成り行き任せのポケモン世界   作:バックパサー

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第55話:雨男と太陽の子

 

 

 

 

『みんな、待たせたな!手に汗握る熱戦続きだったパイラコロシアムも、いよいよ次で最後の試合だ!試合に先立って、決勝の舞台に立つ2人を紹介しよう!まずAブロックから!Aブロックを勝ち上がったのは、パイラタウンの腕自慢たちも、カントー地方からの挑戦者たちも退けた、このパイラタウンで知らぬ者はいない我らがチャンピオントレーナー!今日もお得意の戦法でParty night!It's show time!嵐を呼ぶダンスマン、ミラーボだぁ!!』

『オオォォォォーーーー!!!!』

『対するBブロック!Bブロックを勝ち上がったのは、カントー地方からの挑戦者の1人!弱冠11歳の子供トレーナーは、我らがミラーボにどう挑むのか!そしてどんな結末が待っているのか、パイラコロシアム始まって以来史上初の事態に俺も楽しみで仕方がないぜ!太陽の申し子、マサヒデ!!』

『オオォォォーーー!!!』

『決勝はこの両名によって戦われる!決勝戦に相応しい熱戦を期待しよう!開始までしばしお待ちあれ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 パイラコロシアム決勝…サカキさんの追試を回避したい一心で慣れないダブルバトルを戦い、ブロックを勝ち上がった俺。その最後の舞台で相対するのは、キンキラキンでさり気なさ?なにそれ美味しいの?と言わんばかりな金一色のステージ衣装に、存在感抜群の紅白染め分け巨大アフロヘアーの細身で長身の男。

 

 

「ふっほほほ~、キミが決勝戦の相手だね~?ボクはミラーボ。このパイラタウン最強のトレーナーサ」

「マサヒデです、よろしくお願いします…」

 

 

ゲームの頃から変わらない第一印象のキンキラノッポデカアフロ野郎。コイツこそが、決勝戦の相手・ミラーボ。シャドー4幹部の一角でもある。ゲームでは事実上のパイラタウンの支配者として登場。市長のポケモンであるプラスルを誘拐して人質…ポケ質?とすることでその動きを封じ、パイラコロシアムを利用し大々的にダークポケモンに関するデータ収集を行っていた。

 

第一印象はとにかく金色、そしてデカすぎるアフロ。ミラーボ自身かなりの長身なので、アフロ含めたら身長2m余裕で超えてんじゃない?細身なのはデカすぎるアフロのせいで相対的に細く見えるってのもあるかも。

 

ラムダのおっちゃんが負けた試合…つまり2回戦になって初めて出場していたのに気付いたのだが、奴さん1回戦はシード枠だったらしい。まさかシャドーの幹部が直接出張ってくるとか完全に予想外だわ。ロケット団相手に実力誇示に来てるのか?そして実物ミラーボにやっぱりちょっと感動した。

 

 

「しっかし、まさかキミみたいな子供が決勝の相手とはネェ…結構腕の立つ奴も何人かいたから、てっきりその中の誰かが相手になるとばっかり思ってたヨ〜」

 

 

そして、予想外だったのは案外向こうも同じなのかもしれない。態度と口調からは読み取れないが、決勝の相手が子供なことに驚いている様子。

 

まあ、このならず者たちの巣窟みたいな街の大会で、俺みたいな子供が決勝まで上がって来るとは普通は思わんよな。全てはサカキさんのせいだ。サカキさんが悪いよーサカキさんがー。

 

 

「まァ、誰が相手だろうと捻り潰すのがボクの流儀。子供だろうと容赦はしないよォ?ホームの面子もあるしィ、上からも全力で相手するよう言われちゃってるからねェ~」

 

 

もう見るからにおちゃらけたような態度にも見えるが、シャドーの幹部を担うだけあってその実力は疑うべくもない。アポロさんなんか普通に俺が勝てるか微妙な程度には強い。ラムダのおっちゃんだって決して弱くはない。

 

それでもあの2人が敗れたのは、単純にミラーボが強かったこともあるけど、一番の理由はダブルバトルへの理解がなかったこと、シングルバトルのやり方でダブルバトルを戦ったからって部分が大きいと思う。2人ともミラーボお得意の戦法で良いようにやられてたよ。

 

と言うか、あれで手加減されてるってんなら俺も手も足も出ない可能性があるんですが…そして参戦はシャドーの指示かい。まあ、こんな場所に態々幹部クラスが出張って来るのも変な話だとは思ったが…

 

 

「それに、キミは彼らよりもボクたちのバトルの流儀を理解しているようだねェ…今日のラストステージ、心行くまで踊り明かそうじゃないか~」

「よ、よろしくおねがいします…」

「ヨロシク~。と、言うワケで早速ゥ…ミュージックスタート!」

 

 

ミラーボのその一言と同時に、スタジアム全体に陽気でノリノリなラテン系のミュージックが大音量で流れ始める。そして、そのミュージックに俺は聞き覚えがある。他でもない、ポケモンコロシアムにおけるミラーボ戦の専用BGMだ。ポケモンにおいてこんな特徴的な曲聞き忘れるはずがねぇ。と言うか、ポケモン世界に実在すんのかよこの曲。

 

 

『オオオオォォォォーーーッ‼‼』

『ミラーボ‼ミラーボ‼ミラーボ‼ミラーボ‼』

 

 

BGMが流れ始めるのと同時に、客席からはミラーボコールの大歓声。普通の子供相手だったらこの時点で完全に雰囲気に飲まれてんだろうな。容赦ない盤外戦術だ。俺は勝ち上がる過程で多少耐性出来てるからとりあえずまだ大丈夫。たぶん。

 

 

 

 いきなり流れ出したBGMに面食らったが、その間に動き出した時と熱量はもう止まらない。BGMを契機にコロシアムのボルテージは一気に最高潮に達し、開戦へのカウントダウンが始まる。

 

よっぽどのことがなきゃ負けたくて舞台に上がる奴なんていない。ここまで来たならやっぱ優勝はしたいじゃん?やれるだけやってやんよ!BGMのおかげで逆に何か気合も入った!いざ尋常に勝負!

 

 

「キュウコン!ラフレシア!頼んだ!」

「クォォーン!」

「らっふ~」

 

 

こちらはキュウコンとラフレシアの両先発。キュウコンで晴らしてラフレシアで上から眠らせたり消し飛ばしたりする、開会前に駆け込みで買った技マシンを使って構築した即興晴れパ構築。即席だがパイラコロシアムを決勝まで勝ち上がってきた必勝陣形だ。ミラーボが相手になるときっつい要素だらけになるけどな。

 

 

「行きな、お前たちィー!It's show time!」

「「ルンパ〜」」

 

 

ミラーボが繰り出したのは、黄色が主体のずんぐりむっくり体型にミトンを嵌めたような手、蓮の葉を連想させる頭部の大きな葉っぱが特徴的なポケモン。BGMのリズムに合わせるように、右に左に体を揺らしている。ついでにミラーボも踊ってる。

 

ルンパッパ…コロシアム経験者にとって、ミラーボと言われてまず連想するポケモン。それが2体。やっぱり来やがったなって感じだ。分かっちゃいたけど、止めてほしかった。

 

 

 

 さて、ここで一旦ミラーボの戦闘スタイルについて解説を。ゲームにおけるミラーボが主人公との最初のバトルにおいて使用するのが、ルンパッパ4体+Dウソッキーというパーティ。初戦のゲーム進行状況だとDウソッキーがやや高めのレベルだが、それ以上にプレイヤーを悩ませるのが4体のルンパッパ。ミラーボはこのルンパッパが持つ特徴を余すところなく活かしたバトルを挑んでくる。

 

まず、ルンパッパはみず・くさタイプ。この複合タイプがなかなか優秀で、ミラーボと戦うまでにゲームで捕獲出来るポケモンの関係上、効果的に弱点を突けるポケモンが限られており、実際戦うと思った以上に硬い。

 

加えて、ミラーボのルンパッパは4体全員が"あまごい"を搭載しており、4体の内2体は特性"すいすい"を活かしたアタッカー型、残る2体は特性"あめうけざら"に"やどりぎのタネ・メガドレイン・ダイビング"で回復しつつ戦う耐久型の技構成となっている。このルンパッパ4体のミラーボと戦うのはゲーム序盤のため、攻撃技こそ強力なものは少ないが、コンビネーションは厄介だ。

 

そして、こっちのミラーボもここまでのバトルを見る限りそれは変わらないらしい。変わってるところと言えば、技構成が宣言通り容赦なくなってるぐらいか。あまごい・やどりぎはそのままに、ドロポン・冷ビ・ギガドレ・まもる…あとはねこだまし・フラフラダンスなんて技を覚えてた個体もいた。このアフロ全力すぎひん?

 

しかも特性のこと、まだ正確に発見されてはいないはずなんだが…まあ、経験則で何となく気付いてる奴はいることはタマムシシティで分かってるけど。と言うか、気付いてる奴思いの外多くない?エリカさんやらこのミラーボやら。そもそもあれだけの技術力のあるシャドーが気付いてないとは考え辛いか?あるいは、オーレ地方ではもうとっくの昔から広く認知されているって可能性も…なんだかんだ地方のモデルはアメリカだし。いや、全く分からんけども。USA!USA!

 

 

 

『どちらも準備はOK?それじゃいくぜ!パイラコロシアム決勝戦、ミラーボvsマサヒデ…バトルスタートッ!!』

『オオオオォォォォーーーッ‼‼』

 

 

陽気な専用BGMが響く中、実況の宣言で決勝の幕が上がった。

 

 

「ルンパッパ"あまごい"!キュウコンには"ハイドロポンプ"、いっちゃいなヨ!」

「ルンパァ!」

 

 

早速ミラーボは動きを見せる。1体のルンパッパによる"あまごい"で屋内フィールドの天井に雨雲が出現し、程なく大粒の雨が降り始めた。雨が降り始めたのを確認して、もう一方のルンパッパはキュウコンを狙って動き出す。濡れたフィールドを滑るような、あの体型からは想像出来ないスピードの速攻。かつ、一撃でキュウコンを消し飛ばす構えだ。のっけから容赦ねぇ。

 

そしてやっぱりと言うか、アンタも踊りながら戦うんかい。

 

 

「回避ッ!」

「クォンッ!」

 

 

そんな見るからに危ない気配を察知して、キュウコンも流石の良い反応を見せる。

 

 

「クゥッ…ッ!?」

「大丈夫かキュウコン!?」

「クォンッ!」

「やっぱり、速い…!」

 

 

が、ルンパッパはそのキュウコンを上回る俊敏さ、機敏さを見せつける。素早く前進して距離を詰めて放たれた太い水の奔流。良い反応は見せたが完全には避け切れず、僅かにキュウコンを抉る。その威力はみずタイプの大技なだけあって、ちょっと掠っただけのキュウコンが苦痛そうに身体を捩った。

 

幸い大ダメージには繋がらなかったが、大火力の大技…雨も加わって、まともに貰えば一撃で押し流されかねないのは明らか。それに相手のレベルもかなりのもの。挙句アタッカーのルンパッパはこの通り雨で特性が発動して素早さが跳ね上がるので、キュウコンと言えど完全に避け切るのは難しそうだ。

 

あとミラーボの踊りは無視だ!集中!

 

 

「反撃だ、キュウコン"にほんばれ"!」

「クォォーン!」

 

 

キュウコンには"にほんばれ"で天候の書き換えを指示。創り出された小さな人造太陽が雨雲を掻き消し、フィールドを照らす。ルンパッパの強みは多くが天候ありきのもの。こうなれば今度はこっちの番だ。

 

 

「そんでもって、ラフレシアは"ヘドロばくだん"!」

「らふらふ~!」

「ルンパァ!?」

 

 

ラフレシアに"ヘドロばくだん"を指示。天候の変化に伴い、ラフレシアの特性が発動。水を得た魚が如く、打って変わって活き活きとし始めるラフレシア。素早い動きから繰り出された一撃は、逆に特性で得ていたスピードを失い、前に出すぎたルンパッパをアッサリと捕捉した。

 

 

「いいぞ、逃がすな!もういっちょ"ヘドロばくだん"!」

「らっふ〜!」

 

 

勢いそのままに、ダメージを受けたルンパッパを狙う。効果は抜群。当たれば大きなアドバンテージ…

 

 

「ふほほ~、それはノーセンキューだネェ。前に出て"まもる"だヨ」

「ルンパァ!」

 

 

…が、そう易々とは受けてくれない辺りは流石ミラーボ。攻撃を受けたルンパッパが下がり、それと入れ替わるようにもう1体のルンパッパが前に出て"まもる"を発動。この一発は上手く防がれた。ダブルバトルにおいては必須レベルと言われる技なだけあって、きっちり覚えさせている辺りはオーレ人らしいと言うべきか。

 

 

「もう一度"あまごい"だヨ」

「ルンパッ!」

「させるか!キュウコン、"あまごい"してる方に"かえんほうしゃ"だ!」

「クォン!」

 

 

今度は後ろに下がったルンパッパが"あまごい"を発動。こっちはさせまいとキュウコンで狙う。

 

 

「ルンパ…パァッ」

「チ、間に合わないか」

 

 

灼熱の光線でダメージは通したが、"あまごい"発動には間に合わず、太陽の輝きを掻き消した重苦しい雨雲から、再び大粒の雨が落ち始める。ルンパッパ1体を追い込んだのと引き換えに、主導権は再びミラーボの手に。

 

 

「お返しだYO。ルンパッパ、キュウコンに"ハイドロポンプ"だ」

「ルンパッパ~!」

 

 

相手の選択は変わらず"ハイドロポンプ"。今度は前衛のルンパッパが仕掛けて来た。まさか2体ともアタッカー型なのか!?…と思ったが、雨が降っているにもかかわらず後ろに下がったルンパッパほどのスピードがない。"あめうけざら"の耐久型が攻撃技を積んでるだけと見た。

 

それでも、水技最高クラスの高火力技。今回のバトルにおいて、天候を書き換えることの出来るキュウコンをそう簡単に失うワケにはいかない。ラフレシアお得意の搦め手(ねむりごな)もルンパッパが相手では撃つだけ無駄。後手の対応になるが、致し方なし。

 

 

「キュウコンはラフレシアの後ろに!ラフレシアはキュウコンの前に!キュウコンを守ってくれ!」

 

 

キュウコンを失うよりかは…と、向こうが動き出すまでの間に前衛:ラフレシア、後衛:キュウコンの陣形を完成させる。ラフレシアを盾にして、キュウコンの体力温存を図る陣形だ。

 

 

「らっふ…ぅ…!」

 

 

キュウコンを狙った"ハイドロポンプ"をラフレシアが代わりに受ける。モニターに映し出されたラフレシアの表情が歪む。流石は水技最高クラスの威力を誇るドロポン。雨も加わって無視は出来ない威力だ。

 

しかし、ラフレシアなら落ちないはず。すまないがここは耐えてくれ、ラフレシア。

 

 

「…よし、ラフレシアの頑張りを無駄にするな!この隙にもう一度"にほんばれ"!」

「クォン!」

「ふほほほ~、やっぱりキミは天候の重要性をよく理解しているようだネェ~…なら、なおさらそこは譲れないヨ!"あまごい"!そしてェ~"ハイドロポンプ"!」

「ルンパァ!」「ルンパァ!」

「ラフレシアは"ギガドレイン"だ!」

「らっふぅ~!」

 

 

ラフレシアは予想通り水の奔流を耐え切った。それだけ確認して、再び天候を捩じり返しにかかる。

 

その目まぐるしく変わり始める天候の中を、もう1体のルンパッパとラフレシアが、ラフレシアは消耗しているルンパッパに、ルンパッパはキュウコンに狙いを定めて動き出す。

 

始動は指示の早かったルンパッパが先で、ワンテンポ遅れてラフレシア。指示の差がつけたその僅かな遅れは、キュウコンがもたらしてくれた快晴によってあっという間に帳消しとなり、逆に一歩分のお釣りとなる。

 

 

「らっふ~ッ!」

「パッ…パァ…ッ」

 

 

少しでも前に出よう、確実にブチ当てようと、互いに相手へと向かっていった結果、ルンパッパよりも一歩近くから一歩早く繰り出された一撃が、残り僅かだったであろうルンパッパのなけなしのHPを削り取った。

 

しかし、一歩分のお釣り程度ではルンパッパの攻撃を完全に遮断することは出来ず、間一髪のところで間に合わされてしまってもいた。"にほんばれ"に集中していたキュウコンにその一撃を避ける余裕はない。

 

 

「クォン…!」

 

 

天候がキュウコンの制御下にあったことがせめてもの救い。直撃は受けたが、照り付ける日差しで技の威力が減衰。辛うじてノックアウトは免れた。

 

しかしキュウコンを救った真っ赤な太陽も、直後に呼び起された暗雲によって瞬く間に覆い隠される。俄かに風が吹き始め、程なくしてザーと強い雨が降り始めた。秋の空と呼ぶにはまだ時期的に早いはずなんだが、晴れたり雨が降ったりと忙しい戦場だ。

 

それにしてもこの光景、見ててエメラルドのストーリー終盤を彷彿とさせる。カイオーガとグラードンが永き眠りから目覚め、異常事態を感じさせる不吉なBGMをバックに強烈な日照りが海を熱し、激しい雷雨が大地を叩き、そんな空模様が短いスパンでコロコロと変わる…まさしく天変地異。

 

その2体の引き起こす天変地異と比べればショボいが、見事な晴れパvs雨パによる天候操作合戦だ。問題は向こうが完成されたパーティなのに対し、こっちのそれは完全な付け焼刃パーティであること。キュウコンが倒された時点で向こうの土俵で相撲を取らざるを得なくなる。ラフレシアまで倒されてしまうと…状況次第ではあるが、苦しいな。

 

まあ、何にせよまず1体でこっちがリード。残りは3体だ。

 

 

『ルンパッパ、戦闘不能ッ!』

 

 

ルンパッパの戦闘不能を宣言するアナウンスに、観客席からどよめき交じりの歓声が上がる。

 

 

『これは…観客のみんなにとっても少々予想外の幕開けか!?まず先手を取ったのは、なんと最年少参加者のマサヒデ選手だ!ここまで勝ち上がってきた実力にまぐれはないということか!?しかしバトルはまだまだ始まったばかり!さあ、ミラーボ選手はどう巻き返す!?』

 

 

キュウコンとラフレシアをいつまでも引っ張れるとは思っていないが、ハッサムとヤドンの出番までに、どこまでルンパッパ軍団を削り、押し込めるかが勝負の分かれ目だろうとは思う。理想を言えば残り1体か、それプラス消耗した1体の状況でバトンを渡すのがベストだが…

 

 

「ふほほ~、やっぱり決勝に上がってくるだけあってかなりやるねぇ~。まァ、バトルはまだまだここからさ~!ルンパッパ、Let's dancing!」

「るんぱっぱ~」

 

 

3体目のルンパッパがフィールドに姿を見せる。降り続く雨ですぐに活き活きとして、もう1体のルンパッパに合わせて軽快なリズムでステップを刻み出す。バトルの最中ではあるんだけど、やっぱり陽気に踊ってるようにしか見えん。

 

後はこのルンパッパ、アタッカー型か耐久型か…アタッカー型と想定した方が安全だな。

 

 

「さァ、逆襲の時間だよォ~!ルンパッパたちィ、"ハイドロポンプ"ゥ~!」

 

 

相手の選択は2体揃っての"ハイドロポンプ"。狙いは…キュウコンか。2体掛かりでキュウコンを確実に仕留めに来たか。

 

 

「「ルンパ~!」」

 

 

ミラーボの指示に応えて動き出す2体のルンパッパ。入れ替わりで出てきたルンパッパの方は、キュウコン目掛けて水の奔流が発射される。回避…は考えたが、ルンパッパの位置的に攻撃が十字砲火気味になっていて、躱し切るのは難しい。

 

惜しいがキュウコンはここまで、か…唯一の天候始動要因が落ちるのはキツイが、それなら最後にせめて、後に繋ぐ一手を…!

 

 

「…"にほんばれ"だ!」

「…クォン!」

 

 

水の奔流が迫る中、キュウコンは俺の指示を全うするために動き出し、程なくしてそのまま激流に呑み込まれる。

 

水が引いた後、キュウコンがいたのはフィールドの壁際。濡れネズミ状態になって倒れていた。

 

 

『キュウコン戦闘不能ッ!』

 

 

戦闘不能の宣告がコロシアムに響く。それと同時に、キュウコンが最後の力を振り絞って創り出した小さな太陽が、雨雲を掻き消して輝き始める。彼女が最後の任務を見事完遂してくれた何よりの証拠だった。よくやってくれたよ、キュウコン。ありがとう。

 

しかし、これで天候を書き換える手段を失ったことは大きな痛手。間違い無く次のホイッスルと同時にルンパッパに書き換えられ、あとは相手の土俵上での戦いを余儀なくされることになる。

 

だから、このバトルをモノに出来るかはキュウコンが創り出してくれたこの僅かな時間。これをどう使うか、そして有意義に使えるか…重要な局面だ。

 

 

「ハッサム、ゴー!」

「シャアァラアァァァァイッ!」

 

 

3体目に選んだのはハッサム。進化しても出てきた時の気勢と言うか、奇声は健在。そして出て来るやすぐに宙に浮かび、いつでも暴走を始める気満々の構え。進化したというのに、相変わらずなその姿勢…まるで成長していない…

 

色々と残念ではある。けど、同時にこの緊迫した状況でも変わらないその姿勢は、何と言うか…頼もしくも感じた。おかしいなぁ…進化したからか?

 

 

「行くぞ、ラフレシア"ヘドロばくだん"!」

「らっふぅ~!」

 

 

晴れを活かせる最後のチャンス、まずはラフレシアで攻めかかる。

 

 

「ハッサムはちょォ~っとばかし厄介だねェ…けど、まずオマエは"まもる"、オマエは"あまごい"だヨ!」

「「るんぱ~」」

 

 

ラフレシアの一撃は"まもる"で防がれ、もう1体のルンパッパによって天候も書き換えられた。

 

でも、そこまでは予想の範囲内だ。天候は取られた、ラフレシアの攻撃も防がれた、でも、それらと引き換えにハッサムがフリーハンドを得た。ここだ、ここの選択が大事なんだ。ここの選択が、勝負の帰趨を決定付ける分水嶺になる。

 

ラフレシアは少々手負いでも十分やれるが、ヤドンは出す前からすでに色々と荷が重い。残りポケモンは3-3と同数だが、この時点で実質2-3と言ってもいいかもしれん。総合的に見れば相手がやや優勢。

 

ここで大勢を決しないと、勝利の目はかなり厳しいと言わざるを得ないが…どんな状況でも勝つために力を尽くすのがトレーナーってもの。さて、どうする?

 

 

 

 




vsミラーボ前編。例によって分割です。そしてミラーボの手持ちは当然クアドラプルンパッパ。ルンパッパと言えばタケシよりもミラーボ。彼はもうルンパッパだけ使ってればいいと思うの(暴論)。

ロケット団とシャドーの実力についてですが、あまり差はないと個人的に思っています。エリート戦闘員がいる分シャドーが若干上でしょうか?この作中ではラムダとアポロがミラーボに負けてますが、そこは実力差というよりダブルバトルへの理解と経験の差がモロに出たものと思ってもらえれば。

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