やはり俺の戦姫絶唱シンフォギアはまちがっている。   作:亡き不死鳥

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ようやく八幡の中の聖遺物の判明回。
新キャラも出たりする。


やは◾️、◾️の◾️◾️はまち、が◾️……

side…

 

 

 

「ヴォオオオオオアアア……!」

 

 

 

デュランダルを手にした瞬間、響の身体が黒に犯される。暴走、懸念していたこと、乗り越えなければならないこと。フィーネを打破するための必須条件。

 

風鳴翼は立花響を信じている。

 

雪音クリスは立花響を信じている。

 

それだけじゃない。ここにいない、小日向未来や二課の面々、大勢の人達が立花響を信じていた。

 

 

「屈するな立花。お前が構えた胸の覚悟、私に見せてくれ!」

「お前を信じ、お前に全部賭けてんだ!お前がお前を信じなくてどうすんだよ!」

 

 

声援が飛ぶ。誰もが立花響を信じ、誰もがその姿を目に焼き付けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コォーーーン!

 

 

 

 

ゴォーーーン!

 

 

 

 

 

 

だから見向きもしない。天にて光のような輝きで心を集める少女が戦う中、地に這い覚醒の鼓動を鳴らす少年の姿を。

 

 

「………これは…」

 

 

唯一その存在に目を向けたのは微かな音を聞き分けたフィーネのみ。

 

 

「…このタイミングで覚醒、だと?デュランダルを手に入れる、その時を重ねて…?」

 

 

目の前の立花響。遠くにある少年の聖遺物の覚醒。

 

 

「………なるほどな。無限のエネルギーをもってミクロとマクロを重ねたか。詐欺師(錬金術師)紛いな事を…」

 

 

回転する頭脳はすぐにカラクリを暴き、その存在への価値を示した。

 

 

「…もはやあの(いびつ)な聖剣など必要もない!返してもらうぞ、デュランダルを!」

 

 

…こうしてフィーネも目を外した。

 

少年は最終決戦には間に合わない。輝くその世界を独り、森の大地と共に過ごしていくだけであった。

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

side八幡

 

 

 

 

 

「………はぁっ…はぁっ…」

 

 

 

 

コォーーーン!

 

 

 

 

ゴォーーーン!

 

 

 

 

……苦しい。……熱い。

 

そんな苦痛を強いられながらも、俺はひたすら森を走り続けていた。雪音が突如翼を生やして舞い上がった後、俺は急激な熱に襲われていた。ドクンドクンと鼓動が早くなり、しかし胸の中心から溢れ出ない。

 

……この症状には覚えがある。立花の歌を聴いた時に似た事があった。だがそれは桜井女史がフォニックゲイン減衰機能のあるシンフォギアペンダントによって抑制されているはずなのに……。

 

 

 

『それを付けていれば中途半端な聖遺物の起動なんて押さえつけてくれるわ。響ちゃんのフォニックゲインでも耐えられる程度には強力よ!響ちゃんが5人とか10人とかで歌ったらどうなるか分からないけどね!』

 

 

 

「…フラグかよっ!」

 

 

………あの橋の上で桜井女史に言われた言葉がフラッシュバックした。突然変化した雪音のギア。あの天使のような姿からは普通のギアの何倍も力強さを感じたのは否定できない。その状態が立花にも起きているなら納得はできる。キツイけど。

 

 

「………だけど…なんとか、歩ける」

 

 

ペンダントの効果でも抑えきれない立花のフォニックゲインだが、気を失うことも無ければあまりの痛さに蹲ってしまうほどでもない。あくまで鈍痛がじわじわと胸のあたりに溢れかえっている程度だ。

 

 

「………しかし音やべえな…」

 

 

先程から爆発音が遠くから鳴りまくってる。流れ弾とか来たら死ぬレベルだ。早くリディアン の地下に戻らないと本当に巻き込まれかねない。

 

……余談だが、この時の音はフィーネがばら撒いたノイズを三人が吹っ飛ばしてる音だったりする。運悪く近場にノイズが出現してたらマジで御陀仏だったところだ。

 

 

 

 

 

「………っ!………なっ……ぁ…」

 

 

……そして変化は突然だった。

 

 

 

 

 

 

コォーーーン!

 

 

 

 

ゴォーーーン!

 

 

 

 

…胸のあたりで止まっていた熱が、突如全身に広がったのだ。頭のてっぺんから足のつま先まで、熱が、熱が、熱が!

 

 

「……ぁ………っ!!!」

 

 

ぐしゃっと受け身すらとれないまま森の地面に倒れこんだ。

 

その瞬間が響がデュランダルを掴んだ時であるなどと分かるわけもない。突然、唐突、訳も分からないうちに覚醒の準備は整った。

 

全身を駆け巡る熱、全身を走る波動。

 

身体が作り変わる。聖遺物を宿す身体として、その力が細胞レベルで構造を変えていく。

 

………そして最後に、胸のうちから浮かび上がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歌え

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歌え

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

胸の歌を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♪Builder Excalibur knight tron♪(輝く未来へ屍を背負う)

 

 

 

 

 

 

………胸の中から溢れる旋律を、吐き出すように紡ぐ。熱はもう身体の中に収まらない。内側を侵食した熱は質量を持って身体の外へと移り変わる。

 

来ていた服は消え、灰色のインナーのような服が肌に張り付いた。肩や胴体には何もないくせに両腕両足には西洋の鎧を彷彿させる装甲が現れる。ヘッドギアはまるで王冠を頭部にそこから伸びるように耳部分をまたも鎧が覆っているが、色だけは銀と灰色に霞んでいる。

 

 

「………なん、だこれ…」

 

 

自分の身体が立花達のように変身しているのを実感する。熱はまだ全身を駆け回っているのに、しかしこれ以上広がらない。

 

……まるで()()()()()()()()と言いたげに熱を撒き散らしながら収束する。

 

…なぜ変身したのか、なぜ熱が引いていくのか。意識が遠のく中無駄に働く思考を回すが、何も浮かばないまま視界が暗くなっていく。

 

……最後に見えたのは、自分の手に握られているモノ。

 

先端へ向かうほど細くなり、横に薄い形状。それは一見剣に見えた。だがそれには柄もなければ鍔もない。先端は鋭く、末端には…穴が開いている。

 

 

「………(さや)?」

 

 

そこまで認識したところで意識の限界に陥った。視界が急速に黒に染まっていく。こんな戦いの近くで寝てしまったら、次にあいつらに会った時になんて言われるんだろうか…。

 

 

………そんな……

 

……こと、を………かんが…

 

 

 

 

 

 

 

《シャンラン♪》

 

 

 

 

 

 

………今にも眠ってしまいそうな中、小さな音が耳に掠る。それがやけに印象的で、浮かび上がるように自分の目が開いた。

 

 

 

 

 

 

《シャンポロン♪》

 

 

 

 

 

 

 

「………こ〜んな森の中で居眠りなんて、躾の程度が伺えちゃうわねぇ」

「………だれ、だ?」

 

 

視界に人影が映る。だけど倒れている今視線を上に上げられない。靴やスカート、声から女の子だと分かるがそれだけだ。開いた目は閉じ、最後の抵抗も虚しく意識を手放した。

 

 

「あらら酷い目、酷い顔。きっと辛いことがあったのね。そんな辛い思い出、貰ってあげてもいいのよ?」

「………」

「………なんだ、寝ちゃったのね」

 

 

反応しているうちは笑顔で話しかけていた少女は、意識がなくなったと分かるや寝転んでいた八幡を軽く蹴り上げ仰向けにした。青いメイド服のような格好を纏った少女は人目を引く見た目をしているが、見ているものは誰もいない。その姿に言及する者がいない今、少女はジッと八幡を見つめていた。

 

今の八幡はまるで仮装のような見た目をしている。ジロジロ、ジロジロと意識を放った姿を眺めては首を傾げた。

 

 

「………う〜ん?シンフォギア、よねぇ?」

 

 

日本政府がひた隠しにしている聖遺物を基にした対ノイズ用の兵器。とあるツテでその存在を認知してはいたが、覚醒したての少年に疑問を抱く。

 

シンフォギアを持っている者をこんな戦場で置き去りにしている現状。そも男がシンフォギアを纏っていることは少女がシステムをそこまで理解していないので疑問にも思わなかったが。

 

 

「………分からないし、大人しく思い出だけ貰っとこうかしら」

 

 

そんな疑問も理解できないし、と考えるのをやめた少女は八幡の頭を起こしてその唇へ狙いを定めた。

 

 

「この()()()()()()に娶られるんだし、まあ最後にいい人生だったってことにしてあげるわ」

 

 

ガリィ・トゥーマーン。とある少女に仕え、その少女に作られたオートスコアラー。つまり《人形》である。彼女は仕えてる少女、マスターの為に各地で《思い出》集めに励んでいた。

 

今回こそとあるツテのトップからの情報で暫くこの近くで活動していたが、ガリィの仕事はあくまで思い出の採集だ。対象の粘液から強制的に想い出を搾取する機能に、隠密に長けた性能から任されている任務。

 

八幡もその犠牲者の一人。思い出を吸って、シンフォギアを纏っているようだし主人の脅威かも、と殺してもいいかなぁとか考えながらいつも通り作業を遂行しようとした。

 

 

「………だけど今って〜、だれも見てないのよねえ〜☆」

 

 

…それでよかった、いつも通りで良かったのに。ガリィの頭に名案(余計な事)が思い浮かんだ。

 

…実はこの人形、性根が腐っている。残虐で慇懃無礼かつマスターへ忠誠を誓いつつもからかう事が多々ある性格の捻じ曲がりが止まらない陰湿ガールだったのだ。

 

 

「………ねえ、眠った貴方?貴方はどれだけの《愛》をもらっているのかしら?沢山?少し?でもどうでもいいことね」

 

 

グイッと口づけをするために優しく持っていた八幡の首を掴み、ガリィは優雅に踊る。日差しが森に差し込み、男を雑巾のように振っていなければバレリーナの一幕かと思うほど可憐に、牙を剥き出しにしてガリィは踊る。

 

 

「………シャトーの完成まであと僅か。ミカちゃんの起動ももうすぐ。ワールドデストラクターの使用方法もあの変態から貰える手筈。万事順調……なんだけどぉ〜」

 

 

一頻り踊った後、改めて八幡の唇に狙いを決める。ガリィの口元には鋭く、満面の笑みが浮かんでいた。

 

 

「ガリィってば〜、みんなが同じ方向に向かってると逆走したくなるのよねぇ〜☆」

 

 

マスターの目的を遂行するのは当然であり作られたオートスコアラーの悲願でもある。そこに疑問を抱いたことはないが、こんなまるで誰かに誂えられたようなシチュエーション。あと退屈凌ぎ。

 

シンフォギアという明確な力を持っているのも都合がいい。日々計画遂行のため気を張っているマスターへのいいお土産になるだろう。

 

 

「だから貴方に《愛》をあげるわ。愛を嬲り、愛を踏み躙るマスターの元でね♪」

 

 

慈愛に満ちた、優しい顔で眠った八幡の顎を撫でる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「代わりに貴方の《愛》、全部もらうわね☆」

 

 

 

 

 

 

 

 

ちゅっ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…消える。

 

 

………消える。

 

 

……………思い出が、消える。

 

 

 

 

 

 

 

「……んちゅっ…。あら、結構愛されてたのね貴方。でも気にしないで。これから貴方の愛は増えるだけ。0より下にはきっとならないから。

 

……ほら、みんなにお別れをしなさいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【立花響】

 

 

 

 

 

 

 

 

【風鳴翼】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【雪音クリス】

 

 

 

 

 

 

 

 

【小日向未来】

 

 

 

 

 

 

 

 

【貴方のご両親】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【比企谷小町】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それではみなさん。

 

さよなら〜☆」

 

 

 

 

 




ちなみにFateは全く関係ないです。ビームは出すかもだけど。
というわけで聖遺物は《エクスカリバー》………の鞘。剣なんてなかった。







蛇足


獲得メモリア

響&未来『独り、二人、そして3人』
クリス『温もりについた嘘』
『繋ごうとする手』






◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️
◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️
◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️


……メモリア、ロスト。

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