やはり俺の戦姫絶唱シンフォギアはまちがっている。   作:亡き不死鳥

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お久しぶりです。エタッてないです。

シャニマスのグラフェスを真面目にやってみようと思い立ち頑張りまくって一ヶ月。カードが全然足りなかったので戻って参りました。エタッてないです。グレ5で限界。貧弱Pは大人しく二次創作頑張ります。エタッてないです。

筆をとるのが久しぶりなのでちゃんと慣らしてきます。


あらすじ:未来さんがF.I.S.に誘拐された。マリアさん吹っ切れた。たぶんほんとは吹っ切れてない。






やはり少女は過ちを辿る。

「………」

 

 

エアキャリアへと合流を果たした後、船内の一室に全員が集まっていた。暗い沈黙、爆発寸前の爆弾のようなマリア。

 

頬に濡れた血飛沫がその重みを感じさせる。スカイタワーの一部で死にかけていた黒服が原因なのだろう。血に染まる道を進んだとはいえ、軽々にそれを受け入れることは難しい。

 

道の入り口しか知らない俺に、測れるものでもないだろうが。

 

 

「……この手は血に穢れて…。セレナ…私はもう……」

 

 

エアキャリアの窓ガラスを殴りつけ、感情的に嗚咽を零すマリア。それを不安げに見守る月読と暁。それから目を逸らすように顔を晒すマム。

 

誰も彼もが痛ましい姿に触れるか触れないかを決めかねるように思案を重ねていた。事情を知らない暁と月読からしたら出かけて帰ってきたらこの有様。マムからすれば自分の選択により流れた涙へかける言葉の模索を。俺は俺で何一つかける言葉はない。ただ部屋の隅で経過を眺めていた。

 

 

「……教えてマム。いったい何が…」

「それは僕から説明しましょう」

「ドクター…」

 

 

ひっそりと追及を口にする月読の言葉を遮り、先ほどまで部屋から離れていたドクターがこの場で一人だけ楽しそうに話し出す。

 

 

「ナスターシャは十年を待たずに訪れる月の落下より一つでも多くの命を救おうという私達の崇高な理念を、米国政府に売ろうとしたのですよ」

「マム…?」

「本当なのデスか…?」

「それだけじゃありません。マリアを器にフィーネの魂が蘇ったというのも、飛んだ出鱈目。ナスターシャとマリアの仕組んだ狂言芝居」

「そんな…」

 

 

ある程度当たりをつけていた俺と違い、月読と暁からしたら寝耳に水の真実。信じていた相手の大き過ぎる裏切り。レセプターチルドレンというフィーネの器といつ因果な楔を、器を偽ると言う方法によって信用を切って捨てた。

 

疑うということすら知らないような無垢な少女達へ、大人の汚さを裏切りという残酷を塗りたくる行為。二人の視線が縋るようにマムとマリアを交差する。

 

 

「……ごめん。二人とも、ごめん…」

 

 

しかしマムは目を伏せ、マリアは背を向けたまま謝罪をただ投げかける。それが如実にドクターが語る言葉が真実なのだと裏付ける。今まで信じきって頼りきった。誇れる大人達二人の虚偽は二人に強く刺さるだろう。

 

一度芽生えた疑いは消えない。一度嘘をつかれた人間は、また嘘ではないかとの疑いを常に持つようになる。それが続く限り、今回のようなマムの諦めのような事態は起こせないだろう。

 

…その代償は、この組織においてはかなりの重荷となるかもしれないが。

 

 

「マリアがフィーネじゃないとしたら、じゃあ……」

「僕を計画に加担させるためとはいえ、あなた達まで巻き込んだこの裏切りはあんまりじゃありませんか?せっかく手に入れたネフィリムの心臓も無駄になるところでしたよ」

 

 

感情を煽るように語るドクターの声に詰まる二人。それでも積み重ねてきた信頼に持たれるように暁が睨み返す。

 

 

「…マム、マリア。ドクターの言ってることなんて嘘デスよね?」

「……本当よ。私がフィーネでないことも、人類救済を一時棚上げにしようとしたことも」

「そんな…」

「マムはフロンティアに関する情報を米国政府に教諭して協力を仰ごうとしたの」

「でも米国政府とその経営者達は自分たちだけ助かろうとする悪い奴らだって…」

「そして切り捨てられる人達を少しでも守るため、世界と敵対してきた筈デス!」

「………」

 

 

一番初めに掲げられた大義名分。誰もが成し遂げれば気持ちの良くなるような善行善行善行。悪に身を落としてもお釣りがが来るような英雄誇示。

 

それはF.I.S.という閉ざされた世界で生きてきた子供にとって、救いの光だったに違いない。なんせこの世で、誇張なく最も信頼できる大人達がそう告げたのだから。

 

これからは縋ってきた言葉を信じられなくなる。

 

『だって、マムがそう言ったから』。

 

マムが言ったから世界を救おうとして。マムが言ったからシンフォギアを振るい。そして、マムが言った()()それを諦めようとしたのだと。

 

 

「……あのまま交和が結ばれてしまえば、我々が持つ優位性は失われることになる。だから貴方はノイズを放ちあの場を会議の場を踏み躙ってみせた。違いますか?」

「嫌だなぁ。悪辣な米国政府から、貴方を守ったんじゃないですか。このソロモンの杖で!」

 

 

マムに向けられたソロモンの杖の鋒から庇うように暁と月読が構える。今にもシンフォギアを纏ってドクターを殴り飛ばしそうな勢いだ。ちょっとやって欲しい。

 

……いや、ほんとにやりそうだな。動けるようにしておくべきかもしれん。勢い余って殺されても困る。半殺しまでにおさめてほしい。

 

 

「……」

「マリア!?」

 

 

しかしドクターの前に、俺ではなくマリアが立ち塞がる。決別を告げるかのように、両手を広げてマム暁月読の三人と対峙した。ちなみに俺はドクターのさらに後ろに陣取って陣営の表明は明確にしてたりする。

 

 

「……偽りの気持ちでは世界は守れない。セレナの想いを継ぐことなんてできやしない!全ては力…。力を持って貫かなければ正義を為すことなどできはしない!世界を変えていけるのはドクターのやり方だけ!ならば私はドクターのやり方に賛同する!」

 

 

フィーネの歌話を自称し、語るべくもない偽りの感情を捨て去ったマリア。こう言っちゃあれだが、ドクターのやり方は真っ当なものではないだろう。

 

ソロモンの杖での虐殺を躊躇わない残虐さ、その頭脳を余さず使いこなす冷酷さ。しかしそれらは失敗を加味しても十二分に成果を発揮していた。マムがフィーネの器をでっち上げてまでドクターを作戦に参加させるだけの価値を示していたのだから。

 

 

「……で、期待を受けてるみたいだが。この先の展望はあるのか?」

「もちろん。計画の修正は必要ですが、我々の前に打ち立てられた氷山を破砕するロジックは完成済みです」

 

 

問いかければこうもあっさりフロンティアの浮上を不可能としていた現状を打破する作戦を立てている。たった数日の足踏みを挟むだけでこれだ。

 

作戦の実行にこそシンフォギアというアイテムを使いこなす人間が必要だが、ブレインのポジションはドクターの独壇場だ。もしもここでマムとドクターのどちらか片方にしかついていけないとなったら、俺は迷いなくドクターに続くだろう。

 

 

「……分かりました」

「マム…」

「それが偽りのフィーネではなく、マリア・カデンツァヴナ・イヴの選択なのですね」

「……」

 

 

道筋を示さない船頭は降ろされるのみ。山に登るわけにもいかないんでな。

 

二人いたリーダーのうち一人は身を引いた。ここからはドクターの好き放題。暁と月読の存在が気になるが、行く当てもなく病気を患っているマムを置いて船を降りる選択肢はないだろう。

 

こうして。俺達は各人望まぬ形ではあろうが、また一つの組織になったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

るんるんのドクターに曇った四人という、メンタル面を考えれば損失特大のぶつかり合い。マリアはドクターにつき、マムの権威は失墜。暁と月読にみんなを引っ張るカリスマや知能がない以上これで計画のズレは小さくなった。

 

後の問題は……

 

 

(もう一人の船頭を下ろすタイミングか…。下手したら、取り返しがつかないかもな)

 

 

ドクターは既にフロンティア計画の指針を取る方法はできたと言っていた。つまり出力の足りないシェンショウジンを扱えるようになったということ。

 

一日二日でそう変わるわけも無いはずだが、あのドクターがあんなノリノリに嘘をつくとは考えづらい。つまりこの短期間で得た新たな可能性、マリアが助けた黒髪少女を活用するのだろう。

 

そこに関して俺が手を出す必要はない。しかしこのままズルズルと手を出せないまま進む可能性が高いのが問題だ。

 

 

「…シェンショウジンでフロンティアを復活させてネフィリムの心臓で操作する。問題はどっちもドクターにしかそれができないことだな」

 

 

黒髪少女はリディアン所属らしいが、あそこは元からシンフォギアの適合者を探す側面のある学校だ。しかしかつて二課に所属していたフィーネが装者として彼女を活用していない時点で望み薄な気もするが、ドクターにしかわからない何かがあるのだろう。

 

ネフィリムの心臓についても、本体じゃなくていいのかよというツッコミを入れたくなるがそれもドクターにしか活用できない以上口を挟めない。

 

つまるところ、いつドクターを止めても計画に支障が出てしまうのだ。今すぐ止めたらシェンショウジンで詰む。シェンショウジンの輝きでフロンティアを復活させた時点で止めてもネフィリムの心臓を使えず詰む。ネフィリムの心臓でフロンティアを操作したタイミングで操作権を奪い取るのが今のところ最有力候補…だが…。

 

 

「その操作すらドクターにしかできなかったら……詰む」

 

 

…その場合、介入するタイミングが消える。計画を成功させるのはもちろんだが、ドクターが将来的に振り撒くだろう破壊は止めなければならない。しかし現状落ちゆく月の落下は食い止めなきゃいけない。

 

ドクターの破壊を見過ごせない。しかしドクターなしで月の落下を阻止しなければいけない。だがほぼ確信に近いが、ドクターはその詰めを行なってくるだろう。

 

協力しようなんて互いに言い合ったが、俺もドクターもお互いを信じるなんてこれっぽっちも考えちゃいない。むしろいつ切り捨てるかの算段を俺は、そしてドクターもしているに違いない。

 

降って沸いた出来すぎた幸運は罠と相場が決まっている。作戦前に突然現れたシンフォギア装者を警戒しない訳がないだろう。ここからは俺は常に切り捨てられる覚悟を、ドクターは切り捨てられないポジション作りを常に行う必要がある。

 

シェンショウジンが使えるようになったなら、もうこの計画に俺という存在の必要性はない。どこかで切り捨てに走るはずだ。そして早期の切り捨てを防ぐためにドクターはフロンティアの支配権を独占するだろう。

 

これは確信に近い。今までのドクターの頭脳を考えれば平然と俺の予想を超えてくるだろう。味方のドクターは信用も信頼もできないが、敵に回った時に襲いくる思慮の深さを侮ることはもはやあり得ない。

 

 

(その為には、マムの助力が必要か)

 

 

トップからドクターに蹴落とされたなら、今度は一船員としてドクターをトップから引き摺り下ろす手伝いをしてもらおう。フロンティアに最も詳しいのは他でもないマムだ。そこから光明を見出す。

 

所詮全てが終わればどの陣営からも唾吐かれる蝙蝠なのだ。勝ち陣営に着き続ける蝙蝠より愚かしく、負け陣営にひたすら着いて下克上を起こし続けよう。

 

そんで最後は一人勝ち、ってな。

 

 

(ドクターがシェンショウジンの準備を終わらせる前にマムと話をつけないと)

 

 

着々と最後の時を考えていると、フッと小さな人影が通路を遮った。

 

 

「………八幡」

「あ?月読か。どうした?」

「………。話が、ある」

 

 

……蝙蝠も楽じゃないかもしれないな。







書かないと衰える。全てに共通ですね。脳味噌が他ジャンルに侵略され始めるのが一番の問題。頑張る。
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