やはり俺の戦姫絶唱シンフォギアはまちがっている。   作:亡き不死鳥

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ライブ描写まで行けなかった…。今んとこ書きたいところなのに…。次でようやく書ける。てか筆休めというか幕間回こんな長くなるのか。


か、感想の返信…。してない…。待って…待って…。




やはり、片翼は広がる。

in高台

 

 

 

 

「みーんなー!早くこないと置いてくよー!」

「翼さんにお義姉ちゃん!ついでにお兄ちゃんも頑張れー!」

「みんな、もう少しだよ!」

 

 

………へばった。

 

風鳴先輩と雪音のデュエットによりカラオケは喝采の嵐で後にできた。その時には一日中遊び倒していたのを実感できるくらい陽が傾き、夕日が空を赤く染めて街を照らしていた。

 

そろそろ解散かなと思っていたら、最後に行きたい場所があると立花が提案したので全員で向かっているところだ。

 

……ところ、なのだが。街中から外れ、歩く場所は階段ばかり。階段が無くなってもあるのは上へ続く坂道と普段あまり運動をしない上、そもそもこんな大人数で遊ぶなんて慣れないことの連続で体力が奪われきっていた。

 

 

「………な、なんであいつらはあんな元気なんだ…?」

「…お、おかしいわね。結構鍛えてるはずなのに…」

「…気疲れってやつですかね。もう歩きたくないんですけど…」

 

 

なお俺以外にも雪音と風鳴先輩も息を切らしていた。全員友達少ないぼっちよりの人間なあたり、リア充の遊びに対する体力の多さって怖いわ。程よく疲れるなんて生易しいことしてくれないのね。

 

 

「………ふぅ。やっとついた…」

 

 

ようやく頂上。と、思ったらここはいつぞやの高台だった。流星群の日、小日向と共に流れ星を見た場所。前は自転車でもう少し緩い坂道で登っていたので分からなかったが、こんな高いところにあったのか。

 

 

「………はぁっ、はぁっ」

「………おい、大丈夫か?」

「…大丈夫、なものかよっ…」

「ったく。ほれ」

「さ、さんきゅ。ってこのコーヒーこんなとこにもあるのか…」

 

 

いち早く自販機で喉を潤すために買ったマックスコーヒー。あまりにへばっているので余分に買っておいた物を渡すと、そのまま飲み始めた。

 

 

「………不思議な色のコーヒーだな」

「千葉県民のソウルドリンクです。飲まないのは人生の落ち度と言っても過言じゃありませんから」

「過言じゃないのか…」

「なんなら飲みます?マッカン布教のためなら奢りますよ?」

 

 

マッカンのためなら多少の出費は目を瞑れる俺だ。ちなみに中毒性に関しては雪音や俺という前例が証明済みである。…いやトップアーティストに糖分増し増しの飲み物とか禁忌か?あれ、大丈夫?

 

 

「……そこまで言うなら…」

「丸々一本飲む気ねーならもったいねえよ。ほら、少ししか飲んでねーからこれでいいだろ」

 

 

おずおずと興味を示した風鳴先輩にマッカンを買ってこようと思ったら、何故か雪音が割り込んできた。渡したマッカンをバトンパスするように風鳴先輩に突きつけて差し出している。

 

…珍しい事もあるもんだ。雪音はそういった回し飲みの類いは好まないと思っていたが。それとも今日一日遊び回って心を許し始めたのだろうか。

 

 

「いいのか?」

「………ん」

「ありがとう。いただくわ」

 

 

笑顔でマッカンを受け取る先輩にそっぽを向く雪音。夕日に染まって見える雪音の顔に赤みが差しているのは気のせいだろうか。少なくとも嫌悪は感じられない。

 

……デュエットして何かを感じたのか。歌っている最中に浮かべていた笑みは、きっと勘違いではないだろう。その証拠に少なくとも敵同士で生じる殺伐とした空気は、この空間には少しも存在していなかった。

 

 

「………こ、これは。なんというか、暴力的な甘さだな」

「いらないなら返せよな」

「いや、せっかく貰ったものを返すのは失礼だ。それに、今日は知らない世界ばかり見てきた気分だしな。これもその一つさ」

 

 

飲んでいるマッカンを軽く上げ、小さく笑ってみせる。その笑顔はかつて初めて出会った頃とは比べものにならないくらいに柔らかく変わっている。立花が二課に所属してから数えるほどしか出会っていないのに、その変化は顕著に表れている。その変化の原因は、きっと間違っていないだろう。

 

 

「ね、翼さん!こっちに来てください!」

 

 

…そんな件の人間は能天気に手すりを掴みながら手を振っている。夕陽を浴びて、尚輝くような笑顔に翳りはない。その太陽のような輝きで、色んな人間を変えていく。呆れたような、しょうがないなと笑っている先輩や雪音がその証左だ。

 

 

「ほら、見てください!あそこが今日集まった公園で、あっちにはゲームセンターも見えます!」

 

 

…高いところからは色々なものが見える。知ってる場所、知らない場所。行ったことがある場所、見た事もない場所。知ってる世界と知らない世界が混ざり合って、それでも世界は繋がってるのだと理解できる。不思議な場所だった。

 

 

「今日みんなで遊んだ場所も、遊んでないところも全部翼さんの知ってる世界です。昨日に翼さんが戦ってくれたから、みんなが今日暮らせている世界です」

 

 

…場所だけじゃない。目を凝らせば小さな人影が無数に見える。その一つ一つに生きている命がある。ノイズが触れれば容易く消える小さな命。そんな命を立花も、先輩も守り続けている。

 

小町以外ここにいる全員が理解している。相棒を失いたった一人で剣を振るい生きている人間が、この目の前に広がる世界を守り続けていることを知っている。

 

 

「…だから、知らないなんて言わないでください」

 

 

……その事実を、何より風鳴翼が知っていなければならない。

 

今日遊んでいて、先輩は全力で楽しんでいた。初めて見るもの全てに目を輝かせる子供のように、加減が分からず本気を出し続けるように。だがそれは普通の高校生なら当たり前に経験しているものばかりだった。

 

当たり前を享受せず、命懸けの戦闘を当然とする。それを不満に思っているかは先輩次第だ。そこに迷いがないのなら、なにも問題ないのかもしれない。

 

……それでも、守った世界を謳歌するくらいは許されるだろう。

 

 

 

「………そうか。これが、奏の見ていた世界か」

 

 

 

吹く風に髪をなびかせ、笑って世界を見やるその目に何が映っているのかは分からない。晴れやかな顔も、まるで今日初めて世界を見たように初々しい。これから進む道、見える世界の期待に胸が膨らんでいるようだ。

 

 

「………」

 

 

 

 

 

…そして、もう一人。

 

そんな先輩の姿に目を細める雪音は何を思っているのだろう。世界を守る先輩の敵である雪音は、ならば世界を侵略する敵なのか。

 

……否、それは違うはずだ。雪音と友達になりたいと訪ねた時、雪音は『世界を平和にしてやる』と言っていた。自然に、当たり前に、その言葉を口にした。

 

今日雪音は『平和』を見て来たはずだ。ノイズが現れる事がなく、何もないのに大騒ぎし、一銭も手に入らず人も救わない歌を好き放題歌った。それはきっと平和と言って差し支えない代物だ。たった一日の、見知らぬ平和を体感して雪音は何を思うのだろう。

 

 

 

 

 

……平和を知らない少女の願う、世界の平和。

 

 

 

 

 

……嗚呼、夕日が沈んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

数日後

 

 

 

「………ライブのチケット、ですか?」

「ああ。三人にも是非来て欲しくてな」

 

 

ある日突然風鳴先輩が家に訪ねて来たと思えばライブのチケットを頂いてしまった。たしか風鳴翼のライブって相当競争率が高くてファンからすれば喉から手が出るほど欲しいものじゃないのだろうか。そう言えばうちのクラスでも、外れただの当たっただの喧しく騒いでた人間がいたようないなかったような。

 

 

「……って言っても、俺前言ったとおり歌聞こえないですよ?こんな良いもの貰っても宝の持ち腐れというか…」

「どう扱うかは比企谷が決めて構わない。売ろうが譲ろうが、どうこう言うつもりは無い」

「だったら初めから…」

「それでもだ」

 

 

受け取るのを渋る俺に無理矢理押し付けるようにチケットを渡されてしまった。枚数は3枚。小町、雪音、そして俺用なのだろう。チケットの内容をみればさすがにVIP席ではないが、十分良い席が用意されていた。しかも場所が…。

 

 

「………この場所。たしか…」

「そうだ。二年前、私の片翼を失った場所だ。無理言ってねじ込んでもらったよ」

「なんでわざわざ…」

「………。私も、世界が見たくなったから、かしらね」

 

 

真っ直ぐな瞳で見つめられ、思わず目を逸らす。なんとまあ憎たらしく強気な笑みが美しい。思わず惚れそうになる。

 

 

「だからあの子も連れてきてね」

「あの子……って雪音ですか。普通に嫌がりそうですけど」

「それなら引っ張ってきて。それがチケット代よ」

「押し付けて代金請求とかなんて人だ」

 

 

クククとどちらからともなく笑い出す。このトップアーティスト様がこんなイタズラするような人間だなんて知らなかった。それは先輩自身もなのか、初めてのイタズラに成功したことに笑みを浮かべている。

 

…仕方ない。きっとまた歌の聞こえない空間に置いていかれる事になるのだろう。それでも構わないくらい、目の前で笑っている人が形作る世界が見て見たくなった。

 

 

「それでも、わざわざ念を押してまで連れてきて欲しいなんてよっぽどあいつが気に入ったんですか?」

「ふふ、どうかしらね。…でも、そんな複雑な事じゃないわ」

 

 

チケットを渡し、空になった手でドアノブを開く。高い日差しが玄関に入り込み、先輩の靡く髪に反射して光を照らした。

 

 

 

「………友達に成長した自分を見せるのは、『普通』のことでしょう?」

 

 

………ああ、不思議だ。ただ髪をかき分けただけなのに、広がったそれが翼に……いや、片翼に見える。右に広がる片翼は広がり、空へ飛び立つ準備を整えた。

 

…不完全なソレでも、どこまでだって飛び立てるような覚悟が背中に宿っている。

 

 

「………またね」

「………ええ、また」

 

 

………何故だろう。左肩が、鈍く痛んだ。




XVあと二話ってマジ?あと12クールやっても文句言わないよ?
最近アニメを思い返して脳内で小説調に書き直す遊びが個人的に流行ってる。ただそれを字に起こすのはいつになるやら。
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