やはり俺の戦姫絶唱シンフォギアはまちがっている。 作:亡き不死鳥
これアニメ見てない勢絶対何が起きてるか分からん小説になってる感。
sideフィーネ
デュランダルとネフシュタン。無限のエネルギーと無限の再生。その二つの完全聖遺物の激突による対消滅により、この桜井了子という肉体の終わりが訪れた。ネフシュタンと融合していたことによりその結末は変わらない。
…どういうわけかソロモンの杖はネフシュタンが喰いきれなかったのか、完全聖遺物としての機能を損なうことなく支配から外れていたが。
「………なんにせよ、ここで終わりか」
赤き竜はデュランダルによって消滅。後にはノイズらしく灰の塊が周囲を埋め尽くすだけとなった。まだ実体を保っている肉体もその灰に埋もれてしまっている。
「……だが終わりではない。私は…私は何度でも…」
蘇るたびにまた空を、あの方を求め……
「…見つけた。了子さん…」
「…立花、響…」
………ああ、どこまでも忌々しい。あの方への思いを馳せながら旅立てると思ったのに。
「立てますか?肩、貸しますね」
灰を払い、勢揃いしている面々の前へと連れて行かれる。断罪も糾弾も、もはや意味がないこの身体。それを立花響は手頃な瓦礫に座らせた。
………幾多もの視線が向けられる。…なのに、そこに責める感情が宿りきっていない。毒を吐く言葉が投げられることも、足蹴にされて鬱憤を晴らす仕草もない。
………だから、こいつらは嫌いなんだ。
「………もう終わりにしましょ、了子さん」
「…私はフィーネだ」
「でも、了子さんは了子さんですから。きっと私達、分かり合えます」
嬉しそうに、全てが終わったような顔で語りかけてくる立花響から目を伏せるようにして逸らす。それでもその真っ直ぐな視線から逃げられなくて、座った瓦礫から立ち上がり背を向けた。
…一度絶望したはずなのに、まだそんな寝言のようなことを大真面目で口にする。そのあまりな真っ直ぐさに、耐えられなかったのだ。
「………ノイズを作り出したのは先史文明期の人間。統一言語を失った我々は手を繋ぐより相手を殺すことを選んだ。そんな人間が分かり合えるものか…」
………そう、先史文明期の人間による調和の破壊。その一人に、間違いなく自分も加わっている。
…恐ろしかったのだ。言葉の交わせない相手が。
…恐ろしかったのだ。心を通じ合えない相手が。
…恐ろしかったのだ。自分の想いが伝わらないことが。
………何より、恐ろしかったのだ。何を考えているのか分からない相手が隣にいることが。
統一言語があれば相手の全てを理解できる。統一言語があれば自分の全てを理解してもらえる。その理解に争いはなく、糾弾も否定も、恐れなど介在する余地もなかった。
………全ての動機は、恐ろしかったのだ。
「………人が言葉より強く繋がれること、分からない私達じゃありません」
…だからそうして繋がりを肯定する者が理解できない。
………あの先史文明期。恐れによって崩壊へ向かった人類の中で、私は比較的穏健な方だったと思う。
…いやあのお方への愛の為、統一言語を取り戻す方法に腐心していたと言ったほうがいいかもしれない。
統一言語に代わる言の葉。あのお方へと想いを届ける術。ありとあらゆる方法を模索していた。
…その果てに辿り着いたのが、【歌】だった。同じ音を聞き、同じ音色を受け、同じ響を調べ歌う。一つのハーモニーが人同士を繋げる原初の鼓動。
………それすらも、互いが互いに分かり合おうとしなければ通じ合えない不完全な代物。だからこそ【痛み】というお互いの思いが足りなくても、ただ相手に自分を無理矢理にでも理解させることができる方法。…痛みだけが人と人とが分かり合える力なのだと持論を広げてきた。
「……そしてそれは、今も変わらない!」
「………っ!」
惑わされるわけには行かない!私には目的が、進む理由があるのだから!あの方の元へ、私の心を、私はっ!!
「月のカケラを落とす!!」
崩れかけとはいえ完全聖遺物。振り向きざまに立花響を掠めるようにムチを月のカケラへと伸ばす。避けられ拳を向けられるが止まらない!例え渾身の拳で殴られようと、この時だけは立ち続ける!
…持てる力を振り絞り38万kmという距離を瞬く間に0としてみせた。
「はぁぁああああ!!!!」
ネフシュタンのムチを月ごと手繰り寄せる。腕が砂のようにヒビ割れる。大地は軋み、鎧もボロボロと風に吹かれてもチリになる。だが止まるか!止まってなるものか!
「私の悲願を邪魔する禍根は今ここで叩いて砕く。この身はここで朽ちようと魂までは絶えはしないのだからな!聖遺物の発するアウフヴァッヘン波形がある限り、私は何度でも蘇る!」
数千年もの間、それを続けてきた。その為だけに、生きてきた。
「どこかの場所いつかの時代、今度こそ世界を束ねるために!私は永遠の刹那に存在し続ける巫女、フィーネなのだぁ!」
慟哭を誓いに今度こそ、次の世界へ飛び立つ!
……次こそ、次こそはと願いながら…。
トンッ
………胸に、拳が当たる。
……痛くない。まるで威力のない一撃。
…その戸惑いに、その拳を当てた立花響を見てしまった。その瞳を、覗き込んでしまった。
「…うん、そうですよね」
…目を逸らし続けていたのに。ここにきて、その目を見てしまった。
…真っ直ぐで、真っ直ぐで、真っ直ぐで。
………ただどこまでも、信じている目。
「どこかの場所、いつかの時代。蘇るたびに何度でも私の代わりにみんなに伝えてください。世界を一つにするのに力なんて必要ないってこと。言葉を超えて私達は一つになれるってこと。
…私達は未来にきっと手を繋げるってこと」
……言葉が、この拳を通して心に溶け込んでいく。理解なんてしようとしていないのに。痛みなんて与えられていないのに。
…理解を拒もうとしても、理解してしまう鼓動が震え伝わる。
「私には伝えられないから。了子さんにしかできないから」
………信じたくないのに、信じてしまう瞳。その瞳に、いつのまにか惑わされていた。
…変わったのか、それとも変えられたのか。
…いいえ、分かり切ってる。
…千年も変わらなかったのに、たった一年もしないうちに変えられてしまった。
「了子さんに未来を託すためにも、私が今を守ってみせますね!」
…………屈託無く、笑顔で。
……ここまでした相手に託すと言う。
………………まったく……
「………ほんとにもう、放っておけない子なんだから」
……ああ、最後の最後で敗北を認めてしまった。その目に、その心に。諦めにも似た感情に、どこか晴れやかに笑ってしまう。
………だけどそれもいいのかもしれない。真っ直ぐな視線を受けながら、私もまたその瞳を見つめ返した。そのあり方を、どうしようもなく認めてしまったから。
……私は永遠の刹那に生き続けるフィーネ。この子が生きているたった百年くらいは、この子を信じてもいいかもしれない。
…だから歌い続けなさい。きっとその歌はあなたの助けになる。あなたの道を真っ直ぐにしてくれるから。
………立花響ちゃん。
「…胸の歌を、信じなさい」
……だから、せめて見守ってあげる。あなたの歌が胸に響き、いつか世界に満ちるまで。
……ひょっとしたらその後も、ね。
…崩れ落ちるその時まで。その真っ直ぐな目を見つめ返した。
☆☆☆
side響
………砂となって風に消えていく了子さんを最後まで見つめ続ける。目を逸らしてはいけない。伝えたい事はたくさんあった。言いたいことも、話したいことも、感謝だったり、文句だったり、たくさん。
……たくさんあったけど、最後の最後でようやく伝わった。仲良くしたい、手を繋ぎたい、信じたい。ずっとずっと伝え続けていた想いを、受け取ってもらえた。
…だからお別れに涙は流さない。地球が大変になるくらいの事をした了子さんだけど、その心はとても真っ直ぐだった。そんな人になら、本当に大切なことも、難しいことだってなんとかしちゃうんだと信じられるから。
「ありがとう、了子さん」
………さあ、お別れもここまで。了子さんに未来を託したのに、私が今を守れなかったらきっと怒られちゃう。次に了子さんが目を覚ました時に、今よりもっといい世界にしなくちゃね。
……そこに私はいないかもしれないけど。
「………響」
「未来…」
…無事でよかった。助けてくれありがとう。また会えてよかった。全部全部伝えたい。だけどそれをしたら多分日が暮れちゃう。
……だから待ってて。いつか、伝えるから。絶対に言葉にするから。
…私の親友、私の陽だまり。
…………私の、帰る場所…。
「………ちょーっと行ってくるから!」
…笑って、行ってきます。
落ちてくる月のカケラが地球に着いてしまえばきっとここにいる人達は死んでしまう。みんなだけじゃなく、きっとたくさんの人が。
………絶対に食い止める。そのための歌は、もう持ってるから。
『胸の歌を、信じなさい』
……………胸の、歌を。
♪Gatrandis babel ziggurat edenal♪
♪Emustolronzen fine el baral zizzl♪
♪Gatrandis babel ziggurat edenal♪
背中の翼を広げて月のカケラを目指して飛び立つ。私の全力、私の全開。
……私の、胸の歌。
たとえ燃え尽きても、地球は絶対に守ることを誓う歌を……
「そんなにヒーローになりたいのか?」
「こんな大舞台で挽歌を歌うことになるとはな。立花には驚かされっぱなしだ」
「……え?」
空を超え、雲を超え、宇宙すら見えてきたというところで、声がかけられた。こんな空間で話しかけられるなんてあるはずがない。
…もしありえるとしたら、その相手は決まっている。
「……翼さん……クリスちゃん…」
「ま、一生分の歌を歌うには丁度いいんじゃないか?」
「……ふふ、それもそうね」
…………どうして、なんて言っちゃダメだよね。
…二人と手を繋いで、歌を歌おう。私だけじゃない、みんなの、私達の胸の歌を!
♪ First love song
♪不思議だね…静かな
本当の…剣になれた?
悪くない…時を貰った
「夢、天に飛んでゆけ…さあ星へと変わろう」
♪ありがとう 心から ありがとう
過ごした時間はシンフォニー
教わった 温もりは 忘れない
Heartのゼンブ 麗しき 満ちてゆく
涙は拭って!
♪届け! 一人じゃない
紡ぎ合うそれが LOVE SONG
伝え! 胸の鼓動 原初の音楽よ
♪幾度でも…!
いくらでも…!
何度でも…!
永遠に
大空に 奏で歌う!
♪遥か今
創るんだ
勇気の火
みんなで
♪つなぎ合おう この手を
信じて…
太陽にかざして
信じて!
「響け絆! 願いと共に…!」
「これが私達の!
絶唱だぁぁぁあああああ!!!!」
戦姫絶唱シンフォギア 無印 【完】
蛇足:飛ばしてどうぞ
戦姫絶唱シンフォギアGに続く。二期もちゃんとやります。
そしてはっきり言って勢いと衝動とフィーリングだけでやった最後ですので、一期通して好きに感想言ってくれると褒めても貶しても作者が喜びます。というか最後意味わかんねーよという人はアニメを見てください。分かりります。
八幡のこれから、響達のこれから。そして新たな敵と新たな仲間。これからもよろしくお願いします!
というか…
シンフォギア(設定にキャラも難しい)→地雷
八幡(と小町)のみクロス→地雷
(いずれ)HACHIMAN化→地雷
記憶消去で初期化→地雷new!
こんだけ地雷ばら撒いたのにこんなについて来てる現実にビックリしてます。きっとあと二、三個増えるよこれは。
あと超今更なアンケートをしてみたいのでご協力お願いします(アンケート機能初めて)
……できてるよね?
あなたは戦姫絶唱シンフォギアを……
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アニメも見たし、歌も聴いてる。
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アニメは見たけど歌はあまり聴いてない。
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アニメを追ってる途中!
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歌は好きだけどアニメは見てない。
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八幡さえいればいい。