やはり俺の戦姫絶唱シンフォギアはまちがっている。   作:亡き不死鳥

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XV放送開始ぃ!さすがシンフォギア1話から120%のスタートに抑えながら最後の2000%まで行くであろうその駆け出しが素晴らしい!

毎日死亡しながら生き返ってる感あるよねこれ。




やはり俺は暴れ狂う。

「うがあああぁぁぁあああ!!!」

 

 

苦悶の声、苦痛の声。胸を押さえる、その手すらも痙攣しているように落ち着かない。俺を抑えてくれるはずの心はむしろこの現状を後押しするように全てを吐き出せと震えてくる。むしろ体が震えている。

 

 

「ああぁぁああやああぁあ!!!」

 

 

ここは家だ。なるべく他の家族に聞かれないように自由の効かない口をせめてもの抵抗として枕に押し付ける。バクバクと鳴り続ける心臓、フラッシュバックするように脳内に突き刺さる回想。その全てが俺の全身を蝕んでいた。

 

これ程までに苦しむ事が今までにあっただろうか。過去に似た経験はあれど、ここまでの衝撃は無かったはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「恥ずかしいよぉぉぉ!!!なんで俺あんなことしてんだ俺のバーカバーカ!」

 

 

ここまで!羞恥に!苦しむなんて!なんで俺立花や小日向と抱き合ってんの!?むしろ抱き寄せるまであるとかなんで!?これも全部ノイズの仕業かおのれノイズ!!ああああぁぁ……

 

 

「死にたい…」

 

 

……一緒にいたいと思った事は確かだ。小日向は友達だと言ってくれているし、立花も友達になろうと言ってくれている。だからあとは俺の気持ち次第なのだが、友達0人ぼっちまんがそうそうと友達認定してもいいのだろうか?

 

いや、なに?良いかもだけど、でも友達って抱き合ったりとか普通しないよね?スキンシップでハグとか欧米か!?

 

命の危機に自制心とかテンションとかそういうのが狂っていたのは分からないでもない。ノイズに襲われたんだ、普通そうなる、俺もそうなる。なった。

 

 

「……友達。友達か…」

 

 

友達…。伝説上の生き物で自分には縁がないものだと思っていたが。…少しずつとはいえ、あの二人をその、友達、だと、自分でも受け入れてきているような気がしなくもない、のは、自覚して………。

 

…………友達、か。

 

 

「…………ふへっ」

「うわきっも」

 

 

………………え?

 

 

「………小町?」

「小町?じゃないよ。帰って来るなり部屋に閉じこもって奇声あげた挙句にキモい笑い声まであげてどうしたの?キモいよ?」

「罵倒が痛い」

 

 

…あの後、疲れているだろうから帰って休むよう司令に言われて車で家まで送ってもらった。だがあんなことがあったばかりだ。興奮冷めやらぬというか、むしろ頭が冷えたというか。ぼっち恒例の『お家に帰って枕に顔を埋めて反省会』が開催されてしまったわけだ。

 

 

「………な、ナニモナイヨ?」

「……ふーん?…別に良いけど、もうちょっと静かにしてよね。次大声出したらコンビニまでダッシュさせるから!」

 

 

バタン、と強めの音を立てながら再び閉鎖空間へ戻った自室は、俺が黙ればこんなにも静寂に包まれているのかと驚くほど静かだった。枕に埋めていた顔を開ければ暗い天井が俺見下ろしている。明かりもつけず、独りで奇声をあげて蠢いていたと考えるとなかなかどうしてキモいな、うん。

 

……だがボーッとしてても頭は働く。むしろ頭以外働かないし、今日の出来事が色々強烈過ぎて回想に突入するまである。そしたらまた発狂コースだ。

 

…もっと、もっと楽しいことや嬉しいことを考えるんだ。そもそもノイズに襲われたというのに五体満足で帰宅できる時点で儲けもんどころか相当運がいいと言っていい。

 

ダッシュしたし吐いたしで悪いこともあったが、命あっての物種というやつ。路地裏の居心地の良さも知れたしな。路地裏は涼しかったせいか、思い出せば司令に撫でられた頭も一際温かかっ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぬぉぉおおおおおお!!」

「早速!!」

 

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

in道

 

 

 

 

「…追い出さーれたー」

 

 

結局立花と小日向の事を思い出さなくても新たな黒歴史が湯水のように浮かび上がってくるようで、耐え切れる事もなく再び魂の叫びを上げてしまった。是非もないよネ。

 

 

「……路地裏じゃないが、涼しいな」

 

 

頭を冷やして来いと小町に叩き出され、少し遠目の指定されたコンビニまでの道をゆっくり歩く。さっきはコンビニまでダッシュと言っていたのに、走るの禁止、自転車禁止、キモい笑い禁止、目を腐らせるの禁止と様々な条件をつけられた。悪いな、最後のは無理だ。

 

…しかし夜の街はいい。人通りは少なく、照らされた街灯も夜に合う。といってもそこまで遅い時間ではないので、やはりまだらに人がいる。その度に道の端に避けてしまうのは習性だろうか。夜の人って異様に怖く見えるよね。

 

 

「………いっそ裏道行くか」

 

 

最近はとある女子のせいで裏路地へ入ることもちょくちょくあった。だが裏路地は別に長いわけじゃない。そこを通れば別の道に出るし、少し歩けば川沿いにも出られる。目的のコンビニまでその道でも行けるし、こっちの道より人通りも少ないだろう。パツキンのにいちゃんがいたら………まあ、頑張って逃げよう。

 

 

「………思ったより暗くないな」

 

 

裏道へ抜ければ街灯の数も減る。だが明るさが損なわれることはなかった。月明かりが天から光を垂らすだけで十分な光量が保たれ、川の向こうでは光が数多く瞬いている。予想通り人通りもない、完璧な道だった。

 

コツッと一歩歩くたびに音が反響するような錯覚。後ろから誰かが付いてきてるような響き方は、むしろ独りでいるのだと実感できるので嫌いじゃない。たまに怖いけど。

 

だがこんな夜道で怖いのはそんなものではない。明かりのない道、暗い世界。そんな時、人と会うと異様に恐怖を感じる。さっきの道の端に避ける原理と同じだ。特に月をバックに近づいてくる人なんて更に威圧感を放っている。

 

……何故そんな話をしているかというと、現在まさしくその状況に陥っているからだ。正確には近づいてはこない。むしろ立ち止まり、川の向こうを眺めている。絶妙に向こう側を向いていて顔は見えないが、髪は長く身長も低い。だから逆にホラーを連想してしまうとでもいうのか。

 

 

「……ん?」

 

 

ふわり。立ち止まっている人影の髪の毛が揺れる。結ばれた髪が月明かりに照らされて銀色に輝く。遠かった距離を少し詰めれば女性特有の丸みを帯びた双子山が黒いシルエットとして浮かび上がる。

 

というかめっちゃ見たことある奴だ。

 

 

「……雪音か?」

「……比企谷」

 

 

特徴的な姿だ。今日会ったばかりというのもある。警戒警報と共にノイズの元へ駆け出していった、今日の不安要素の一つだったが無事なようで安心した。小日向も気にかけていたようだったので、伝えておくべきだろう。

 

 

「…今は行き倒れてないんだな」

「……好きで倒れてるわけじゃねえよ。生憎、その余裕もないしな」

 

 

ふわり。また、雪音の髪が静かに舞い踊る。今日は風が強いわけではない、微風程度でもサラサラと浮かぶ髪に吸い寄せられそうになる。

 

だが見えるのは髪だけじゃない。暗く沈んだ雪音の顔も、不思議なくらいしっかり見える。月明かりが仕事をし過ぎて、直視しなくても寂しげと分かる顔が目の前にあった。

 

 

「帰らないのか?」

「……帰れないんだ」

 

 

吐き捨てる。無理に歪めた笑顔は捨てられた子猫のように俯いている。よく考えれば今朝は雨の中倒れていた。初めて雪音と会った日はまだ分かる。二課と敵対し風鳴先輩と相打ち、もしくは手傷を負わされた状態だった。

 

……だが今は?立花は雪音に手を伸ばしている。力尽きて倒れるほど甚振ったりはしないだろう。風鳴先輩は倒れている。つまり雪音が露頭に迷うということは無いはずだ。

 

……………つまり、元居た居場所を追い立てられたのだろう。敵にやられるのではない。味方だと信じていた相手に切り捨てられる。その歪んだ笑顔に、どんな感情を抱えているのだろう。

 

 

「…………なあ」

 

 

では、どうするべきだろう。立花が助けたがっていた。なら、少し手を貸すのも吝かではない。だからといって二課に連れてくなんて雪音も信じられないだろう。

 

では立花。あいつも小日向も寮だ。部外者を泊めるのは難しい。他………他?二課とあの二人を除いた他…。いないな。ぼっちの交友関係なんてそんなもんか。いやリディアン三人衆も浮かんだけど結局寮であることは変わりない。

 

…………………。…マジか。

 

 

 

「……雪音。うち、来るか?」

「…………………は?」

 

 

 

何いってんだ俺。




忘れてた。この小説のテーマテンプレだった。テンプレの王道を使ってかないと損なのでカチコミます。

ただ一言。変身バンク………神!

あと感想と評価の量どうしたというくらい頂いてフォニックゲイン高まる。OTONAパワーかなにか?

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