中央暦1639年9月30日======
パーパルディア皇国 エストシラント 皇城
「これより帝前会議を始めます」
議長の挨拶と共にこの国の最高権力者である皇帝ルディアスが出席する、国家の行き先を決める会議が始まった。
「次に国家戦略局からの報告です。ロデニウス大陸のロウリア王国に対する支援と、その後の権益確保についてですが・・・日本と言う国の干渉により失敗しました」
「日本だと? それはどの様な国だ?」
「それについては第3外務局から説明させていただきます。
日本と言う呼び名は略称でして、正式名称を大日本帝国と言います。昨年我が国と国交を結ぶ為に訪れて来ましたが、半年ほど前から訪問が無くなり滅んだと思われていました物の2週間前から再び訪れています。
また、フェン王国への報復に向かった監査軍を迎撃して撤退させた国も日本と名乗っていました」
「日本の干渉については恐らく軍の派遣を行った物と思われますが、観戦武官が戦死した為に詳細は不明です」
「カイオスよ、監査軍の生き残りはどの様に証言している?」
「艦隊を率いていたポクトアール提督の証言では日本軍の船は4㎞もの遠方から大砲を命中させ、しかも全て命中したと戯言を言っています」
「・・・実に調子に乗っているなその蛮国は」
「はい、その通りです」
「日本の友好国にはどの様な国がある?」
「日本の友好国には先ほど話に上がったフェン王国、ロデニウス大陸のクイラ王国、クワ・トイネ公国、アルタラス王国などがあります。他の国は判明している限りではわずかに友好に傾いた中立と言った所でしょうか」
「ふむ・・・アルタラス王国に日本との断交を要求しろ、我が国と日本が敵対している事も通達した上でな」
「分りました、もし断って来たら如何なさいますか?」
「その時は敵国と友好を持っている事を理由に滅ぼせ、都合のいい事にあの国は質の良い魔石鉱山があるからな。それとその時は本国軍が侵攻を行う、日本の前の訓練には丁度いい」
アルタラス王国 王都ル・ブリアス
国王ターラ14世は頭を抱えていた。
パーパルディア皇国からの外交文書、毎年送られている物ではあるが今年は少し時期が早い。その外交文書は名目は要請であるが実質は命令である。
パーパルディア皇国の要求は以下の通りである。
*日本との国交を断絶する事。
*現在国内にいる日本人を奴隷としてパーパルディア皇国に差し出す事。
これが出来ないのであれば従う証として
*魔石鉱山シルトラウスをパーパルディア皇国へ献上する事。
*王女ルミエスを奴隷としてパーパルディア皇国へ差し出す事。
これも出来ないのであれば、アルタラス王国は反逆の意志ありとして侵攻する。
「こんな物どちらも無理だ! 日本の大使に伝えてくれ、日本人をいち早く避難させて欲しいと!」
在アルタラス王国日本大使館にてアルタラス王国の外交官と日本の大使が会談をしていた。
「このような時間に対応して下さってありがとうございます」
「それで緊急事態とはいったい?」
「まずパーパルディア皇国と言う国が日本との国交断絶と、国内にいる日本人を奴隷として献上する事を要求して来ました。無論我が国はこの要求を断るつもりですが、そうなるとパーパルディア皇国が攻めてきます。
ですので、一刻も早く日本人の避難をお願いしたいのです」
「分りました、情報提供ありがとうございます」
「それと、大変申し上げにくいのですが・・・。ルミエス王女の亡命を許可して欲しいのです」
「ルミエス王女と言うと、今は日本へ親善訪問中でしたな」
「はい、我が国に戻っては危険があると判断しました」
「伺った情報と、要請は全て本国へ伝えます」
「ありがとうございます」
パーパルディア皇国 第3外務局
「何でまた私が・・・」
朝田はパーパルディア皇国の日本海軍艦船に対する攻撃の抗議の為、再びパーパルディア皇国に来ていた。
やはり会議室で待たされ、カイオスが部屋に入ってくる。
「これがフェン王国での貴国の我が国に対する攻撃の抗議文書です」
「そうか」
カイオスはそう言うと文書を読まずに傍に控えていた人間に渡す。
「何のつもりですか?」
「そんなの決まっているだろう、我が国の艦隊を攻撃した謝罪と賠償を受け取っていないからな」
「先に攻撃したのはそちらですよ? 私達は降りかかった火の粉を払ったにすぎません」
「我が国の軍を火の粉とは大きく出たな、これが攻撃に対する我が国の要求だ」
カイオスが渡してきた文書には以下の事が書いてあった。
*日本は攻撃の賠償としてパーパルディア皇国に沈んだ船1隻につき奴隷10000人を献上する事。
*日本は攻撃の謝罪をし、その誠意として国王を皇都エストシラントに住まわせる事。
「これだけだ、簡単だろう?」
「・・・そうですか」
「了承するか?」
「我が国はこれを貴国の宣戦布告文と解釈するが、よろしいかな?」
「我が国に戦争を仕掛けるとは、身の程知らずが」
「いいえ、我が国にそのような意思はありません。ただこの文章を宣戦布告として受け取ってよいか聞いているのです」
「別に構わんよ、自ら滅びに向かうとは愚かだな」
「では私はこれで」