やはり俺の戦姫絶唱シンフォギアはまちがっている。   作:亡き不死鳥

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相変わらずクドい文章になりがち。さっぱりした文章書ける人尊敬ですわ。

ロリマリアさんと大人セレナの情報も出ましたね。セレナの好物がプリンからプリン体になってたのは笑ってしまいましたが。

あとアレ。セレナデカい。何がとは言わないけど、マリアさんよりデカかった。






やはり彼は愛を知らない。

「……この先か」

 

 

鞘をサーフボードにして空を飛ぶ。マムの連絡によるとどうやらドクターは暁や月読達の近くにいたらしい。元々暁や月読の探していない方を探していたこともあって、俺からはかなりの距離があった。

 

人目につくかもしれないが、まあ俺が被害を被ることは無いだろう。二課の情報統制にでも期待しておこう。

 

 

「後十分もあれば……っ、敵意!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴォォッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風を割いて空に消えていく物体。赤い先端をした兵器。

 

 

「ミサイル、だと!?」

「お前はぁぁあああ!!!!」

「雪音クリスか…」

 

 

…振り返れば雪音クリスがミサイルを乗りこなして一直線に突っ込んできた。しかも、なんか……めっちゃ怒ってる?

 

 

 

 

 

 

Bye-Bye Lullaby ♪

 

 

 

 

 

♪挨拶無用のガトリング!

 

 

♪ゴミ箱行きへのデスパーリィー!

 

 

♪ One,

 

♪ Two,

 

♪ Three !!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♪目っ障りだぁああ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

── BILLION_MAIDEN ──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ムカつくぐらい良い敵意だなおい」

 

 

ミサイルに乗りながら乱射される弾丸を新たに現出させた鞘で薙ぎ払う。弾圧で振り落とされないように姿勢を低くしながら相対した。流石に戦いながら進むのは難しそうだ。

 

雪音の目を見れば歯をむき出しにして吠えるように睨みつけてくる。なのに感じる敵意に悪感情が感じられない。誰かの為、何かの為に燃やされるような、優しい敵意だった。

 

 

「…出会い頭だな」

「お前、あの子に!小町に会っただろ!それで何か感じなかったのかよ!何も思わなかったのかよ!?」

「…さあ、な。まあ妹なんだろうなとは、不思議と思った」

「それで…っ!」

「でも、それだけだ。覚えてないし、止まる気もない」

 

 

小町の時にも感じた葛藤。だが葛藤の選択肢は【世界を滅ぼす】か【滅ぼさない】か、だ。それによって俺のこれからの動きも変わってくるだろう。キャロルへの義理とか、きっといろんな(しがらみ)に溺れながら進むことになる。もちろん滅ぼすなら何も考えずに進むだけだが、それでもきっと俺は考えながら生きるのだろう。

 

……詰まるところ。いくら情に訴えられようと俺が心震わせようと、戻るという選択肢がそもそも存在していないんだ。

 

 

「………家族を失った人間が、何を思うとか考えねえのか?大好きだった人達が急にいなくなって。撫でてくれた手が、笑ってくれた顔が、当たり前の愛情が無くなったあいつの悲しみとか苦しみとか、ほんとに何も思わねえのかよ!?何も感じねえのかよ!?」

「…………別に思わねえよ」

 

 

激昂しながら瞳の涙を零す雪音に、平坦に言い返す。誰かの為に涙を流せる、誰かの為に本気で怒れる。それが鞘から嫌というほど伝わってきた。嘘偽りのない感情だ、きっと彼女は優しいのだろう。

 

策を尽くし、言葉を尽くし、過去を想起して呼びかけているのだろう。でもその思いの丈の優しさが、俺の心に響くことは無い。

 

 

 

 

「…こちとらそんな愛情なんて、まるきり忘れてるもんでな」

 

 

 

 

味の知らない料理を思い出して笑顔にはなれない。見たことのない風景に懐かしさを覚えはしない。やったことのないギャンブルの中毒にはならない。

 

 

愛情なんて、知らねえよ。

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

sideクリス

 

 

 

 

 

………苦い。こんな時でさえ、苦い思いが心に広がる。八幡へ銃を向けていること、小町の涙を止められなかったこと。助けられた恩があるのに、誰にも彼にも何一つだって返せない自分の不甲斐なさ。

 

…知られたくなかった。小町に八幡が生きていることを。忘れていると知ったら、泣いてしまうと思ったから。

 

したくもない共感があたしにはできる。家族を失った悲しみへの共感を、あたしはできてしまう。胸に空いた虚無感も現実に心がついていかない感覚も。大切な人がいないまま過ぎる日常の不快感も。

 

全部、全部分かっちまう。その感覚に必死に慣れてきた時に、自分を忘れた大切な人が現れたら。

 

………もしもパパとママが生きていて、そして、拒絶されたら。そう、思ったら。誰だと言われたら、他人行儀に接しられたら、本人達に誰の子だと聞かれたら……。

 

…心が、折れかねない。

 

 

(あんまりだろ、頑張ってるあの子にこの仕打ちは。あんまりにも、あんまりじゃねえか!)

 

 

…ただ、当たり前に遊ぶ予定だったんだ。放課後に待ち合わせした場所に小町が来なかった。連絡しても反応がなくて、あいつの学校へ向かって探していた時に泣き崩れているのを見つけた。

 

寝床以外じゃ強がりでも明るく笑ってみせた子が、人前で枯れない涙を流している。尋ねて抱きしめて、語られた事実を聞くたびに何度自分をぶん殴ってやりたかったか。

 

 

 

『……お兄ちゃんに、会ったの。生きてた、ほんとに生きてた』

『お前…知って…』

『だけどやっぱり、戻ってきてくれないって。どっか、行っちゃった』

『…………やっぱりって、なんだよ。…やっぱりって!!お前なら、家族なら!きっとアイツにも…!』

『思い出さなかったら、無理だよ…』

 

 

グシッと袖で涙を拭って。目を真っ赤にしながら、小町が笑ったんだ。

 

 

 

『…知ってるんだ。家族だもん』

 

 

 

再び溢れる涙を何度も、何度も拭いて顔を擦る。その目があたしを写すことはなく、ただ涙の先にいる八幡の姿を追いかけていた。

 

 

『……っ』

『ごめんね。小町、遊びに行けそうにないや。今日は帰る、ね。ほんと、ごめんね…』

『………』

 

 

ごめんねと。涙を流しながら言うんだ。

 

違うだろ。なんでお前が謝ってんだ。お前が言うのは今まで全部黙ってたあたしへの文句や罵倒だろうが。謝るべきなのは、何一つお前を支えられていないあたしだろうが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全部あたしの台詞(セリフ)だろうがっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

咆哮。大型小型ミサイルにガトリングを乱射する。ミサイルを乗りこなしながら方向転換を行い距離を詰める。それでも八幡はブースター付きの鞘を乗りこなしては躱し、または鞘そのものを盾として凌いでくる。

 

そうして鞘をどけて顔が見えるたびに、あたしの知っている比企谷八幡がどんな奴なのかが分からなくなる。

 

…知らないんだ。八幡のことも、小町のことも。手を差し伸べてくれた二人のことを、あたしは何も知らねえんだ。どうして友達になろうと言ってくれたのかも、あたし達を繋げた時に何を思っていたのかも、何もかもを知らない。

 

…これからだったんだ。全部、これからだったのに!!

 

 

 

 

 

♪撃鉄に込めた想い!

 

♪あったけぇ絆の為…

 

 

♪ガラじゃねえ台詞、

 

♪……でも悪くねぇ

 

 

 

♪「イ・イ・子・は・ネンネしていな!」

 

 

 

 

 

通ったことのない学校、毎日変わる日常、預けたことのない背中を守ってくれるあったけえ絆。そいつら全部を今、あたしは少しずつだけど知り始めた。

 

そんな未来には当たり前にお前がいて、小町がいて。これから作るあたしの世界で、お前たちが繋いでくれた手だけが紡ぐ物を見つけられると。そんな夢のような時を信じていたのに。

 

 

…夢なら、これがクソッタレな夢なら。

 

…悪夢を見せるなら、あたしだけにしてくれればよかったのに。

 

 

 

「…わかんねえ!わかんねえよ、お前が!あの子泣かして元の居場所片っ端からすっぽかして!お前はいったい、何がしたいんだ!どこに向かってんだよ!?」

「……何度も言ってるだろ。世界を救う、それだけだ」

「記憶なくしてすぐさま立てる目標が世界救済だぁ!?その薄っぺらい理由ってのが、家族悲しませてまですることなのかよ!」

「………」

 

 

ライフルを取り出し、ど真ん中に狙いをつける。スコープの先では、未だ無感情にこちらを見つめる八幡の顔。

 

…まるで何一つ言葉が届いていないような顔に、ただただ声を、想いを張り上げる。

 

 

 

 

「……産んでくれた両親苦しませてまで、することかって聞いてんだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

♪Hyaha!Go to hell!

 

♪さぁスーパー懺悔タイム!

 

 

♪地獄の底で閻魔様に、

 

土下座して来い!

 

 

♪Hyaha!Go to hell!

 

♪もう後悔はしない!

 

 

 

 

 

 

 

 

…家族が死ぬ。それは生きてる家族を、残された人間の未来を変えちまう大事だ。パパとママを殺されて心をすり減らしたあたしのように、八幡が消えて毎晩涙で目を濡らし続けた小町のように。

 

…だけどまだやり直せるんだ。記憶が無くなった程度であの人達がお前を厄介者扱いするはずがない。もしされたってあたしが全部面倒見てやる。

 

あたしだけじゃなくあのバカやおっさん達だって、みんなみんなお前の力になってくれる。記憶なくしたままテロリストの一員が誰かの為に動けるお前の末路だなんて、そんなのあんまりじゃねえか。

 

もしもあの日、ルナアタックの日。あたしがお前のそばから離れなかったら、もっと優しい未来にお前を連れて行けたかもしれない。傷だらけで落ちたあたしの元に駆けつけてくれたお前の言葉を、あたしは一度だって忘れてないんだ。

 

 

(…歌、楽しみにしてるって言ったの。忘れてないからな)

 

 

…そんな思いを歌うけれど。この歌も想いも、お前に届きはしないんだろう?お前がいた場所で、お前がいたはずの居場所で、あたしはお前の聞こえない歌を歌うんだ。

 

 

そんでさ、歌うたびに思うんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

♪ 『守るべき場所』が出来たから…

 

 

 

 

 

 

 

ほんとなら………。

 

 

ほんとならお前だって………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♪ もう逃げなぁぁい!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(お前だって、『守るべき場所』の一つなのに…)

 

 

 

 

 

 

…何度目かのミサイルを放つ。それはあっさり鞘に吹き飛ばされてしまうけど。

 

もしもここで永遠に歌い続けたら、一瞬くらいは聞いてもらえるんじゃないかなんて夢想しながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴォオオオオオオ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ、なんだ!?」

「……虹色の、竜巻?」

 

 

そんな願いをぶち壊すかのように、遠くから巨大な色彩のある竜巻が空の雲を薙ぎ払った。自然現象ではありえない。それどころか、あたしはそいつに見覚えがあった。

 

 

「絶唱……S2CAだと!?馬鹿な!あれは三人の息を合わせてようやくなんとかなるコンビネーションだぞ!?」

「絶唱で、三人?今の装者で三人…。…まさか暁と月読か?」

「………S2CAはあのバカの腕、アームドギアの存在が不可欠だ。アイツ、暴走したばっかだってのに無茶しやがって!」

 

 

無理無茶無謀の大馬鹿なのは知ってるが、絶唱なんて気軽にやるもんじゃない。何より相手に放たず空に放つなんて何が起きてるのか分かったもんじゃないが、あのバカが関わってる時点で厄介ごとの香りがしやがる!

 

 

「……………」

「……行き先はたぶん同じだ。攻撃してこないなら邪魔はしねえよ」

「……でも、あたしはお前を…」

「そうかよ」

 

 

…お前を連れ戻す。そんな言葉を言うはずの口を遮って、相対していた身を翻し八幡が竜巻の上がる場所へ加速した。

 

 

「なっ、待ちやがれ!」

「行き先だって言っただろ。逃げてるだけだ、好きに追えよ」

「…ちっ!」

 

 

…スコープの照準から八幡を外し、ミサイルの行き先をあたしもあのバカの元へ修正する。良いことが起きない時は、いつだって立て続けで悪いことが起きるんだ。

 

 

(……無事でいてくれよ)

 

 

胸騒ぎの消えない焦燥感。自分の無力と共に味わうそいつは、格別に苦かった。








戦闘描写を歌でだいたいカットしちゃってる感。戦ってると言うより心理フェイズ敢行してるような気がしてきます。

戦闘描写下手だからね、仕方ないね。

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