やはり俺の戦姫絶唱シンフォギアはまちがっている。   作:亡き不死鳥

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佳境が近づく度に色んな妄想走るけど書くこと決めてある奴を書くタイミングがとても難しい。楽しい。

久々にXV曲ぶっ通ししたら哀愁に浸ってしまいました。シンフォギアアニメ終わっちゃったんだよなぁ…。つら…。





指をすり抜ける君の左手

side未来

 

 

 

 

 

………。

 

……ずっと。

 

…ずっと思っていたことがある。

 

 

どうして私は、シンフォギアを纏えないんだろう。

 

 

親友がシンフォギアを纏っていつも人助けをしている。ノイズという常人では助けられない特別な力を持って誰かを助ける。それは誇るべきで、何より一番響らしい、私の大好きな輝きだった。

 

だから響が悩んでいたら、苦しんでいたら、辛かったら、悲しかったら。私が誰よりも早く助けてあげたい。誰よりも分かってあげたい。誰よりもそばに居て、誰よりも癒してあげたい。

 

そう思うのは、当たり前だった。

 

 

「ねえ響、久しぶりに二人っきりで出かけない?」

 

 

誰かを助ける為のシンフォギアが響の身体を、命を蝕んでいる。それを告げられて、悲しんだ人たちは大勢いる。翼さんやクリス、そう見せないように努めてくれているけれど弦十郎さん達もみんな響を助けるために必死になってくれている。

 

みんなが響の命を大切に思ってくれた。

 

でも響だけは、命よりも誰かを守る力を失う事を恐れているのも分かってる。

 

知ってるから。守りたい誰かを守れない辛さは、知っているから。

 

シンフォギアを纏う響を、纏えない私は守れない。いつだって「ちょっと行ってくるね」と、誰かを助けに行く響の背中を見送っては「おかえり」と笑って傷ついた響を受け入れるのが私。

 

その傷を未然に防げない。響はそれを誇るように笑うけれど、その傷を付けたくないと、失くしたいと私は思った。

 

 

「水族館にスカイタワー!楽しみだね、未来!」

「うん!行こ、響」

 

 

シンフォギアを纏わなければ響の命を蝕むものを抑えていられる。だけどそれは、ほんとならいつも通りの変わらないもののはずだ。数ヶ月前までは響は一般人で、ギアを纏わず、道端で困ってる人がいたらすぐ駆けつける困ったさんで、笑って、元気で、勉強が苦手で、触れるとあったかくて、太陽みたいに輝く人。

 

ギアがなくても響は響で。そんな響に救われた人は、沢山いるって私は知ってる。

 

だから、大丈夫だよ。

 

響は、響だから。

 

 

「おぉ…クラゲ…。漂ってる…」

「ふふ、家にいる時の響みたい」

「え、私こんなふわふわしてる!?」

「してるよ。暑い日とかそっくり」

 

 

………だけど、それを受け入れるのが辛いことも知ってる。

 

私が響を守りたいのと同じように、響は困ってる人みんなを守りたいと思ってる。だからきっと響は私と同じ事を考える。

 

 

……ああ、シンフォギアがあれば、って…。

 

 

シンフォギアがあれば、()誰か()を守れるのにって。手の届かない夢を見つめながら、それは残酷なまでに現実で。助けられない君を、何度だって苦悩する。

 

 

「………」

「…響?…………響」

「………」

「………」

 

 

…話しかけても上の空。最近、よく響はこうして考え事をして声も届かなくなる。その心の中が透けてしまいそうで、私は飲み物を買いに自動販売機に向かう。聞きたいことも知りたいこともあるけど、今日はなし。

 

……慰めの言葉は届かない。私がそうだったから。心が納得してくれないんだ。ギアがなくても出来ることがある、そばに居るだけで嬉しいんだ。だから私が聞きたいことも知りたいことも、今日はなし。

 

…そんな言葉で納得できないから。

 

だからずっと、思い続けてる。

 

 

……シンフォギアがあれば、って。

 

 

それは、今だって変わらない。響がギアを纏えなくなってさえ、私のこの想いは変わらない。

 

響を守りたい。響に傷ついてほしくない。響を助けたい。響の力になりたい。戦ってほしくない、泣いてほしくない。

 

…守る力が、欲しい。

 

 

「……えい」

「うっひゃぁああ!?」

「ちょっと、大きな声出さないでよ」

「うぇぇ…?冷たいジュース急にほっぺされたら誰だって声出ちゃうって」

「考え事ばっかしてるからでしょ。せっかく二人で出かけてるのにずっとつまらなそうな顔して」

 

 

…だけどそれも、二人でならきっと乗り越えられる。一緒にいる、響を戦わせない、響をこれ以上苦しませない。

 

誓った。きっと響はいざ困っている人が現れたら、自分の事なんて気にせずにギアを纏おうとする。見なくたってわかる。確信もある。

 

……隣を見る。笑う響の姿。

 

ずっとこのままでいい。そばに居れば、手を繋げる。困っている人がいたら、一緒に助けられる。危ない所に行こうとしたら、止められる。

 

もう。行ってらっしゃいを言えなくても。

 

その代わりに、ずっと一緒にいるから。

 

 

 

 

「ノイズだぁあああ!!!」

 

 

「……っ!」

「ノイズ!?」

 

 

 

 

…例えこうして、何かが私たちを引き裂こうとしても。

 

隣なら届く、止められる。

 

 

「行かなきゃ!」

「だめ!」

「未来!でも行かなきゃっ…」

「この手を離さない!響を戦わせたくない!遠くに行って欲しくないの…」

 

 

悲鳴。走り出す人達。スカイタワーの展望台から、既に周囲を飛び回るノイズの姿が目視できた。今までだったら響が助けてくれた。でも今の響は、これ以上戦ったら死んじゃうから。

 

まるで反射のように戦おうとする響の手を掴み、必死に止める。

 

知ってたから、絶対に離さない。走り出すと、知っていたから。人助けをしようとするって、知ってたから。

 

 

「……逃げ遅れた人がいるかもしれない」

「だけど…」

「胸のガングニールを使わなければ大丈夫なんだ!だからっ…」

「響…」

 

 

逃げようよ、って。言いたかった。

 

…言えなかった。

 

誰かを助けようとする君が。誰かの為に走ろうとする君が。私の目を見つめる君が、シンフォギアがなくったって変わらない太陽であり続ける君が。

 

ずっと変わらない、大好きな顔をしていたから。

 

やっぱり響は、響だったから。

 

 

「大丈夫?みんなと避難すればすぐお母さん見つかるから!」

「ほらほら、泣かないで。もう少し頑張ろ」

 

 

ノイズの騒動ではぐれた子供を響と一緒に誘導しながら、きっと場違いな事を考える。

 

…シンフォギアがあれば、直ぐにでも響やこの子を安全な場所に運んであげられるのに。

 

ノイズが周囲を飛び交うここは、どう考えたって安全な場所じゃない。だけど走って逃げるのは子供が転んでしまうかもしれない。抱えて走るのは、私たちじゃ階段は危険だ。

 

…だけど、この考え方は間違い。だって普通の人達はそんなこと考えない。知っているから、勝手に求めてしまうだけ。助けられる力を、私は持ってない。響に使わせる気もない。

 

 

「大丈夫ですか!?」

「あ、この子がはぐれちゃってて!」

「分かりました、連れて行きます!あなた達も避難を!」

「「はい!」」

 

 

非常口からスカイタワーのスタッフさんらしき人が子供を抱えてくれた。危なげなく抱えていく後ろ姿。降りて逃げ切るまで油断はできないけれど、あの子供は響がいなければきっと……。悪い想像は、間違っていないだろう。

 

…こうやって。そう、シンフォギアが無くたって響は人を救っている。

 

響のおかげで笑える人がいるって私は知ってる。私だから知ってる。ずっと隣で、一番そばで、君を見続けて来たから。

 

…なにより、誰より、響に救われてきた私だから。

 

 

「…っ!天井がっ!」

「危ない!響!」

 

 

スカイタワーの展望台で、ノイズが周囲に居て、崩れた天井が出口を塞いで、巻き込まれかけた響を庇った時に擦りむいた傷が痛くて。

 

そんな時でさえ響と一緒なら怖くない。

 

 

「大丈夫?」

「う、うん。未来が守ってくれたから…」

「……。…ねえ、響」

 

 

不安そうな顔をしないで、大丈夫だから。シンフォギアを纏えなくたって、響は響だから。誰よりも私に必要で、誰よりも頼りにしてる。世界で一番優しいヒーローなの。

 

変わらなくて良いの。変わらなくたって、太陽の輝きは変わらない。

 

………だから。

 

……変わらなくちゃいけないのは、私の方。

 

 

「……ぁ!?」

「…!?響…!!」

 

 

……崩壊が、迫った。

 

足元が崩れ、足場を無くした響が空中に放り出される。

 

だけど掴めた。握った手に力を込めながら、響を見る。崩れた展望台から地上が見える。手を離したら響はそのまま地面に真っ逆さまだ。

 

………また、思う。

 

私が、シンフォギアを纏えたら。

 

きっと、助けられたのに。

 

 

「未来!ここは長く持たない!手を離して!」

「だめ!私が響を守らなきゃ!」

 

 

…変わらなきゃいけないのは、私の方。

 

いつまでも守ってもらってばかりで、守れる私になれない。響はシンフォギアが無くたってたくさんの人たちを助けているのに、私は隣にいる親友一人も守れない。

 

正義を握りしめ立つ花を、いつも見て来たのに。伸ばした手はいつだって、守る為に握りしめているのに。

 

 

「……いつか」

「……」

「いつか本当に私が困った時、未来に助けてもらうから。…今日はもうちょっとだけ、私に頑張らせて?」

「………っ」

 

 

……握る手の感覚が、なくなってくる。一人を持ち上げる力が無くて、握り続ける響の左手が、私の右手から消えていく。それでも貴女は笑って、安心させるように微笑みを向けてくれる。

 

………ああ、まただ。

 

……また。

 

…また、響を守れない。

 

 

「……………わたしだって…」

 

 

涙が溢れて、止まらない。たったと一つの誓いも守れなくて。たった一人の親友も守れない。

 

願いも想いも同じなのに。

 

たった一つだけで良いのに。

 

たった一人を守れれば良いのに。

 

…ずっと、見て来たから。

 

ずっとその背中を追い続けて来たから。

 

……私だって。

 

…私だって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…私だって、守りたいのにっ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………指をすり抜ける、君の左手。

 

…地面に、落ちていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「響ぃぃいいいいい!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………空中で、黄色い閃光が走る。シンフォギア、響の纏うガングニール。響の心臓を蝕むガングニール。だけど私に助けられない響を助けてくれる魔法の力。

 

…また、響に全部背負わせてしまった。命を削りながら人を助ける彼女は、あの輝きでいったいあとどれだけの時間世界を照らせるのだろう。君一人だけには背負わせたくないと叫びながら、いつだって笑って傷ついていく。

 

 

「………響」

 

 

展望台がさらなる崩壊を迎えていく。近くから聞こえる爆発音が、この場所の限界を教えるように鼓膜を揺らす。

 

この場所にいたら、死んでしまう。

 

 

「…逃げないと」

 

 

悲しみも後悔も、慣れ親しむくらいには感じきった。だからこのまま座り込むことだけはできない。

 

誰かが死んだら、悲しいから。

 

大切な人がいなくなっちゃった悲しみを私は知ってるから、それを響に背負わせるなんてできない。一ヶ月泣いたくらいじゃ足りない悲しみを、何度お墓にに行っても癒えない涙も。ハの字に歪む君の顔を、見たくないから。

 

 

「………でもどこに…っ!?」

 

 

ガガガガッ!っと、何処かからここへ向けて破壊する音が近づいてくる。ノイズ、にしては断続的で重量感のある音。

 

目の前の瓦礫が飛び散っていく。下から巨大な何かが飛び出し、降り立った。

 

……シンフォギア。黒いマント、巨大な槍。ピンクの髪を靡かせて頬を血に濡らす、マリアさんだった。

 

全世界に宣戦布告したテロリスト。文化祭で歌っていた調ちゃんや切歌ちゃんと同じで、そして。

 

……八幡くんも、同じ組織だって。

 

………でも。

 

……でもその瞳は、燃えるような意志に冷たい決意。それと…。

 

…誰かのような。隠しきれない優しさが、私の姿を射止めた。

 

 

「……」

「………。死にたくなければ来い!」

「…はい!」

 

 

伸ばされた手を躊躇いなく掴む。もう一人抱えられていた女の人と一緒に抱えられて空を跳ぶ。数瞬後に元々いた場所が爆発で吹き飛んだのを感じながらまた、同じように傍を羨んだ。

 

 

(……私だって、こんなふうに…)

 

 

………また、守れなかった。

 

 

「…響」

 

 

 

 







大体重い。原作なぞってるだけなのに重い。書いてて思ったけど未来さん置いて一人だけシンフォギア纏って戦える人間になってる八幡あかんのでは?

死から遠のいて喜ぶけど嫉妬するだろうしそれを含めても戦場で死に近づいてるから心配するだろうし未来さんは可愛いな?
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