すいません…それでもおkな方はどうぞ!
「は?兄弟……?お前らが??」
「うん、そだヨ。って言っても、もう大分会ってなかったけどネ。」
さも当然とばかりに真選組の御所でご飯を食べまくる夜兎兄弟に驚きを隠せない真選組一同。
その近くでは、当たり前のように銀時と新八がお茶をすすっていた。
「お前の家ってめっちゃハードじゃね?」
と神楽を見ながら冷や汗を流している土方と近藤。
そんな二人とは裏腹に沖田が神威に質問する。
「それで?盗まれた危険な薬って一体どんなもんなんでさァ」
「あぁ、その話ね?もう一応主流は殺ったんだけどね。小枝がまだ動いてる感じ。ちなみにいうと、君たちはその薬を使った人ともう接触してるヨ。」
「は?そりゃ一体誰……」
途中で言葉を切った沖田は珍しくポーカーフェイスを崩し目を大きく見開いていた。
「もしかして…チャイナを背後からぶっ刺したアイツですかィ?」
「そうそう♪さすがだね、お巡りさん。あの薬を使った人は夜兎と同じ力を出せるようになるんだヨ。っていっても、その代償として理性がなくなるけどネ。」
ケラケラと愉快そうに笑う神威の隣で神楽が押し黙っていた。
神楽の処置をしている間に例の少女はどこかに行ってしまったのだ。
「……仕方ない。ここは、我らもその薬の回収に協力させてもらおう。江戸を守るのは我ら真選組の仕事だからな。」
いつになく真剣な顔で近藤が神威に手を差し出す。
「ふーん、ま、いいんじゃない?邪魔はしないでね~お巡りさん」
差し出された手を完全スルーしてご飯を葬り続ける神威。
ま、そうなるか、とでもいうかのように手を下す近藤を新八が慰める。
「んじゃ、今夜討伐でもいい?」
討伐という言葉に誰も何も言わずに、了解した。
「………」
ただ神楽だけはどこか暗い影を落としていた。
―討伐前 港にて
「それじゃ、それぞれ分かれて探してもらう。いたら討伐、それで完了だ。まじめにやれよ?」
なぜかみんなをまとめるフォロ方に何とも投げやりな言葉をそれぞれ返して、違う方向に散らばりだす。
1時間近くたっても見つからない敵に少し飽きてきながら港を歩いている沖田。
「ん?ありゃぁ……」
遠くに向かってくる見慣れた紅の髪が目に入って声をかける。
「おーい、チャイナいたかィ?」
「…………」
全く反応しない少女に疑問を覚えて足を速める。
「!!!!」
彼女の顔はこれまでに見たことないほど青く、とても苦しそうな表情を作っていた。
「おい…?チャイナ……?どうしたんでィ?一体……」
「えっ…サド?こんなところで一体何をしてるネ。」
まるで何かを隠すかのようにいつ通りを装う彼女にもっと不安を抱く。
「本当にどうしたんでィ…お前。すっげーらしくねぇぞ。」
「らしくないのはお互い様ダロ。お前だって何人の心配してるネ。らしくないアルヨ。」
「なんでもいい、いいか?何かあったらすぐに言えよ?」
彼女の行動、言動何もかもが不安に思えて仕方ない。
なぜだろう、とても遠くに行ってしまう気がする。
「な、なんでお前にそんなこと言われなきゃいけないネ。関係ないダロ。私が生きてたって死んでたって。」
違う。こんなことが言いたいんじゃない。「生きていてほしい。」そんな言葉を言ってもらいたいけど、きっとこいつには伝わらないだろう。もとからそんな関係じゃないんだから。
「関係ない…そうかもしれねぇな。…でも、俺はお前に生きていてほしい。好きだ…神楽。ずっと前から。」
「は…?なんで今そんなこと言うネ。」
どんな顔をしているだろう。もう溶け出してしまいそうに熱い頬からとめどなく汗が流れだす。
「お前が刺されたとき。死んじまったらどうしようってすげぇ不安だった。もう…いやなんだ。失いたくない、大切なものを。」
「……!」
手を引かれ、腕の中に閉じ込められる。心臓の音が聞こえたらどうしよう、という不安よりも「これが夢じゃないように。」と祈る気持ちの方が大きかった。
「…私も…好きアルヨ……お前のことが…。記憶なくなっちゃったとき、間違えなくお前の声がしたネ。だから…」
その言葉の続きを言う間もなく、口をふさがれる。
「!!!」
何度も重ねられる唇に熱く溶ける様な感覚が押し寄せなられる。
「…神楽……俺と付き合ってくれ……」
瞳だけで溶けてしまいそうに熱を帯びた赤い瞳が迷うことなく自分を映し出していた。
「ふっ…今更かヨ。……いいに決まってるネ。大事にしろヨ?」
「まさか…本当に付き合える日が来るなんてなァ…夢じゃねぇよな?」
「夢じゃないに決まってるネ。それとも、夢の方がいいアルカ?」
「そっ、そんなわけねぇだろ!!」
「冗談アルヨ。」
あれからしばらく、二人で手をつなぎながら港を楽しく歩いている二人だった。
「あ、そういえばね、総悟………危ない!!!」
そういった次の瞬間には黒い影は沖田に切りかかっていた。
崩れていく甘栗色の愛人と、頬につたる暖かい血が天国のような時を地獄へと突き落としていった。
「いっ、いやぁぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!!」
口元を抑えると手に多くの血がねっとりとついてきた。
「お、沖…田……?総………総悟ォォォォォォォォ!!!」
黒い影が鋭く光る刃物を片手に迫ってくる。
そのあとはどうだったかはっきり覚えていない。
あぁ……またか……また、負けちゃったんだね……私。
そう言っている声が聞こえても、銀ちゃんが叫んでても、神威が驚きと恐怖の顔で見てきても私は彼女に爪を立て続けた。
死んで、出来るだけ苦しく、もがきながら死んでしまえ。
そう言っている声だけに動かされていく。涙だけが流れていく。
そこで、記憶は終わっている。
例の一件からしばらくの間、俺は病院で生活していた。
毎日のように見舞いに来る近藤さんとクソ土方のほかにも色々な人が見舞いに来たが、彼女になったはずの神楽だけは絶対に来なかった。万事屋にそれとなく聞いてみたが、ばつが悪そうな顔をして話をそらされた。
一体何があったというのだろう。
そんなことを考えている間に1か月程度の治療が終わり久々に公園をぶらついていると例の彼女が来た。
いつの間にか集合する場所になっているこのベンチで待っていて正解だったな、と思いながら話しかける。
「おい、神楽。久しぶりだな。」
「……総悟…元気になったアルカ…」
半分あけておいたベンチに座るわけでもなく、ただベンチの前で立っていた。
「おう、まぁな。それよりお前なんで見舞いに来なかったんだよ。…ま、待ってたんだぞ…」
自分で言いながら視線を逸らす上に頬が熱くなっていくのが分かる。
「…ごめん………ご……めん…ッ私……私ッ…」
目の前の彼女がみるみる瘧のように震えていく。
ポタポタと滴る涙は太陽の熱で後も作らずになくなっていく。
「おい…どうしたんでィ?一体…」
その言葉すら無視して彼女は永遠と泣き続けた。
「なるほどなァ…すまん……俺が注意を怠ったせいで、お前にそんな辛い思いをさせちまうことになるなんて…」
「…別にいいネ。悪かったのは私もだから……」
それに…と続ける彼女は夕日に浴びて幸せそうに笑っていた。
「お前とこうしていられることが、一番幸せアル!!」
「…ッ!」
大きく見開いた総悟の瞳の中に映る彼女がどんどん近づいて0になる―
夕日を背景に口づけを交わす二人はまるで映画のワンシーンのような美しさだった。
これにて終了となります。
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