やはり俺の戦姫絶唱シンフォギアはまちがっている。   作:亡き不死鳥

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初めはタイトル戦姫絶唱しないシンフォギアにしようと思ってたけど作者の知ってるしないフォギアじゃなかったのでやめました。

作者の知ってるしないフォギアはもっと…緩くて…フワフワしてるフォギアなのに…。


戦姫絶唱シンフォギアGの少し前
………だから、笑って?


 

 

side…

 

 

月のカケラの落下による地球への大規模危機、通称ルナアタック。それはとある三人の人間によって解決された。月のカケラが落ちて来るという異常事態に各国の情報収集速度は凄まじく、衛星による映像も確保されていた。それにより日本が秘匿して来たシンフォギアシステムの完全公開を米国を主にして各国から要求された。

 

ノイズという自然災害に対応する兵器の独占、及び隠匿。月のカケラという脅威を独自に解決出来るほどの破壊力など、そんな兵器を秘匿するのは周囲に与える不安を煽る行為だという主張だった。

 

情報の公開が承認されなければ日本への対応を考えなければならないという、世界中からの脅迫に近い要求に日本政府はその要求を飲まざるを得なかった。

 

ルナアタックの立役者に対する情報の公開も絡んでいたが、その点だけは公開を見送った。そも世間ではルナアタックによりその三人は行方不明という事になっているのだが………

 

 

 

「…………もうここに来て二週間。退屈だよー!未来に会いたいー!八幡くんに会いたいー!小町ちゃんに会いたいー!」

「しょーがねーだろ!ゴタゴタが片付くまで引っ込んでろっておっさんに言われたんだから!」

「うむ。ルナアタックの事後処理が終わるまでは我々は行方不明として扱われていた方が面倒が少ないらしいからな。それは結果的に小日向や比企谷達を守る意味合いにもなる」

 

 

 

……その三人は現在二課の仮設本部で待機していた。絶唱を口にしてなお健在な三人についてはいずれまた。しかし手を繋ぎあった結果の産物であったのは間違いない。

 

……世間では行方不明。そして捜索も打ち切られた三人は死亡扱いとされ響に至ってはお墓まで建てられているのだが、何はともあれ三人は元気に生きていた。

 

 

「……それにしても、何もしてないのって退屈だよねー。クリスちゃんや翼さんは何も思ったりとかしないの?」

「別に?一人で静かに過ごすのなんて当たり前だったしな」

「ああ。目を閉じて禅を組むのもいいものだぞ?常在戦場」

「えっ、こわ…」

 

 

基本騒がしい響に打てば響くし返事も返すクリスや翼の三人による生活は退屈ながらも騒がしく、ノイズの大量発生もソロモンの杖が悪戯に使用されなくなったおかげで収まっている今、久しぶりにゆっくりとした時間を過ごしていた。

 

 

「…そういえば、司令が今日の仕事が終わったら話があると仰られていた」

「おっさんがか?面倒ごとじゃなきゃいいけどな」

「もしかしてそろそろ行動制限が解除されるとか!?もう二週間だし!」

「その可能性もあるが、まあ気長に待とう」

 

 

 

………この日までは。

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

 

side響

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………え…」

 

 

……正直言うと、かなり期待していた。元々私は落ち着いてじっとしていられる性格じゃない。ルナアタックから二週間の間、ゆっくりと生活が出来ていたとはいえずっと会いたい人に会えない不満もあった。

 

……だから、もしかしたら、と思っていたのに…。

 

 

「……し、師匠?今、なんて…?」

 

 

…今、自分の耳が信用できないでいる。きっといい知らせだと信じて疑っていなかったのに、もうすぐみんなの顔が見られると思っていたのに。

 

 

「………ルナアタックの当日。…比企谷八幡くんの消息が途絶えた。その後捜索隊を出したものの未だに行方不明。

 

……捜索が、打ち切られることになった」

 

 

………世界を守れたと思っていた。月のカケラを破壊できれば、全部救えると思っていた。

 

……なのに、この手の届かないところで、救えない友達がいた。

 

 

「……ぅことだ。……どういうことだよおっさん!なんで、あいつが!?だって…、なんで……っ」

「そうです叔父様!それに何故今頃になって…っ!」

「……行動制限中に与える影響を考慮してのものだ。八幡くんが行方不明で、ジッとしていられるとは思えなかったからな」

「………そんな…そんな大人の勝手で!…ックソ!」

 

 

…抑えきれない衝動を壁にぶつけるクリスちゃん。顔を下に向けて悲しみを食いしばる翼さん。そんな二人の思いを全部受け止めている師匠。

 

……そんなみんなを前に、私はずっと立ち尽くしていた。頭が、追いつかないんだ。

 

 

「………あの日藤尭の端末に未確認のフォニックゲインの反応があった。それを元に政府へ捜索の続行を要求してはいるが、…………」

 

 

………あれ?師匠が何か言ってるのに、頭に入ってこない。八幡くんが行方不明。…生きてる、よね?でも、いついなくなっちゃったの?月が落ちてから?でも了子さんが居なくなった時に八幡くんは居なかったから、もっと前?でもそれなら了子さんと戦ってる時?でも、それ、なら………。

 

 

 

 

『………』

 

 

 

 

……デュランダルに飲み込まれかけた時、たしかに八幡くんを感じた。暗い中で、頭を撫でてくれて、その後…どこかに………。

 

 

「………なんで止められなかったんだろ…」

 

 

……あの時は八幡くんが力をくれたんだと思ってた。闇に飲まれそうな私を踏みとどまらせてくれたんだって。

 

…だけどあれって、ほんとは助けて欲しかったんじゃないかって。本当は、手を伸ばしてくれたんじゃないのかって。そんなことばかり浮かんでくる。

 

…あの時は気づかなくて、二週間も経ってからようやくだなんて……。……そうだ、あの時確かに八幡くんは何か言ってた。言葉を向けてくれていたはずなのに………。…私はそれを受け止められなくて……。

 

 

 

「………な。……立花!気をしっかり持て!」

「……翼、さん」

「……無理をするな。雪音もだ。………今日は、ゆっくり休んだほうがいい…」

「……そうだな。今日伝えたのは行動制限が本日をもって解除される事を通達するためでもあったが…もう少しここで休んでいったほうがいいだろうな…」

 

 

…翼さんに支えられながら常設されているベットに座らせてもらう。クリスちゃんも翼さんがベットに座らせてもらった後は手に顔を埋めて嗚咽を漏らし続けた。

 

 

「………ぁぁ…」

 

 

……その姿を見て、ようやく現実が襲いかかってきた。

 

 

「………八幡くんっ」

 

 

全身がキュッと締まるような感覚。目の底から涙が溢れかえってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウゥーー!ウゥーー!

 

 

 

 

「「「「……っ!ノイズ!!」」」」

 

 

 

涙が流れるところだった。師匠が部屋を出て行くところだった。翼さんが座ったところだった。クリスちゃんが鼻をすすったところだった。

 

…誰かの事情。誰かの思い。そんな全部を無視してノイズは現れる。

 

………困ってる人が、いるんだ。

 

 

「…立花響、出撃します!」

「……一人で先走んな。…あたしもいく」

「…私もだ。これ以上、防人の剣を鈍らせてなるものかっ…」

 

 

目元に溜まった涙を袖で振り払い立ち上がる。…クリスちゃんも、翼さんもだ。みんなが涙を堪えながら、立ち上がった。

 

 

「……お前たち…。だが…」

「行かせてください!」

 

 

…心配してくれているのは分かってる。だけど今は、止まっていられなかった。

 

 

 

「助けないといけない人がいるんです!」

 

 

 

………少しでも止まったら、また涙が襲ってきそうで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……響」

「……………未来」

 

 

…ノイズは倒した。奇しくも未来がそこにはいて、ノイズに向かって気絶した女の人を庇っていたところで。真っ直ぐな目で、戦っていた。

 

 

(…ああ、強いな未来は)

 

 

ノイズの数は了子さんが操っていた頃と比べて少なくて。だけど脅威は変わらない。人類にとっての天敵であるのに、私の親友は立ち向かっていた。

 

………そんな親友を目にしてようやく、自分が未来にどんな思いをさせているのか理解させられた。

 

………二週間。二週間だ。その時間の間、未来は私、クリスちゃん、翼さん、八幡くんが居なくなった悲しみを背負っていたんだ。ずっと、ずっと…。

 

…私はついさっき聞いたばかりで、こんなに辛いのに…。

 

 

「響!」

「…ごめん、あの後バタバタしてて…。未来に、辛い思い、させて……」

「…ううん、いいの。響達が帰ってきてくれたから…」

「……っ」

 

 

………あったかい。あったかい陽だまりを強く、強く抱きしめる。……そうじゃないと、私が耐えられなそうで。

 

……散々辛い思いをさせたのに、まだ私は未来に縋っている。

 

 

「……響、少し痛いよ?」

「……ごめん、だけど、今はもう少し…」

「…うん。でもよかった、響達が無事で…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…なら、八幡も無事なんだよね」

 

 

「……っ……!」

 

 

 

……………それを聞かれるなんて、分かってたはずなのに。ギュッと心臓を締め付けられる錯覚を誤魔化すように、未来を抱き寄せた。

 

 

「……ごめん…。………未来、ごめんっ…」

「……響…?」

「…ごめん……ごめんね……っ」

 

 

……もう、限界だった。悲しませて、悲しませて、私はまた未来を悲しませようとしてる。それなのに、口からはごめんしか出てこなくて。瞳からは涙しか出てこなくて。顔も真っ直ぐから見れない。

 

 

 

「……ごめんっ。………ごめんなさい…」

 

 

 

………謝って、謝って。それでこの悲しみが薄れるわけじゃないのに、それでも言わずにいられなかった。

 

…あぁ、なんで私はこんなに弱いんだろう。守れなくて、守られてばかりで。支えられてばっかり。

 

……ごめんなさい。

 

……ごめんなさい。

 

…強くなくてごめんなさい。

 

…強くなれなくてごめんなさい。

 

…弱くてごめんなさい。

 

 

………助けられなくて、ごめん。

 

 

「……響。……謝らないで響…」

 

 

そんな私に、それでも温もりをくれる。未来の手に頬を包まれ、逸らし続けてた顔が目に入る。その手はあったかくて、柔らかくて、優しくて、……辛かった。

 

 

「……私、響が帰ってきてくれて嬉しいから。…本当に、本当に嬉しいからっ……」

 

 

…その顔は涙でぐしゃぐしゃで…。それなのに、無理に歪められた笑顔が向けられていた。

 

 

「…………だから、笑って?響…」

 

 

………笑ってと言って浮かべた笑顔は、未来の涙が流して歪めていく。そんな顔をさせているのは私なのに…、私なんかがその手に縋っちゃいけないのに…。

 

 

 

 

「……ごめん…っ、未来っ……」

 

 

 

 

………涙は止まらない。

 

……笑顔も、浮かべられそうにない。

 

…それでもお互いの温もりに縋って、私達は泣き続けた。

 

 








常在戦場。

おかしい、スッキリ終わらせたのに涙しか流れてないシンフォギアになった。まあ俺ガイル混ざってるしね。
俺ガイル一期とか最後に緩く締めたけど陰口のターゲットのまま終わったし。俺ガイル要素と言って過言ではない、たぶん。



……結論、ガリィが悪い。

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