「では、只今より戦略的国策会議を行います」
戦略的国策会議とは五年ごとに行われる今後十年程度に置ける国家の方針を決める政府の最重要会議であり、その前身は天皇陛下も参加していた御前会議である。勿論今は参加していないが、世間では御前会議と呼ばれる事もある。
「まずは国内についてです、総務大臣吉野有里君お願いします」
「はい、転移による混乱が終息してから大きな問題はありません」
「解りました、続いて産業大臣加藤藤五郎君お願いします」
「製造産業での過労が問題になっています、このままでは過労死が多発しかねません。早急に対策が必要です」
「それは早急に対応策を出す必要がありそうですね」
「商業大臣長谷川藤吾君お願いします」
「転移後は落ち込んだ消費活動ですが、今は転移前までの水準まで回復しています。また他国からの観光者はムーとグラ・バルカスからが殆どです」
「文部省から報告が、ムーとグラ・バルカスからの留学生が増えています。誤解による暴動を防ぐ為文化的タブーの調査と周知を行うべきです」
「では続いて諸外国との外交についてです、外務大臣川立総司君お願いします」
「現在世界的に列強と呼ばれる各国で友好的なのはムー、レイフォルの二ヶ国です。またグラ・バルカスとも友好的な関係を結んでおります。第三文明圏ではほぼ全ての国々と友好的であり、特にクワ・トイネ公国、クイラ王国、ルコト連邦などのロデニウス大陸各国やアルタラス王国等が代表的であり、フィルアデス連合も多くが友好的です」
「パーパルディアを独立させた事に関する反応は無いか? 彼らにして見ては不倶戴天の敵だろう?」
「表だっての事はありません、しかしあまり優遇するとフィルアデス連合は反日になりかねませんね」
「第二文明圏については、文明圏の纏め役であるムーと友好的なので、他国とも友好的になっています。問題は無いでしょう」
「第一文明圏ではミリシアル帝国ですが、ミリシアル8世が存命の時は友好的だったものの今は徐々に友好の度合いが下がっているように感じます。最近軍拡を始めたのも気になります」
「では国防についてです、国防大臣結城晴明君お願いします」
「現状第三文明圏に脅威となる勢力はありません、第二文明圏のムーとグラ・バルカスも軍事的には脅威ですが友好的ですので急いで対応する必要は無いかと。しかしミリシアル帝国は軍拡を始めた事から注意する必要があります」
「仮に、仮に戦争になればどうなる」
「空では問題ありません、陸も攻め込むなら兎も角守勢に回れば勝てるでしょう。しかし海では戦艦が問題になります。彼らの最新戦艦ミスリル級は38㎝砲を搭載するそうですから、自身の主砲弾に耐える装甲を持つ、と言う戦艦の基準からすると我が軍の水上艦の砲とミサイルでは損傷は与えられても撃沈するには至りませんし、航空攻撃でも1t以上の徹甲爆弾を必要とします」
「ですので、地球ではソ連が開発、運用した対艦巡航ミサイルをモデルにした対戦艦ミサイルを開発中であり、諸元は総重量3t、弾頭重量700㎏、飛翔速度マッハ2.0、射程70㎞の予定です。具体的な表現としてはかつて保有していた金剛型の主砲弾に準ずる威力を持つ事になりますが、巡洋艦規模の船体で固定式ならば16発、旋回式ならば発射機3基と弾倉一つ毎に8発のミサイルが搭載可能です」
「また同じくソ連のキーロフ級巡洋艦をモデルにした仮称甲型戦艦を計画しています」
「・・・戦艦が必要なのか?」
「正確には戦艦の防御力を備えた軍艦が必要になります。幸い古鷹型のおかげで主砲と装甲の製造、設計に関するノウハウは再獲得しましたので研究を進め長門型に匹敵する防御力と規模の戦艦を建造し、その後は開発され次第主砲を換装していく事になります」
「そうか」
「パーパルディアから接収した魔導技術に関しては鋭意研究中としか言えませんが、魔法陣の構成要素はほぼ確定しています。後はミリシアル帝国で使われている魔術回路がどの様な物か判明すれば我が国でも製造、運用が可能になると思われます」
「結論は第三文明圏、第二文明圏に対する外交は維持、ムーとグラ・バルカス帝国の文化調査と国民への周知、ミリシアル帝国への諜報強化を基本方針として、仮称甲型戦艦の建造への研究開始、魔導技術の研究を進めて行くと言う事で良いな?」
「それでは会議を終了します」