上里夜空は勇者になり、魔道士でもある!   作:水甲

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11 海凪の思い

大赦の人が来たその日の夜、私は呪いの影響で体に凄く痛みが走った。

 

「うっ…祟りの次は結婚だって……びっくりだね、牛鬼……お父さんとお母さんは泣いてたけど…私の意思に任せるって言ってくれたけど…私の体は…命は…もう…」

 

もう長くない。それだったらみんなを助けるために、みんなの幸せのために……

 

私は明け方、家を抜け出しあてもなくふらついていた。

 

勇者部五カ条。成せば大抵何とかなる。迷ったり怖がったりしている場合じゃない。

やらなきゃ…!!だって私は勇者だから………祟りで消えてしまう命なら………この命を皆の為に使おう……

怖くない………怖くない!!

 

「決めたよ……」

 

私はこの世界を守るために……神婚を決意した。

 

「本当にいいの?」

 

突然声が聞こえ、振り向くとそこには海凪くんがいた。

 

「海凪くん?どうしてここに?」

 

「友奈に謝らないといけないと思ってね。僕の力なら君の呪いを抑え込むことができると思ったけど、思った以上に呪いが強すぎて僕じゃ無理だった」

 

海凪くんは悲しそうにしていた。どうしてそんなに悲しそうなの?

 

「いいんだよ。もう……」

 

「良くないよ……僕は助けたいって思っていたのに……なのに……君は決意してしまった」

 

「……神婚のこと知ってるの?」

 

「うん、ある人に聞かされたんだ。君は本当にいいの?」

 

「いいよ。もう私は長くない……このまま死んじゃうなら誰かのためにこの生命を……」

 

「君の幸せは……いいの?」

 

「私の幸せは……みんなが幸せになれるならそれで良いと思ってる」

 

「君は……」

 

私はそのまま立ち去ったけど、海凪くんは最後まで悲しそうにしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海凪SIDE

 

『いいのか?無理やり止めればいいだろ』

 

「そんな事できないよ……わかってるだろ」

 

アスクはため息を付いた。つきたくなるのはしょうがないけど……

 

『お前、あいつらに言われてるだろ。いつも悲しそうにしてるって……お前の事情を考えれば仕方ないが……このまま放っておいて良いのか?また後悔し続けることになるぞ』

 

「わかってる……だから……そろそろ始めよう……」

 

僕は両手を広げると光の輪が現れた。これは絆ぐ力……

 

「彼の世界とこの世界、過去の世界を一つの道につなげていく……」

 

『失敗するなよ。一度っきりだからな……』

 

「うん……」

 

『これが終わったら、帰ってあいつらに礼を言うんだな。別の世界でも好きだった人を助けられたって……』

 

「うん!」

 

まずは彼の世界と過去の世界をつなげよう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空SIDE

 

ヴィヴィオと共にスカリエッティの装置に鍵を差し込んだ。だけど何の反応を示さない

 

「失敗か?」

 

「ドクター、失敗したの?」

 

「いや、理論としては間違っていない……上里空が持つ鍵と彼女が持つ鍵を使えば、世界を絆ぐことができるはずなのに……」

 

「友奈さん、大丈夫かな?」

 

「まだ大丈夫みたいだけど……」

 

急がないと間に合わない気がする……だけどどうすれば……

 

『……えるか?』

 

突然どこからともなく声が聞こえてきた。この声は………

 

「誰の声?」

 

「ふむ、この感じは天の神が語りかけてきたときと同じ……」

 

僕はみんなの方を見ると、みんなも聞こえているみたいだ。

 

「誰だ?お前?」

 

『僕は……会ったときに名乗るよ。ただ言うなれば味方かな?』

 

「信じて良いのか?」

 

『あぁ……』

 

とりあえずこいつは何かしらの情報を持っている可能性があるな。それにこいつの声は信じられるし……

 

「聞きたいことがある。どうすれば僕らは転移できるんだ?」

 

『まだ繋がっていないんだ。西暦の世界と神世紀の世界と僕がいる世界が……今は僕がいる世界と西暦の世界は繋がった。もう少しすれば……』

 

「つなげるって……スカリエッティの作った装置じゃ駄目なのか?」

 

『それは船だと思ったほうが良い。船を進めるための道は……あいつが作ってる』

 

「あいつ?」

 

『僕と同じで結城友奈のことが大好きなやつがな』

 

何というかよくそんな恥ずかしいことを言えるな……こいつ……

 

だけどあとは待つだけなら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜空SIDE

 

部室に集まり、友奈から神婚について話を聞かされた。

 

「いや怪しいでしょ!何引き受けようとしてんの!」

 

「違うと思います!」

 

「今の皆の反応で分かるでしょ?友奈ちゃんの考え方が間違ってる事が」

 

「東郷さん……」

 

「友奈、間違ってる。誰もそんなことをしても喜ばない」

 

「それにしても大赦め…!!友奈!私達もついていってあげるから、ばしっと断りなさい!」

 

「場所は私が教えるよ」

 

「もう我慢ならない…」

 

「行くわよ!一度潰した方が良い組織になるかもね…」

 

みんな、友奈のために動き出そうとしている。別行動しているなのはたちもこの話を聞いたら同じことを思うだろう

 

「待って!!私は…神婚を引き受けるって……」

 

「その必要はないんだって!」

 

「だって、死ぬんでしょ…?」

 

「訳分からない!生贄と変わらないじゃない!」

 

「神樹様と共に生きるって何なのかな…」

 

「とても幸せな事だとは思えないわ」

 

「でも!私が神婚しないと、神樹様の寿命が来て世界が終わっちゃうんだよ!?」

 

「神樹様の寿命は分かるけど、でも、だからって友奈が行く必要はないでしょ!」

 

みんなの言葉は友奈に届いていないのか?友奈はずっと焦っている。

 

「勇者部は人の為になる事を勇んで行う部活、でしたよね?これも勇者部だと思うんです…誰も悪くない。世界を守る為に他に選択肢がないなら…それしかないなら…私は勇者だから…」

 

「ゆーゆ、それしかないって考えはやめよう?神樹様の寿命がなくなるまでの間に、もっと考えれば良いんだよ…」

 

「だめなんだよ…考えるって言っても…私にも、もう時間がなくて…はっ!?」

 

友奈はなにかに気がついた。もしかして僕らの胸に烙印が出てきたのか?だけどもう僕らはすべて知っている

 

「私達知ってるわ。友奈ちゃんが天の神からの祟りで、体が弱っている事を」

 

「その件を含めて、解決してみせるから」

 

「大体おかしいです!なんで友奈さん一人がこんな目に遭わなきゃいけないんですか!」

 

「でもね樹ちゃん。私は嫌なんだ…誰かが傷付く事、辛い思いをする事が…それが今回は、私一人が頑張れば…」

 

「だめよ!友奈ちゃんが死んだら、ここにいる皆がどれだけ傷付いて辛い思いをすると思っているの!!私…想像してみたけど…後を追って、腹を切っているかもしれない!!」

 

「で、でも…東郷さんだって…皆を守る為に火の海に行ったでしょ…」

 

「そうよ!でも壁を壊した私の自業自得でもあるのよ!友奈ちゃんは悪くないじゃない!反対よ!腹を切るわよ!」

 

「友奈さんが言うように、勇者は皆を幸せにする為に頑張らないといけないと思うんです」

 

「そうだよ。だから私頑張ってるよ…」

 

「皆って言うのは、自分自身もそこに含まれているのよ!友奈!」

 

「ゆ、勇者部五カ条なるべく諦めない!私は皆が助かる可能性に懸けているんだよ!」

 

「あんたが生きる事を諦めているじゃない!」

 

「勇者部五カ条なせば大抵何とかなる!!成さないと何にもならない!」

 

「友奈!五カ条をそういう風に使わない!」

 

「私は、私の時間がある内に…私の出来る事をしたいんです!だからこうして皆にきちんと相談しました!」

 

「これじゃ報告だよゆーゆ…相談しなきゃ…」

 

「相談してるよ!!」

 

「友奈…その…とにかく、無理すんな…」

 

「無理してないよ!!勇者らしく、私らしくしてるよ!」

 

「友奈!皆がここまで言ってまだ分からないの!!」

 

「だから!他の方法がないからこうなっているんです!!」

 

みんながここまで言っても、友奈には届かない。ただ言い争うしか無いのか?

 

「もうやめて!」

 

突然樹が叫んだ。樹は泣きそうになっていた。

 

「なんで…なんでこんな…喧嘩なんて…」

 

僕はそっと樹に寄り添った。このまま喧嘩をしていたら埒が明かない。

 

「私は…私には…本当に時間がなくて…」

 

友奈が何かを言いかけた瞬間、あることに気が付き部室から出ていった。一体何が……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銀SIDE

 

夏凜から事情を聞いた私。このままじっとしたままなのは良くない。だったら今すぐ須美たちの助けにならないと……

 

「何処に行くんですか?教官」

 

不意に声をかけられ、振り向くとそこには芽吹、しずく、夕海子、雀、亜弥、夕空がいた。

 

「……ちょっとな」

 

「夏凜から話は聞いてる。勇者部のところに行くんですね」

 

芽吹は全部聞いていたのか。聞いた上で止めに来たのか?

 

「悪いけど止めないでくれないか?このまま私はじっとなんか……」

 

「教官、行ってください」

 

「ここは私たちが責任を取りますわ」

 

「三ノ輪……親友を助けろ」

 

「ここは死守しますから」

 

「勇者様たちの力になってください」

 

「お兄ちゃんも待っていると思います」

 

みんなは止めようとせずに、私を送り出そうとしている。どうして……

 

「教官は教官の前に……私達の友達だから……友達が正しいことをしようとしているなら止める気はない」

 

「芽吹……」

 

「私達では力になりませんが……送り出すことぐらいはできますわよ」

 

「夕海子……」

 

「もう結城はお前の親友なんだから……」

 

「しずく……」

 

「教官のためだったら私だって頑張れる」

 

「雀……みんなありがとうな。行ってくる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なのはSIDE

 

ある場所で私達は集まっていた。

 

「フォワードメンバーとアリシアちゃんとも合流できたね」

 

「それにシグナムたちも……」

 

「せやな。元六課メンバー全員集合や。あとは……友奈ちゃんを助けるだけや」

 

「でも呪いはどうするんですか?」

 

「神様の呪いなんか……」

 

「隊長たちはなにか手がかりを?」

 

「見つけたりとかは?」

 

「それはまだ……でも必ずあるはずや。なかったら……」

 

「母さんがスカリエッティと話し合って、安全安心、誰にも迷惑がかからない方法でアルハザードへ行けば……」

 

「こっちにはない方法が見つかるかもしれないからね……」

 

私達は私達にできることをするから……空さん、早く……

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