成り行き任せのポケモン世界   作:バックパサー

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第79話:それぞれの第一歩(2)

 

 

 

 

 結局、待ち人がトキワジムに挑戦者として姿を見せたのは、グリーン(&アンズ)とのジム戦の3日後。勝手に舞い上がって勝手に落胆した一夜から、しばらく経ってのことであった。

 

 

「…おはようございます」

 

「ああ、おはようレッド君。そして、トキワジムにようこそ」

 

 

原作の初代主人公・レッド。赤地に白のラインの入った半袖ジャケットに黒のインナーと青の長ズボン、そしてトレードマークとも言えるキャップ帽。グリーン同様、記憶の中にある姿そのままだ。

 

そしてこれまたグリーン同様、ジムトレーナー戦を危なげなく突破して、原作主人公としてその非凡な才能の片鱗をしっかりと見せつけるとともに、俺への挑戦権を手中に収めていた。

 

その後しばしの休憩を挟み、今まさにレッドとフィールドにて相対している。

 

 

「どうだい?トレーナーになって初めてのジム公式戦は?」

 

「……楽しいです」

 

「楽しい…か。うん、素晴らしい。緊張よりも先にその感想が出る辺り、君は大物になれる素養があると思うよ」

 

 

本当にな。こういうポケモントレーナーになって最初のジム戦って、1年代行務めた経験則で、緊張とか不安とかの方が先に来てる子がほとんどな印象なんだけど…実際、俺もそうだったし。

 

思い返せばグリーンも緊張してるような素振りは見せなかったし、やはりホンモノは俺みたいなそんじょそこらの有象無象とは違うってことなんだろう。流石は原点にして頂点(レッド)

 

そして、後の世に伝説のトレーナーとして語られることになる存在の物語の第一歩に、俺自身の存在を添えることが出来るというのは、一介のポケモンファン、トレーナーとしては身に余る光栄である一方で、恐れ多すぎて申し訳ない気持ちになる。

 

まあ、それでもこれが今の俺の立場と仕事だし、仕方ないよネ。

 

 

「3日前だったかな?君より一足先にグリーン君の挑戦も受けたけど、彼も才能を感じさせる素晴らしい戦いぶりだった。そんな彼と切磋琢磨していた君にも、ぜひその才能の輝きを、このバトルを通じて見せてほしい」

 

「………!」

 

「では改めて…トキワジムにようこそ、チャレンジャー。俺はこのジム留守を預かっている、ジムリーダー代行のマサヒデ。トキワジムが扱う地面タイプは、攻守に優れた強力なポケモンが多く、攻撃技にも同様のことが言えるものが多い。そもそもの話、飛行タイプのポケモンには効果が無いという欠点はあるが、総合的に見てタイプ相性の面では優秀…それが地面タイプだ」

 

 

一度呼吸を整え、知り合いのトレーナー・マサヒデとしての気持ちをリセット。ジムリーダー代行として、レッド相対する。に数年来の顔見知りとは言え、一応はジムリーダー代行としての格好は付けないといけない。

 

 

「重く、鋭く、大地を揺るがすその破壊力の一端、とくと味わっていくといい!…さあ、始めようか!」

 

「それでは、これよりトキワジムリーダー代行・マサヒデと、チャレンジャー・レッドのジム戦を行います!使用ポケモンは2体、バトル中のポケモン交換はチャレンジャーにのみ認められます!両者、準備はよろしいですか?」

 

「こちらはいつでも!レッド君はどうだい?」

 

「………(コク)」

 

 

原作ではサカキさん不在で閉まっており、主人公にとって結局最後のジム戦&サカキさんとの最終決戦の場になるのがこのトキワジム。だから……今回は別に、アレを倒してしまっても構わんのだろう?

 

 

「では…バトル開始ッ!」

 

「行くぞ、サンド!」

「きゅい!」

 

「…いけ、ピカチュウ…!」

「ビッカァ!」

 

「ピカチュウ…!?」

 

 

こちらの先発はサンド、対するレッドの先発はまさかのピカチュウ。ジムトレーナー戦ではヒトカゲを使っているのを見ているので、そちらが来るのかなと予想してたんだが…いや、レッドと言えば、延いては原作主人公と言えばピカチュウ、みたいなところはあるので、捕まえていること自体は別におかしくない。ゲームのように、酔っ払い爺にトキワの森までの道を邪魔されているなんてこともないハズだし…たぶん。

 

だがそれでも、地面タイプ相手に平然と出してくるのは驚いた。

 

 

「…おいおい、地面タイプ相手にピカチュウって…本気かい?」

 

「…大丈夫です。本気ですから」

 

 

冗談か?との問いかけに、レッドは本気であると返事で、そして目で答えた。不利は承知の上での選択なようだ。それとも、何か戦略でもあるのだろうか?

 

 

「そうかい。それじゃあ、遠慮なくいかせてもらうよ…サンド、あなをほる!」

 

「きゅぃき「ピカチュウ、でんこうせっか」」

 

「ピカピカピカピカァッ!」

ドゴンッ!!

「きゅ………ッ」

 

 

「………は?」

 

 

…え?なんかサンドぶっ飛ばされたんだけど。一瞬でフィールドと観戦席を仕切る後ろの壁まで、それもノーバウンドでぶっ飛ばされるとか、威力エグない?でんこうせっかって言ってたけど、本当か?

 

 

「…ッ!サンド、大丈夫か!?」

「ぅ……きゅ…ぃ…!」

 

 

激しく壁に叩き付けられたサンドだが、辛うじて戦闘続行可能なようだ。あと一発何か貰ったらノックアウトの、本当に辛うじてのだろうなという状態ではあるが。

 

 

「…でんこうせっか」

「ビィカァ!」

 

「サンド、躱せぇッ!」

 

 

そんな一発ですでにヘロヘロなサンドに、再びピカチュウが迫る。

 

 

「チューッ!」

「ぎゅ゛…ぅ…」

 

 

必死の思いも届かず、ピカチュウが頭からサンドに突き刺さる。

 

2連続で壁に叩き付けられる格好になったサンドは、雀の涙ほど残っていた体力も無慈悲に刈り取られ、弱弱しい断末魔を残してフィールドに沈んだ。

 

 

「サンド、戦闘不能!」

 

「…お疲れさん。戻れサンド」

 

 

戦闘不能の判定を受けたサンドをボールに戻す。

 

戦闘前に「大地を揺るがす~云々」とちょっと上から目線な感じの口上を吐いておきながら、何も出来ずにサンドは持っていかれてしまった。今更ながらこれは少々恥ずかしい。

 

 

「ピッカァ!」

 

 

そんな、サンドを僅か2発で瀕死に追い込み、同時にレッド相手に上から大口叩いた俺を羞恥で苦しめる元凶の電気ネズミは、これ見よがしに自信満々な感じでドヤっていた。ほんとに何なのお前。

 

…まあ、よくよく見れば分かるよ。サンドへの攻撃だけでも何となく察してはいたが、このピカチュウ、明らかにレベルが高い。10後半じゃないな。20…下手したら30いってるかもしれん。時期的にレッドが育てたってのは考えづらいから、捕まえた個体だろう。どこで捕まえたんだこんな個体。

 

いやまあ、トキワの森しかあり得ないけど。そしてよく言うこと聞かせられてるな。これも原点にして頂点だからこそ為せる業か。

 

 

「ふぅ…見たところ、かなり高レベルなピカチュウだね。トキワの森で捕まえたのかい?」

 

「………(コクリ)」

 

「そっか…新人の君が連れているのが不相応に思えるほどに強い。これはちょいと…いや、かなり想定外だなぁ…」

 

 

大口叩いた癖にあっさりと1体突破されて、劣勢&恥ずかしい状態な俺だが、本当にどうしたもんだろうなこれは。

 

こちらのポケモンは新人相手用で、辛うじて10に届く程度。仮にピカチュウのレベルが20ちょいあると仮定すると、最低でも10はレベル差がある計算。このレベル差は大きく、ましてや低レベル帯のポケモンになると戦術でも覆すことが困難。はっきり言って手の付けようがない。

 

 

「…ただ、ジムリーダー代行である以上、絶望的だからと勝負を投げ出すワケにはいかないんだよね。いけ、ディグダ!」

「ディ、ディグディグー!」

 

 

2体目はディグダ…なんだけど、サンドがいとも容易く吹っ飛ばされたのを見ていたか、最初から腰が引けている。本当にすまんが、頑張ってくれ…ジムリーダー代行として、一応トレーナーの先達として、せめて意地ぐらいは見せたいところ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…でんこうせっか」

「ピカピカピカーッ!」

 

「ディグー!?」

 

 

…だったけど、物理防御が高めのサンドが確定2発で沈んだ以上、紙耐久のディグダじゃ…まあ、そうなるわな。

 

 

「ディグダ、戦闘不能!よってこの勝負、勝者はチャレンジャー・レッド!」

 

 

…そんなワケで、記念すべき原作主人公(レッド)との初対戦は、高レベルな黄色い悪魔(ピカチュウ)による、絶望的としか評しようのないステータスの暴力により僅か3発、時間にして1分ちょっとで呆気なく幕を閉じた。

 

いきなりお出しされるLv80代のピカチュウに衝撃を受けた、第二世代シロガネ山でのレッド戦を思い出したよ。

 

 

 

…いくら本人だからって、最初のジムでそれをやらんでもいいだろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

---------------

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…おめでとう、レッドくん」

 

「……ありがとうございます」

 

 

ぶっ飛ばされたサンドとディグダを即刻回復装置に送り込まないといけない程の、レベル差のあった強すぎるピカチュウとのあまりにもあんまりな試合結果。予想だにしなかった展開に、フィールド全体に微妙な空気が漂う。

 

その気まずさ、重苦しさを振り払って、レッドに歩み寄って祝意を述べる。 

 

 

「勝敗は兵家の常…正直色々想定外な試合内容にはなってしまったけど、勝ちは勝ち、負けは負けだ。俺に勝利し、トキワジムを制覇した証、グリーンバッジを贈呈しよう。それと、技マシンも」

 

「………」

 

「基本の知識だと思うけど、技マシンは一度だけ、君のポケモンに技を覚えさせることが出来る道具だ。で、これは技マシンの中に記録されている技はあなをほる。1度地中に潜ってから攻撃する技で、スキルパワーも十分。攻撃にも防御にも(この世界では)使い勝手のいい技だよ…まあ、それを見せる前に終わってしまったんだけども」

 

 

原作では攻撃までにラグがあり、そのラグの間に対応される場合が多くて、ストーリーではともかくガチ対戦ではほぼ使われることのない技なんだけど、こっちではそれが嘘みたいに使いやすいんだよな。

 

原作同様に攻撃まで多少のタイムラグはあるけど、原作ほど戦闘に与える影響は大きくないし、何なら「地面タイプの技と言えば」で真っ先に名が挙がるであろう『じしん』は、周辺環境にも結構な影響を与えるせいで、よほどちゃんとした施設じゃないと屋内は基本不可。屋外でも最悪シロガネ山のバンギラスみたいなこととか、場所によっては大規模環境破壊が起きてしまう。

 

そういうワケで、実は使える状況に多少制限があったりするので、あなをほるの方が小回りが利くし使いやすいってのもある。

 

まあ、こちらは1度たりとも技を出させてもらえなかったんだけども。大地を揺るがす破壊力がどうのと大口叩いておいて、何だそれ?って感じだよ。

 

それと、原作であった洞窟からの脱出にはこの世界では使えないので悪しからず。崩落の危険とか、何かあったら色々問題だからね…

 

 

「この後はニビシティに向かうのかい?それともマサラタウンから海を渡ってグレンタウン?」

 

「……ニビシティへ、行こうかと」

 

「そうか。ニビシティのジムは岩タイプのポケモンを専門とするジムだし、そこでも有用な技だと思う。覚えられるポケモンがいるのなら、是非覚えさせてあげてみてほしい」

 

 

早くも原作シナリオから逸脱してトキワジムのバッジをレッドに渡しちゃったワケなんだが、とりあえずは原作通りニビシティ方面へ向かうようだ。当面の間は原作から大きく乖離することはなさそうだ。

 

ただ、サカキさんとの最終決戦どうなるんだろうね?

 

 

 

…まあ、なるようになるか。

 

 

「それと、ニビシティまでは、歩きならトキワの森を越える必要がある。長丁場になるし、キズぐすりや毒消し、麻痺直しの準備は欠かさないようにな」

 

「はい」

 

「まあ、ピカチュウを捕まえた時に足は踏み入れてるだろうし、余計なお世話…っと」

 

 

ここで、思い出したように話題の矛先は蹂躙劇を披露した、レッドの隣で今なお警戒態勢を解こうとしない黄色い悪魔に。

 

 

「ビカァッ!!」

「うわっ!?」

 

「…っ!」

 

 

瞬間、迸る電撃が顔を掠める。

 

 

「戻れピカチュウ!」

 

「…ああ、びっくりした」

 

 

慌ててレッドがピカチュウをボールに戻した。俺の方も反射的に反応出来たので、辛うじて事なきを得た。当たってたら…想像したくはないね。

 

 

「…すみません」

 

「大丈夫だから気にしなくていい。でも、他の所では同じようなことさせないようにね」

 

 

まさか野生でもないポケモンに攻撃されるとは、ちょっと思わなかった。

 

 

「能力があるのは良いにしても、なかなかにやんちゃだねぇ。かなり高レベルの個体だけど、トキワの森で捕まえたんだよな?よく捕まえられるぐらいまでダメージを与えられたね」

 

 

それにしても、今の攻撃を見ても分かるけど、新人が持つのは明らかに分不相応なぐらいに強かった。その証拠に、レッドの指示に完全には従っていない感じはあった。かつてのバンギみたいな。

 

多分、奥地にまでいかないといないレベルの個体だろうな…いや、ほんとにどうやって捕まえたんだよって話だ。相当運が良かったのかな?

 

 

「…いえ」

 

「違うのか…」

 

 

ん?違うんだ…トキワの森の浅いところで運良く捕まえたのかと思っていたが…

 

 

「……えっと…2番道路で怪我して動けなくなってたところを助けて、ポケモンセンターに連れて行って…で、そのまま手持ちにしました」

 

「…なるほど。戦って捕まえたワケじゃないのか」

 

「……(コクリ)」

 

 

どうやら偶然、それもトキワの森の外で倒れていたところを助けて、そのままなし崩し的に手持ちに加えることになったようだ。それなら新人が仲間に出来たのもまあ納得する。

 

が、それは同時に、このピカチュウを倒せるだけの強さを持つポケモンがトキワの森に、それも比較的人里に近い辺りにいる可能性があるということ。ジムリーダー代行としては、少々…いや、結構気掛かりな話でもある。

 

これは一度、範囲を広げた上で、人員も増やして集中的にトキワの森の巡回をやる必要があるかもしれない。

 

 

「…『力を使い過ぎて倒れたみたい』って…ポケモンセンターの人が言ってました」

 

「………マジかい」

 

 

…と思ったら、ガス欠が理由かい!心配してちょっと損したわ。

 

 

「…ま、まあ、そういうことなら納得したよ。次のジムも頑張ってね」

 

「……はい」

 

「…ああ、でも、その前に一つだけ忠告…と言うよりは助言かな?をさせてもらおうか」

 

「………?」

 

 

レッドを次の街へと送り出す前に、思っていたことを伝えておこう。

 

 

「エース、切り札、そういう風に呼ばれるポケモンがいることは当然のことだし、悪いことじゃない。けど、もし君がポケモントレーナーとして、頂点を目指そうという意思があるのなら…1体だけで何とかなるほど、この先の世界は甘くない。当面の間、そのピカチュウをジム戦で使うのは止めておくことをオススメするよ」

 

 

現状のレッドはピカチュウが抜けて高いレベルにある。少なくとも、ジムトレーナー戦で見せていたヒトカゲには、駆け出し相当程度の雰囲気しか感じられなかった。それは詰まる話、そのピカチュウがいれば、しばらくの間はどうにかなってしまいそうなんだよね。

 

岩タイプのニビジムはタイプ相性的に多少苦戦するかもしれないけど、まだレベル差がありそうだから、多少の相性不利は覆して五分以上の戦いが出来るだろうと思うし、その後に待っているハナダジムは逆に相性有利だ。

 

上へ行くためには、知識を蓄え、手持ちポケモン全てを満遍なく育て、戦術を磨く…1つでも多く経験を積むことが何よりの近道だ。必須条件と言ってもいい。ゲームでは、超強いポケモンが1体いれば、ストーリーをクリアすることはやろうと思えば出来る。でも、抜きん出たエース頼みで戦っていると、必ずどこかでそのエースが通用しない場面が来る。その躓いた時に、打つ手がない、態勢を立て直せない状況になってしまいかねない。

 

 

「ピカチュウだけじゃなくて、色々なポケモンを育ててみるんだ。近場で捕まえたのでもいいし、心に決めている子がいるならそれもいい。ピカチュウ以外のポケモンの能力…即ちレベルと、トレーナーとしての手腕を磨くんだ。そうだね…バッジ3つ手に入れるまでは、やってみてもいいんじゃないかな」

 

「……わかりました」

 

「是非挑戦してみてほしい。積み重ねた知識と経験は、絶対無駄にはならない。より高みを目指す上で必ず君の力になるから」

 

 

好きこそものの上手なれ、百聞は一見に如かず、失敗は成功の基…ってとこだな。

 

原作主人公なんだから、どこかで何とかするんじゃない?という思いはあるが、現時点でピカチュウに頼り切っているようでは、そこから先には絶対に行けない。この世界での先達として彼のためを思うなら、よろしくないと思っていることは伝えておいた方がいい。

 

 

「うん。もし君がもっと強くなったら、全力で戦ってみたいもんだ」

 

 

具体的にはジムバッジ8個全部集めて、ポケモンリーグに挑戦して、さらにその上に君臨する四天王とチャンピオンを倒せるぐらいになったら。まあ、機会があるかは分からんけど。

 

 

「それじゃあ、頑張って。俺はレッド君のチャレンジを応援しているよ」

 

「………はい。ありがとうございました」

 

 

かくして、ポケモントレーナーとしてのレッドと初めての戦いは終わった。この後、レッドは次なるバッジのために、ライバルにして幼馴染であるグリーンを追いかける格好でニビシティへと向かって行ったものと思われる。

 

一方の俺は、一仕事を終えた満足感を得ると同時に、原作の物語が動き出したこの現実を強く噛み締めていた。そして本流に大きな影響はないとは思うものの、原作の流れに少し手を加えてしまったことで、この先の展開がどうなるか、色々と頭を悩ますことになった。

 

サカキさんはハナダの洞窟に掛かりっきりで、ここ1年は滅多に帰って来ないし、もしかしたらシルフ襲撃事件無くなったりしない?なんて思ったり思わなかったり。まあ、そうなるとロケット団どうなるんだ?壊滅しないんじゃ?って話になったりするワケなんだが。兎にも角にも、この先のことが気になってしまって悩ましい。

 

 

 

…とは言うものの、あれこれ悩んだところで、今となってはすでに出来ることはほとんどないか。どうなるにせよ、俺に出来るのは少しでもその時に備えることだけだ。そう思い直した。

 

…まあ、一番の問題はいざその時が来たとして、トキワシティにいる俺に出番が回って来るのかどうかなんだがな。ノータッチで済むなら最高だネ。事勿れ主義万歳。

 

 

「代行、次の挑戦者が…」

 

 

今後への不安に対する思案を巡らせていると、思いの外時間が経っていたらしい。次の挑戦者が現れた。

 

 

「…おっと、了解です。どんなトレーナーですか?」

 

「こちらがトレーナーカードのコピーです」

 

「どれ…」

 

 

所持バッジの数やどんなトレーナーなのか、スタッフから渡されたトレーナーカードの情報に目を通す。

 

 

「………ワァオー」

 

 

そこに乗っていた情報を一目見て、驚きのあまり変な声が出てしまう。トレーナーカードの写しとして渡されたそれにあったのは、茶色の長髪で白い帽子に水色のノースリーブ、そして赤のスカートを履いた、どこか見覚えのある少女の写真と『リーフ』という名前。

 

…うーん、どこからどう見ても原作女主人公ちゃんである。おったんかいワレェ!って感じ。なお、所持バッジは0個なのでド新人な模様。

 

 

「……少し待ってもらってて下さい」

 

「分かりました」

 

 

衝撃の事実を前に少しフリーズしたが、現実は待ってくれないので、レッドさんと黄色い悪魔に回復マシン送りにされた2体に代わる新人用のポケモンの準備にかかる。

 

20分ほどでウォームアップまで完了し、女主人公ちゃんとも対峙する。

 

 

「お待たせしてしまったね。トキワジムにようこそ、チャレンジャーさん。俺がこのジム留守を預かっている、ジムリーダー代行のマサヒデです」

 

「トキワシティ出身、リーフです!よろしくお願いします!」

 

 

レッドさん同様に無口なのかと思いきや、別に全然そんなことはなく、普通に明るい感じの女の子だった。

 

出身はトキワシティ(ここ)ということなので、レッド&グリーン幼馴染とかではない…と、思うが…まさか女主人公の方もいたとはな。ますますこの先どう転ぶか読めなくなってしまった。

 

まあ、今はとりあえずジム戦だ。

 

 

「…バトル開始ッ!」

 

 

レッドさんには見事にしてやられた…というか蹂躙されただけで終わったけど、女主人公ちゃんの方はどうかな?

 

 

「いけ、ディグダ!」

 

 

…ま、お手並み拝見だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フシギダネ、つるのムチよ!」

「ダネフシャァー!」

 

 

 

「サンド、戦闘不能!よって勝者、チャレンジャー・リーフ!」

 

 

 

…まあ、最初に選んだのがフシギダネならそうなるわな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




レッド&グリーンが本格的にトレーナーとして活動を始めました。そして原作から外れて、主人公は彼らの最初のジム戦を担当することに。正直回避する適当な理由が思いつかんかった…

そして、同時に女主人公・リーフも登場…と行きたいところだったのですが、リーフちゃんは本作品では何の変哲もない()ごく普通のトレーナー()として登場させました。言わば、オマケみたいなもんです。主人公は色々頭を悩ませているようですが、何か物語に関わる予定は今のところないです()

なお、長らく放置していたレッド君の最初のポケモンに関するアンケートは、圧倒的1位でピカチュウ、次いでヒトカゲという結果に。で、それがこうなったワケですね()今さらながらですが、ご協力ありがとうございました。
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