中央暦1650年1月23日
呉海軍工廠第三ドックにて80年ぶりに建造される戦艦の命名・進水式が行われるとの発表が行われた先週から、テレビニュースではその事が流れていた。そして当日大勢の観客とテレビカメラの前で式典が始まろうとしていた。
『これより901号艦の命名式、並びに進水式を行います。結城国防大臣により、本艦の命名が行われます』
「本艦を日輪と命名する。光文30年度、国防大臣結城晴明」
『結城国防大臣により、本艦の支綱が切断されます』
・・・・・・
神聖ミリシアル帝国情報局
ある部屋のテーブルに男が着席しており、そこに一人の男が入室すると着席した男が重々しく口を開いた。
「では日本が建造した戦艦の報告を聞こう」
「それが、式典の時点では兵装は装備していませんでした。工事はこれからのようです」
「何だと、未完成なのに式典を行ったのか?」
「日本の文化でこれは船として完成した事を祝う式典で、軍艦としての完成はまだと言う事らしいです。軍艦としての完成が終わっても式典は行わない事が慣例となっています」
「民間人の入場を規制しない訳だ、軍艦としては未完成なのだからな」
「ですが日本の軍事情報雑誌に性能の予想が掲載されていました。それによると40㎝三連装砲塔3基、12㎝連装砲10基と予想されています。また対空機銃と呼ばれる対空魔光砲相当の装備が60基前後になるだろうと」
「なるほど、現在主力になりつつあるアルファ級魔導戦艦とほぼ同じ性能になる訳か」
「ですが建造予定数はこちらが16隻、日本が3隻と五倍ですのでこちらが優位かと」
神聖ミリシアル帝国 カン・ブリッド近郊陸軍基地
現在この基地では新規開発された戦車のお披露目が行われていた。
「これが次期主力戦車のアルエイダ3か」
「はい、主砲は50㎜砲を搭載しており新開発の対戦車榴弾にも対応しております」
「対戦車榴弾? 榴弾が有効なのは非装甲の車両だけだろう?」
「この榴弾はモンロー効果と言う現象を利用して主砲口径の4倍から6倍の装甲を貫通させる事が出来ます」
「つまり200㎜から300㎜の装甲を貫通させる事が可能な訳か」
「はい、しかもこの榴弾の貫徹力は着弾時の弾速に依存しないので、歩兵用の装備として使えないか研究中です」
「なるほど、防御力は如何だ?」
「搭載している主砲の徹甲弾では500mまで近づかなければ貫通出来ません」
「少々弱いな」
「ですがエンジンの出力が低く、これ以上の装甲増加は不可能です」
「エンジンの開発はどうなっている?」
「現在より強力な500馬力級の開発には三年から四年かかると思われます」
「ムーでは天の浮舟のエンジンを戦車に使用したと聞く、こちらは出来ないのか?」
「エンジンの構造が全く違うので無理です」
「そうか・・・」