住めば都のざくアク荘~スペースヤエちゃんでドッコイ!~   作:ひまじんホーム

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 やってしまった。どうしてもスペースヤエちゃん編が読みたかったんだ。許してほしい。
 クロス物にしたのは後に原作で実装されたときに被らないようにする為だったりします。


プロローグ 交差する二人の英雄の物語

~銀河連邦警察 地球署~

 

 広大なる宇宙。無限の可能性は時に人を悪の路に走らせる。そう、宇宙は常々危機に瀕しているのだ。そしてそれを防ぐ為に銀河連邦警察(UOS:宇宙のおまわりさん)は、『正義』の矛となり盾となり、日夜活動している。

 

 先のウッドペック上院議員を中心とした銀河征服未遂事件、通称ジャッジメント事件の後に新設された『銀河連邦警察地球署』。その名誉ある初代署長に任命されたのはモグラ型宇宙人であるモグモックルという人物だった。彼はジャッジメント事件においてウッドペック上院議員の不正を暴いた立役者として歴史に名を残している。

 そして現在、彼は地球署の署長兼宇宙戦艦コスモス号艦長として、ジャッジメント事件で宇宙ヒーローとなったドッコイダー、ネルロイドガール、そして事件解決に協力して晴れて無罪放免となった元A級宇宙犯罪人達をまとめあげ、日夜、銀河の平和を守る為に戦い続けている。

 

「その後の超特殊汎用パワードスーツの運用状況はどうかね?モグたん君。」

 

「私の名前はモグモックルです、長官。え~、ジャッジメント事件でパワードスーツの有用性が広く認知されたことが犯罪発生の抑止力となっております。何より宇宙におけるドッコイダー人気と、パワードスーツの汎用性の高さにより要求される身体能力のボーダーが下げられたことが相まって、銀河連邦警察への入隊希望者は過去最高倍率を記録しております。更に、男性隊員向けにはドッコイダーを、女性隊員向けにはネルロイドガールを、両社のパワードスーツを並行採用したことで競合体勢が構築され、懸念されていたコスト対策にも繋がっております。」

 

 モグモックルはいつまでたっても名前を覚えない本部長官に、もう慣れた様子で定期報告の為にまとめた資料を立体モニターに向かって読み上げる。

 事実、銀河連邦警察においてドッコイダー効果は絶大だ。ジャッジメント事件ではドッコイダー達が2万体を越える無人兵器〈オサバキー-M5〉を相手に奮闘する姿が全宇宙に放送された。絶望的な状況に立ち向かい、宇宙中からの声援を力に換えて戦う姿はまさにヒーロー。ドッコイダーの名前は『七つ星のルフレ』と共に宇宙の人々に語られる伝説の一つとなっていた。

 

「順調じゃないか、モグぷう君。私もパワードスーツ推進派のトップとして鼻が高いよ。」

 

「ありがとうございます。私の名前はモグモックルです。」

 

「時に、銀河の英雄であるドッコイダー達の腕を見込んで、君たちに特殊任務を任せたいのだが・・・。」

 

「げ・・・またですか?」

 

「ほう嫌そうな顔だねぇ、モグール君。やっぱり本部のトイレ掃除の方が良かったかね?」

 

「い、いえいえいえ!けしてそんなことはございません!私の名前はモグモックルです!」

 

 宇宙の中では辺境に位置する地球、また地球を含む太陽系では基本的に宇宙犯罪などほぼ皆無である。過去には樹雷王家のお家騒動の舞台になったり、円盤な皇女が遊びに来たりもしているが宇宙的には基本的には平和な惑星である。

 半ば名誉職とはいえ、英雄を抱えながら遊ばせておくのは銀河連邦警察のメンツに関わる。結果として、彼らは域外であっても大きな事件があれば呼び出されては解決していく独立愚連隊のような扱いになっていた。

 

「そうかね?トイレ掃除がやりたくなったらいつでも言ってくれたまえ。君の為にいつでもポストは空けておくよ。そんなことよりも本題に入ろう。」

 

「はぁ、本部のトイレは大丈夫なんですかね・・・?」

 

「今回の任地はM21星雲に所属するドリンピア星だ。キミも名前くらいは聞いたことあるだろう?」

 

「確か、コーヒー豆の産地として有名な星でしたな。最近、第一王位継承権を持つドリントル姫が行方不明になったとかであまり良くない噂を聞きましたが・・・。」

 

「詳しいな、ズモモグ君。どうやらそのドリンピア星の政権争いに、かつてのウッドペック上院議員派による介入があったのではないかという疑惑がかけられている。」

 

「銀河連邦政府による内政干渉があったと?」

 

「まだ疑惑の段階だがね。それを調査するのが今回のキミたちの任務だ。嫌だと言うのならば・・・。」

 

 

「ぜ、全力であたらせて頂きます!それと、私の名前はモグモックルです!」

 

「うむ、頼んだよ。モグモックル君。」ブツン

 

 モグモッグル署長は敬礼と共に通信を終えた。

 

「さて、彼らにはどうやって伝えましょうかね。」

 

 モグモックルのサングラスが光っていた。

 

―――――――――――――――――

 

~ハグレ王国 拠点~

 

「私の宇宙船が直ったって?」

 

「こらこらヤエちゃんよ、ダレが私の、じゃ。わらわの宇宙船じゃわい。まったくもう。」

 

 ドリントルの宇宙船の修理が終わった。宇宙技術が無かったハグレ王国での宇宙船修理は絶望的だったが、最近になってマリオンやルフレなど宇宙組の仲間や、宇宙商人イーバの協力もあり、一気に修理が進んだのが要因だ。ちなみに、ルフレのビッグパパイヤ号も間もなく修理を終える予定である。

 

「で、どうするの?」

 

「どうするとは?」

 

「惚けてもダメよ。直ぐにでも故郷の情況を知りたいんでしょ?」

 

「・・・そうじゃな。」

 

 ドリントルはドリンピア星の当代王であるドリンピアの孫にあたる。父は既に他界しているため、ドリントルは第一王位継承権を持つ皇女である。

 しかし、ドリントルの立場はその奔放な性格を嫌う祖父ドリンピア王と叔父プロデビッグが画策した隠し子計画により危ういものとなる。突如現れた王位継承権を持つ男児、しかも当代王が後ろ楯となっているときている。そして、彼らにとって国民から絶大な人気を集めるドリントルという存在は邪魔でしかなく、その命を脅かすようになるのにそう時間はかからなかった。

 やがてドリントルの命の危険を察した臣下の手により、ドリントルは臣下を一人だけ連れだってボロ宇宙船で星外へ逃がされた。それからは逃亡に次ぐ逃亡の末に次元の塔に落ち延び、宇宙海賊と戦うレジスタンスに参加していたところにハグレ王国と出会った。波乱万丈過ぎてその生い立ちだけで一つの小説になりそうな人生だ。

 

「別に、王位を継ぎたいわけじゃなかったんでしょ?ちょっと私を宇宙船に乗せて様子を見てくるわけにはいかないの?」

 

「何でおヌシを乗せていくのが前提になっとるんじゃ・・・。まぁ、命惜しさに逃げ出したわらわが今さら戻った所で、支持をしてくれる者は誰もおらんじゃろうなぁ。」

 

 ドリントルは自嘲気味に今の自分の立場を憂う。

 

「でも、貴女の帰還を待っている人もいるんでしょ?ユーフォニアがその証拠じゃない。」

「そうじゃな・・・。王位なぞ欲しければくれてやる。が、わらわを送り出してくれた者達の為にも、ドリンピアが今どうなっているかくらいは知っておかねばならぬかも知れぬな。幸い、ルフレのビッグパパイヤ号の修理もじきに終わるそうじゃ。あやつを連れだってみようかの。」

 

「超時空スペースヤエちゃんの開幕ね!」

 

「何でおヌシが主人公になっとるんじゃい!?」

 

 ドリントルは本気なのかマジなのかわからないヤエちゃんにツッコミを入れつつも、ローズマリーに長期外出の許可を貰って来なければならんな、と決意を固めるのであった。

 




 見きり発車でプロローグ上げちゃったけど、暫くは投稿の優先順位は、このすば>ダンまち>本作です。更新速度は期待しないでね。
 スペースヤエちゃん編を考えるにあたって、色んな作品とのクロスを検討しましたが、一番ハグレ王国とノリが近いコスモス荘を選びました。リリなのとかとのクロスを期待してた人いたらごめんなさい。

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