成り行き任せのポケモン世界   作:バックパサー

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第73話:石の男

 

 

 

 

 

 シロガネ山怪獣大戦争…もとい、バンギラス同士の大激戦から半月。ポケモンたちの治療のため、山籠もりを中断した俺は、数ヶ月ぶりにトキワシティへと戻った。

 

セキエイ高原のポケセンに救急搬送…ならぬ救急転送されたポケモンたちだが、スピアーとキュウコン、ヘラクロスは当初の予定通り数日で治療を終え、すでに手元に戻っている。バンギラスは当初命の危険も…という話だったんだが、幸い数日でその状況は脱してくれている。それでも重症でしばらくの加療を要するとの診断が下ったため、現在も療養中だ。

 

いずれはまたシロガネ山へ戻る予定ではいるんだが、バンギラスの怪我が思った以上に酷く、現時点では再開の時期が見通せないのが現状。何度か見舞いに行ったが、スタッフさんに様子を聞くと、ほとんどの方が口を揃えて言うのが『元気がない』の一言。『自信を失くしてるのかもしれない』とも。過剰とも思えるぐらい自分の力を誇示していただけに、ヌシに負けたことは余程堪えたんだろうとは、想像し易い話ではある。

 

とまあ、そんな状況になった結果、俺を待っていたのはやることも出来ることもない、部屋でゴロゴロとしながら本を読んだりテレビを見たりして過ごす、自堕落で快適な生活だった。子供にとっては時期的にちょうど夏休みに当たる頃なので、俺も気分は夏休みだ。

 

容赦なく照り付ける真夏の太陽を前にしては、クーラーがガンガン効いた部屋からは出たくなくなるのが道理というもので、まともに外に出たのなんて、前述のバンギの見舞いに3回セキエイ高原まで行ったぐらいだ。

 

 

 

 ただ、そんなグータラ生活をしていても、何とかしなくてはならない喫緊の課題もある。バンギのもそれに当たることではあるが、それ以上に問題なのが、成り行きとは言え捕まえてしまったヌシ…2体目のバンギラスの処遇であった。

 

ゲーム的な考えをするなら、バンギとは別の型に仕上げたりして使い分ける…と考えるのが普通なんだろう。だが、1体だけでも手一杯な感じなのに、正直2体も面倒見切れない。ましてやあの魔境・シロガネ山を生きて来た個体だ。今の俺に、そこまでの能力はないと思っている。

 

同時に、サカキさんの手が及ばない内に何とかしたいという考えもあった。幸いこちらの治療はスムーズに進んでおり、メンタル的なダメージもなさそうとのこと。2体ともに退院の目途は立ちつつあった。それは同時に、ヌシのシロガネ山への解放を考える時期になっているということでもある。シロガネ山の管理を担当しているポケモン協会とも相談し、サカキさんにも(仕方なく)助言を貰いつつ、来る日に向けて着々と準備を進めていた。

 

だが…それに「待った」が掛かる事態が起きた。

 

 

 

 

 

「…バンギラスの解放を、取り止めて欲しい?」

 

『はい』

 

「延期ではなく?」

 

『はい』

 

 

そう連絡が届いたのは、トキワシティに戻ってからさらに半月が経ったある日のこと。

 

 

『シロガネ山周辺で野生ポケモンの活動が活発化していまして…調査隊が慎重に調査を続けていますが、現時点で下手に野生に放つのは状況の悪化を招きかねないと…』

 

 

シロガネ山周辺のポケモンの活発化。それが、解放中止を要請された理由。俺がシロガネ山から撤退して少しした辺りから、それまであまり見られなかった強力な個体の目撃情報が出始め、野生ポケモン同士の争いが頻繁に観測されるようになったという。

 

協会職員さんの話によれば、協会側は縄張り争いだと見ているようだ。が、その争いは一向に沈静化する気配を見せず、逆にどんどん激化する一方。調査隊も危険な状況に置かれていると判断し、活動範囲を後退させたり狭めたりせざるを得なくなったという。

 

 

 

…これ、もしかして俺がヌシを捕まえちゃったからだったりする?いや、でもバンギラスを捕まえてしまったのは必要なことだった。仕方がなかったんだ。ただそれだけの話だと信じる他ない。

 

 

「そうですか…」

 

『状況の推移は注視しているのですが…申し訳ありません』

 

「…いえ、仕方ないことです。了承しました」

 

 

…まあ、ポケモン協会がそう判断したなら仕方がない。この件に関しては、余計な迷惑をかけてしまっているっぽい以上、俺はその判断に従うだけだ。

 

ただ、解放中止となることで浮上する問題点が一つ。

 

 

『それでなのですが…バンギラス、どうされます?2体とも引き取られますか?』

 

 

現在、セキエイ高原のポケセンに入院している2体のバンギラス。双方ともに治療のための入院だったが、現在は身体的な部分はほぼ完治しており、片や退院、片や解放に向けて、カウントダウンに入っている状況だった。

 

しかし、放流中止となったせいで、このまま野生に返してさようならと考えていたヌシの世話をどうするか考える必要が出来てしまったワケだ。

 

 

「…1体はこのまま、しばらくポケモンセンターでお世話していただくことは可能でしょうか?」

 

『ポケモンセンターは、基本的に治療が必要なポケモンへの対応が優先されます。治療不要なポケモンの長期お預かりまでは出来ません。事情によっては幾らかの期間延長は可能とは思いますが、基本的にはトレーナーの方で対応していただかなければなりません』

 

 

まあ、普通そうだよなぁ。ポケモン協会の職員さんの言う通り、ポケセンはあくまで怪我をしたポケモンを治療したり、ポケモントレーナーの活動をサポートをするための施設。普通の病院でも、怪我・病気が治れば退院を求められると聞く。今後の状況次第ではあるが、流石に怪我の完治したポケモンを数ヶ月も預かってくれるとは思えない。

 

詰まる話、このままではバンギラス2体をまとめて面倒見ないといけないワケで…頭の痛い展開だ。

 

 

『もしも、どうしても出来ないというのであれば、預かってくれる方、もしくは施設の捜索・仲介等はさせていただきますが…』

 

「…少し考えさせて下さい」

 

 

現状、即答は出来ない。そう考えて、一度通話を切った。

 

元々俺のポケモンだったバンギラスは別にいいんだ。普通に治療が終われば引き取って、鍛え直すなりオーキド博士に預けてしばらく休養させるなりすればいい。

 

しかし、ヌシに関しては別問題だ。元々捕まえるつもりもなかったし、治療が終われば野に放つ予定だった以上、中止になったからと言って世話出来る環境も整えてはいない。

 

加えて、バンギラスとあんだけ派手にやり合ったんだから、その関係性が悪いであろうことも想像に難くない。

 

 

「さて、どうしたもんかなぁ…」

 

 

しかし、それでもなんとかしなくてはならない。

 

前にも言ったが、バンギラスは1体だけでも手一杯な感じで因縁もあるとなると、正直2体同時に面倒は見切れん。俺が死にかねない。物理的にも精神的にも。かと言って勝手に野生に返すのは俺の良心が許さないし、そもそもシロガネ山以外に放つのは明確にルール違反。

 

となれば、俺的に一番良い選択肢は、誰か世話出来る人物に委託(まるなげ)することになるだろうか。ただ、俺の知り合いでヌシの預かりを依頼出来そうな人となると…選択肢は多くない。

 

候補1:サカキさん

 トレーナーとしての実力は言わずもがな。バンギラスと言えども確実に御してくれるだろうという安心感はある。ただし預けたが最後、ヌシがどうなるか、何をされるかは分かったもんじゃない。何か良からぬことに利用される可能性だって排除出来ない。それに、サカキさんの戦力強化にも繋がってしまう。最後の最後、どうにもならなくなった時の保険、秘密兵器みたいな扱いとしておきたい。願わくば、秘密兵器のままで終わって欲しい。

 

候補2:オーキド博士

 マサラタウンに構える研究所と広大な敷地を持ち、ポケモンに関する知識も豊富で、なおかつ一線から退いて年月が経つとはいえ、一流のトレーナーだった経歴も持つ。俺のポケモンも大変お世話になっていて、サカキさんのような裏の顔もないはずなので、預かってもらうのにサカキさん以上に打ってつけな人選だと思う。が、気になるのは俺のバンギラスも退院後は療養のため、しばらく預かってもらう予定である点。因縁のあるヌシも一緒に預かってもらうのは、ポケモン同士の相性を考えると、オーキド博士にいらぬ負担を強いることになるかもしれない。考え所だ。

 

候補3:キョウさん

 この人もトレーナーとしての実力は疑うまでもない。ただ、専門とするタイプではないのがどうかというところ。それに、一応俺の保護者でもあるサカキさんと、研究もあって持ちつ持たれつでビジネスライクな面のあるオーキド博士の2人と比べて、キョウさんはあくまで他人の域を出ておらず、些か頼み辛い。

 

…とまあ、この3人ぐらいなものか。それぞれに頼み辛い要素があり、やはり自分が何とか面倒を見る他ないのか…色々と考えてはみるが、結論は出ずの堂々巡り。考えがまとまることなく、その日は暮れていった。

 

 

 

 

 

…そして翌日。

 

 

『Prrrrr…prrrrr…』

 

「はい、マサヒデですが…」

 

 

俺の元に届いた、一本の電話。それは、サカキさんを頼る他止む無しな方向に考えが煮詰まりつつあった俺に、一筋の光明をもたらした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~数日後~

 

 

 

 電話を貰ってから数日後。この日、俺の姿はセキエイ高原のポケセンにあった。

 

セキエイ高原のポケセンには、シロガネ山から帰還してからも預かってもらっていたポケモンたちの様子確認のため、何度か訪れていたこともあって、来るのはもう慣れたものだ。いつもと同じ時間帯に宿舎を出て、いつもと同じバスに乗り、いつものようにドクターから話を聞いて、いつものようにポケモンたちの様子を見て一緒に昼飯食べたり遊んだりして、いつも通り夕方にトキワシティへと帰る。それが、ここに来た時のいつものスケジュールだ。

 

しかし、今回はいつもとは違う。バンギラスとヌシの様子を見ることはいつも通りではあるが、『バンギラスを預かってもいい』と言ってくれたとある人物との顔合わせと、今後を巡る話し合い。こちらが今回来た主目的になる。

 

最初、電話で話を聞かされた時は警戒したが、件の人物の名前を聞いて、驚くと同時に納得はした。キチンとした身分があるというのもあるが、一方的にではあるものの知っている人物だったので。と言うか、原作キャラだった。来年から新任のジムリーダーになるということで、協会的には信用しても良いと判断したらしい。

 

そういうワケで、普段よりも早めの時間にセキエイ高原にやって来た俺は、程なくポケモン協会のスタッフさんの手引きで、紹介を受けた件の人物と顔合わせをすることになった。

 

彼こそが、今回ヌシを委託…と言うよりは、条件付きでの引き取りに手を挙げてくれた救世主。茶髪のツンツン頭で高身長、どこからかソーナンスの鳴き声が聞こえて来る…ような気がする、糸目が特徴的な青年だ。ここまで特徴を上げれば、何となく察した方も多いであろう。

 

 

「マサヒデさん、こちらがタケシさん。来年からニビジムのジムリーダーに就任してもらうことが決まっています」

 

「タケシだ。ポケモンリーグファイナリスト、天才少年トレーナーにお会い出来て光栄だよ」

 

 

『つよくてかたいいしのおとこ』のキャッチフレーズと上半身半裸の立ち姿、初代では一番初めにジムリーダーとしてプレイヤーの前に立ちはだかり、一部のプレイヤーにとってはトラウマ的存在としても有名な原作キャラ、誰あろうニビシティのジムリーダー・タケシその人だ。

 

 

「マサヒデです。こちらこそ、バンギラスの預託に手を上げていただいて感謝します。後、その呼び方は止めていただけるとありがたいです…こう、背中がゾワッとするんで」

 

 

ホント、原作キャラからもそういう風に言われると、何と言うか…ねぇ?むず痒いというか、寒気がするというか、気分が良いような悪いような、モヤモヤとしてなんとも言えない感じがする。

 

 

「おっと、そいつは失礼した。何にせよ、今日はよろしくな」

 

「ええ、よろしくお願いします」

 

 

俺タケシと挨拶代わりに握手を交わす。石のように硬くて大きい、鍛えられているのがよく分かる、実に男らしい手だ。

 

 

「早速ですが、バンギラスの様子を見に行かれますか?」

 

「ああ。そうさせてもらいたい」

 

「では…」

 

 

挨拶もそこそこに、主の様子を見に移動し、一緒にヌシの治療状況や体調を確認する。

 

 

「おお、コイツがバンギラスか…!」

 

 

タケシは初めてバンギラスを見るのだろう。キラキラ輝いた目…をしているかは糸目のせいで正直イマイチ分からないが、ワクワクしているような雰囲気が目に見えて感じ取れる様子でバンギラスを観察していた。

 

 

「…どうですか、タケシさん?」

 

「なるほど、本物を見るのは初めてだけど、これは聞きしに勝る威容。実に岩タイプらしい大きさ、力強さだ。素晴らしい」

 

 

感想を聞けば、べた褒めだ。まあ、バンギラス以上の岩タイプのポケモンなんていないも同然だし、さもありなん。

 

第一印象はやや仏頂面と言うか表情が硬く、取っ付きにくそうな人だったけど、いざ色々と話してみればとてもフレンドリーで人の好い、頼りがいのある兄ちゃんだ。

 

 

「岩タイプの専門家として、君のようにコイツを従えられるトレーナーは羨ましいな。コイツとは別に、バンギラスがもう1体いるんだろ?」

 

「ええ。まあ、ソイツに手こずってるのもあって、今回のお願いに繋がってるんですけどね」

 

「…確かにこれほどのポケモンだ。並大抵のトレーナーでは御せないだろうな」

 

「ええ。1体だけでも苦労してるのに、2体目は面倒見切れませんよ。ポケモンに対して責任が持てないなら、トレーナーと一緒にいても不幸になるだけでしょう。それにコイツは、多分シロガネ山のヌシと言うか、生態系の頂点にいるだろう個体だと考えてます。だから、下手にピラミッドから抜き取るよりは、そこに返してやった方がいいのかなと」

 

「…なるほど。最初話を聞いたときは正直勿体無いと思ったが、今回バンギラスの実物を初めて見て納得したよ。賢明な判断だと俺は思う」

 

 

当然とは思っていたが、やはり岩タイプの専門家から見ても、バンギラスというポケモンは傑出した存在なんだな。

 

そも、交換したポケモンについてだけではあったが、原作からして一定レベル以上のポケモンになると所定のジムバッジが無いと言うこと聞かない仕様はあった。ただ強い高レベルの野生個体を捕まえれば即強くなれるかと言うとそうでもないってことなんだなと、うちのバンギとか、かつてクチバシティの大会で戦ったヤドランとかを思い出して、改めて感じた。

 

 

 

 その後も一緒にバンギラスの様子を見て、岩ポケモン談議に付き合わされたり、逆に持ってる知識を(自重しながら)話したり、バンギラスの使用感というか、バトル中の様子を聞かれて愚痴も込みで話したりと、何だかんだ大いに話が弾んだ。

 

ポケモンの戦い方とか育て方とか、同年代のトレーナーと話しをすることが滅多にないし、一緒に乾布摩擦だとか、滝行だとか、岩タイプ特有の育て方と言うか、現実があるからこその育て方というのは中々ユニークなもので、聞いていて楽しかった。効果があるかは知らんが。

 

他にも、すなあらしに関する話には、ずいぶんと食いつかれた。まあ、岩タイプにとってはメリットの大きい技だからな。さもありなん。

 

 

「…タケシさん、話を本題に戻しますけど…俺は、貴方なら安心してコイツを託すことが出来ると、今日実際に会って、話をしてみて、確信することが出来ました。今回の依頼、引き受けてもらえませんか?」

 

 

今回はポケモン協会がヌシを預かってくれるトレーナーを探してくれた結果、条件次第ではと手を挙げてくれたのがタケシだ。来年からの新任とはいえ、岩タイプを専門とする原作キャラのジムリーダーだ。話を聞いていても、岩タイプのポケモンに関する知識や愛情は相当なものであることは、火を見までもなく明らか。引き受けてもらえるなら安心感はある。

 

ここまで話をして、俺はヌシを安心して託すことが出来ると判断した。

 

 

「…バンギラスについては、今日ここに来るまでに聞いた話だと、正直今の俺の手に負えるか不安だった。だが、コイツと上手く付き合うことが出来たのなら、トレーナーとして一歩高みに登れる。今日実際に色々見て、話を聞かせてもらって、そう思った。だから、俺で良ければ、バンギラスを預からせて欲しい」

 

「願ってもないことです。よろしくお願いします」

 

 

そうして、差し出されたタケシの手を握る。交渉成立…

 

 

「お待ち下さい」

 

 

…と思ったが、協会の職員さんに止められてしまった。

 

 

「その前に、色々と説明しておかなくてはいけないことがあるので、それが終わってからでお願いします」

 

「「アッハイ…」」

 

 

話の腰を折られた俺とタケシは、協会職員さんに連れられてポケセン内の一室に連行。そこでヌシの委託に関する様々な事柄や条件、注意事項などの説明を受けることになった。その時間、実に2時間弱。

 

そうして諸々の条件に互いが納得したところで、今度こそ交渉成立となった。長かった…そして眠かった。

 

 

「…ああそうだ、連絡先を交換しないか?バンギラスのことでアドバイスを求めることがあるかもしれないからな」

 

「ええ、いいですよ」

 

「ありがとう」

 

 

その後、タケシの求めに応じて電話番号も交換する。いやー、他人と電話番号交換なんていつ以来だろうか。

 

思い返せば、こっちに飛ばされてきてからというもの、サカキさんの下で修行してたりジム巡ったりしてから、同年代の人と話す機会が思いの外乏しかったもんだから、今日は新鮮な気分でとても楽しかった。

 

とは言え、相手もジムリーダーかつ片手で数えられる程度だけど年上だから、俺も気は使ったけども。

 

まあ、いつもは一回りも二周りも年上の人の相手をすることが多いし、同年代以下だとポケモンリーグベスト16っていう肩書が先に来ちゃって、遠慮されちゃうんだよな。俺のレベルでポケモンの戦術とかに関して話が合う人っていうのもこっちじゃ早々いない以上、仕方ないことではあるのかもしれないが。

 

 

「もしタケシさんが望むのであれば、バンギラスの所有権も譲りますが?」

 

「いや、流石にそこまでは…」

 

 

タケシを信用して、一歩踏み込み「ヌシを譲ってもいい」と持ち掛けてみたが、流石にこれは断られた。まあ、ヌシの処遇について当面の見通しが立ったので、これ以上言うべきことは何もない。

 

 

 

 

 

 

 その後も一緒に昼食したり、色々とポケモン談議に花を咲かせている内に時間も過ぎ、帰りの便の時間になった。

 

 

「…では、僕はこれで」

 

「ああ。今日はとても有意義な時間を過ごさせてもらった。ありがとう」

 

「こちらこそ。タケシさん、バンギラスをよろしくお願いします」

 

「…キミからさん付けされるのはむず痒いから、呼び捨てにしてくれてかまわないよ?」

 

「いや、流石にジムリーダーを呼び捨ては…」

 

「ジムリーダーと言っても来年からの新人だよ。それに、実績で言うなら俺よりもキミの方が上だろ?」

 

「それを言われると…」

 

 

まあ、何も言えない。そう思ってポリポリと頭を掻く。ポケモンリーグベスト16の肩書が相当な物であることは、嫌という程思い知らされているからなぁ。ただ、個人的にはジムリーダーとポケモンリーグベスト16、肩書としてはジムリーダーの方が上な気がしないでもない。

 

 

「俺もジムリーダー就任が決まってからというもの、畏まられることが増えて、正直うんざりしてるんだ。歳もそんなに違わないし、気軽に接してもらえるとありがたい」

 

 

…ああ、うん。その気持ちはよく分かる。俺もポケモンリーグ終わってしばらくは似たようなもんだったし。シロガネ山に籠もった理由の一端に、そういう世間の目から逃れたいってのもあったぐらい。

 

 

「…分かった。じゃあ、よろしくな…タケシ」

 

「よろしく、マサヒデ。もしニビシティに来ることがあれば、是非ジムにも寄って行ってくれ。歓迎するよ」

 

「…ありがとう。では」

 

「ああ。それじゃあな」

 

 

その会話を最後に、俺はタケシと別れて帰路に就いた。最後心臓バクバクでタケシを呼び捨てにしたのは内緒だ。山籠もりやら何やら、同年代と関わることが少なすぎて、接し方が…分からん…ッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なお、結局ヌシの野生復帰はいつまで経っても目途が立たず、最終的に無事タケシに引き取られることになるのだが、それはもうちょっと先の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 前回成り行きで捕まえてしまったヌシの処遇&今後の布石回です。原作キャラよりタケシが登場。為人は完全にゲーム寄りとなっております。作者は初プレイはピカチュウ版。小学校低学年の頃だったので、当然のようにタケシで詰みました\(^o^)/あれはピカチュウ版じゃなくてポケットモンスター・ニドランだろと、今でも本気で思っている次第です()
後はヌシにやられてしまったバンギラスの今後を書き終わったら、いよいよ原作の時間軸に突入でしょうかね。原作に置いてかれる一方ですが、のんびり頑張りマスデス。

レッドがオーキド博士から貰ったポケモンは?

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