やはり俺の戦姫絶唱シンフォギアはまちがっている。   作:亡き不死鳥

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一期のフニャっとした響好き。


やはり立花響は慌ただしい。

本日は快晴なり。時間に余裕こそ無かったものの、順調に行けば問題なく間に合う程度の時間だ。道端の石やら車やらには細心の注意を払いながら自転車を漕いで行く。なんたって今日は後ろに小町が乗ってるからな。一人なら前だけを見て漕ぐ主人公ムーブで突き進むところだ。まあ横合いからトラックに轢かれてゾンビィになることは避けなくてはだが。

 

 

「やー楽チン楽チン。毎朝でもこんな登校したいもんだねぇお兄ちゃん」

「その楽さの負担が俺に来てることを忘れないでねマイシスター。お前と合わせて俺2倍の体力使ってるから」

「いやいや、小町の軽さならお兄ちゃん換算で20%程度のプラスだって!残り80%はお兄ちゃんの腐った根性とか性根とかの過剰分だよ!」

「腐ったら軽くなりそうなもんだがな。なんにせよ落ちるなよ?お袋と親父に殺されちまう」

「大丈夫、大丈夫!流石に後ろに乗せてもらって奇襲したりはしないって!………お兄ちゃんストップ!」

「ぐぁっ!?」

 

 

急に襟首掴まれたせいで咄嗟にブレーキを握る。…首はあかん、首はほんとあかんのや。

 

 

「おま、奇襲しない宣言数秒で何すんだよ!」

「そんなことよりお兄ちゃんあれ!」

 

 

下手すりゃ事故りかけたことをそんなことで済ませる小町にイラッとしつつも、指を指している方向に視線を向ける。するとそこにはあらやらしい、スカートをはためかせて足を大きく開げた……

 

 

「え、なんで木登り?しかもスカートだし」

「一瞬でエロい目で見ないでよお兄ちゃん…。小町的にポイント低いわー」

「み、見てねぇし!?いやほんと見てない。そういうのより物珍しさに目が行ったし?」

「いや反応がほんとキモいよ…。それよりほら、木の上に子猫がいるよ!降りれなくなったんじゃないかな。困ってるみたいだし助けてあげてお兄ちゃん」

「えー、いやもうあの女子が助けに行ってるだろ。どうせ近づいたら『うわっ、助ける名目でスカート覗きに来たんでしょキンモー!』とかって厄介払いされるのが落ちだ。つまりここでいかないのは正当な自衛行為であってだな…」

「あのー!大丈夫ですかー!?」

「小町ちゃーん…話し聞いてー…」

 

 

俺の言い訳もなんのその、そもそも聞いてすらいない可能性が高い。きっとうちの妹は考える前に身体が動くタイプなのだろう。前世はきっとヒーローだったに違いない。前世ヒーローで今世天使とか完璧すぎない俺の妹。

 

とはいえ妹一人に向かわせるわけにもいかないか。寄り道してるほど時間の余裕もないし、あの女子も制服着てるので恐らく遅刻寸前組みだろう。手早く済ますのがお互いのためだ。断じてあわよくばスカートの中身がチラ見えできればとか考えてないよ?いやほんと。

 

変態紳士じゃない紳士な俺はスカートの中が見えないよう自分の立ち位置を考えながら近づいていく。その間にも小町は既に木登り系女子の下にたどり着いたようだ。

 

 

「お姉さんこんな朝っぱらから木登りなんて危ないですよ!?」

「うえっ!?えーと、あの、いや木登りが趣味とかじゃなくてね!?ほら、この猫ちゃんが降りれなくて困ってたから助けなくちゃーと思って…」

「それでもスカートのままなんてダメですよ!今うちの愚兄持ってきてますんで一旦降りてください!」

「ぐ、ぐけー?よ、よく分かんないけどここまで登れたし、もう少しで助けられるから!へいき、へっちゃらだよ!」

 

 

どうやら相手も相手で中々に厄介というか、人の話を聞いてくれないタイプの人間らしい。ボブカットの髪を揺らしながら小町に返事しながらもどんどん上に登っていく。あと声がなんか小町に似てる。すげえ似てるし、なんかバカっぽいところも似てる。変にアグレッシブなところもな。

 

 

「……なあ小町。あそこまで登っちまったら降りるのも大変そうだし、ここは任せた方が…」

「何言ってるの!登っても降りられないかもしれないでしょ!人に驚いて猫が逃げちゃうかもだし、猫が落ちてきても人が落ちてきてもキャッチする準備しといて!あ、でも上見ちゃダメだかんね!」

「前者はともかく後者はキツくね?しかも見ずにキャッチとか超能力じゃないんだから…」

「とにかく見ちゃダメ!ちょくちょく見えちゃってるんだから!」

 

 

その情報必要ですかね!いや興味ない、興味なんてないけれど!ほらさっきまで自転車漕いでたしずっと下向いてたし?なんか腰とか疲れてきたから軽く背伸びとかしてもいいと思うししないと体にも悪そうな感じがねほら!

 

 

「ほーらほら、大丈夫だよー。今助けてあげるからねー?お姉ちゃんの手に飛び込んでおいでー」

「……ぶにゃお」

「「あ」」

 

 

気の抜けたような声が上と横からユニゾンする。いや、片方はくぐもった声だったがとおもわず顔を上げてしまう。

 

………あげて正解だったようだ。そこにはチッチッチと手を出していたらしく片手で木にしがみついてる女子生徒…と、その顔面に飛び込んだらしい猫が映り込んだ。

 

……これあかんやつや。

 

 

「うえぇ!?ちょっ、なんでぇ!?」

「あぶねえ!」

 

 

親方!空から女の子が!なんて一生に一度は言ってみたいセリフが咄嗟に言えるはずもなく、重力が働いた人間の速さを相手に何とか体を地面と女子生徒の間に滑り込ませるくらいしかできなかった。

 

 

「ぐぇっぁ!」

「うひぃ!」

 

 

……ドゴっていった、ドゴって。ラブコメの主人公って毎回こんな痛み経験してるのか。ちょっとなりたくなくなっちまったじゃねえか…。

 

 

「あ、あのー。大丈夫、ですか?」

「も、問題ない、多分。とりあえず…どいてくれ」

「ああっ!すいません、乗ったままになっちゃって」

「…いや、大丈夫だ。そっちは…」

「そちらは大丈夫でしたか!?」

 

 

やっぱこの子小町と声似てるなーなんて思ってたら本家小町様のお声に遮られてしまった。わかってる、こういう時にコミュニケーション能力で頼りになるのは小町だって知ってる。でも遮るにしても、もう少しこう、手心というか…。

 

 

「うん!私は大丈夫!やーすみません、ご迷惑をおかけしたようで…」

「いえいえ!心配で首を突っ込んじゃったのはこっちなので。

それよりその制服リディアンの制服ですよね!?」

「あ、知ってるんだ!

そう!今日から私も高校生なんだ!憧れの風鳴翼さんが通ってる高校でねー、それが理由でリディアンにしたといっても過言ではないというかー」

「風鳴翼さん!小町も大ファンなんですよ!ツヴァイウィング時代から応援しててですね!っと、そうだ!もしよろしければお名前教えてもらえませんか!?」

「もちろん!私は立花響!今をトキめく15歳です!」

「おお!私は比企谷小町!今を煌めく13歳です!」

「「イェーイ!」」

 

 

会って数分で仲がよろしいですね君ら。パシーン!と高らかにハイタッチをかます二人を尻目にポッケから暇つぶし機能付き目覚まし時計こと携帯を取り出した。ボタン1つで現在時刻を教えてくれるハイテク様はもうどれだけ急いでも入学式に間に合わない現実を突きつけてくる。

 

 

「なあ…」

「そしてこちらが小町の兄である比企谷八幡!今を(うごめ)く15歳です!」

「同い年だー!イェーイ!」

「い、いえーい?」

 

 

小町とやったようにハイタッチの構えをしてくる立花?に咄嗟に軽く手を上げてしまう。顔よりも低い程度にしか上がらなかったが、そこに向けて立花は気にせず手を合わせてきた。ペシャッと情けない音が掌から鳴るが、相手にとっては気にすることでもないらしい。眩しいくらいの笑顔を向けられて思わず顔を背ける。

 

 

「あ、あにょ、時間が結構やばいと思うんですが…」

「うぇっ?あっ!入学式!あー!もう絶対間に合わないよー!」

「あちゃー。小町もダメっぽいですねぇ。サボるわけにもいかないしなー」

「だよねぇ。初日から遅刻しちゃうなんて…私呪われてるかも…」

「うちの兄がどうもすみません」

「ちょっと?サラッと俺が呪ってるせいみたいに言わないでくんない?俺も遅刻なんだけど」

「えっ!八幡くん呪い使えるの!?」

「信じちゃったよ…」

 

 

あと当然のように名前呼びなのね…。コミュ力お化けのフィールをビンビン感じる。あまりお近づきになりたくないタイプだ。

 

 

「……とりあえず学校行かないか?」

「そうだね!全力で走らないと!」

「小町も兄の後ろに全力で乗っかります!…言い訳考えないとなー…」

「まあ1回目だし大目に見てもらえるだろ。……俺は入学式サボるけど」

「「ええっ!?」」

 

 

入学式やらのスケジュールは前もって貰ってるからな。大体のタイミングでクラスの集団に滑り込めればなんとかなるだろ。ならなかったらならなかったで、大人しく教師に聞けば最悪の展開は免れる…筈だし。

 

 

「ダメだよ八幡くん!入学式はちゃんと出ないと!友達に心配かけちゃうし、先生も怒るよ!?」

「いや心配かける以前に友達とかいないし…」

「まーたこの兄はダメなことを平然と…」

 

 

小中学校とぼっち貫いてきた人間に何を今更。高校に入ったらもしかしたらーと考えなかったら嘘になる。嘘になる、がだ。正直今までの生活をなくしてまで友達と語りたいかと聞かれると普通にノーと答えてしまうのが現状だ。なんせそんな生活の仕方知らないし。

 

まあ慣れれば別に悪くない。寝たふりして過ごす休み時間も、一人の場所を見つける探索もな。

 

 

「八幡くん友達いないの?」

「おう」

「なら私と友達になろうよ!今ならもれなく私の親友もついてくる!」

「セット販売される親友の身にもなってやれよ…。そもそも別に無理になってもらわなくても…」

「無理とかじゃなくてー、私がなりたいから言ってるの!それに未来(みく)も分かってくれるって!未来は優しいしかわいいーんだよ?それにピアノも上手なんだ!」

「……大丈夫な意味がわっかんないわ。てかその親友さんもお前のこと心配してんじゃねえの?」

「うわわ!そうだった!」

 

 

ようやくワタワタと近くに放り投げてあったカバンを引っ掴み、ついでのように猫を抱えてリディアン高校のあるらしい方向へと駆け足を始めた。

 

 

「じゃあね、八幡くんに小町ちゃん!また今度ゆっくり話そうねー!」

「はーい!またです!」

 

 

遅刻遅刻ー!とアニメの1話のような走りで視界から消えていった立花を見送る。朝からドッと疲れた気がするが、まだ一日は始まったばかり。立花の友達云々も一時の気の迷いかコミュ力ありきの社交辞令だ。全てを忘れて行きたくない学校に向かうとしよう。

 

 

「小町俺たちも…」

「ひゃー、初のお兄ちゃんお嫁さん候補到来?今まで影も形もなかった女の子の影が!これは…これはチャンス?」

「おい、置いてくぞ」

「あ!まってよお兄ちゃん!」

 

 

この後。結局、上手いこと潜り込めずに教師に説教されたのは言うまでもない。ただ小町はそんな怒られなかったらしい。

 

…解せぬ。

 

 

 




初日は実家から登校したらしい(嘘)

調…いいよね…。初登場めっちゃ遠そうだけど。
鏖鋸・シュルシャガナ好き
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