日本艦隊とグラ・バルカス艦隊が合流した夜にアルタラス王国の首都ル・ブリアスの港に到着した。日が暮れて暗い中で接岸するのは危険だと判断された為、翌朝に入港する事に外交団は持ち込む資料などの会議を行っていた。
「日本の船は大砲の口径は20㎝程だろうし海戦では優位に立てるのでは?」
「いや、本土にはもっと大きい軍艦があるかもしれない、ここで判断を下すのは危険だ」
「それに航空機は日本の方がはるかに進んでいます、空戦は当然として制空権が物を言う陸戦や海戦も不利になるでしょう」
「とにかく判断は本国の偉い人に任せて、我々はより多くの正確な情報を持ち帰る事に専念しよう」
また日本軍から情報を受け取ったアルタラス王国政府は、歓迎の準備を始める。
「まず外交団には女王陛下へ謁見して貰い、その後に国交樹立会談を行う事にします」
「近衛騎士団としては、念のために身体検査を行いたい。万が一銃などを持ち込まれては陛下の身に危険が及ぶ」
「それは外務局としても当然要求します。これが受け入れられなかった場合は陛下への謁見は取り止めにします」
「会談はその場合も行うのか?」
「ええ、唯一の王族である事を説明した上で要求しますから身体検査は謁見の最低条件です。これで怒り出すようなら国交樹立は難しいかと」
中央暦1641年2月3日======
港に入ってくる見慣れぬ軍艦に王都の住民は興味津々だった。港には見物客が詰めかけて高い建物にも人が集まる。騎士団の護衛の中メインストリートを進んでいく馬車を王都の住民が見送る。
「これから女王陛下への謁見をしていただきますが、その前に身体検査をさせていただきたい」
「何故ですか?」
「実は少し前の戦争で陛下以外の王族が全員亡くなられてしまい、身の安全を守る事は最重要なのです。ですので、これに応じていただけないのでは謁見は取り止めになってしまいますが・・・」
「そう言う事情なら仕方ない、我が国もその状況なら同じ事をするでしょう。存分に調べて下さい」
「ありがとうございます、部屋を用意していますのでそちらに」
「初めまして、私がこの国の女王、ルミエスです」
「こちらこそ初めまして、グラ・バルカス帝国外交団最高責任者のシエリアです。今回の謁見、誠にありがとうございます」
「いえいえ、我が国は長年パーパルディア皇国と言う国に屈辱的な扱いを受けていたので礼儀を持って接する方々は好ましく思えるのですよ」
「それ程までに評価していただきありがとうございます」
「では国交樹立の会談を行いましょう、と言っても私は同席できませんが」
「大丈夫です、我々もそこまで図々しくはありません」
その後また別の部屋に案内され、国交樹立会談が行われた。
「まず我が国、グラ・バルカス帝国の情報をお伝えします。
国土の詳細な地図は無い為、大きさなどは不明、人口は1億3000万人前後ですがこれは4年前の記録です。場所は第二文明圏の更に西に位置し、魔法文明は存在しません。
次に国交樹立に当たって我が国の要求は以下の通りです。
*互いに対等な国として扱う
*互いの内政には一切干渉しない
*互いの国民に治外法権を認めない
これらが国交樹立するにあたっての要求です」
「ふむ、問題ありません。ですがこちらの要求として出入国はルパイル空港、もしくはル・ブリアス港に限定させていただきたい。事態に対応出来る人員が少ないのですよ」
「その程度でしたら大丈夫です」
「では詳細を煮詰めましょうか」
「はい」
こうしてアルタラス王国とグラ・バルカス帝国の国交は成立し、クワ・トイネ公国とクイラ王国に向かう。クワ・トイネ公国で兵器を紹介されたグラ・バルカス帝国の面々は驚愕していた。
「これが我がクワ・トイネ公国の主力戦闘機、マイゲンです。最高速度は時速400㎞程で13㎜機銃を2門装備しています」
「これは・・・、ムーの航空機より優れている。これを自力で開発したのですか?」
「いえ、日本の技術提供を受けて開発した・・・と言うか日本が作った部品を組み立てただけです。初期型は日本が作った物を輸入しましたし」
「日本はそれほどの技術輸出の対価として何を求めたのですか?」
「大量の食糧を輸出しました、日本は食料自給率が低いそうなので重要事項だったのでしょう」
「しかし、これほど高度な技術を渡すとは・・・」
「どうも日本では80年前の技術だそうですよ? まあこれ以上高度な物を渡されても扱いきれませんので十分ですが」
巡洋艦に戻った外交団は報告書を書くのに四苦八苦していた。自国でも新しい技術が日本では80年前の技術と言う事実に、敵対は愚の骨頂と言う事を悟ったからである。しかしそれを上司に報告しても簡単には信じてくれないだろうからだ。
そして2月20日、遂に日本へ到着した。