中央暦1644年==============
日本と国交を結んでから6年、グラ・バルカス帝国とは3年。両国からは様々な技術、情報がもたらされムーの国力は増加の一途を辿っていた。エンジンの出力上昇や過給機の装備による限界高度の上昇、魚雷の開発成功による駆逐艦の実用化、発電所の効率化による電気の普及とそれに伴う電子機器の発展、特に実用に足るコンピューターの開発は様々な恩恵をもたらした。
地球では初期型に分類され、性能も低い物ではあるが軍民問わず様々な影響を与え、極めて重要な物となっていた。
様々な新兵器の開発を行っているムーであったが、それが行われているのはこの国だけでは無かった。
神聖ミリシアル帝国でも新兵器の開発が行われていた。航空兵器では天の浮舟のエンジンのバイパス比を試行錯誤の末に適正な値に出来た事で時速640㎞まで速度を増し、陸上兵器では爆発魔法を利用したレシプロエンジンと戦車の試作が始まる。また海上兵器も航空魔導母艦に単胴型とアングルド・デッキを採用した実験艦を建造しているなど日本とグラ・バルカスの影響を多く受けている。
グラ・バルカス帝国で開発されている新兵器は同じ科学技術を用いる事もありムーと大して変わらないが、基礎技術の差からスピードは速い上にムーではまだ難しい物も試作段階に入っていた。
ヘリコプターや誘導装置を搭載した滑空爆弾、水中性能の向上した潜水艦。更には日本の資料を元にジェットエンジンの試作にも成功し、コンピューターは性能こそムーと同等ながらより短期間で実用化するなど高い技術力を示していた。
日本もこの世界に来てから新たな兵器を開発していた、この世界で地球の兵器は過剰性能な為より低コストで十分な性能の兵器として海兵隊と陸軍、海上警備隊に採用された哨戒・軽攻撃機、明星である。
明星は最高速度500㎞/hで1.2tのペイロードを持ち20㎜機関銃を3艇装備する、13㎜弾に耐える装甲をコックピットに張り巡らせる事でこの世界では高い防御力を発揮していた。海上警備隊には青海(運用するのが軍では無い為に名前を変えた)を運用する為の睦月型航空巡視船(同じく)も就役した。
第三文明圏及びその付近の文明圏外国では急速な文明化が行われていた。特にロデニウス大陸のクワ・トイネ公国、クイラ王国はWW1時代のヨーロッパ程まで飛躍的進歩を遂げ、アルタラス王国、フィルアデス連合、ルコト連邦(旧ロウリア王国属領の連合国家)もそれには劣る物の準列強とも言える技術力を持ち始めていた。ただロウリア王国と旧パーパルディア領内にはそれ程の技術提供は行われず、19世紀中盤レベルにとどめられていた。