やはり俺の戦姫絶唱シンフォギアはまちがっている。   作:亡き不死鳥

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あっっっっっつい!!!いやマジ暑い、やる気が焼却処分されるんだけどマジで。

あと最近XDUを本格的にやり始めたせいで時間が減る減る。シンフォギアやるためにシンフォギアが疎かになるジレンマよ。


やはり二課の大人は侮れない。

結局小日向に立花を撫でた時のことを問い詰められ、抵抗虚しくゲロったわけだが。俺の本来の目的を忘れてはいけない。雪音を助けてという小町のお願いを叶えるため、恥を投げ捨てる覚悟で二課に訪れたのだ。

 

……それにしても…。

 

 

「………二度と来ないと思ってた場所を平然と歩くって、それだけで恥ずかしくなるな」

「八幡は気にし過ぎ。これから何度も通うことになるんだから、気にしても仕方ないでしょ」

「んふふ♪でもこの三人で一緒に歩くのってなんか楽しいね!」

「それはイマイチわからない」

「「えー」」

 

 

何故ハモりながら不満を言われるのか。それより今はどんな顔で二課の扉をノックすればいいのかを考えなければ。特に友里さんや藤尭さんには辞めるときにお世話になったから尚更だ。

 

司令は…まあ今さっき立花が連絡していたからもうそういうもんだと思われてるしいいか。

 

 

「………ん?」

「あっ!翼さーん!」

「風鳴先輩に……緒川さんに藤尭さんも…」

 

 

風鳴先輩を見つけ元気に走っていった立花とは逆に、俺の足は重くなる。覚悟や緊張なんて本番になるまでが前哨戦。実際人を目の当たりにすると逃げ出したくなるのだから不思議だ。

 

 

「………んもう。ほら、いくわよ」

「…え、ちょっと?なんで俺引っ張られてんの?」

「あからさまに遅く歩くからでしょ。何はともあれ頼まないと始まらないんだから」

「………分かってるよ」

 

 

小日向に手を引かれて全員の前まで連行されてしまう。俺が裁かれる時の刑罰は死刑、極刑、羞恥刑のどれだろうか。とりあえず三番目は確定してる。辛み。

 

 

「や、お早いお帰りだね」

「…藤尭さん。…ども」

「そんな嫌そうな顔しないでよ。別に責めてるわけでも笑ってるわけでもないから」

「……俺に何か言いたい事とか無いんですか?」

「そうだね。強いて言うなら、『あったかいもの、どうも』かな」

 

 

それ、と未だに俺と繋がれている小日向の手を指さされる。お熱いね、と余計な一言と共に。パッと慌てて離れる手に、さっきまでの状況がやけに恥ずかしく感じる。顔がお熱い。

 

…いやお熱くない。むしろこっからさっきみたいな小日向ブリザードスマイルとかされたら背筋が凍って永久冬眠するレベル。だからちょっと小日向笑ってくれない?なんでお前も顔赤くして下向いてんだ。

 

 

「………そろそろいい?」

 

 

何処か気まずい雰囲気を変えたのは、救世主風鳴翼先輩だった。よかった、あの空気吸い続けたら肺が焼けるところだった。

 

 

「ちゃんとした記憶なかったから。協力者の二人には挨拶しとこうと思って」

「こんにちは、小日向未来です」

「………。あっ、比企谷八幡です」

「ふっふーん。二人は私の心の友みたいな存在なのですよ翼さん」

 

 

何言ってんだこいつ。…てかよく考えたら協力者になってから風鳴先輩と会った記憶ないや。大体モニター越しだったりそも俺が二課に行かなかったりで会ってないし。存在は知らされているらしいが。以前名乗ったかすら忘却の彼方なのでいかんせん。

 

 

「…立花はこういう性格故、苦労をかけると思うが支えてやってほしい」

「いえ、響は残念な子なのでご迷惑をお掛けします」

「………よかったな立花。保護者がいっぱいだ」

「なんか馬鹿にされてる気がする…」

 

 

…どことなく風鳴先輩の初めて会った時のトゲトゲしさや、硬さが薄れている気がする。なんだろう、雰囲気が柔らかくなったとでも言うのか。

 

まあ影響を散々与えたのは立花なのだろう。喧嘩したとヘコんでたのが嘘のように笑って会話をしているあたり関係の改善も順調のようだ。

 

…なら俺は女性陣が会話している間に男性陣に話をつけておこう。どうせ頼むのだ、拒否されるにしろ話さなければ始まらない。うん、受け売り分かってますとも。

 

 

「…あー藤尭さん。こんな短期間で申し訳ないんですけど…」

「ああ、何か困りごとだろう?別にそんな顔しなくても良いって。大方ネフシュタンの女の子のことかな?」

「ね、ねふしゅたん?」

「ん?ああ、ネフシュタンの鎧についての話はしてなかったか。じゃあ訂正して、雪音クリスって女の子のことでいいかな」

「え、あ、はい」

「だろうね。その事については二課でも独自の調査が行われているから。司令からの許可も降りてるし、資料の閲覧も協力もある程度可能さ。その資料も用意してある。後で見せるけど、持ち出しはできないからね」

「……あ、はい。……なんでそんなアッサリというか、こっちの頼み事全部見通されてるんですかね…?」

「見通してるわけじゃないよ。ただ頼れる大人ってのは、頼られる準備を怠らないだけさ」

 

 

特に子供から頼まれる準備はね、と笑って見せる。この人もこの人で超有能系大人なのか。司令だけでも大人パワーが爆発してるのに、なんでここには立派な大人が集結してるんだろう。ここに就職すれば立派な大人になれるのかしら。いや俺は働かないけどね?

 

 

「あら〜楽しそうね!ガールズトーク♪」

 

 

そして新たな闖入者。天才博士の櫻井女子…間違えた櫻井女史である。そも女子って年齢じゃゲフンゲフン。櫻井女史である、はい。

 

 

「………んふふ。八幡ちゃんも健在で何よりね!」

「…はは。あ、俺ガールズじゃないんでスルーしといてください…」

「あら冷たいわねぇ。二課を辞めなくて済んだから響ちゃんの歌聴き放題で興奮してるのかしら?」

「…………そんなことないですよ」

「え?なに?私の歌がなんだって?」

「なんでもない」

「えー!なになに気になるよー!」

「木も実も何もねえよ」

 

 

ユサユサと肩を揺らしてくる立花をあしらいながら櫻井女史を見る。ニコニコと青春ねーなんて呑気はこと言ってる暇があるなら余計なこと言わないでほしい。正直歌が聞こえないとか自己申告するには問題が少ないので無駄な興味を持たせたくないんだ。治らないと分かってる今無駄な心配はかけるだけ無駄だ、無駄無駄。立花にオラオラされたら死ぬ確信が持てる。…おっと悪寒ががが。

 

 

「………藤尭さん。巻き込まれる気配しかしないので先に資料見せてもらっても良いですか?」

「…いいね、俺もそろそろ戻らなきゃいけなかったからちょうどいい」

 

 

テンション高まってる立花や風鳴先輩のマネージャー故俺たちのように避難できずにいる緒川さんを置いて発令所へ向かう。その時の緒川さんの少し恨めしげな顔は無視しよう。忍者だしそのうちドロンするだろう。俺とかいつもドロンしてるようなものだし忍者なら余裕余裕。

 

 

「………これですか」

「そう。女の子の秘密で機密だから、他言無用でね」

「分かってます」

 

 

発令所で藤尭さんから受け取った資料を読んでいく。雪音クリスという女の子。今まで知ろうとしなかった、知ってはいけなかった部分すら踏み込んでいく。

 

……その内容は、凄まじいものだった。

 

雪音の両親が難民救助のNPO活動中に死亡したのが八年前。そこからようやく救出されたのが二年前。そして帰国直後行方不明になり、その捜索に駆り出された人間が全員死亡か行方不明。現在はフィーネとやらの元から離れて路上生活。

 

…………なんだよ、これ。

 

…両親が死んだ。それだけで子供にとっちゃ世界一の大事件だ。なのに飽き足らず六年も紛争地帯で捕虜としての生活を強いられ、ようやく帰国して普通の生活へ戻る目処がついたと思ったらフィーネに連れ去られて、今に至っちゃそいつに三下り半を叩きつけられてるわけか。

 

 

「………どんだけ苦い人生歩いてんだよ」

 

 

思い出すのは、雪音の顔。

 

 

『………あぁ。あまいなぁ…』

 

 

マッカンを奪うように飲み干したあの時。苦々しい苦悶を一瞬でも忘れられたのだろうか。…ああ、そういや人生は苦いからコーヒーくらいは甘くていいと言った時に同意してたっけ。その理由が、上辺だけでも理解できてしまった。

 

 

………助け、られるのだろうか。

 

 

俺の両親は健在だ。俺は捕虜になんてなったことがない。行方不明になっていないし、誰か信頼する人に見捨てられたこともない。信頼できる人いなかったし。

 

……まあつまり、共感できる場所がないのだ。精々友達いないことくらいかと思ったがつい最近友達ができてしまった。孤独という強さを失くしてしまいそうでぼっち的には不安だが、今はいい。

 

大事なのは雪音に何ができるか。どうすれば助けられるか。そこを考えなければいけない。だが最低限の衣食住すら俺の力では満足に揃えることもできない。フィーネとやらの元へ戻すというのは家出少女をネグレクト親に差し出す行為に他ならないので却下。

 

 

「………あの、雪音って帰国した後保護するように国の指示が出てたんですよね?その引取先って…」

「ああ、司令だね。他にも候補はいたはずだけど、亡くなったり色々したからね。受け入れ拒否した人達も多いんだ」

「………なるほど」

 

 

そうか、引取先は風鳴司令か。あの人なら雪音を悪いようにはしないだろう。だが問題はあの人間不信気味というか大人嫌いな雪音が受け入れてくれるかどうか。

 

利益を言っても受け入れないだろう。むしろ俺が二課の人間であると知った瞬間裏切り者扱いされる可能性もある。つまり雪音を説得する必要があるわけだが…。どうしたもんか。

 

 

「………藤尭さんてどんな人の言うことなら聞きます?」

「また唐突だね。そうだなぁ、司令の言うことは当然聞くし、仲のいい職場仲間に頼られたら聞くだろうね。そう言う君は?」

「俺を養ってくれる人、とかですかね」

「………。その人に『働け』って言われたら?」

「きっとその人は俺の理想の人ではありませんね」

「…地球上にいるといいね、そんな人」

 

 

地球内での存在を否定されたんだが。地球にいてくれれば運命あたりが導いてくれることを信じよう。稼ぎが良くて可愛くなくても性格がいい女の人。性格良くないと専業主夫やらせてもらえないだろうし。

 

………何はともあれ、今の最優先事項は雪音だ。それに対し、今この手の中にある情報は懸念事項を消してくれた。過去とか新しい懸念事項も出てきたが、それもいい。

 

 

成功する可能性が高いとは言えない。拒絶されるかもしれない。今まで踏み込む事を恐れていた人間には不相応な方法かもしれない。それでも進むと俺は決めた。

 

理由をもらい、問題を設定し、方法を定めた。

 

 

あとは、実行するだけだ。

 




XV4話、やばない?最推し曲流れただけでテンションマックスなのにアレですよ?死なない?作者は死んだよ。

あとあしたのあたし!!!買って聴いて泣いて泣くまでがワンセット!無理!好き!

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