やはり俺の戦姫絶唱シンフォギアはまちがっている。   作:亡き不死鳥

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一期分まで書き溜めて投稿すれば実質エタってないのではと考えたけど、エタってもモチベの維持がしたいので投稿。
テーマは『テンプレ』。

飛ばす場面も多いのでアニメ見てないと分かり辛いかも。
ついてこれる奴だけ付いて来い!の心で。








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戦姫絶唱シンフォギア
やはり俺の戦姫絶唱シンフォギアはまちがっている。


小さい頃から、歌が嫌いだった。

 

 

嫌いになるきっかけを、そもそも与えられずに育ってきた。

誰かが好きな曲を語り、それに誰かが共感する様を見たことはあれど、俺は共感することは一度もできなかった。

 

 

 

大きくなっても、歌が嫌いだった。

 

 

 

街中に流れている大ヒットソングが耳を掠めているのに、それが俺に与えるものはなにもない。

心になにも響かない。

 

 

 

 

奏でられるギターは嫌いではない。

鳴り響くドラムの音は嫌いではない。

静かに全体を調律するベースは嫌いではない。

 

ただ、歌が嫌いだった。

 

 

 

「ーーーーーー」

 

 

 

歌が、聞こえないから。

 

 

 

イケボだ美声だと囃し立てられる歌が、俺の耳には届かない。

歌い方がカッコいいと絶賛されるリズムは、俺がソレを刻むことを許さない。

 

耳が聞こえないわけじゃないのに、歌だけが聞こえない理由を医者の誰も教えてはくれなかった。

 

クラスの話題に入れない。

いやまあ歌が聞こえたら入れたかと聞かれたら微妙ではあるのだが、皆が話せる共通項に混ざれないというのは小さい頃から俺が人を避けてしまう一因になったのは確かだ。

 

幸いだったのは、俺が一人で日々を過ごしても平気な人種だったことか。

手をつなぐ必要はない。過ごす時間を共有する必要もない。ご飯を誰かと一緒に食べる必要もない。ソレが当たり前になっていたから。そんなこと、体験したこともなかったから。

 

 

 

 

 

 

 

♪Balwisyall Nescell gungnir tron♪

 

 

 

 

 

だから、その『歌』が聞こえてきた時俺が何を思ったのかを、俺は分からない。

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

「おにーちゃん、起きないなら置いてくよー!今日入学式じゃないの?」

「……あと五分」

「五分も待ってたら遅刻しちゃうよ!」

 

 

頭から被っていた布団を軽くめくりながら、働かない頭で時計の時間を確認する。あ、ほんとだ時間やっばいわ。あーでもなー、あと五分くらいなら大丈夫なんじゃないかな。顔洗って歯を磨いて着替えるだけだし…。

 

うん、いけるいける。あと五分。

 

 

「お兄ちゃんもう中学校卒業したんだからいつまでも妹に起こされなくても起きてよね」

「なんの、この男比企谷八幡は誰かに世話されないと死んじゃう人間だからな。高校生になった程度でお世話を辞められたら困る」

「はぁー。こんな(かいこ)にも劣る兄を持って小町は悲しいよ」

 

 

現在のこの朝の一幕を垂れ流しているのは、ちょっとばかり目が腐っているがどこにでもいるごく普通の高校生、比企谷八幡とその妹である天使小町である。

 

あの忌まわしくも悍ましい中学校という檻から三年の時をかけて抜け出し、次なる檻である総武高校に今日から出向かなくてはならない心境を雄弁に見せられていると思う。

 

 

「…にしてもこんなに学校に行きたくないなんてな。もしかしたら俺って呪われてるのかもしれない」

「お兄ちゃん、その目で何言ってんの…。むしろ呪う側じゃん」

「入学初日から妹が辛辣だ…」

「入学初日から兄が遅刻しそうなのと私も遅刻しそうなの!」

 

 

なら先に行けばいいのにと思うが、この妹様は俺の自転車の後ろに乗って行くことをすでに確定しているためかその様子はない。仕方がない、可愛い妹を遅刻させるわけにもいかないしいい加減起きるか。

 

 

「あ、やっと起きた。二度寝しないでね!」

「おー」

「あと明日風鳴翼のCD発売日だから帰りに買ってきてね!」

「おー。……おぉー?」

 

 

なんか唐突に関係ないことまで押し付けられた気がするぞ。

 

 

「おーい小町ちゃん?かざ、なんだって?というかCDくらい自分で買いにいけよ」

「風鳴翼!超人気アーティストじゃん!二年前ノイズのせいでツヴァイウィングってグループ名の二人組からソロになっちゃったけど、それでもその歌唱力でファンの心を鷲掴みしたあの!」

「いや知らんし。歌唱力云々で俺に覚えろって無理だろ」

「あー。…お兄ちゃんまだ歌が聞こえないの?」

「さっぱりだ。自分の歌すら聞こえないってんだからこの病気も筋金入りだよな。これのせいで俺が音痴なのか上手いのかも分かんないし」

「それって重要なの…?」

 

 

そう、俺は歌が聞こえない。物心ついた頃から誰かが歌った音だけすっぽり抜け落ちたように聞こえないのだ。伴奏だけがひたすら流れ、俺の隣では全員で口パクしているクラスメート達の姿があり、しかしてまともに歌ってるクラスメートからすれば口パクすらせずに歌わない俺は異様に見えたらしい。

 

だって歌えるはずないだろ?伴奏だけ聞いて歌詞を見るだけで歌を歌うなんて、訓練された歌手とかならともかく、ただの子供に出来るわけがない。その結果はただの黒歴史なので割愛しよう。ロクなことにならないなんて分かりきってるしな。ったく、完全に嘘だと決めつけて体育館に一人残されて歌わされるなんて最悪な思い出が…っと割愛、割愛です。

 

 

「……まあともかく!小町も今日入学式、明日は新入生歓迎会なんだけどそれの後片付けとか準備とか面倒くさいことがあるから、どれくらいで帰れるかわかんないの!お兄ちゃん暇でしょ?まっすぐお店に行ってくれれば買えるから!」

「いやべつにいいけどよ。つーか今時になってCDって…。色々便利なの増えてるんだからそっちで買えばいいのに」

「特典が違うの!ダウンロードじゃあ付いてこないのがいっぱい付いてるの!ほら!約束したところで、学校へゴーだよお兄ちゃん!」

「……へいへい」

 

 

だらだら話しながらも用意を終わらせた俺は、入学初日から妹と二人乗りを決め込むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アクシアの風好き
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