中央暦1640年2月10日======
先日行われたアルタラス王国再独立と日本との同盟締結、パーパルディア皇国への宣戦布告を宣言する国際放送を聞いたルディアスは、すぐさま再占領の命令を出し、エストシラントの港ではその準備の為に昼夜問わず作業を行っていた。
そんな中で海軍提督バルスは言い知れぬ不安を感じながら戦略会議を行っていた。
「今回の作戦はどの様にする?」
「その前に報告があります、竜母パルキマイラ所属の竜騎士が飛行機械を確認したようです。つまり日本はムーの兵器を輸入して使っている事になりますし、第1外務局からの情報でムーの国民が次々に帰国している事からムーが日本を支援していると考えられます」
「それは厳しいな」
「その通りです、ムーの飛行機械はワイバーンオーバーロードを揃えれば対処出来るでしょうが、仮にムーの戦艦を輸入していた場合は勝算は非常に低いです」
その言葉に会議に参加している者の雰囲気が暗くなる。その時兵士が報告に来た。
「失礼します! 艦隊が敵の攻撃を受けています! 今も攻撃が続けられている模様!」
「どう言う事だ!」
「湾内の戦列艦が次々と破壊されて行ったのです! 上空には飛行機械もワイバーンも見当たらず、哨戒中のワイバーンからの報告も通信途絶も無い事から船による攻撃でもありません!」
「ならばどうやって攻撃を受けたのだ!」
エストシラント上空6000m。ここに攻撃を行っている張本人がいた。
「砲術長、経過はどうだ?」
「順調に攻撃中です、間も無く殲滅完了します」
「しかし、すさまじい能力だなこの富嶽は」
「高度6000mからの精密射撃、この世界には対抗法が無いでしょうからね」
「敵艦隊、完全に消滅」
「よし、射撃中止。これより基地に帰還する」
正体不明の攻撃とは、日本軍の軍用飛行船富嶽からの砲撃であった。全長350m、12㎝砲6門を装備する空飛ぶ軍艦である。対空能力と装甲に乏しく(それでも近接防御火器20門と30㎜機関砲弾に耐える強度を持つ)制空権の確保が重要だが、パーパルディアに高度6000mを攻撃する手段は無く、1隻で上空に来ていたのだ。
富嶽からの砲撃によりパーパルディア艦隊は壊滅状態に陥った。
「・・・残った船は何隻だ?」
「見ての通り、1隻もありません」
「どうする、これでは再侵攻は不可能だ」
「報告します! 南を哨戒中の部隊から連絡が途絶えました! 日本軍が侵攻して来る物と思われます!」
「何だと!」
日本海軍パーパルディア本土攻撃部隊第一艦隊 旗艦大和
日本が持つ最大の空母、その一番艦である大和は二番艦の武蔵と共にエストシラント南230㎞にて戦闘機の発艦を終了させていた、東に40㎞程向かうと三番艦と四番艦の信濃、紀伊が二次攻撃の為に待機している。
「目標はワイバーン基地と首都防衛隊基地の破壊だったな?」
「ええ、富嶽の実戦試験も終了しましたしね」
「制空隊より首都上空の制空権確保、第一攻撃隊より航空基地破壊、第二攻撃隊より陸軍基地破壊との報告が来ています。それらに対する二次攻撃の必要は無しとの事」
「第三艦隊に通信、湾岸設備への攻撃を開始せよ」
日本海軍パーパルディア攻撃部隊第三艦隊 旗艦青葉
「第一艦隊から通信、湾岸設備への攻撃を開始せよ」
「よし、エストシラント視認距離へ移動後、湾岸設備への砲撃を行う。鴎での着弾観測の準備をしておけ」
中央暦1640年11月12日======
エストシラント 皇城
「陛下、既に属領は全て日本軍に占領され再独立を宣言しました」
「海軍、陸軍共に壊滅状態で、兵の総数は5万もありません。これは後方支援の人員も含めてです」
「・・・・・・・・・全軍に戦闘停止を通達。国旗を降ろして白い旗を上げろ・・・」
こうして1年を超えた日本とパーパルディア皇国の戦争は終結した。この屈辱に耐えられなかったのか皇帝ルディアスは降伏文書に調印後、毒を飲み自殺する。パーパルディア本土は日本の統治下に置かれ、パーパルディア皇国は消滅した。
占領後、日本はパーパルディアに議会を設置して絶対君主制ではなく立憲君主制を元にした政府を樹立させる事を計画する。