やはり俺の戦姫絶唱シンフォギアはまちがっている。 作:亡き不死鳥
流石に年末年始に書きまくれるほどの元気はなかったですがようやく戻ってきました。また書いてきたいと思います。
……まだ原作まんまばっかですがね!
sideフィーネ
………月が夜天の頂で端を欠けてなお煌々と輝いていた世界。その中で見計らったかのように夜明けと共に三つの光が立ち昇った。
カディンギルの一撃で撃ち落とされたはずの雪音クリス。
カディンギルを打ち砕き瓦礫と消えた風鳴翼。
その結果を目前に晒され心が打ち砕かれた立花響。
その三人が再び自分と対峙している事実に苛立ちを覚える。三者三様の輝きを帯びたシンフォギアは、各々の形状に多大な変化をもたらしていた。
《限定解除》
相当量のフォニックゲインをシンフォギアシステムが取り込むことで稼働可能となる決戦機能の一つ。シンフォギアのリビルドを強制的に引き上げることで可能となる形状変化による飛行機能、それに合わせたロックの解除により通常のギアよりも更に使い勝手良く、出力も向上している。
……しかし当然、おいそれと発動できる代物ではない。それでも目の前で実際に起きている事象から目を背けるわけにもいかないだろう。
雪音クリス、風鳴翼、立花響。全員がギアに翼を纏い、変化前とは比肩できないほどのフォニックゲインを纏っているのだから。
「………ふん。奇跡、というやつか」
認めるのは癪だが、恐らく先程の歌が奴らを再び立ち上がらせたのだろう。シンフォギアの適合者を見つけるための学園の生徒が奏でる歌。塵も積もれば、それこそ限定解除へ至るほどのフォニックゲインを発することができるのか。
……少しばかり興味深くはある、が。
「………先にお前達を、今度こそ消し去ってやらねばな!」
ソロモンの杖を使いノイズを発生させる。とはいえ限定解除されたギア相手に今更数十数百のノイズでは歯が立たないだろうが。
「………世界中で起きているノイズの侵略。それはお前が起こしているものなのか?」
「…ノイズとはバラルの呪詛により統率を失った人類が、同じ人類を殺す為だけに生み出された兵器だ」
「………人が、人を殺す為だけに…?」
「バビロニアの宝物庫は開け放たれたままでな。そこから迷い込む十年に一度の偶然を、私は必然としたまでのこと」
異世界に存在し、無限の広さを誇る武器庫にしてノイズプラントであるバビロニアの宝物庫。知られている通りノイズによる被害はソロモンの杖によって強制的に引き摺り出さなければ早々起きるものではない。
しかしてこの力を使えるのならば、無限の兵力を得たものに等しい。
「……ハァァァアアア!!堕ちろぉ!」
ソロモンの杖に一層力を込め、バビロニアの宝物庫の鍵を解き放つ。完全聖遺物であるソロモンの杖に介入し、無理矢理通常では呼び出せない量のノイズを放出する。
…その数、千や万では足りない量。街を覆い尽くすように殺人兵器であるノイズがばら撒かれた。
「………へっ!どれだけ出ようが今更ノイズ!」
……そう。どれだけ一般人を虐殺できる兵力であろうと所詮はノイズ。限定解除に至ったギアが三つも存在するこの空間での決定力は皆無だ。
…だからこそ、私が直接手を下す必要がある。
「やっさいもっさい!」
「だったら私が、乱れ打ちだぁ!」
「はぁぁあああ!!」
撃たれ、打たれ、斬られていくノイズの山。街一帯を吹き飛ばすかのような三機の破壊力はやはり限定解除前では到底出せない出力だ。太刀打ちできないという事実は、東京スカイタワーへの陽動として使用した超巨大ノイズも類を外れない。
「…ふっ、だが私を倒すには及ばんな」
目に見える力量。あの破壊力、あの機動力、あの殲滅力。どれをとっても脅威ではある。しかしこの身には完全聖遺物であるネフシュタンを備え、そして手にはソロモンの杖……。
「………ふんっ!!」
………そのソロモンの杖で、自分の身体を貫く。杖と名付けられたこの完全聖遺物は先端がいやに鋭い。その物体が身体に傷をつけるのは容易い事象だ。
………そして私は無限の再生力があるネフシュタンと融合している。ソロモンの杖は私を傷つけ、未だその体内に残り続けている。そのままネフシュタンは再生を開始。
……するとどうなるか?
ズチュッ!
鈍い音を立て、ネフシュタンはソロモンの杖すらも己の肉体と仮定したのか取り込むように一体化を始めた。新たな力の発現で臍下あたりがむず痒い。
そしてソロモンの杖との融合を果たすということは、ノイズを操る全権を己の身に宿したということだ。シンフォギア装者三人の蹂躙を受け続けてなお溢れんばかりのノイズは町中に広がっている。
「………我が元へ集え!」
…近場にいたノイズが形状を崩して私にへばりつく。それも一つや二つではない。十、百、千、万のノイズが一点に集中していく。この万を超えるノイズの支配権は全て手の中。それを統合、融合することでネフシュタン、ソロモンの杖、そこに数多のノイズと融合した私が生まれた。
塵も積もれば山となる。それは今の三人が限定解除に至るまでの事態で理解した。ならばこちらもその全てを蓄えよう。一つでも二つでもない。人類を殺す為の兵器を全て使役する。
「………まだ、まだだ!来たれ、デュランダル!!」
もはや手を伸ばすまでもない。形を無くしたノイズを崩れ去ったカディンギルの地下へと伸ばせば、その動力源となっていたデュランダルへ辿り着く。
デュランダル。それは無限のエネルギーを発する完全聖遺物。人類の夢であり、覆せない破壊力を秘めた一振り。それをノイズを通して手元へ受け取った。
「……ふ、ふふ、ふはははは!見るがいい!」
この結果。出来上がったのは、あえて形容するならば《赤き竜》。元々ネフシュタンは無限の再生力と同時に他を取り込む性質があった。ソロモンの杖を取り込み、その操作によって膨大なノイズを取り込むことでこの竜の如き要塞へ至った。
当然ネフシュタンの性質である無限の再生力をこの竜は宿している。……だけではない。
ギュィィィィィン!!!
「……っ!避けろ、雪音、立花!」
カッ!!!!!
赤き竜のカディンギルを思わせるエネルギーの充填、および放出。空気が震え、街が一線に破壊され、その軌道上に存在した山岳を半壊せしめたところでようやくその一撃が収束する。
…ソロモンの杖を取り込んだだけのネフシュタンであれば、直接的な攻撃のみの躯体となっていた。勿論無限の再生力がある以上、攻略は困難を極めるだろう。
しかしフィーネの手にはデュランダルがある。無限のエネルギーを使役し、強力無比なエネルギー砲弾を可能とすることで無制限かつ強大な攻撃手段を得ていた。
…いっそデュランダルとも融合すればと思うが、立花響という暴走の前例があり、この身には他を食らうネフシュタン。暴走した際のイレギュラーを無視できない以上この選択は仕方ないだろう。
……そもそも、そんな判断力が残っている程度にはフィーネは状況を楽観視していた。
無限の再生。
無限のエネルギー。
ノイズ媒体による無限軌道の攻撃。
その全てをこの要塞は備えているのだから。
「逆さ鱗に触れたのだ。相応の覚悟はできていような?」
☆☆☆
side…
【蒼ノ一閃】
【MEGA DETH PARTY】
遠距離攻撃持ちの二人が赤き竜へと変貌したフィーネへ一撃を放つ。赤き竜の胸元に、まるで神殿のような円柱型の空間。その中心にまるで生えるように上半身を露出し、デュランダルを手に持ったフィーネが存在する場所へと。
しかしその開かれた外壁が攻撃が届く前に閉じてしまう。限定解除の威力で放たれた斬撃とミサイルは外壁を削るが、まるで巻き戻すように穴が塞がっていく。
「…効かねえかっ」
「…それだけではないな」
「…っ、反撃!?」
無力化された攻撃、それどころかそのエネルギーを跳ね返すように巨大な一撃ではなく単発的なエネルギー砲弾。身体の一部を触手のように振るう物理攻撃の乱打。それらが三人に襲いかかった。
「…ふんっ。限定解除したところで所詮は聖遺物のカケラから作られた『玩具』!完全聖遺物に対抗できるなどと思わないことだ!」
「………完全聖遺物に、対抗…」
「………まさか…」
「………へ?何の話?」
嘲るように笑うフィーネ。攻撃が一方通行な今、余裕に浸るのも当然かもしれない。だがクリスと翼はその一言で可能性を見出した。
(…完全聖遺物に対抗。ってこたぁこっちも完全聖遺物をぶっこめばいいって話か?)
(ああ。御誂え向きにデュランダルには無限のエネルギー、ネフシュタンには無限の再生力を備えている。突破口にするには充分だろう。……だが…)
そう、シンフォギアで完全聖遺物に対抗できないのならこちらも完全聖遺物で立ち向かうしかない。ネフシュタンはフィーネと一体化してしまった以上剥ぎ取るのは容易ではないので、フィーネの手にあるデュランダルを奪う必要がある。
……問題はその後。デュランダルを体良く手に入れたとしよう。しかしそれを振るえる人間がいない。確率で言えば暴走したとは言えデュランダルの力を引き出し振り抜いてみせた立花響しかいない。
融合症例である響が暴走、シンフォギア装者である二人がデュランダルのエネルギーに飲まれた時の事態の想像が難しいのだ。もしも力を引き出せず自爆でもしたら笑えもしない。
(……立花)
(…おいバカ)
(…翼さん、クリスちゃん?)
限定解除で使用できるようになった念話で繋がりつつ二人は響を見つめる。これからの一大事、その一つで全てが決まる。
(………お前に賭けてやる)
(…賭けるって…)
(…デュランダルを奪い、その力を持って櫻井女史を打ち砕く。…その役割は、貴女にしかできないことよ)
(……でも私、前に暴走しちゃって…)
(だから賭けてやるって言ってんだ!)
ドンッとクリスは響の胸を叩いた。優しく、強く、そして…
「………信じてるって言ってんだよ」
念話を解き、信頼を言葉に。真っ赤にした顔を背けても、響の耳に、心にそれは伝わった。
「………クリスちゃん」
「……私もだ、立花」
「…翼さん」
「………貴女を信じてるわ」
「………っ」
真っ直ぐ、目を背けない力強さ。それもまた、伝わった。
「……わかりました。やってみます!!」
拳を握り、前を向く。
絶対的で圧倒的な強敵を前にして、それでも三人は笑ってみせた。
(私と雪音で露を払う!)
(お前は覚悟だけしときな!)
一番槍に雪音が飛ぶ。限定解除の恩恵により戦闘機を模した飛行ユニットへチェンジし、フィーネ目掛けて突撃する。
迎撃に走る赤き竜。エネルギー砲、触手が雨あられと降り注ぐ中を縫うように接近する。
「………突っ切れ、雪音!!」
【蒼ノ一閃《 《滅破》 》】
剣を通常よりも巨大化し放つ【蒼ノ一閃】。破壊力は元の比ではない。縮小されたエネルギー砲弾を押しのけ、触手を刈り取りながらフィーネの篭る神殿の一角を確かに破壊してみせた。
しかし巨大な穴が空いてもネフシュタンは再生してみせる。みるみるうちに穴が修復されて塞がっていく、その寸前。
「…う、らぁあああ!!」
【MEGA DETH PARTY】
滑り込むように開かれた穴からクリスは神殿の中へ侵入した。飛行ユニットからレーザーを拡散する。本来吹き抜けになっている筈の閉ざされた空間に所狭しとレーザーが飛び回る。クリスを追い出そうにも壁は塞がりその手段もない。
「………っぐ…貴様ら…」
「……開いたな?」
デュランダルのエネルギーで外へ放出する。その為にフィーネは神殿の外壁を開けてしまった。
(…必ず開かせると信じていたぞ、雪音!)
外壁が開く前から翼は一撃を用意していた。いつ開いてもいいように、どの時でも勝機を零さないように。だから躊躇いなくその一閃をフィーネへ放った。
……翼が信じていたのは響だけじゃなく、クリスも同様に信じていたのだから。
「そいつが切り札だ!!」
フィーネの手元にあったデュランダルが空を舞う。
「勝機を零すな!摑み取れ!」
勝利への道筋。その光が着実に近づいていく。
「…ちょ、せぇ!」
自由落下などさせないと翼の攻撃に巻き込まれていたクリスがデュランダルに銃弾を当てて距離を稼ぐ。
もはや響とデュランダルに距離はない。ガシッと、その手にデュランダルを掴み取った。
ドクンッ!!
……初めてデュランダルを起動させた時と同じ衝動が響を襲った。
☆☆☆
コォーーーン!
ゴォーーーン!
その瞬間、時を同じくしてもう一つ。覚醒の鼓動が響き渡る。
それを目にしていたのは本人と、もう一人…。
カラオケ行って五線譜のサンクチュアリ歌おうとしたけど入ってなくて悲しんだ作者です。
ライブ決定おめでとうございます!超行きたい!
そしてヒロアカの映画見て前作少し進めたくなった自分が怖い正月休みでした。マジかっこよかった。