東方世界同盟がミリシアル帝国を仮想敵とみなしてから想定していた開戦時の状況はアルタラス島、フィルアデス大陸西岸、ロデニウス大陸のどれかに上陸されると言う物であり、日本列島、しかも東京が空襲されることは想定外であった。しかし迅速な迎撃行動を開始する為に各国駐留軍司令部に大きな活動権限を与えていた事で、ミリシアル側の上陸作戦成功と言う最悪の事態は阻止された。
しかもアルタラス王国軍の損害は奇襲攻撃を受けたと考えれば軽微だったが、東京空襲を成し遂げた物を含むミリシアルの魔導兵器の性能は未知数の為、警戒は必要だった。
「幸いにもミリシアルのアルタラス島上陸は失敗に終わったが、これからどういった作戦を立てている?」
「ミリシエント大陸とムー大陸ミリシアル領の間で通商破壊と空母を使用したミリシエント大陸各地に対する空爆を主に行います」
「そうか、だが国籍識別はどうする。万が一ムーやグラ・バルカス、レイフォルの船を沈めたら事だぞ」
「三国の大使館には、ミリシエント大陸沿岸200㎞以内を航行する船舶は全てミリシアル帝国の船舶と見做すと放送をしてもらい、その二週間後に通商破壊を開始する事で回避します」
「また、各国の飛行軍艦の搭載電探と魔探(魔信探知機の略)による警戒網を作り上げて超兵器による侵攻を探知します」
「超兵器?」
「帝都を空襲した巨大爆撃機などの超常級兵器の略です」
「確か比較的威力の低い空対空誘導弾とはいえ撃墜出来なかったのだよな?」
「はい、あれを撃墜するには対艦誘導弾が必要と思われます」
「それから、西海同盟各国にミリシアルが式典を狙って帝都空襲を行った事にどう言った対応を取るか確認してくれ。避難が間に合ったとはいえ三国の王太子や皇太子が亡くなられる可能性さえあったんだ」
ムー首都 オタハイト 外務省玄関
「シエリア殿、お待ちしていました」
「出迎えありがとう」
外務省 会議室
「シエリア大使、招集に応じてくださりありがとう御座います」
「このような時間に何の御用ですか? それにレイフォル大使のレイア殿も」
「待って欲しいと言われたがグラ・バルカスも関係ある事ですか?」
「我が国の駐日大使から報告を受けたのですが、日本の皇位継承の式典をミリシアルの空中軍艦が領空侵犯し、爆撃を行ったと」
「なんですと!? 天皇陛下や参列していた各国の要人は?」
「全員が防空壕に逃げられた事と、落とした爆弾が直撃しなかった事。以上により全員無事だそうです」
「レイフォルもムーも、式典に王族が出席する事は発表していましたよね?」
「ムーは王族の出席を発表していたし、レイフォルとグラ・バルカスが同様にしていた事も確認しています。よって上では日本や我が国、レイフォルとグラ・バルカスへの謝罪と賠償を要求するべきだと判断している」
「その要求を無視されたらどうするのですか?」
「レイフォル、グラ・バルカスと協議の上でミリシアル帝国に宣戦布告すべきだと意見が出ていますが、両国が反対なら同盟を破棄してでも宣戦布告しろとの意見が大勢を占めています」
「わかりました、この事は確実にレイフォル本国へ伝えます」
「グラ・バルカスも同じく」
「オーディグス大臣、対談に応じて下さりありがとうございます」
「それよりも王太子の安否はどうなっていますか!?」
「マーレ殿下は怪我も無くご無事です、今は護衛とともにムー大使館に宿泊されていますが・・・」
「本国への帰還をどうするかですね?」
「はい、日本としては一日でも早く迎えに来ていただきたいのです。また日本に来ているムー人旅行者や留学生も同時に帰還させていただきたい」
「解りました、急いで特務艦隊の編成を行い、派遣します」
「それから、可能ならばミリシアル帝国への対応を教えていただきたいのですが」
「・・・かなり私見が混じりますが、まずは戦闘行為の停止要求、そして日本と式典参加国への賠償要求、最悪の場合は・・・」
「ありがとうございます、それだけ聞ければもう結構です」
「そうですか、蚊帳の外からで申し訳ありませんが・・・祖国の御武運をお祈りしています。それでは」
「それでは」