「では、バトル再開!」
「では、今度はこっちから行かせてもらいます!ロコン、かえんほうしゃ!」
「コォン!」
ロコンとベトベター、互いのポケモンがフィールドに出揃ったことで勝負再開。ロコンとベトベターでは比べるまでもなくスピードはロコンが勝るので、先手を打って動き出す。ゴルバットを焼き尽くした劫火の光線が、今度はベトベターを焼き払わんと伸びてゆく。
「ベトベター、ちいさくなるで避けよ!」
「べたぁ!」
対するベトベターはキョウさんの指示を受け、うっすらと光りながら見る見るうちにその身体を縮小させていく。離れた場所からだと豆粒かと思うほどに縮んだベトベターがさらに姿勢を低くすることで、"かえんほうしゃ"がその上を抜けていく。
第5世代で効果を修正され、強力な積み技と化した"ちいさくなる"…まあ、キョウさんなら当然持たせてるよな。こっちの想定通りでもあるけど。予想のド真ん中ドストライクだ。
「ロコン、もう一丁かえんほうしゃ!」
「コォン!」
「ファファファ…ベトベター、ヘドロばくだん!」
「べ~たぁ~!」
「躱して前進!」
「コォン!」
再びベトベターを狙った"かえんほうしゃ"はやはりベトベターを捉えられず、逆にお返しの"ヘドロばくだん"が放物線を描き迫る。
ロコンはこれを躱し、そのまま止まることなく一気に距離を詰めに掛かる。
「なるほど。当たらぬなら、避けられぬ距離まで近付けばよいと言うことか。受けて立とう!ベトベター、ヘドロばくだん!」
「べ~たぁ~!
ちいさくなる状態であることを盾に真っ向からロコンを迎え撃つキョウさんとベトベター。対するこちらは突撃一択。向こうが"ちいさくなる"を積んでしまった以上、下手に距離を取って撃ち合うよりも、真っ直ぐ行って上から圧し潰す方が確実。多少の被弾は覚悟の上だ。
…このためだけの秘密兵器もあることだしね。
「躱せ、躱せ!躱して前進!」
「コォッ…!」
"ヘドロばくだん"が2発3発と釣瓶撃ちに襲うが、それをロコンは前に出ながらもスピードに任せて回避していく。しかし、フィールドに落ちて炸裂したヘドロの破片は僅かではあるが間断なく確実に、ロコンの体力を蝕んでいく。その鳴声には、若干だが苦悶の色が滲んでいた。
しかし、ロコンは最後までスピードを落とすことなく、遂にベトベターをその射程圏に収める。
「"ちいさくなる"っ!」
「べたぁ!」
迎撃を失敗したと見たか、キョウさんは再び"ちいさくなる"を指示。縮んでいたベトベターが、光を放ちながらさらに小さくなっていく。回避率を高め、ロコンが"かえんほうしゃ"を外した後のカウンターアタック狙いだろう。
2回も積まれると、当たるかどうかはほぼ運頼みのような状況。しかし、それはあくまで使う技が普通の技だった場合。流石のキョウさんと言えど、まさかこう来るとは思っているまいよ!この時のために習得させた秘密兵器…受けてみろぉっ!
「行けっ!ロコン、"のしかかり"ィッ!」
「コォーーンッ!」
「…ッ!?」
ベトベターの眼前までを一気に駆け抜けたスピードそのままに、ロコンは宙へと飛び跳ねた。とても珍しいキョウさんの驚く声も聞こえる。
"のしかかり"はノーマルタイプの物理技で、そこそこの威力と確率で相手をまひ状態にする効果を持つ、まずまず使い勝手の良い技だ。そして、隠された?効果として、相手が"ちいさくなる"を使っている場合は必中となり、威力も2倍になる。まさしくキョウさんに勝つため、そしてあの
この技を覚えさせるためだけに、わざわざタマムシシティに1度戻ってデパートで技マシンを購入し習得させ、実戦投入しても問題ない程度に使い込み、そうしてこの戦いに臨んでいる。1週間前からもらった休みのうちの3分の2ぐらいは、この技の習得・習熟に費やしたと言っていい。
のしかかりの技マシンがあったの覚えてた俺チョーエライ。そんな初代仕様の昔の技マシンがそのまま売ってたのも助かった。まあ、向こうじゃ色々対策手段は増えてたから、"ちいさくなる"を使う相手に態々"のしかかり"を使うこともなくなってたけどな。技マシンも消滅しちゃったし。
ともかく、これでベトベター・ベトベトンが覚えているであろう"ちいさくなる"は怖くない。回避率2段階上昇はシャレにならないので、しっかり対策させてもらった。おかげで代わりに財布が"ちいさくなる"を2回ぐらい戦う前から積んでしまっているが、大丈夫だ、問題しかない(大丈夫じゃない)。
これで『勝負に勝って試合に負ける』じゃないけど、試合に勝って自己破産…なんてことにならないことを願うばかりである。マジで。
まあ…何とかなるか?公式なジム戦だからキョウさんに勝てば賞金出るし、最終手段としてサカキさんと言う名のATMが…いや、あれは質の悪いサラ金とかの類か。何
…"かげぶんしん"?気合と気合いと気合いで何とかする()
「避け…いや、ヘドロばくだんッ!」
「ベ、ベタァっ!」
キョウさんは一瞬回避を考えたようだが、即座に迎撃に方針転換。元々素早さは高くないベトベター。加えてのしかかりの対ちいさくなる補正…キョウさんが知っているのか、或いは直感的なものなのか…それは分からないが、下手に避けるよりかは正しい判断だと思う。
「構わず圧し潰せっ!」
「コ…ォンッ!」
まあ、だからと言ってこっちは止まりはしないけど。勝利のためとは言え、貴重な貴重ななけなしの金をはたき、それなりの時間を費やした。どこぞの金融会社の幹部もいっているじゃあないか。金は命より重い…ってね。我が懐の痛みと涙、思い知るがいい。
「べぇっ…!」
ヘドロばくだんを一発モロにくらってしまったが、ロコンはきっちりと捕捉。その華奢で可愛らしい身体全体でベトベターを圧し潰す。
「そのまま撃て!かえんほうしゃっ!」
「コォーーンッ!」
そして絶好のマウントポジション。そのままロコンが自身の直下に向けて炎を吐き出す。当然、ベトベターにはこれを躱す術はない。その劫火は瞬く間にロコンを中心に円形状の広がりを見せ渦を巻く。ちいさくなるを積んでいても、ゼロ距離攻撃は躱しようがないだろ。
「べ、べたぁ~…」
少しして、かえんほうしゃによって作り出された炎の渦が消えた後には、少しふらつきながらも臨戦態勢を取り続けるロコンと、俯せと言うか、ぺしゃんこと言うか、とにかく圧し潰されてピクピクと不随意運動をしているようなベトベター。
「ベトベター、戦闘不能ッ!」
ベトベターに戦闘不能のジャッジが下り、これで2体抜き。ここまでは上々、後はどこまで行けるかってところ。ダメージの蓄積は注意しないといけないけど、ロコンには行ける所まで行ってもらいたい。
…今更ながら、あのベトベターというヘドロの身体、塊に全力ダイブさせたって想像すると、ロコンに申し訳ない気持ちが湧いてくる。本当に今更な話だけど。バトルが済んだら毛繕いでもして、労ってあげないとだな。
「…ベトベターをこうも容易く突破されるとはな。ゴルバットと言い、想定を完全に崩されてしまったわ」
「そりゃあもう、一週間でバッチリ対策させてもらってますから」
確か、この仕様自体はゲームでもかなり早い時期からあったんだよな。第2世代だったかな?その頃は対象の技は"ふみつけ"だけで、後の世代になってから"のしかかり"を始め、色々と追加されていったはずだ。
こっちでは"のしかかり"の仕様は既にゲームと同様か、大差無しと言ったところ。変わってたら全てが無駄になるところだったから、主に俺の財布の中にいた偉い人たちの犠牲が報われて一安心だ。ああ、この世界でも通貨単位は普通に円だったよ。紙幣に描かれてる人は全く知らない人だったけど。
「その技、"ちいさくなる"への対策だな?」
「…ご存知でしたか」
「一体どこからその知識を仕入れてくるのやら。一週間休みが欲しいと言うから何をするのかと楽しみではあったが、誠に此奴は…」
そう言って、キョウさんは戦闘中にも関わらず、静かに笑った。"ちいさくなる"を常用しているだけあって、この仕様について知っていたようだ。
「先の"しんぴのまもり"に今回の"のしかかり"と、完全に一杯食わされておる。状況も劣勢。だが、己の手腕で見事ひっくり返して見せようぞ!ゆけぃ、アーボック!」
「シャーッボ!」
キョウさんの3体目はアーボックか。コブラをモチーフにしたどく単タイプのポケモン。物理寄りの技構成とは思うが…さて、何をしてくるのやら。
ロコンを見やれば、アーボックの鋭い雄叫びに怯んでいる…様子は見えない。『いかく』持ちのポケモンとは何度か当たっているけど、この反応は初めて見た。と言うことはこのアーボック、特性は『いかく』じゃなくて『だっぴ』か?まあ、どっちだろうと交代がない以上大差はないか。
それと、バトルの初めに展開した"しんぴのまもり"のオーラがだいぶ薄くなっているように見える。一応まだ持続しているが、もう幾分ももたないだろう。"へびにらみ・どくどく"辺りは持ってる可能性は十分あるので、ロコンもだいぶ消耗しているが、出来れば"しんぴのまもり"を張り直してから退場させたい。
故に、まずは様子を見つつ時間稼ぎがベスト。安易に切り捨てるような動きはノーだ。
「では、バトル再開ッ!」
「ロコン、もうちっと頑張ってくれ!"かえんほうしゃ"!」
「…コォン!」
「アーボック、"ヘドロばくだん"!」
「シャーッボ!」
ロコンが"かえんほうしゃ"を放つのとほぼ同時に、アーボックも"ヘドロばくだん"を放って再び開戦のゴングが鳴る。
炎の熱線と猛毒の爆弾、2つの技はぶつかり合い、中心地点で強い爆発を引き起こす。それによって引き起こされた爆炎と土煙と轟音が、フィールドを吹き抜け全ての情報を一時的にシャットアウト。それは、ほんの僅かな時間ではあったが、轟音が止み、土煙が晴れた後…
「…どこにいった!?」
…フィールドから、本来そこにいるべきはずのアーボックの姿が消えていた。良く見てみれば、さっきまでアーボックがいた辺りには、ポッカリと不自然な穴が開いている。
「…"あなをほる"か!?」
サンドパンが現在のメインウェポンとして愛用しているだけに、その技に行き着くまで時間は掛からなかった。ただ、それでも気付いた時には既に手遅れだったが。
「その通りよ!やれぃ!アーボック!」
「シャーッ!」
「コ…ッ!?」
「ロ、ロコンッ‼」
その言葉と共にフィールドが揺れたかと思ったら、真下からアーボックが突然現れ、ロコンの無防備なドテッ腹に頭から突っ込んでいた。
アーボックに高々と突き飛ばされたロコンは、そのまま自由落下の後にフィールドに叩きつけられる。
消耗激しいロコンに効果抜群の一撃…考えるまでもなく、その攻撃は致命的だった。
「ロコン、戦闘不能!」
ロコンは立ち上がることも出来ず、そのままノックアウトの判定。ほんの束の間だったが、動きを止めてしまったのが全てか。
「ファファファ…まずは一矢報いたとよな。さて、どうするマサヒデ?」
特に感情を露にするでもなく、ただ悠然と構えて俺を見据えるキョウさん。
とりあえず、現状アーボックはほぼ無傷。"しんぴのまもり"は持続時間残り僅か。技は"ヘドロばくだん・あなをほる"で2枠が判明。後は"へびにらみ・どくどく"があるのか否か…持っている前提で考えとけば間違いはないな。
それを踏まえると、ドガースでは火力不足が否めない。それに、積み技への対応策として温存しておく必要があるし、最悪いつものアレでキョウさんのラス1に対する鉄砲玉の役割もある。
ならサンドパンかサナギラス、一応どちらも状態異常への対策はしてあるが…
「…よし、サンドパン頼んだ!」
「キュィッ!」
しばしの後、2番手としてサンドパンをフィールドへ。"あなをほる"もあることを加味すると、サンドパンの方が相手として適していると見た。
サンドパンがフィールドに立ってすぐ、すっかりと薄くなりながらもこちらを守っていた光のベールが完全に消え去る。"しんぴのまもり"の効果時間が完全に切れたということであり、それはキョウさんへの足枷が外れたことを意味する。
「ようやく天もわしに味方し始めたかな?忍びの極意、この機にとくと味わうがよい!アーボック、"へびにらみ"!」
「シャーッ!」
「そっちか!まともに見るな、サンドパン!"あなをほる"で回避ッ!」
「キュッ!」
足枷が外れた途端、待ってましたとばかりに早速"へびにらみ"が飛んで来た。対するこちらは"あなをほる"。ついさっきアーボックが開けた穴をそのまま利用し、視線から逃れる。状態異常対策はしてあると言っても、サンドパンの場合は1回こっきり。出来る限り温存しないと。
寸でのところで蛇に睨まれた鼠にならず済んだサンドパン。そのまま地中に身を潜め、一度息を整えて機を窺う。
「アーボック、油断するでないぞ」
「シャー…」
どくタイプにとって手痛い一撃になり得る以上、キョウさんとしても警戒するのは当然か。アーボックはとぐろを巻いて、此方の攻撃がどこから来ても即座に動けるようにしている。
そういや、技に"とぐろをまく"ってのがあるけど、今のアーボックの態勢的に、技として有効だったりするのだろうか?仮に有効だったとしたら、悠長に構えてる隙が無くなるんだが。
「…真下かッ!アーボックッ!」
「シャボッ!」
「キュィィッ!」
真下に潜り込んでいたサンドパンが飛び出しアーボックを強襲するも、先に察知されてしまい攻撃は空振りに。
「"へびにらみ"!」
「シャーッ!」
「キュ…ッ」
そして返す刀できっちり睨まれ、サンドパンがその場で硬直。
しかし、反射的に持たせていたラムのみを口にすることでまひ状態は立ちどころに回復。素早く硬直から抜け出して次の攻撃に向けて動いた。そして温存策、早くも終了のお知らせ。
「"のしかかり"っ!」
「キュ…イィーッ!」
「むっ!?"へびにらみ"…は間に合わぬか!ならばアーボック、"かみくだく"で迎え撃てぃッ!」
「キ、シャーッ!」
事実上"へびにらみ"を不発にさせられたアーボック。再度"へびにらみ"を見舞おうとしたようだが、間に合わないと見たキョウさんは"かみくだく"を指示。これによりサンドパンとアーボックが接近戦に突入する。
上を取って全身を使って圧し潰しにかかるサンドパンに対して、器用にそのプレスから上半身…上半身?を抜いて、サンドパンの背中の棘を避けつつ腕に思いっ切り牙を突き立てるアーボック。アーボックに絡みつかれたことで、2体が1つの塊となり、泥沼揉みくちゃのインファイトに。
「アーボック、そのまま締め上げて"ヘドロばくだん"!」
「やらせるか!サンドパン、"どくづき"!」
互いに全く引くことのない、引くことの出来ない殴り合い。ゼロ距離からヘドロの塊を浴びせられるサンドパンだが、効果今一つ故か全く怯むことなく、逆にアーボックの喉元に"どくづき"を突き刺していく。こちらも効果は今一つだが、他の技が出せるだけの隙を作れる状況ではないので仕方がない。
「"かみくだく"!」
「殴り負けてないぞ、"どくづき"だ!打て!打て!」
密着状態での技の応酬は、片や物理技、片や物理技と特殊技を織り交ぜて、蛇と針鼠の食うか食われるかの戦いは激しさを増していく。
俺はサンドパンを信じて、このままの状況で"どくづき"連打を選択。"ヘドロばくだん"による状態異常と"かみくだく"による防御力の低下に怯えながらも、激しくもジリジリとした手に汗握る一進一退の攻防が続く。
「キュ…イィィッ!」
「シャ、ボ…ッ」
永遠に続くかのような気さえした殴り合い。だが、そんな戦いの中にあって、徐々にサンドパンからの一撃にアーボックがたじろぐようになる。サンドパンがアーボックを押し始めた。
「むぅ…アーボック、"ヘドロばくだん"!その後、離れて"あなをほる"!」
「シャ、シャー…ボッ!」
「キュゥ…ッ」
ステータス差、種族値の差、技の選択…いくつかの要素が加わってか、レベルという総合的な地力に優るサンドパンに勝負の天秤が傾き始めたことを感じ取ったか、アーボックはサンドパンへの締め付けを解除。キョウさんは一度距離を取って仕切り直す腹積もりのようだ。
一撃を浴びせられて怯んだサンドパンは反撃出来ず、アーボックはスルスルと地中深くへとその身を隠した。
「サンドパン、大丈夫か!?」
「キュ、キュイッ!」
この間にこちらはサンドパンの状態を確認。返事や動きから見るに、まだ戦闘は十分に続行可能。だが、時折苦しそうな様子も見える。あれだけの"ヘドロばくだん"を浴び続ければ半ば当然ではあるが、やはりどくの状態異常は貰ってしまったか。
あまり長引かせることはしたくない。なら、俺が採るべきなのは…
「サンドパン、"あなをほる"。捉え次第、狩れ!」
「キュッ!」
キョウさんとアーボックの後を追って、こちらも"あなをほる"を指示。サンドパンも地面の下へと身を沈め、フィールド上からポケモンが完全にいなくなってしまうという珍しい事態になる。
さっきまでの殴り合いでアーボックも消耗している。効果抜群の一撃で、確実に残りHPを消し飛ばしに行く。
微かに伝わる震動から、両者がフィールドの下を動き回っていることが分かる。しかし、こうなるとこちらの指示はフィールドの地下までは届かない。
微かに足の裏から感じる揺れが、サンドパンとアーボックの地中での激闘が行われていることを感じさせる。こうなってしまえば、後はもうサンドパンを信じるのみ…頑張れっ!
「シャボ…ッ!」
「アーボックッ!」
一瞬大きく揺れたかと思うと、アーボックが飛び出してきた。勢いよく地上に姿を見せたアーボックは、そのまま天に昇らんとする、さながら龍の如く飛び上がる。
「キュイィィィッ‼」
「サンドパンッ!」
アーボックから一瞬遅れて、サンドパンが後を追うように地中から飛び出し、宙を舞っているアーボックよりも先にフィールドを両足で踏みしめた。
『ドシャァッ‼』
「キシャ…ッ」
その後、高々と宙を舞っていたアーボックが、大きな音を立ててフィールドに降り立つ。サンドパンに追い立てられた結果か…いや、降り立つと言うか、これはむしろ…
「シャ、シャ~…」
「アーボック、戦闘不能ッ!」
土煙を上げてフィールドに落下したアーボックだったが、その後起き上がる様子を見せず、ダンゾウさんによって戦闘不能のジャッジが下った。やはり、アーボックは飛び出たのではなく、サンドパンに地下で捉まってブッ飛ばされた結果だったようだ。餅は餅屋に、空中はひこうタイプに、水中はみずタイプに、そして地中だったらじめんタイプにお任せってね。
「…逃げ切れぬか。アーボック、戻れぃ」
アーボックがキョウさんのボールへと収まる。これでキョウさんの残すポケモンは1体、対するこちらは消耗しているがサンドパン込みで3体。2点リードで9回裏までは持って来れたってところかな。追い詰めた。
4体目、このバトルの最後の1体。そのポケモンが収まるモンスターボールを、キョウさんがその手に握る。
「ゆけぃ、マタドガス!」
「ド~ガァ~」
姿を現したキョウさんのラスト1体は、ドガースの進化系・マタドガスだった。物理防御が高く、特性『ふゆう』でじめんタイプの技が効かない。物理技が主力の残る俺の手持ちにとっては難敵だ。
まあ、だからと言って無敵って訳じゃない。着実に削って行けば自ずと勝利は近付いてくる。特殊技メインで
そして、技構成も気になるが、どうだろうか?"ヘドロばくだん・どくどく"…"おにび"は時期的に見てまだないはずだし、後は"10まんボルト・かえんほうしゃ"辺りの特殊技か?タマゴ技だから"いたみわけ"もなさそうかな?
…流石に"だいばくはつ"は…ないよな?
「では、これがわしの最後のポケモンだ。追い詰めた、と気を抜いてもらっても困るが…」
「そんなことしませんよ」
野球は9回2アウト、サッカーはアディショナルタイムからが勝負。最後の1体がひんしになるまで、何が起こるか分からないもんだからね。現実には早々お目に掛かれるものでもないけど。
「その意気だ。では、お主が今よりも上を目指すのであるならば、この勝負、見事勝ち切って見せよ!」
言われずとも、ここまで来たなら後はもう勝利あるのみ!
「バトル再開ッ!」
さあ、セキチクジム最後の戦い、勝利は目の前だ。
…あ、ピンチのアラートBGMはお呼びじゃないんで結構です。
第41話、セキチクジム戦中編でございました。やはり2体分が限界…そしてサクサクとは一体()。遅くなった言い訳をしますと、キョウ戦の後の展開をどうするかで少し悩んでおりました。その影響がこの話にも出てしまいました。結果、サクサクとか言っておきながら、4体目を残して一旦切ることになったワケですが。内容も薄い気しかしないし。誰か、オラにカッコいい戦闘を考える頭脳を分けとくれ()
それと、前話を投稿直後に読んでいただいた方には無意味ですが、のしかかりの行をほぼそっくりそのままこっちに移設しております。理由としましては、前話投稿後に「伏せといた方が面白くね?」と思い至っただけの話でございます。多分に時すでに遅しですが。(書きあがったら即投稿しちゃう早漏野郎なので仕方ないネ)
ともかく、これでセキチクジム戦もクライマックス。残すはマタドガス1体。無事主人公はこれを突破し、ピンクバッジを手にすることが出来るのか。忍の馳走(3)へ続く。
…あ、サブタイトルもちょっと変えました。何かしょぼい気がしたので。(書きあがったら即ry)