やはり俺の戦姫絶唱シンフォギアはまちがっている。   作:亡き不死鳥

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筆休め。戦えない弊害として後半ほんと書くことがないのが辛い。原作に心情表現をひたすら付けて進めないと何も起こらない現実。

……まあそれはそれでめちゃ楽しいけれど。


やはり空の乙女は落とされる。

in地下某部屋

 

 

ザァーーーーー

 

 

 

 

「………司令、聞こえますか?…ダメか」

「…それ、通信機?」

「まあな。つっても繋がってくれないけど」

 

 

地下の一室に篭りリディアン三人組と共に息を殺してしばらく。ようやく外の音が静かになって来たところで通信機を試したが、やはり繋がらないようだ。

 

地下だからなのか、理由は分からないが…。

 

 

「…ここ電気は生きてんだよな」

 

 

入口のスイッチを押せばパッと灯りがつく。ここだけ無事だったのか、それとも予備電源でもあるのか。後者だった場合が恐ろしいので視界が保たれる程度の明かりを残して消す。真っ暗で何も見えないとか下手すりゃパニックだからな。

 

 

「…外も静かになって来たな」

「あ、ほんとですわね。もうノイズはいなくなったのでしょうか?」

「さあな。とりあえず辺りを見てくる。お前らはここで…」

 

 

 

 

 

 

 

ドンッ!!

 

 

 

 

「「「「!?」」」」

 

 

 

何かを殴りつける音。そしてミシィ!という音と共に壁に亀裂が入る。ノイズ、にしては壁をすり抜けるでもない原始的な方法だった。

 

そうこうしているうちに亀裂は壁の向こう側とこちら側を繋げるようにこちらへ向かって倒れて来た。ノイズだった場合を考えて三人組の盾になるよう前に出る。

 

そして姿を現した下手人は……。

 

 

 

 

「八幡くん、無事だったか」

「あんたかよ!」

 

 

 

 

あらまびっくり風鳴司令でした。司令の他にも藤尭さんと友里さん、緒川さんに小日向も一緒だ。というか平然と壁ぶっ壊してるけど腕力どうなってんのこの人。

 

 

「…司令、その怪我は?」

「……ああ、しくじっちまってな。了子君にしてやられてしまったよ」

「その怪我で壁ぶち抜いたんですか…」

 

 

櫻井女史に司令がやられたことよりそっちの方が気になってしまった俺は悪くないと思う。結構な重症に見えるが、落ち着いているようなのでやはり相当肝が座ってるのだろう。本当にヤバかったら友里さん達がもっと慌ててるだろうし。

 

 

「司令!この区画の電力はまだ生きています!」

「では僕は他の場所を見てきます!」

「あ、緒川さん!俺も手伝います」

 

 

藤尭さんは端末での接続を始めたあたりで緒川さんが出て行こうとするのでその後を追わせてもらう。司令はダウン、友里さんは司令のケアで藤尭さんは端末を用いて外との繋がりを探るだろう。その場合動けるのは緒川さんと避難してきた三人組や小日向しかいない。あそこに留まるよりは動いた方が力になれるはずだ。

 

 

「では手分けして避難している人たちとの合流。電力の有無とどこかに地上へ出られる脱出口がないかを探してください」

「分かりました」

 

 

別れて軽く走りながら暗くなった廊下を走って行く。

 

 

「誰かいませんか!特異災害対策機動部です!」

 

 

それと同時に身元、というか所属先を言いながら見て回る。電気のチェック、階段や非常用エレベーターなどがないかの確認もしているのであまり早くは回らない。というかこの学校広過ぎないか?分かれ道覚えとかないと俺が迷子になりそうだ。

 

 

「……お目当て発見、ではあるのか?」

 

 

走って数分。 残念なことに人っ子一人出会わなかったが、もう一つの目的。地上まで行けるかもしれない道を見つけた。

 

地下とはいえ地上との繋がりがある場所は崩落も多く、ノイズの爪痕が道を阻害していた。司令がさっき壁を壊したのも崩落による通路の閉鎖が原因だろう。

 

だがようやく崩落の少ないエリアでの階段を見つけることができた。しかし、これはこれで恐ろしい。この上にはまだノイズが蠢いているかもしれないのだ。見つかって逃げるにしても他の人を巻き込むわけには行かないのでこの通路を帰り道として使えなくなる。

 

 

「……通信機を置いてけばわかるか」

 

 

今のところ繋がらない無用の長物だ。二課の制服を捨てるわけには行かないし、服一着置いてあっても俺のものと判断されるかは怪しい。なら一番身元が分かりやすい通信機を通路の真ん中に置いていけば最悪の事態の時にこの道は危険だと伝わってくれるだろう。

 

 

「……こんなこと考えるようになってるあたり、かなり染まってんな俺」

 

 

だが悪くない。むしろいい事だ。こんな階段登るだけで死ぬかもしれないのに、その後の事を考えることが出来ている。頭が働いている証拠だ。

 

戦っている立花達の邪魔をしない。戦えない小日向達に被害を出さない。その両方を為さなければ進む意味がないんだ。…結構奥深いな人助け。

 

 

「……行くか」

 

 

通信機を置き、階段を音を殺して一段ずつ進む。ノイズの全てがそうかは知らないが、音に反応するノイズと遭遇している経験からひとまず静かに動く。見つかったら大人しく走ろう。

 

一歩、一歩、一歩。

 

そして地上の廊下を踏む頃には汗だくになっていた。緊張に呑まれないように深呼吸をする。恐怖は無くならなくても筋肉は動く、らしい。スパルタ流根性論に縋らせてもらおう。

 

 

「………………いない?」

 

 

……いや音はする。戦ってる音だ。かなり遠いが金属のような甲高い音がここまで響いてきている。だが金属音がノイズから出るなんて聞いたことがない。なら立花達と櫻井女史が戦ってると考えるのが自然だ。近寄らんとこ。

 

 

「………………いないな」

 

 

しかしそれだけだ。戦闘音はすれどノイズがリディアンを壊す音は聞こえないし、ノイズ特有の変な音も聞こえない。見える範囲にとつくが、ノイズは影も形も存在していなかった。

 

 

「…なら一回戻るか」

 

 

助ける方法が出来ても助ける相手がいなければ意味がない。帰りはまだ通っていない道を辿って避難している人たちを探そう。そしてここの近くも電力が生きていたからここまで移動してもいいかもしれない。避難経路が近ければそれだけ早く逃げることができる。

 

…………最悪の場合。もし立花達が負けてしまった場合も、ここにいるより逃げた方が助かる可能性が出るかもしれない。その判断は俺には出来ないが、可能性も見ておく必要があるだろう。

 

 

…振り返って、元の道を戻る。

 

 

それが正しいはずなのに。

 

 

影が出る。

 

 

光が翳る。

 

 

まるで導かれるように、月明かりの眩しい空を見上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

♪Gatrandis babel ziggurat edenal♪

 

 

 

♪Emustolronzen fine el baral zizzl♪

 

 

 

♪Gatrandis babel ziggurat edenal♪

 

 

 

♪Emustolronzen fine el zizzl♪(月の下、命は淡く雪のように)

 

 

 

 

 

 

月に、輝く蝶々が羽を広げていた。その中心には赤く美しい少女がいて、空から降りるように下を向く。

 

地上からは、まるでその羽根を撃ち落とすように光が立ち上がった。いやそんな生易しいものじゃない。夜空を食い千切るような光線が放たれ、天空の蝶が放つ光線とぶつかり合う。

 

 

押して、押し留めて……

 

 

…押されて、押されて、押されて。

 

 

………遂には、光の濁流に飲み込まれてしまった。

 

 

 

「…………雪音?」

 

 

 

その光線は月へ向かい、そのカケラを削り取った。しかし端の一部を砕かれた月はまだ天上に輝いている。だがその手前、赤い星が力尽きるように大地に向かって行く姿が目に焼き付けられる。

 

…遠くても見間違えるわけがない。あれは雪音だ。暗い夜を一直線。誰もいない森林に墜落した。

 

 

「……雪音っ!」

 

 

………地下に戻ることは、既に忘れていた。

 

光の軌跡を見失わないように、音を殺していたことなんか忘れて走り出す。視界の端には幾何学模様の塔が帯電しながら空を狙っていた。きっとあの塔がカディンギルであり、雪音を撃ち落とした兵器なのだろう。

 

 

「……くそっ」

 

 

聖遺物やオーバーテクノロジーの集合体のような兵器による暴力。それを真っ向から受け止めた雪音は無事だろうか。そもあんな高さから落ちた時点で危ないかもしれない。シンフォギアのシールド能力がどれほどのものか分からない時点で、向かう先には死体があるかもしれないのだ。

 

………そう思うと、怖い。

 

向かう先で雪音が死んでいるかもしれないのが怖い。ノイズと戦っている時点でそうなる可能性は考え続けなければならないことだ。現に立花と風鳴先輩は天羽奏というシンフォギア装者を亡くしている。

 

…死の可能性。それは目を背けられない現実だ。

 

…それでも、それでもだ。死んでなんかくれるなよ。

 

…俺はまだお前の歌を聴いてないんだ。

 

…絶対に言わないけど、結構楽しみにしてるんだからな。

 

 

 

「…生きるのを諦めるなよ、雪音っ」

 

 

 

真っ直ぐ、ただ真っ直ぐに走った。最速で、最短で、真っ直ぐに、一直線に向かえるように。

 

……ああ、なんで俺はシンフォギアを纏えないんだ。目の前に立ちふさがる木々を見ながらそう思う。こんな木々を飛び越して雪音を助けに行きたいのに。

 

真っ直ぐ進めない道無き道に苛立ちが募る。首にぶら下がる黒いペンダントが弾むたびにもどかしさを感じる。この中に聖遺物があれば、それか歌が聞こえない原因だという哲学兵装とやらが使えれば。そんな現実逃避ばかりが浮かび上がる。

 

だけどそんなものはここにはない。それでもこの願望は分かりきった現実を相手に、森の半ばで倒れ伏した雪音を見つけるまで浮かび続けた。




おかしい、雪音編は終わったはずなのに翼さんの所に行けない…。塔の上には流石に向かえないんだ…。

というか書いてて八幡って人助けに目覚めたらすぐ死にそうだなって。最適解を選ぼうとして死ぬリスクあるけどまあ仕方ないみたいに受け入れて普通に死にそう。
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