「………」
真っ白な天井、常夜灯の仄かな灯り、薄暗い部屋、移動式の細長い机、床頭台とその上に置かれた安っぽいテレビ…覚醒一番、寝惚けた頭を古典的お約束な感想が過る。
知らない天井だ…と。
そこまできて、身体の節々にジワリと染み込むような鈍痛と共に思い出す。荒れ狂うケンタロスと復活?のバンギラス、死闘に水を差して撥ね飛ばされる交通事故。身動きが取れず死にかける自分と、現れたどこかで見覚えのある人物と他数名。その人たちに助けられ、ハナダシティ市内の病院へ担ぎ込まれ…
不幸中の幸いか、負傷の度合いは思っていた最悪よりかは軽く、骨折まではいってなかった。が、全身打撲に複数個所の捻挫、頭部裂傷に軽度の脳震盪等々、散々なやられっぷりだったことには変りない。結果、医者から下ったのは2週間の入院・加療が必要という診断。病院の一室にて、前世?込みで人生初の入院生活を送ることと相成った。
床頭台に置かれた時計を見れば、時間は生死をかけた激闘翌日の未明。薬のおかげでかなり緩和されているとは言え、昨日の今日のことなので無理に身体を動かそうとするとまだまだ身体中の節々が痛い。
無理はしない方がよさそうと判断するに至り、結果することが何もなかったため、夢の世界へと逆戻りすることにした。
そうして夜が明けた。お世辞にも美味いとは言えない朝食を何とか平らげ、医者の先生の回診が終わればそこから先は自由時間…なのだが、2~3日は安静ということで、待っていたのは自由だけど自由じゃない退屈な時間。運動にも売店にも行けず、テレビが垂れ流す面白くもない時事ニュースや子供向け番組を雑音同然に聞き流しながら、ボーッと窓の外の景色を眺めるだけ。
…だったはずなのだが。
「今回は災難だったな、マサヒデ」
「…いや、ご心配おかけしました」
午後になって、サカキさん襲来。まさかの登場に思わず身構えてしまった。
サカキさんも色々と忙しいだろうに、そんな中で時間を取らせてしまったことは、申し訳ないとしか言いようがない。たとえ仕事の内容が、ロケット団ボスとしての活動だったとしてもそれはそれ。申し訳ない気持ちでいっぱいである。
そして、サカキさん襲来時にタッチの差で偶々居合わせてしまった、運の悪いと言うか、間の悪いと言うか…な見舞客が1人。
「ハナダジムリーダーにも礼を言わせてもらおう。マサヒデを助けてもらい、感謝する」
「い、いえ、あたしもジムリーダーとしての役目を果たしたまでです」
アニポケでもお馴染みの原作キャラ、ハナダジムリーダー・カスミ。ケンタロスを抑え込んだ直後に現れ、ズタボロで動けない俺をこの病院まで担ぎ込む手筈を整えてくれた。まあ、分かり易く命の恩人である。この世界では、タケシと時期を前後して新ジムリーダーに就任していた。
本来はもっと強気と言うか、勝ち気で活発な性格だったと記憶しているのだが、本人が現時点では代替わりしたばかりでジムリーダーとしては新米であり、人生の、そしてジムリーダーとしての先達かつTCP社長という社会的身分も持つサカキさんを前にして、それも頭を深々と下げられている状況に、流石の彼女も完全に及び腰な様子。
俺も別件で行った場所にサカキさんがいたら及び腰にはなるだろうから、まあ仕方ないでしょうなぁ。
「元々あのケンタロスはあたしも追っていたポケモンですし、マサヒデさんに捕まえてもらって感謝して…ます。むしろ、対応が間に合わず怪我をさせてしまって申し訳ないです」
そう言って、カスミも頭を下げ返した。
俺とバンギラスを襲ったケンタロス。アイツ、実はかなりのお尋ね者だった。ちょっと前からハナダシティ周辺に出没し始め、異常なまでの凶暴性で人やポケモンを見境なく襲ったり、或いは暴れて周辺施設や田畑に甚大な損害を与えたりと、中々に無視出来ない被害を出していたという。
普通の人間では対処が難しい街の問題を何とかするのもジムリーダーのお仕事。カスミにとって、ジムリーダーとして初の大仕事だったらしく、大いに張り切った…はいいものの、肝心のケンタロスを中々捕捉出来ず、捕捉してもその努力を嘲笑うかのように力尽くで突破していく。被害は増える一方で、市民生活にも色々と支障が出始めていたんだとか。あの日、ハナダジムが臨時休業になっていたのも、この件に注力せざるを得なくなっていたからだったそうな。
で、そんなところにやって来た俺が、運悪く件のケンタロスにかち合ってしまい、現在に至る…と。
「それについてはキミが気に病む必要はない。警告は出していたのだろう?」
「ええ、はい」
「ならば、それをわざと無視したか見落としたかは知らないが、そんな場所にのこのこと丸腰で出向いた奴が迂闊だっただけの話だ。そうだろう、マサヒデ?」
「ぅ……ハイ、オッシャルトーリデ」
…そう、そんな状況だったので、ハナダシティのポケセンではこのケンタロスに関する注意喚起がなされていた。で、俺はサカキさんの指摘通りにこれを気にも留めずにスルーしていた。
そして、確認を怠った結果がこれである。ざまぁねぇなぁ。
「ああ、それでだ…マサヒデ、お前が捕まえたケンタロス、今どうなっている?」
「ケンタロス…どうなってるんでしょう?」
サカキさんに言われて思い出す。命がけで捕まえたケンタロスがどうなったのか、全くのノータッチである。
「あ、そのことについてはあたしから。あの後、あなたのバンギラスと一緒にポケモンセンターに運んで治療。今もそこで預かってもらっているわ。今のところは落ち着いているみたいね」
「ああ…そいつはお手数おかけしました。ありがとうございます」
「当然のことをしたまで…です」
怪我で動けなかった俺の代わりに、カスミがバンギラスごとポケセンに放り込んでおいてくれたらしい。
「本当なら、あなたが退院出来るようになったら引き渡すんだけど…」
「…だけど?」
言い澱むカスミ。何かマズいことでもあったんかね?
「そこからは私が引き継ごう。私が今日来たのは見舞いもあるが、そのケンタロスの扱いについて、メッセンジャーとしての役割もあるのでな」
「メッセンジャー…ですか?」
「ああ。ポケモン協会からの依頼だ。ケンタロスを引き取らせてもらいたい」
「ポケモン協会が?ケンタロスを?」
なんでそこでポケモン協会なんて大きな所が出て来るんだ?
「お前はハナダの洞窟を知っているか?」
「…まあ、聞きかじった程度には」
「そうか。ハナダの洞窟はハナダシティ北西…つまり、お前が襲われた4番道路の近場に入口がある。生息しているポケモンは高レベルで、攻撃性も高く危険なため、人の出入りをポケモン協会が厳重に管理をしている場所だ」
ハナダの洞窟…殿堂入り後に行くことが出来た、カントー地方最難関のラストダンジョン。最深部では伝説のポケモン・ミュウツーが待ち構えていることでも有名。こっちの世界では、高レベルの野生ポケモンの巣窟として知られていて、ポケモン協会が出入りを規制していることまでは知っている。要するに、今サカキさんが喋ったまんまだな。
「ただ、人の出入りは制限出来ても、野性ポケモンはそうもいかない。洞窟内の個体が外に出て来て暴れるということが、今までも時々起こっている。そういう個体は、概して縄張り争いに負けるなどして、テリトリーを追われた個体だから、常駐している協会所属のトレーナーなどで対処出来る場合が多いが…極稀に、そうではない個体もいる」
「つまり、今回のケンタロスがその、極稀なケースだと?」
「可能性はある。そもそも、あの辺り一帯はもちろん、ハナダの洞窟にも野生のケンタロスの生息はこれまで確認されていない。暴走の原因は?ケンタロスはどこから来たのか?それらの調査の一環として、ケンタロスを引き取りたい…ということだ。それに、またいつ暴れ出すか分からないというのもある。そういうリスクも考慮するなら、キチンとした所に託すのも手だろう」
「それは…まあ、確かに」
サカキさんの言う通り、ケンタロスがまた暴走して、俺の手に負えない事態になる可能性は否定出来ない。それに、バンギラスのことで散々手こずっているということもある。ケンタロスとの死闘を経て、改善の兆しは見えた…と勝手に思っているが、それが気のせいだったら?ぬしバンギの時もそうだったけど、2体同時はまだ荷が重い。
それに、ハナダの洞窟・ミュウツー・ケンタロスの3つの要素を繋いでいって、俺には思い当たる節があった。
それは、第2世代だけに存在したアイテム【はかいのいでんし】。ポケモンに持たせると、登場と同時に攻撃が2段階上昇し、引き換えに混乱状態になると言う、シンプルにハイリスク・ハイリターンなアイテムだ。登場と同時に"いばる"をくらった状態になると言えば分かりやすいか。
その当時はまだ純粋なエンジョイ勢だった俺には分からなかったが、混乱のデメリットこそあれど、登場と同時にお手軽に攻撃力を2段階も上げられる…如何に強力かは考えるまでもないだろう。
そして、中でも一番このアイテムを使いこなしていたとされるのがケンタロス。はかいのいでんしを持たせたケンタロスは俗に狂牛病型とも呼ばれ、対戦で猛威を振るっていたという。
ゲームでは一度きりの使い捨てアイテムだったけど、こっちの世界ではどうなんだろうか?それに、アイテム名からしてプンプンと匂うミュウツーとの関連性。そういう不安・不確定な点も考えると…
「…分かりました。お任せします」
…サカキさんに託すのはちと怖い面もあるけど、まあ、こう言うしかないよなぁ。
「フッ…物分かりが良くて助かる。ケンタロスの状態が落ち着き次第、回収させてもらおう。あとは…」
事務的な話はそこで終わり、以降は怪我の具合は~とか、欲しい物がないか~とか、すっごい当たり障りのないと言うか、不穏な様子の一切ない、何なら温かみすら感じられる会話で時間は過ぎていった。
そして…
「…ム、もうこんな時間か。すまないが、私はこれで失礼させてもらおうか」
「ありがとうございました」
「しっかりと怪我を治してから戻ってこい。お前には一つ、仕事を任せようかとも考えているからな」
「…え?仕事?」
「それは、帰って来てからまた話をするとしよう」
そう言って、何やら不安になるような内容を残してサカキさんは帰って行った。仕事って、何?俺何やらされるの?怖いんですけぉ?
「…あ゙あ゙ぁ゙!疲れたぁ!」
その直後、カスミから濁声が上がった。正直、女の子が出しちゃいけない声な気がした。
「初めてまともに話したけど、やっぱりトキワジムリーダーって凄いわね。気圧されちゃって、緊張しっぱなし…」
「あ~…まあ、でしょうねぇ」
「あんたも凄いわね。小さい時からあの人相手にしてるんでしょ?流石ポケモンリーグ最年少ファイナリストってところかしら?」
さっきまでの物静かな様子はどこへやら。サカキさんという重過ぎる枷が外れた途端、俺が知識として知っているカスミの姿が現れる。案の定、さっきまでは借りてきた猫だった。
「それはそうと、おかげさまで大事にならずに済みましたよ。助けてもらってありがとうございました…カスミさん」
「有名人に名前を憶えてもらえているのは光栄ね。改めて、ハナダシティジムリーダーのカスミよ。よろしく、天才トレーナーさん」
「トキワシティのマサヒデです。その呼び名で呼ばないでもらえると嬉しいんですがね。むず痒くて仕方がない」
本気で止めて欲しい。天才とかでも何でもないから。ただの原作知識だから。
「トキワジムリーダーがいたから言えなかったけど、まずはあなたに謝罪を。本来なら私達がなんとかしなきゃいけなかったのに、怪我をする事態にまでなってしまってごめんなさい。そして、同時に感謝も。あなたのおかげで無事解決することが出来たわ。ありがとう」
「いや、僕は別に…」
「単独であの私が散々手を焼いたケンタロスを倒しておいて、嫌味?駆け付けた時には、もう終わってたじゃない」
「そんなつもりはないんですけど…それは、まあ。でも、怪我が大事に至らなかったのは、あの後すぐに対応してもらったおかげもありますし、感謝しないといけないのは僕の方ですよ。それに、注意喚起はされてたのに、それを無視してしまっているので…」
なるほど、そう聞くと、確かに俺はハナダジムリーダーの手を煩わせていた強力な野生ポケモンを単独で排除したと言える。
でも、終わり良ければ総て良しという見方もあるのかもしれんけど、迂闊なことやった馬鹿が勝手に死にかけたってだけの話だからなぁ…正直、感謝される気分にはなれん。
「…ま、あんたがそれでいいなら、そういうことにしておくわ。じゃ、あたしもこれで失礼するわ」
「お忙しい中、わざわざありがとうございました」
「これもジムリーダーの仕事の内よ。それじゃ、お大事に。機会があれば勝負しましょ」
「そうですね。退院したら、挑戦しに行かせてもらいますね」
「…そ。楽しみにしてるわ。じゃ」
そうしてカスミも病室を去り、静寂と退屈な時間が戻って来る。ただ、サカキさんが去り際に言い残した仕事の内容が気になり、しばらく気が気でない時間を過ごすこととなった。
…ロケット団絡みじゃないよな?
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…その後の俺の入院生活は、思っていたよりも遥かに騒がしいものとなった。
「マサヒデ!アンタ大丈夫なの?」
「…おー、アンズ久しぶり。御覧の通り、ピンピンしてるよ」
「その見た目で言われても…」
「ファファファ。ニュースで聞いて見舞いに来たが、思ったよりも元気そうで安心したぞ、マサヒデ」
「キョウさんも、わざわざありがとうございます。まさか来て下さるとは…」
まず見舞いに現れたのが、セキチクジムのキョウさんとアンズの父娘。俺も暇すぎてテレビを垂れ流してたから知ってるけど、ケンタロス捕獲の件はニュースで普通に報道されてた。ついでに俺の名前も普通に流されてた。『あの天才少年トレーナー、ハナダシティでお手柄!』みたいな感じで。
俺が陽の目を浴びる事態になるのは実に2~3年ぶりになる。そういうこともあってか、こうやって遠方の知り合いにまで話が届いてしまう程度には、世間の食い付きは結構凄いらしい。
「はい、これお見舞い!ありがたく受け取りなさい!」
「ははーありがたきしあわせー(棒)」
「もっと感謝しなさいよ!?」
その後、キョウさんたちとは近況とか、今後のこととか、色々と話が弾む。見舞いのためにわざわざとは思ったが、アンズは今ポケモンリーグ出場を目指してジムを巡っているとのことで、そのついででもあるらしい。ハナダジムへの挑戦はもちろん、他にも色々と見て回って帰る予定だとか。キョウさんもプチ旅行みたいなつもりとのことで、ジムも数日閉めて来たらしい。
とりあえず、アンズは早いうちにナツメさんを倒しておくことをオススメする。
「…ではな、マサヒデ。怪我が治ったら、いつでもセキチクまで遊びに来ると良い」
「その時はあたいと勝負してもらうわ!今度こそ、あたいが完勝で通算30勝目を飾って見せるんだから!」
俺とアンズの対戦成績は負け数が29で…勝ち数はもう数えてないけど、たぶん100勝以上は間違いなくしてたと思う。もちろん、今度も返り討ちだ。
なお、かつて心に誓ったギャラドスで6タテは未だ出来ていない。退院したら、バンギラスと一緒に努力値振ろう。
「フ…やれるもんなら」
「言ったわね…!首を洗って待ってなさい、マサヒデ!」
「それは迎え撃つ側が言うことじゃないのでは…」
アンズの捨て台詞を最後に、セキチク父娘は帰っていった。
そして翌日。
「…失礼するわ」
「…!」
セキチク父娘の次にやって来たのは、ヤマブキジムリーダー・ナツメさん。
「ニュースで見て、見舞いに来たわ。これ、差し入れよ」
「わざわざありがとうございます」
「折角だし、お茶にしましょう」
こちらもニュースで見て、ジム戦の合間を縫って見舞いに来てくれたらしい。ナツメさん曰く、「今日は私が出る幕はないでしょう」とのこと。持ってきてくれたお茶菓子で、ささやかなティータイム。
「一週間ほど前に会ったばかりで、こんなことになってて驚いたわ。良くも悪くも、貴方って持ってるわね」
「ははは…」
半ば呆れ気味にそう言われた。ほんの一週間前に会ったばかりでのこの状況、返す言葉もない。
「…ああ、そうだ。バンギラスのことなんですが…」
「…へぇ。それは少し興味があるわね。いいわ、見させてもらいましょう」
話をしながらのティータイムの後、ついでに俺よりも一足早く回復して、手元に戻って来ていたバンギラスを視てもらった。ナツメさん曰く「見違えた」とのこと。詳しくは分からないけど、ケンタロスとのバトルを経て、復活の兆しを掴んだと思えたのは勘違いじゃあなかったらしい。
最終的な判断は実際に指示を出して動きを確認してからだが、そうなってくれているなら、ここまで身体を張った甲斐があったというもの。
「…少し長居し過ぎたわね。あまり留守にするワケにもいかないし、私はこれで失礼させてもらうわ」
「今日はありがとうございました」
「他にも色々話したいことはあるのだけれど…それはまた、貴方がうちに来た時にでもしましょうか」
「…?」
話したい事?もしかして、ロケット団絡み…か?何かあったのだろうか?
さらに翌日。
「やあ、マサヒデ」
今度はニビジムリーダー・タケシが来た。
「ニュースで見て驚いたよ」
「心配させて申し訳ない。幸い、怪我も思ってたよりも酷くはなかったし、ピンピンしてるよ」
「…頭に包帯巻いててそれはどうかとも思うが、元気そうではあるみたいだな。安心した」
簡単に挨拶が終われば、その後はいつも通りの雑談の時間。タケシとの話は、バンギラスのことが中心だ。ぬしギラスがどうしてるとか、育てるに当たってこうしたらどうか?とか、知り合ってからあまり期間は経ってないが、内容は濃い。
そう言えば、これで受けることになったジムリーダーの見舞いは3日連続で、カントー地方のジムリーダーの5/8から見舞いを受けたことになる。俺って、意外と大物…?
「…おっと、そうだった。今日はこういうものを持って来たんだ」
話題も大体出尽くした頃になって、そう言ってタケシが何かお高そうな感じのする小さな木箱を取り出す。
渡されたので開けてみると、中には2つの石。
「…これは?」
「左のは月の石で、右のは隕石。2つともオツキミ山で採れた物さ。お礼…というほどではないが、キミにはバンギラスのことで色々世話になってるからな。回復祈願のお守り代わりとでも思って受け取ってくれ」
「それは…わざわざすまない、ありがたくもらうよ」
「さて、あまり長居しても申し訳ないし、この辺で失礼するよ。お大事にな」
「うん、ありがとう」
こうしてタケシが帰った後、暇になった俺は貰った2つの石をゆっくりと眺める。
月の石は…うん、まあなんてことはない普通の月の石だ。ポケモン世界だと思えば普通だけど、現実世界だったら相当に貴重な代物だよな。惜しむらくは、俺の手持ちには月の石を必要とするポケモンがいないことぐらいか。
隕石の方は、大体こぶし大よりも一回り小さい大きさの物だ。鈍い光沢があって、炉端の石ころとは明らかに違う感じ。神秘的で何というか、こう…スピリチュアル?なパワーが手に入りそうなそうでもないような…
ポケモン世界で隕石と言えば、第3世代のRSEであり、そのリメイク作品であるORASが思い起こされる。ジラーチにデオキシスはモロに隕石が関係するポケモンだよな。あとはレックウザもか。隕石食べてメガシンカしてたし。
レックウザと言えば、想像力が足りなかったお姉さんも良いキャラしてたな。ただ、ストーリーが色々と説明不足な感じだったのは残念。見た目は良かったし、もっとバックボーンを掘り下げて欲しい惜しいキャラではあった。全体としては良いリメイク作だったとは思うけど。
あ、でもバトルフロンティア復活させなかったのだけは個人的にBAD。何度でも言うが、これだけは譲れん。
…とまあ、なんだかんだで騒がしい思っていたよりは退屈しない入院生活を送っていたが、怪我の予後は思ったよりも良好で、先生から許可が出たのでそのまま退院することに。当初の診断では2週間だった入院期間は、一週間で済んだ。
その後、ケンタロスの件で取材を受けたり、鈍った身体を動かしたり、しばらくあまりかまってやれなかった仲間たちを呼び戻してかまってやったり…数日の間、ハナダシティに逗留してのんびりとした時間を過ごした。
「ただいまより、チャレンジャー・トキワシティのマサヒデと、ジムリーダー・カスミによるジムバトルを行います!」
そうして十分に休養を挟んだところで、ケンタロスのせいで出来なかった、バンギラス1体でのハナダジム単騎駆けを決行。
バンギラスのバトルへの意欲は?どこまで自信を取り戻したのか?実戦での動きは?これまでのこともあって不安を抱えての挑戦ではあったが、
しかし、いざやってみるとそれらは全て杞憂でしかなく、順調そのものだった。それこそ「今までの苦労はなんだったのか?」と言いたくなるほどに。
自信と動きが十分ならば、そこから先は600族の面目躍如。ステータス差と砂嵐の恩恵を武器に、岩タイプは水タイプに弱いという事実を嘲笑うかのように、楽々とジムトレーナーを粉砕してカスミまで突き抜けた。
「ラストだバンギラス!かみくだく!」
「ギラァァーーッ!」
「…ス、スターミー、戦闘不能!よって勝者、トキワシティのマサヒデ!」
カスミ戦でもその勢いは止まらず。終わってみれば、スターミーまで4体を全抜き。ジムトレーナーも含めれば実に11体のポケモンを単騎で薙ぎ倒し、完全勝利を掴み取った。
「…ふ、ふ…ふざけんじゃないわよおぉぉーーーー!?」
試合後、カスミが絶叫してたが、水タイプの使い手が岩タイプのポケモン1体に手持ちを全て蹂躙される。ましてやそれが、ジムリーダーともなれば…まあ、さもありなん。
とりあえず、この蹂躙劇にキレ散らかしているカスミには「何も言えねぇ…」状態だったので、心の中で一言謝っておきたい。
正直、すまんかった。そしてありがとう。
「ぬしポケモンみたいなネームドポケモンとの一戦とか、書いてみたい」と思い至り、考えてて真っ先に出てきたのが『はかいのいでんし』で凶暴化個体とのバトルでした。そして、はかいのいでんしと言えば、やはりケンタロスだろう、と。前話までのところでバンギVSぬしバンギをやりましたが、構想自体はこっちが先でした。
そして、カスミとも面識GET&バンギ復活の祝砲代わりの絶叫をしていただきました。命の恩人に対して、何と言う仕打ち…()
次回、後始末その2&原作時間軸に向けて動き出す面々。
レッドがオーキド博士から貰ったポケモンは?
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フシギダネ
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ゼニガメ
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ヒトカゲ
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ピカチュウ
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イーブイ