「こんな時間に呼び出すなんて」
深夜2時。日はとうの昔に沈み、街行く人影は一つとして見当たらない。
だから、寒空の下、公園のベンチに一人座っている男の姿は異様だった。俺の声を受け、ゆっくりと瞼を開く。
「五分遅刻だ。衛宮」
開口一番、そんな偉そうな言葉を口にする慎二。まぁ、コイツはこういう奴なのだ。今更何も文句は無い。大人しく謝る。
「悪かったよ。それより、何か要件があるんだろ? 歩きながら話そう。寒いから」
日が落ちてから随分立っているせいで、瞼が凍り付きそうな程に寒い。動いていれば少しはマシになると思いそう提案したが、
「いや、すぐ終わる」
素気無く断られた。
「要件は一つだ。衛宮、今すぐ聖杯戦争から降りろ」
「な——————!」
聖杯戦争と、慎二は確かにそう言った。
何で知ってるのかと、俺が言葉を発する前に、慎二は手袋をずらして手の甲を見せてきた。
そこには、真っ黒な刻印が刻み込まれていた。俺が持っていたやつと色は違うが間違いない。聖杯戦争にマスターとして参加する者の証、令呪だ。
「まぁ、僕はまっとうなマスターじゃないが」
「? どういう意味だよ」
「……お前には関係ない」
一蹴された。凄く気になるけど、魔術師は自らの技術を口外しないものだ。深く立ち入らない様にしよう。それより————
「教会に行けばマスター権を放棄出来る。さっさと行ってこい」
「いや、それが、何故か放棄出来なかったんだよ……」
「は? 何言ってんだよ衛宮」
慎二が眉を顰める。俺は、今迄何があったのかを全て慎二に打ち明けた。
「—————って感じだ。」
「………………」
話を聞き終えた後、慎二は瞑目し、しばし沈黙してしまった。
大人しく返答を待つ。マフラーから漏れ出た吐息を電灯が照らし、淡く白い靄が現れる。
……寒い。膝までガタガタと震え、歯はカスタネットのように軽い打音を奏で続ける。
『石焼~き芋~お芋~』
ふと、そんな歌が耳に入り、衝動的に買いたくなった。
「こんな時間までやってるんだな。客来ないだろ……ん? んんん⁉」
よく見ると、石焼き窯を積んだリアカーを引いているのは、首領パッチだった。
「芋はいらんかえ~。一つたったの3万ペソ」
「高っ! ……いのか? いや、何やってんだよ首領パッチ」
窯の煙突からは絶え間なく黒煙が流れ出ている。嗚呼、環境破壊……だが、独特の甘美な匂いが、俺の腹を刺激してくる。まぁ、3万ペソも払うつもりは毛頭ないけど。……3万ペソって日本円でいくらだ? そもそもどこの国の通貨だっけ?
「あ、士郎だ。焼き芋砲発射ァ!」
リアカーから熱々の焼き芋が発射され、俺の顔面に飛来した。咄嗟に手で受け止める。
「熱ッ⁉」
「食えっ!」
えええ……。いや、熱すぎてとても食えたものでは無い。
仕方なく、両手で弄びながら芋の熱を冷ます。程よい熱さになった芋を両手で包むと、かじかんだ手がほぐれていくのを感じた。……けど、何故サツマイモを……?
————ふと、慎二の傍で武器を構える人影に気付く。いつの間に現れたのだろうか。
腰どころか、足まで届くのではないかという紫の長髪。すらりとした長身に、女神かと見紛う程美しく整った顔。両目を覆う眼帯が、顔の上半分を隠しているため、その表情を窺い知る事が出来ない。
しかし、こちらに殺気を向けている事だけは分かった。
悪寒が走る。
あまりの寒気に、首の後ろが斬りつけられたように痛む。
バーサーカーのような、敵に絶望を与える程の威圧感は無い。だが、決して振り解けない、ねっとりと絡みつくような死の予感を相対した者に与えてくる。
「手を出すな、ライダー」
慎二が、姿を現した自らのサーヴァントを制止する。
女はそれに応えず、手に持つ釘のような武器をより強く握りしめた。
「シンジ、このサーヴァントは危険です」
ライダーが、ひっそりとした声でそう告げる。
「グへへ。ここまでだ、仮面ライダー1号よ。手こずらせおって……」
首領パッチが、今週のやられ役怪人Bみたいなセリフを吐く。
「仮面ライダー? いや、確かにライダーが仮面を付けてるけどさ。……あれ仮面か?」
「先刻は不覚を取りましたが、ランサーに負わされた傷はもう癒えました。次こそは———」
ライダーの纏う魔力が増幅していく。不味い、やる気だ。慎二は、しかし止めるのも面倒だというばかりに、溜息をつくだけだ。
「またかよ、ハァ……。もう勝手にしろ。痛い目を見て学べばいいさ」
「ちょ、慎二⁉ 俺は別にお前と戦う気は————」
「分かってるよ、うるさいな……。まぁ、いい機会じゃないか。自分のサーヴァントが戦う様子を観察して、次の戦いに生かすんだな」
そう言って、二人の戦いを見るよう促す慎二。けど、痛い目を見るって……まるで首領パッチの強さを知ってるみたいな———いや、普通に自分のサーヴァントに自信がないだけか。『ライダー』はその名の通り自らの直接戦闘能力の低さを乗騎で補うクラスだ、と遠坂は言っていた。だから…………ん? そういえば、首領パッチのクラスって、何だ……?
「シッ————!」
ライダーが特攻する。音さえ置き去りにする速力と絶大な魔力をもったそれは、離れていても全身の毛が逆立った。
「おっ、ブランコあんじゃん~」
しかし、首領パッチがブランコの方に走って行った為、その攻撃は空振りに終わる。アイツ何やってんだ……。
「やっぱ公園に来たら最初はブランコだよな~」
「祖国ニ帰リタイ……」
首領パッチは再び攻撃を仕掛けるライダーを気にも留めず、ブランコに乗ってブラブ……いやちょっと待て誰だあの鎖に繋がれたムキムキの白人⁉
「殺す」
ライダーが一瞬にして首領パッチの背中に回り、釘剣を突き立てる。
「あ! これブランコじゃなくてフランコ———ぎゃあああああああ!」
……うん、でしょうね。というかフランコって誰だよ。何でこの公園ブランコの横に白人が監禁されてるんだよ……。
鞭の如くしなりを持った強烈な蹴りが、首領パッチの胴をえぐる。そのまま公園の中心まで蹴り飛ばされ、地面に突っ込む。
「いでええ! 何だよ! うわああん! 順番抜かしだ! ママあああああ! うーううう~♪」
起き上がり、小学生のように泣き喚く首領パッチ。こんなのが俺のサーヴァントだなんて、恥ずかしいからやめて欲しい。頼むから真面目にやってくれよ……。
ライダーの方に目を向けると、
「ワタシハ戦ウ! 自由ノ為ニ!」
自らを縛る鎖を引きちぎった白人にボコボコにされていた。
ライダーが苦し紛れに釘剣を突き出すが、フランコ(?)はそれを引っ掴み、逆にライダーの体を引き寄せて腹部に膝蹴りを叩き込む。
たまらず後ずさるライダーの長髪をフランコは引っ掴み、そのままブンブン振り回したり、何度も地面に叩きつけたりした。
その後ライダーを公園の外へと放り投げ、首領パッチに駆け寄る。
「ドンパッチ=サン。ワタシハ頑張リマシタ」
「大儀じゃ。手錠を外しておじゃる」
そう言って、首領パッチは何処からか鍵を取り出し、フランコの手錠を外した。……いや、お前の仕業だったのかよ。
フランコは手錠を外されると静かに涙を流し、
「ah , now I can go back my home…………」
そう呟きながら成仏していった。
幽霊だったのかよ。いや、もうその程度じゃ驚かないけどさ。隣を見ると、慎二が完全に静止していた。ああ、首領パッチに対する免疫が足りなかったか……。
暫くすると、ライダーが、よろめきながら再び公園に姿を現した。凄まじい執念だな……。
「なぁ首領パッチ、あの人に何かしたのか?」
「別にぃ。昼間、庭で遊んでたらノッポの女が来たから『デカッ! 女型の巨人だァァァァ!』って言ったらいきなり襲いかかって来たからしばいてグルグル巻きにしただけだぜ」
「…………」
別に、じゃねぇよ。それが原因だろうが。というか昼間首領パッチが縄でぐるぐる巻きにしていたのは、ライダーだったのか。恐らく彼女は、自分の身長にコンプレックスがあるのだろう。それを見ず知らずの奴にいきなりバカにされたのだ。殺意の一つや二つくらい持つのも無理はない。
けど、ライダーの体は見るからにボロボロで、とても戦えるような状態ではない。ここらへんでやめておいた方が良いんじゃないだろうか。
「なぁ慎二、もう———」
「死にぞこないが! 引導を渡してやろう」
「ちょ待っ——!」
俺の心配など知らぬとばかりに、首領パッチがネギを持ってライダーに襲いかかる。 相対するライダーは、————何を思ったのか。武器を構えるのではなく、自らの後頭部に手をやった。
無防備に立ち尽くすライダーへ無情なる一撃が振り下ろされる寸前、
———はらり、と。その顔から、紫黒の眼帯が剥がれ落ち、
全てが、静止した。
彼女に叩きつけられる筈のネギは、石細工のように罅割れ、砕け散った。首領パッチが疾駆したことにより巻き起こった砂埃は、空中で凝固し地に堕ちた。
俺の吐く吐息、地を撫でる風さえも、物理法則を無視して静止する。
「な———あれ?」
気付けば俺の全身もまた、余す所無く凍り付いていた。血液はドロドロと固まり始め、感覚すら薄れて行く。
あれは———魔眼だ。
本来、外界からの情報を取得する為の器官である眼球を、逆に外界へと働きかける器官へと変化させたもの。一流の魔術師なら使える者もいるらしいが、ライダーのそれは魔術なんていう生易しいものでは無い。
物理法則の一切を無視した、神話にしか存在し得ぬ奇跡そのもの。まさか、ライダーの正体は———
「ぎゃあああああ! ニンジンになるううううううう!」
首領パッチがニンジンにされていた。
…………うん。もしかして、と思ったけど気のせいだった。見たものをニンジンに変える怪物なんて聞いたことも無いな。
「⁉ …………え?」
一瞬、いやタップリ十秒程、思考停止に陥るライダー。いや、うん。多分、ライダーは見たものをニンジンに変える能力なんて持ってなかったんだろうな……。
空中で一瞬停止した後、首領パッチは地面に落ちた。
「クソっ! オレはもうニンジンとして生きていくしか無いのか!」
そう言って、ズブズブと地面に埋まっていく首領パッチ。
「……定期的に水をかけてね、士郎」
「嫌だよ」
何が嫌で首領パッチを栽培しなければいけないのか。需要皆無だろ。
「ちぇっ。ならもう良いや。奥義、人参シリシリぃぃぃぃ!!!」
「ごばっ———⁉」
人参が、地中から稲妻の如き速さで射出され、呆けきっていたライダーの鳩尾に突き刺さった。
水風船が破裂したような声を出し、地へと崩れ落ちるライダー。
内臓が傷ついたのだろうか、滝の如くその口から真紅の血が流れ出て、地を赤く染める。
「うわっ、おい!やり過ぎだろ首領パッチ!!」
「許してクレメンス」
「いや、許してって言われても……。慎二! もう十分だろ。ライダーの武器を降ろさせてくれ」
隣で固まっていた慎二の体を揺さぶる。はっ、と気がつくと、シンジはライダーに対し、いきなり怒声を上げた。
「おいやめろライダー‼」
その声で、ライダーの動きが止まる。彼女は————あろうことか、釘剣で自らの首を切り裂こうとしていた。
自害、だって? なんでそんな……。
「『目』ならまだしも
しかし慎二は、それを咎めるのではなく、よく、分からない事を口にした。『目』というのは先程の魔眼を指しているのだろうが、『それ』って、何だ……?
俺には理解できなかったが、 ライダーには言わんとする事が伝わったようで、その手に握る武器を下ろして謝罪した。
「カフっ、……すみ、ません……」
「ったく……」
舌打ちしながら、つかつかとライダーに近寄る慎二。地に伏せる彼女を冷たく見下ろし、
「……よく分かっただろ。お前の足りない頭でも。いい加減、自分の弱さを知れよ」
そう、蔑むように吐き捨てた。その言葉には、自らのサーヴァントに対する、諦めにも似た何かがあるようにも思えた。
慎二の言葉はいつも、厳しく、嫌味ったらしい。誰に対してもそんな感じなので、他人からも余り好かれない。本人は全く気にしてないけど……。
まぁ、口では悪態をつきながらも、しゃがみ込んでライダーの傷を治療するあたり、マスターになっても相変わらずだな、と思う。根はいいヤツなんだ。口と態度が悪過ぎるせいで誰も気づかないけど。
「……衛宮、俺に何か聞きたい事があるんじゃないのか?」
慎二が、ライダーの治療を続けながら、唐突にそんな事を言って来た。聞きたい事……。そうだ、聞かなければならない事が、いくつかあったんだった。
けど、今は瞼が凍りつきそうなくらいに寒いし、わざわざここで聞く必要も無いだろう。別に、明日学校で聞けば————
「まさかお前、明日以降も学校に行くつもりなのか?」
非難するような口調で、慎二は俺に問いを投げかける。
「————え? いや、サボる訳にもいかないだろ? 授業は只でさえチンプンカンプンなのに」
「明日死ぬかもしれないのに、いつ役に立つかも分からない勉強がそんなに大事か」
「それは……」
確かに、俺達は今、聖杯戦争とかいう馬鹿げた殺し合いに巻き込まれているのだ。学校なんて行ってる場合じゃない、というのも一理ある。
というか、今の言動からすると、慎二はもう学校に来ないのか……。
だったら今、聞くべきことを聞かなければいけないだろう。
さて、何から尋ねようかな————
「質問は一つだけだ。これ以上ここに留まると、面倒事が増える」
……マジかよ。いや、本当はこのくらい警戒するのが正しいのだろう。俺にはまだ、イマイチ危機感が足りていないらしい。
一つ、か。だったら単純で、そして、俺の聞きたい事が全て詰まってる質問をしよう。
「慎二、————俺はこれから、どうすれば良いんだ?」
俺が何を成し遂げたいのか、どんな目的を持っているのか、なんて事は言わない。そんな事、俺の事を俺よりもよく知ってるシンジに言う必要は無いだろう。
さて、慎二はなんて答えてくれるのだろうか————
「……甘ったれた考えを捨てろ、なんて言ってもお前には無理な話か。そうだな……取り敢えず、マスター全員と会ってみろよ。ヤバイ奴がいたら、バーサーカーのマスターと結託して叩き潰せばいい。その後は、全てが終わるまで教会の中で大人しくしてろ。お前のサーヴァントは、まぁ、誰か殺せる奴が殺すだろう」
思いの外事細かに、今後俺がどうすればいいのか答えてくれた。……なんだかんだで、やっぱり良い奴なんだな、慎二。
「……僕がわざわざ懇切丁寧に教えてやったんだ。大人しく言う通りにしろよ」
嫌味ったらしく付け足す慎二。まぁ、慎二なりの照れ隠しなのだろう。
……それより、全マスターと会ってみろ、か。言うのは簡単だけど、いざやるとなると、できるのか? そんな事……。
まだ会えていないのは、ランサー、キャスター、アーチャー、アサシンのマスターか……。
まぁ、何もせずにウダウダしてるより、やる事があった方が有難い。
「ありがとうな、慎二」
「—————」
俺の言葉に、シンジは答えない。
無言でライダーを抱き上げ、俺に背を向け歩きだす。振り返ることなく、まっすぐに。
常夜灯の下を抜けると、その姿は闇夜に溶けて見えなくなった。
慎二が何を考えてるかなんて、全く分からない。だけど一つ確かな事は、何があろうとも、あいつが俺の、かけがえのない親友という事だ。
だからこそ、あいつが悪い事をしたなら、殴ってでも止めよう。そう、心に誓った。
さて、帰るか。首領パッチは……いないな。先に帰ったのか? まぁ、アイツがどこに居ようが知った事では無いんだけど。
夜を歩く。
家々の灯りはとうの昔に消え、俺の吐息と足音だけが、どこか不気味に響き渡る。
こんな時間に一人で出歩くなんて、巷で噂の殺人鬼からしたら格好の餌だろうな……。
いや、そんなことよりも心配すべき事態があるだろう。俺は聖杯戦争の参加者なのだから、味方も首領パッチも居ないこの状況で敵サーヴァントに出くわしたら————
「御機嫌よう、坊や」
空。月が暗雲に隠れ、夜の闇に埋もれたその場所に、紫紺の布が浮いていた。
よく見ればそれは、ローブに身を包んだ人影。空中に浮かぶという異様な姿と、怪しげな錫杖とが相まって、魔術師然とした雰囲気が醸成されていた。
しゃらり、と鈴の付いた錫杖を鳴らし。異様な風体の女は、悠然と俺を見下ろし微笑む。
「サーヴァントも連れずに一人で出歩くなんて、自分の力に自信でもあるのかしら?」
まずい。マスターではサーヴァントに太刀打ち出来ない。
何とかこの場を凌がなければ……。
そうだ、話し合いだ。取り敢えず、何か言葉を発しなければ————!
「あ、う…………」
頭が真っ白になる。嫌に口の中が乾く。
——————目の前の存在が放つドロドロとした死の恐怖が、口を開くことさえ許さない。
違う。言葉を発せないのは恐怖のせいじゃない。これは、魔術、か……?
「ふふふ。お休みなさい、坊や」
————何だろう、急に、瞼が重く————
****
「士郎、おかえ———」
「こんばんは、バーサーカーのマスター」
扉の前にはキャスターが悠然と佇んでいた。まるで世間話でもしに来たかの様に、柔和な雰囲気だ。
「っ‼ バーサーカー!!!!」
「■■■■■■■■■!!!!!」
少女が声を発すると同時、霊体化を解いた狂戦士がキャスターを一刀両断する。
しかし————
「……あら、挨拶もなしに攻撃だなんて、野蛮なこと。けれど、残念ね。これは只の『人形』。私はメッセージを伝えに来ただけよ。よく聞きなさい、バーサーカーのマスター、そして、首領パッチ」
「ん? あ、バツ1コブ付き女だ」
「バツ……? ゴホン。よく聞きなさい。あなたの同盟者である衛宮士郎の身は今、私の手元にあります」
「へー。そーなんだー。すごーい」
「……返還交渉を望むのならば、柳洞寺までいらっしゃい。今から二刻経つ前に来なければ、彼を生きたまま魔術礼装にするわ」
「魔術礼装って何? カレスコ?」
「…………」
「おい無視すんな」
「——————」
首領パッチのダル絡みを華麗にスルーした後、キャスターの体は無数の蝶となって、闇夜の空へと散っていった。
「……消えたわね。首領パッチ、一緒にシロウを助けに行かなきゃ‼」
「頑張れー。オレにはカンケーないけどー。じゃあの」
「え⁉ いや、首領パッチの———行っちゃった……。まぁいいわ、ワタシだけでも。キャスターがどれだけ強いかなんて知らないけど、バーサーカーは最強なんだから————‼」