて6人ほどを残すのみ。この範囲、この数のゴミ箱をたった7人で探すのは、最早無謀と言うほかない。

 

バトルの方は『いいキズぐすり』を2個使った程度で、問題なくここまで勝ち抜けている。準優勝賞金様々だ。

 

が、御覧のとおりこの宝探しがキツイ。とにかくキツイ。もう明らかに漁るペースがガタ落ちしている。腕が上がらない。足腰も震えが来ている。大の大人が次々脱落していく中、11歳なのにここまでよく頑張ってると自画自賛したくなるぐらいだ。サカキさんに鍛えられてるおかげで持ってると言ってもいいかもしれない。少し癪だが、今回ばかりはサカキさんに感謝してもいい。

 

事ここに至り、マチスがトレーナーに強靭な体力と精神力を求めるっていうことの意味を俺はようやく理解した。これ、絶対に軍隊方式取り入れてるだろ。ブートキャンプって確か新兵教育施設とかプログラムのことだったよな?新兵ならぬ新トレーナー教育訓練、故にクチバブートキャンプ…某軍曹とか某エクササイズが思い起こされるが、強烈な罵倒と暴力と銃弾が飛んでこないだけマシなんだけど、なんだかなぁ…っていうか、ふと思い出したあのエクササイズは何年前の話だっけ?あの頃は俺も子供だった。

 

 

 

 重い体を引きずるように、本日7戦目となるジムトレーナー戦に挑む。トレーナーは御覧の有り様でも、ポケモンたちは全然問題なく本調子なのは救いか。まあ、トレーナー1人が休みなしで動き続けて疲れ果ててるだけだしな。

 

相手が使うポケモンはでんきタイプなのは分かってるんだから、ここから先は全部サンドパンで…いや、サンドパンはリーダー戦に温存しとかないと。ここはロコンで…いや、やはりラッタに…もういっそのことスピアーに全部任せるか…いや、それじゃあダメだ。

 

 

「疲れてきただろ?でも、容赦はしない!いけ、ピカチュウ!」

 

 

…ああ、くそ、疲労で頭やられたかな。どうでもいいことばかり浮かんでだけ来て考えがまとまらない。今はバトルに集中しないと。

 

 

 

 

 

 

そして、俺は無事7戦目を勝ち抜いた。スピアーに突撃を指示したら、あとはもう『どくづき』連打で滅多打ちだった。あれ、もう俺いらないんじゃないかな?そしてピカチュウカワイソス。

 

とうとう精神も参ってしまったか…そんなことを思いながらも、再び過酷な30分間が始まる。

 

再開前にさらに2人脱落し、残りは6人。もう他人を気にする余裕はなく、ただ黙々と一心不乱に当たりのスイッチを探してゴミ箱の中身を掻き出していく。

 

人数減少で当たりを引ける確率は上がっている…と思うが、それでも当たりは中々出ない。

 

 

『ピンポーン!第1ロックが解除されました』

 

 

そうしているうちに、他の挑戦者が当たりを掴んだようだ。

 

 

『ピンポーン!第2ロックが解除されました』

 

 

…おお、あの人やりやがった。ロックが外れ、徐々に開いてゆくジムリーダーが待つ部屋へと続く扉。歓喜の声を抑えようともせずにその向こうへと消えてゆく幸運野郎の背中に、羨ましいとか妬ましいとか、色々な感情が心を掻き立てる。

 

…この数時間で、心が荒みきってるのが自分でもよく分かる。

 

 

 

 

 結局、他にこの30分でクリアするトレーナーは現れず、ジムトレーナー戦8戦目に臨むことになった。バトルは例によってスピアーの独壇場。真っすぐ行ってブッ飛ばす。ルールが3vs2に変わり、警戒していたコイルも出て来たが、レベル的にスピアーの前には関係無かったようだ。

 

あと1時間、あと2戦、か…残るは5人、ゴミ箱は無限大…ハァ……頑張るか…うん。

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで長かったこの地獄も終わりが見え始めた頃。

 

 

 

『ピンポーン!第1ロックが解除されました』

「しゃっ!」

 

 

ようやく俺にも、幸運のお鉢が回ってきた。思わずガッツポーズを決めてしまったが、俺は何も悪くない。ちょっと前に妬み嫉みの負の感情全開だったような気がするが、そんなことはもう忘れた。それはきっと一時の気の迷いさ。

 

もっとも、続けて第2ロックも解除して初めてクリアとなる。対象のゴミ箱は4つ、当たりは1つ、制限時間は1分。さあどうする?右か?左か?それとも前?はたまた後ろ?迷っている間にもタイムリミットは迫る。

 

こういう時は、そう。俺の心はいつだって西向き(超謎理論)だ!ついに頭がイカレたかだって?こんなこと続けてりゃ頭おかしくもなるわッ!(暴論)

 

…というわけで、俺から左のゴミ箱を選択する。全速全壊で中身を取り除き、底にあるスイッチをぽちっとな。さあ、結果は如何に!?って言うか、当たり持ってこい!早く!急いで!『しんそく』でも使って!さあ、ハリーハリーハリー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ブブー!不正解です。第1ロックの解除が無効化されました。解除プログラムをリセットします』

「ぬおおおおおおおおおおおおおっ‼‼‼ガァッデェェェェェェム‼‼‼」

 

 

 

魂の奥から溢れ出した慟哭がクチバジムに響き渡り、俺は頭を抱えたまま床へと崩れ落ちたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、俺は抜け殻のようになりながらも何とか残り1時間を戦い抜き、ジムトレーナーとのバトル2試合で勝利を収め、規定によりジムリーダー・マチスへの挑戦権を獲得した。何かこの1時間ほど記憶が無いのだが、挑戦権を得ることが出来たので良しとしたい。

 

対戦の順番は、バッジ数の関係で俺が最初。与えられた休憩時間は…30分。鬼かアンタら。まあ、それでも貴重な休憩時間だからしっかり休ませてもらうけどさ。つか、休まにゃやっとられん。

 

 

 

なお、最終的に10勝到達による挑戦権獲得者は俺も合わせて3人だった。そして、彼らの俺を見る目は優しかった気がした。

 

 

 




クチバジム戦前編、ギミック攻略まででした。なお、攻略できなかった模様。クチバジムのギミックを無い知恵絞って現実に有りそうな感じにしたら、マチスの退役軍人設定も相まって何かすっごい体育会形のノリのジムになった。ハー〇マン軍曹とか、〇リーズブートキャンプとかが頭を過ったけど、そこまでは酷くならなくて良かった()

そんな次回はクチバジム戦後編。ギミック攻略で性根尽き果て、疲労困憊の中で挑むジムリーダー・マチス戦。でんきタイプへの対策は万全だが、そんな体力で大丈夫か?大丈夫じゃない、問題だ。主人公は無事2つ目のバッジを手に入れることが出来るのか?次回へと続く。
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