やはり俺の戦姫絶唱シンフォギアはまちがっている。   作:亡き不死鳥

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おかしい…。連日投稿してたと思ったら一週間過ぎてた。そしたらXV二話に殺されました。
ヤメロォ(建前)ヤメロォォオ!(本音)

切ちゃんエロいね。


やはりこの兄妹は成長しない。

side小町

 

 

 

小さい頃は、家が嫌いだった。両親が共働きで家に帰っても誰もいない。お兄ちゃんもどこで何をしてるのか分からないけどいつもいなかった。「ただいま」と言って家に入っても返事がない。そんな冷たい空間が嫌いで、いつも友達と遊んでいた。

 

テストで100点を取った日。凄い、偉いと先生に褒められた日。いつも友達とゆっくり歩いて帰る道を走って帰る。褒められて嬉しくて、家族にも褒めて欲しかった。

 

母に偉いと言って欲しくて、父に凄いと言って欲しくて、兄にやるなと笑って欲しくて。走って走って、「ただいま!」と言った家は、いつもと同じ。誰からの声も返ってこなかった。

 

 

そんな悲しい当たり前に、涙が出た。

 

 

だけど大丈夫。その後五日間も家出してた小町を、お兄ちゃんが迎えにきてくれたから。「帰るぞ」とぶっきらぼうに言って手を取ってくれた兄の手は暖かくて、また少し涙が出た。

 

次の日から「ただいま」に「おかえり」が返ってきた。お兄ちゃんが小町より先に帰っておかえりを言ってくれる。

 

 

そんな嬉しい当たり前に、涙が出た。

 

 

 

 

ある日、他の学年で事件が起きた。事件と言ってもある学年のカレーがひっくり返るという小学校特有の事件だったけれど。

 

その犯人はお兄ちゃんで、クラスの人から文句をずっと言われていた。その横顔は歪んでいて、カレーという小学生の御馳走をおじゃんにした代償の大きさが遠目でも分かった。

 

 

………そんな兄の横顔から、私はそっと目を逸らした。

 

 

 

 

ある日、放課後の廊下を歩いていた。ホームルームが早めに終わって、久しぶりにお兄ちゃんと帰ろうかなーと思って兄のクラスに赴いたあの日。

 

兄は黒板の前に立っていた。ううん、立たされていた。兄を囲むように生徒が群がり、睨み立てるような囃し立てるような。まさに吊るし上げという状態の光景を目にした。

 

 

『『『しゃーざーい!しゃーざーい!!』』』

 

 

教室の中から、大勢の声がする。その標的は、間違うはずもない。全員の前に立たされている兄だ。クラス全員の敵意が、たった一人兄の元へ向かっている。

 

 

………そんな兄の姿を見て、その場から私は逃げ出した。…兄が涙を流していた光景を、目にしていたはずなのに。

 

 

 

 

ある日、いつものように友達と給食を食べていた時。いつも人気の音楽を流している全校放送のスピーカーから、笑い声が流れてきた。

 

 

『えー次の曲はオタガヤ八幡のぉー、山下さんへのラブソングでーす!』

 

 

…………ごめんお兄ちゃん。さすがにどうしたらいいかわかんなかった。

 

 

 

 

 

 

 

…私は笑っていた。いつもの私は笑っているから。

 

お兄ちゃんがいつもより暗い時でも笑って励まし、笑って話を聞こうとした。いつも通りの小町に、頼ってくれると思ってたから。

 

だって兄妹だから。愚痴ってくれるだけでも、弱音を吐くだけでも、背中を叩いて励ますくらいのことはいつだってやる心構えをしている。

 

 

『お兄ちゃんどしたの?』『ね、お兄ちゃん!一緒に遊ばない?』『お兄ちゃんごはーん』

 

 

作る必要もないいつも通り。だけど兄が私を頼ることはなかった。いつもより暗い顔の日も、目の腐りが進行する日も。

 

弱音を吐く時はある。愚痴のような理屈をこねる時はある。でも全て独り言の延長で、私を頼って言葉を吐いてはくれない。

 

 

………そんな悲しい当たり前に、もう、涙も出ない。

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はっ、はっ。クリスさん、どこ?」

 

 

走りながら周囲を見回して目的の人物がいないかを探し続ける。銀髪巨乳なんて今時そうはいないはずだ。だから誰かしら知ってるかと思ってたんだけど…。

 

 

「あのーすみません!銀髪で高校生くらいのおっぱい大きい子見ませんでした?」

「いやー見てないな」

「…そうですか。ありがとうございます!」

 

 

今のところ収穫はない。道行く人や朝練の早い知り合いなどに聞いて回ったりはしているが、なかなか情報が手に入らない。こんな時のための顔の広さとコミュニケーション能力だというのに、ハズレが重なるとどうにもストレスが溜まる。いったい何時にクリスさんは出て行ったんだ。

 

 

「……強引、過ぎたかな」

 

 

今更ながら少し距離の詰め方を失敗したような気もする。クリスさんがお兄ちゃんのようなタイプなら、家族以外の人間が急速に距離を詰めると勢い余って逃げ出してしまうことは分かっていた。

 

でもクリスさんとお兄ちゃんは逃走力の段階が違った気がする。お兄ちゃんは私以外が距離を詰めたら全力で距離をとるけど、クリスさんは近づいても逃げるのを躊躇っていたように見えた。

 

近づかれるのが嫌なのではなく、自分が近づくことを怖がっているような…。まあ近づかれるのを怖がってもいたけど。でもそこがお兄ちゃんと似ていて違う二人の相違点。

 

 

「…でもやる事は変わらないよね」

 

 

近づかれるのが嫌ではないのなら思う存分距離を詰めよう。お兄ちゃんのように近づかれるのが怖いなら、やっぱり思う存分距離を詰めよう。二人とも騙され慣れたり傷つけられ慣れてるから、一定以上近づけばもう好きにしろと受け入れ態勢に入る。そこまでいけば私が裏切らなければ問題が起こらないはず…。

 

 

「すみませーん!」

 

 

…何にせよクリスさんを見つけないと。あれこれ悩むのは私の得意分野じゃない。言っちゃうとアレだけど私バカだし。

 

だけどそれでもいい。言うことを考えて会話をすればああいう人達は言葉の裏を汲み取ろうとする。なら裏なんてないくらい真っ直ぐ、一直線に気持ちを伝えるのが一番だ。私はバカだから、それができる。

 

 

「……ん?ああ銀髪の。たしか河川敷のところで突っ立ってた女の子が確か銀髪だった気がするなぁ。おっぱいの大きさは見えなかったが」

「ほんとですか!?ありがとうございます!行ってみます!」

 

 

走り回ってもう三十分は過ぎた頃、ようやく収穫があった。おっぱいの大きさで見つけられたわけじゃないが、朝っぱらから川辺でボーッとするなんて行き場がないか厨二病を患ったお兄ちゃんくらいなものだ。名もなき神(兄自称)だった頃の兄はよく一人で色んなところに立っていた。一人なのはいつも通りだけど。

 

………って、

 

 

「いたー!!クリスさーん!」

「んなっ!?なんで…っ!?」

 

 

本当に川を眺めて立っていたクリスさんに向けて飛び込んで行く。誰かに声を掛けられることを考えてもいなかったような気の抜き様。そんな背中が振り返りがら空きの胸に飛び込んだ。

 

メロンのチョモランマが顔を包む。そのまま逃げ出さないように背中に手を回した。

 

 

「ばっ!なっ!?なんでいんだよ!?」

「クリスさんが勝手にいなくなるからですよ!朝起きたらいないし家探しても見つからないし!心配したんですからね!」

「心配って…。あたしがあの家にいないのは、普通のことだろうがッ」

「それでも!昨日一緒にいた人が急にいなくなったら心配に決まってます!何か困ってるなら、私もお兄ちゃんも協力したいんです」

「……」

 

 

言葉をかけるたび、クリスさんの顔が歪んでいく。気の利いたことは言えない、言わない。嘘はつかないし、つきたくない。

 

……例えそれで私が何もできなくても。

 

 

「……やめてくれ。……やめてくれよ」

「…クリスさん」

「…お前も、比企谷も一般人だ。なんの力もない人間だ…。そんな奴らを、頼れるものかよッ!」

「……」

「………縋りたくなるんだ。手を掴みたくなるんだよ…。絶対に頼っちゃいけないのに、いつだって温もりに飢えてる。…この比企谷を縋る、求める気持ち。抑えきれない自分が怖かったんだ…」

「……だったら…」

 

 

 

 

 

 

「……。だから、もう、あたしに関わらないでくれ」

 

 

 

 

 

 

 

Killter Ichaival tron(銃爪にかけた指で夢をなぞる)

 

 

 

 

 

 

 

 

魔弓・イチイバル♪

 

 

 

ガチャッと生々しい音を立てて銃器が出来上がる。震えるような言葉を紡ぎ、堪えるように話していた雪音クリスさんはもういない。燃え盛るような赤色のアーマーを纏い、戦場に立つような冷たい目。

 

そしてそのクリスさんが構える銃の先。銃口が、真っ直ぐ私に向けられていた。

 

 

「……ヒッ…」

 

 

思わず、声が漏れ出る。明確な死の気配。感じたこともない寒気が、全身を襲う。

 

………それを見たクリスさんは、強く、顔を歪めた。

 

 

 

Bang!

 

 

 

そして瞬くマズルフラッシュ、それを見ながらただ立ち尽くしていた。

 

一撃で終わらない。光る弓のようなものを引きしぼり撃ち放つ。全てが私を避けて後ろに向けて駆けていく。震える足をそのままに、首だけを後ろに向けた。

 

 

 

そこでは、炭が舞っていた。

 

 

 

「……のい、ず?」

 

 

世界災厄。中学生でも知ってる世界の脅威。人間を襲い炭に変える化け物を相手に、クリスさんは殺陣を繰り広げていた。銃を撃てばノイズを貫き炭に変え、襲いくる化け物の攻撃を捌きながら撃ち抜いてく。

 

 

「はぁあああ!!」

 

 

【MEGA DETH PARTY】

 

 

小型のミサイルが残りのノイズを根こそぎ吹き飛ばす。一連の流れを、ただ立ち尽くして見ていた。それなのに現実が受け入れられない。だってノイズは、兵器でも倒せない災厄だと習ったから。それをなんでクリスさんが…。

 

 

「これで分かったろ?」

 

 

いつのまにか元の服に戻っていたクリスさんが、顔についた真新しい傷跡を拭う。小さいとはいえ顔についた傷を気にすることもなく拭いたクリスさんの姿を見て、ようやく背中の傷の意味を知った。

 

 

「……その傷も、全部?」

「……そうだ。ノイズと戦ってできた傷さ」

 

 

どうだ、怖いだろ?そう続け、クリスさんは指で銃を作り「ばぁん」と撃ってみせた。

 

たったそれだけなのに、足が後ろに下がる。さっきの光景が目に焼きつき過ぎて、その手から銃が現れて撃たれてしまうのではと考えてしまう。

 

……それくらい、今のは強烈だった。

 

 

「……まぁ、それが普通だ。あたしはもう慣れたけど、初めは怖かったしな。こんなもん、慣れないほうがいいんだよ」

 

 

小さく笑うクリスさんに叫びたくなる。じゃあなんで慣れたんですか!なんで慣れちゃったことを笑ってるんですか!そんな自分勝手を叫びたくなる。なる…のに…。

 

 

 

 

怖くて、ただ怖くて………。溢れる涙も、震える身体も、止められない。

 

 

 

 

 

「……じゃあな」

 

 

 

 

…歩いていくクリスさんも止められない。

 

 

…私は、なんで何もできないの…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……小町」

「……お兄ちゃん」

 

 

 

 

…こんな私なのに、お兄ちゃんはいつも見つけて助けてくれる。

 

兄の情けない背中ばかり見てきたはずなのに。

 

兄の格好悪い姿ばかり見てきたはずなのに。

 

いつもお兄ちゃんは優しい手を差し伸べてくれる。

 

…だから、頼っちゃうんだよ、ばか。

 

 

 

 

「……お兄ぢゃぁん」

「おう。俺の服で鼻拭くのやめて?」

「……クリスさんがぁ…」

「………ああ」

 

 

 

 

縋り泣く私の頭を撫でてくれる。

 

そんな兄に、もう何度目かのお願いをした。

 

 

 

 

「……お兄ちゃん。クリスさん、助けたいよ」

「……そうか」

「……どうにか、できないのかなぁ?」

「……さあな」

「…不可能だって、言わないんだね」

「…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん。助けて…」

 

「……妹の頼みじゃ、仕方ないな」

 

 

 

成長のない頼り過ぎの私。成長のない頼られ過ぎの兄。そんな比企谷家の兄妹。

 

 

 

 

「……でも、本当に大丈夫?危なくない?」

「多分、俺はな。ちょっとばかり本気出して知り合いに……」

「……?」

「……いや」

 

 

だけど、少しだけ変わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………友達、に、頼ってみようと思う」

 

 

 

 

 

どうやらお兄ちゃんにも、頼れる相手ができたみたい。




【急募】切ちゃん変身バンクの三期要素がわかりません。
Death13とテヘペロちゃんは見つかったけど三期を誰か教えて!

切ちゃんエチエチ。クリスちゃんはもっとエチらしいので楽しみね。

リアタイで見るとモチベーションに影響し過ぎてよくないや。

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