やはり俺の戦姫絶唱シンフォギアはまちがっている。   作:亡き不死鳥

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無理。十分を4000字に書き上げるなんて無理ですよ。

なので今回は短いです。最悪飛ばしても大丈夫。

次からオリ話入ります。


もう誰もいない

side響

 

 

 

 

 

「……ぁ……あぁっ……」

 

 

 

 

カディンギルが崩れていく。翼さんがその身を投げて打ち崩した塔が音を立てて落ちていく。天へ伸ばしていた砲身は見る影もなく、瓦礫と果てて崩れ落ちた。

 

 

「……翼さん…」

 

 

同時に身体に自由が戻ってくる。翼さんに影縫いをされた筈なのに、その短剣が塵のように消え去ったからだ。それはまるで、持ち主の消失を後追いするようで…それが一層、喪失を際立たせる。

 

 

「……クリスちゃん…」

 

 

体の内側から襲いくるような衝動も、もはや消え失せていた。自由を手に入れた身体は、どこまでも目の前の現実を突きつけてくる。暴走して意識が落ちていた時には目に入らないものだとしてもだ。

 

天を見る。欠けた月、クリスちゃんが守った物がそこにある。大地を見る。翼さんが守った世界の証がある。

 

………じゃあ、私は?

 

…私は、何を守れたんだろう?

 

 

「…………ぁぁ…」

 

 

リディアンはノイズに襲われてボロボロだ。生存者を望むのも憚られるほど、見る影もなくぐしゃぐしゃだ。

 

クリスちゃんはカディンギルの一撃を受けて森へ落ちていった。シンフォギアがあっても、あの一撃に耐えられるだろうか。

 

翼さんはカディンギルを壊し、その瓦礫へ飲まれていった。…もう、あの歌は聞こえない。

 

 

「……未来…八幡くん…」

 

 

守りたかった日常は、帰りたかった陽だまりは、この手から零れ落ちた。帰る場所のために戦っていた筈なのに。誰かを助けるために拳を握った筈なのに。誰かと手を繋ぐために覚悟を胸に決めた筈なのに。

 

戦う理由であった場所は壊れた。助けるための誰かはいなくなった。手を繋ぐ友達はいなくなった。

 

………それなら。

 

……………それなら…

 

 

 

「……私、いったい何のために戦ってたんだろう…」

 

 

 

覚悟が消えた戦士に纏える力を世界は与えてはくれない。ガングニールのシンフォギアは戦意を亡くした装者から姿を隠してしまった。

 

あるのはリディアンの制服を身に飾った、何の力もない少女だけ。その手は空っぽで、もはや暴走を起こす気力すら残してはくれなかった。立つ力も萎え、地面に横たわるばかり。

 

……心が、諦めてしまったのだ。

 

 

 

「……くそっ!どこまでも忌々しい!」

 

 

だがこの状況に絶望していたのは響だけではなかった。此度の惨状の原因、フィーネもこの結果に激昂していた。

 

数千年にも渡って追い続けていた願いだった。リーンカーネーションシステムはフィーネの遺伝子を受け継いだ子孫がアウフヴァッヘン波形に接触すると言う偶発的な事象が必要だった。

 

今でこそ米国政府と接触しその問題点を解決し得る方法を持ちつつあるが、それまではただただ長い時間を掛けてチャンスを待ち続けていた。

 

ただの少年少女に宿っても月を破壊するに至らなければ無為に時間を過ごすだけ。だからこそフィーネは千年以上の時間をかけてしまっていた。

 

だがようやく。ようやく月の破壊へ手が届いたと思った。

 

……その結果が…これだった。

 

 

「……月の破壊は、バラルの呪詛を解き放つと同時に重力崩壊を引き起こす。惑星規模の天変地異に人類は狼狽え、恐怖し!聖遺物を操る私の元に帰順するはずであった…。なのに…なのにお前は!お前達はっ!」

 

 

地面に臥す響を蹴り上げ、消えようのない衝動をぶちまける。

 

痛みに惑い怯える人類を纏め上げるのは苦労しないはずだった。例え逆らい抗おうとしても通常兵装でネフシュタンに勝るとは思えない。そうなれば人類を操るのも容易い。

 

もう一度。もう一度天へ届く塔で、今度こそあのお方に胸の内を伝えるはずだったのに。

 

空は浮かぶ月は欠けたなお皇々と輝いている。口から発する言葉も変わらず、統一言語に戻りはしない。櫻井了子となって掛けた時間は無に帰ったのだと、天から嘲笑われているように。

 

 

「…………」

 

 

仰天。空を仰ぐ。

 

……何故ここまで、私を拒むのだろう。

 

 

「……私はただ、あのお方に並びたかった」

 

 

最早何も為せない。それ故に、空へ語るようにフィーネは続けた。

 

 

「私はたった一人、数千年に渡りバラルの呪詛を解くために抗ってきた。いつの日か、統一言語にて胸の内の思いを届けるためにっ…」

「……胸の…?………だからって…」

「…っ!是非を問うだと!?恋心も知らぬお前がっ!!」

 

 

響の髪を掴み、近くの瓦礫に叩き込む。何故こんなことを自分の邪魔をした人間相手に聞かせているのか。理解し得ぬ感情が零れだす。ただ許せなかったのだ。この心からの想いを、何の躊躇もなく踏み躙られる事が。

 

…そして、それを聞いた響も同じだった。

 

…恋なんて知らない。それでも、みんながいつも一歩前に踏み出してきたこの世界を壊そうとする事が。その為に誰かを犠牲にする事が許せなかった。

 

…………許せない。その心に嘘はない。だけど、やはり心は、立ち上がってはくれなかった。

 

 

……今になって昔を思い出す。私は昔から、立ち上がって前に進むのにいつも誰かが助けてくれていた。

 

二年前の事故のリハビリを乗り越える時は、奏さんの『生きるのを諦めるな』を胸に笑っていた。

 

学校でイジメられた時も、未来が支えてくれたからへいきへっちゃらと自分を慰められた。

 

戦場に出た時は翼さんが前に立ってくれたから、その背中に追いつきたいと拳を握れていた。

 

未来と喧嘩した時は八幡くんが頑張り過ぎだと、転びそうになっていた私を支えてくれたからこの手を伸ばし続けられた。

 

アームドギアが出なくて焦っていた時は、クリスちゃんと手を繋げたからこの空っぽの手にも強さがあると信じる事ができた。

 

 

みんながいたから……みんながいてくれたから。

 

 

 

 

 

 

「…………みんな…」

 

 

 

 

 

 

小さな呟き。返してくれる人は、もう誰もいない。

 

 




原作シーンばかり書いてると自分の存在意義を疑い始めますね。ようやく次から存在意義が現れる。
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