やはり俺の戦姫絶唱シンフォギアはまちがっている。   作:亡き不死鳥

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小説書きながら寝落ちしたら推しといちゃつけたのでこれからは書きながら寝ます()
あ、書き方ほんの少し変えました。

クリスちゃん可愛い。調を早く書きたいよぅ…。


やはりコーヒーは甘い方がいい

路地裏

 

 

 

「悪いな、奢ってもらっちまってよ」

「いやそれは別にいいんだが…」

 

 

結局少女のにんまり笑顔に敗北し、コンビニでパンやら牛乳やらを購入して少女に捧げていた。路地裏で倒れて腹を空かせた無一文とか厄介事でしかないが、自分から声をかけてしまった以上仕方ないかと割りきることにしただけだが。

 

 

にひへもひょ(にしてもよ)…」

「食べながら話すんじゃありません」

 

 

あんぱんを口に咥えながらもごもご喋る少女に思わず突っ込んでしまう。可愛い顔の頬を膨らませながら話す姿も愛嬌があるが、いかんせん行儀が悪い。普段なら気にもしないはずなのに目の前の少女がやってるとなんかハラハラする。気分は年下相手と変わらなくなってきた。

 

 

「…んぐ、ぷへぁ…。にしてもよ、よくもまあわざわざ声かけようなんて思ったな。起きたら目の前に腐った目があったからちょっとビビったぞ」

「ビビった反応じゃないだろあれ。むしろ下手な事したらぶっ飛ばす的な目だった気が…」

「へっ、まあな!あたしは強いから、ゾンビの一人や二人なんの問題もねーのさ!」

「ゾンビ扱いされる俺のメンタルに問題があるんだが…」

 

 

しかし食べている最中は少女に苦悶の表情は見られない。先程まで蹲っていたのも、今では大きく胡座をかいてガツガツ飯にありついている。流石に腹が減っていたでは言い訳できないくらい苦しんでいたが、まあ元気になったなら何よりだ。渡したマックスコーヒーの味が少女に合うか分からなかったから牛乳を買ってきたが、それが正解だと言わんばかりにマックスコーヒーに手を出さないのは気がかりだが。

 

 

「……つか飲まないならそれ返せ」

「ん…?ああこれか。いやこうまで警告色だとなんか手を出し辛くてな…」

「はっ。MAXコーヒーを飲んだことがないなんて、さてはお前真の千葉県民じゃないな?」

「たしかに千葉県民ですらねえけど、真や贋があるのかよ…」

 

 

胡乱気な視線を向ける少女がコーヒーの缶をツンツンしているのでスッとMAXコーヒーに手を伸ばすと、スススッと手から引き離すように缶を遠ざけられた。警戒、というより知らないものに対する得体の知れない恐怖を感じているだけで興味はあるらしい。まあ無駄にされるのが嫌なだけで飲むつもりなら別にいい。手を伸ばすのを諦めた俺は鞄からコンビニに行くついでに買ってきた新たなMAXコーヒーを取り出した。

 

 

「……何本あんだよそれ!」

「マッカンは千葉県民にとって酸素みたいなもんだからな。むしろ酸素より効くまである」

「酸素を薬か何かと勘違いしてないか?」

「うめえ」

「聞いちゃいねえ」

 

 

ゴクゴクと音が鳴るほどMAXコーヒーを飲み込めば、口の中に暴力的なまでの甘みが広がる。ブラックコーヒーに唾の代わりに砂糖と練乳をふんだんに掛けまくったようなこの味が俺を生きていると実感させてくれる。多分ゾンビになってもマッカン飲めば甘過ぎて蘇るレベル。俺はゾンビじゃないけど。

 

 

「……ん、んー?」

「いや別に無理して飲まなくていいんだが」

「………いや、折角もらったし飲む。………うん、飲む」

「嫌そうな顔だなぁ」

「………おりゃ!」

「あ、そんな勢いよく飲むと」

「…っ!?あっっっま!!!」

「まあ、そうなるな」

「見てんじゃねえ!」

 

 

吹き出しこそしなかったものの、盛大にむせ返る少女にハンカチを差し出す。奪い取るように口周りを吹くと、よくもやりやがったなと恨みがましい瞳でこちらを睨みつけてくるが俺は何もしてないので目を逸らしつつもう一口マッカンを呷ると、今度はうへぇという顔になった。百面相ごっこかな?

 

 

「……お前よくこんな甘いもん飲めるな」

「人は酸素を吸うだろ?だから俺もマッカンを飲むんだよ」

「なんてもんと同列にしやがるっ!?」

「それにあれだ。人生は苦いからな。コーヒーくらいは甘くていいんだよ」

「限度ってもんがあるだろ……」

「ほんとな。人生の苦味はもっと上限下げるべきだわ」

「……それは、まあ、そうだな」

 

 

何処に得心いったのか受け入れられてしまった。まあこんな所で寝なくてはならなくなるほどの苦労をしてきたのだろうから、何処か思うところがあるのだろう。人の痛みはその人の基準でしか測れない。私は不幸だ!と叫びたくなるなら、誰がなんと言おうとその人は苦しんでいるのだ。自分に酔える苦しみならまだいい。叫ぶことすら出来なくなり、内側に篭ってしまう前に叫ぶ事は決して間違ってなどいないのだから。

 

 

「……ま、人生が苦いからこそ何かしらの発散方法を見つけるわけだ。このマッカンもその一つ」

「発散、ね。まあ甘みで頭がいっぱいにはなりそうだな」

 

 

そう言うと少女は、今度はゆっくりと缶を傾けて口に含んだ。やっぱ甘ぇ、なんて文句を言いつつも今度はその顔に笑みを浮かべてみせたところを見ると、やはりマッカンは笑顔を与える最強の飲み物なんだなって。布教に成功したことをほくそ笑んだ。

 

 

「……さて、俺はそろそろ帰るわ」

「ん、ああ。……何も聞かないんだな。ほんとになんで声かけたんだ?」

「ほんとな、俺もわからん。最近知り合った人たちのせいかもしれない」

「ふーん。そりゃ面倒な輩も居たもんだな」

「まあそれのおかげでタダ飯食えてラッキーくらいに思っとけ。じゃあな」

 

 

時計を見たらもう深夜といっても相違ないくらいの時間帯に差し掛かっている。星を見に行くと出てきたので家から締め出される事はないだろうが、流石に遅くなり過ぎた。遅くなればなるほど両親は関心を示さず小町は喜ぶだろう。くそう自転車さえあれば…。

 

 

「……おい!」

「ん?なんだよ」

「…………。…雪音クリスだ」

「……比企谷八幡」

「飯と…コーヒー。……美味かった」

「そうか」

「……….それだけだ」

 

 

おう、とだけ返して今度こそ裏路地から出る。そしてまたも一生に一度は言ってみたいセリフを逃している。初めは「名乗るほどのものじゃない」と言いたかったのに、名乗った少女を見るとそんな気分では無くなってしまった。

 

 

「雪音クリス、ね」

 

 

多分だが、雪音も自分からズカズカと話したり踏み込んだりするタイプでは無いのだろう。会った当初から目に見えるほど警戒されていたので飯を買ってきてからは一定範囲(マッカンを取り返そうとした時は除く)には近づかないようにしていたが、最後の最後で一歩だけ踏み込んできた。打算もあったのだろう、俺だってもう二度と会わないと思ったから素直に名乗ったくらいだ。それこそ一期一会、とは違うが一度しか会わないからこそ俺は雪音を助け、雪音も助けられることを選択している。

 

 

ピローン♪

 

 

「……小町か」

 

 

やはり遅くなり過ぎたか、と思いながらメールを見ると『今日は帰ってこない!?泊まり!?』などと興奮気味な妹に『帰宅途中だ。鍵開けといてくれ』とだけ返しておく。何を期待してるのか知らないが、俺にそんなイベントが起こるはずがないだろうに。

 

 

「……さみぃ」

 

 

また、一日が終わって行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

sideクリス

 

 

 

 

「……変なやつだったな」

 

 

八幡と別れ、ようやくまともに動くようになってきた身体を慣らすように軽く動かす。違和感はまだあるが、シンフォギア纏ってアジトに帰るくらいは問題なさそうだ。それなら善は急げ、ネフシュタンの鎧を手に持ち移動するかと思った時に視界に黒と黄色の警告色で彩られた缶コーヒーが目に入った。中身はまだ半分ほど残っていて、温度もぬるくなっている程度だ。

 

 

「甘ったるいんだよなぁ」

 

 

地面に置いてある缶を持ち上げると先程口を襲った甘みを思い出す。別に甘いものが嫌いなわけじゃないが、甘信仰を抱いてるわけでもないのだ。かと言って、ここで捨てて行くかと聞かれれば答えは当然ノーだ。貰い物であるという点もある。だが、不思議とこの飲み物を嫌いになれないのも一つだ。

 

 

『人生は苦いからな。コーヒーくらいは甘くていいんだよ』

 

「………へっ。ばっかみてぇ」

 

 

そう、人生は苦くて苦しい。もうかなり前に両親は殺され、自分は捕虜となった。捕虜の扱いが良い訳がなく、叩かれて泣き叫んだ数はもう覚えていないほど。そこから連れ出されたと思えば屋敷で自分を引っ叩くご主人様の足元でせっせとお使いに勤しむ小間使い。その上お使いを任されればぶっ飛ばされて目的すら達成できないままおめおめと帰らなければならない。きっとそこではまた『痛い』ことが待っていると思うとただただ気が滅入る。

……ほんと、よくここまで列挙できるほどの苦味を噛み締めてきたものだ。だけどそれだけの苦味を受けても、こうしてあたしは未だに生き続けている。 戦争を、争いのない世界を作るため。あたし以外に力を持つ奴らを片っ端からぶっ飛ばすまで、死ぬわけにはいかない。

 

 

「…んぐ。……やっぱ、甘いな」

 

 

一口飲むと、やはり強烈な甘みが口を走る。しかし痛みはないし苦しみもない。そこに微かに安らぎを感じる。今の主人は痛みだけが人と人を真に繋げると言っていた。だからきっと、この甘さが繋げた関係は吹けば消える程度のものなのだろう。二度と会うことがないから、何処の誰とも知らない相手に名乗った。だけど本当なら名乗る必要なんて無かったんだ。なのに、あたしはあたしの名前を口にしていた。その意味は…、

 

 

「……いや、関係ないな」

 

 

ぐいっと缶を真上に向け、今度こそ缶の中身を丸ごと口の中に放り込んだ。

 

 

「さてと!ムチをもらいに帰っかな!」

 

 

カランと空の缶が裏路地の端に転がって行く。しかしもうそれを気にすることはなかった。辛いこと苦いこと苦しいこと。今までもあったのだから、きっとこれからもあり続けるのだろう。だがそれら全てを今はこの甘みが流してくれている。

 

 

「比企谷八幡、ね」

 

 

返し忘れたハンカチはポケットの中に仕舞い込んだ。きっとこれを返すことはない。だから大切に使わせてもらおう。お腹は膨れ、甘さを思い出し、僅かな温もりを知った。

ふと、撫でられた感触を思い出す。顔が少し暑くなるが、同時に口角が少し上がった。きっと、嫌ではなかったのだろう。

 

 

「…悪くない一期一会だったな」

 

 

また、一日が過ぎて行く。




そういえば感想で八幡戦わないのか的なことをちょくちょく聞かれますが、戦って欲しい人多いんですかね。
HACHIMANアレルギーの人が多いのかむしろHACHIMANよこせなのかイマイチこの界隈は分からない。


星天ギャラクシィクロス好き。
何度だって何度だって立ち上がろうかのところ神すぎて絶唱する。
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