やはり俺の戦姫絶唱シンフォギアはまちがっている。   作:亡き不死鳥

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幕間回、短め。

意味不明でもまあ、それはそれで。


やはり思い出は消え逝く。

 

 

 

 

side八幡

 

 

………見えない。何も見えない。

 

 

 

………聞こえない。何も聞こえない。

 

 

 

……暗い、暗い。闇の中に寝かされるような気分なのに、どこにも居ないような不思議な感覚。

 

…いや、言葉にするならなんだろうか。形容し難いが、自分が消えていくような気分だった。

 

 

「ーーーー」

 

 

……言葉が出ない。俺は、何をしてるんだろう。

 

………グルグルと、グルグルグルと世界は回る。ずっと何も無い世界が続いていく。

 

 

「…………ぇ?」

 

 

……それが、突然晴れた。黒だけの世界に、ごく僅かに違う存在が現れた。感触が戻る、目が、耳が、少しだけ機能し始めた。

 

…たった一つ、たった一人、見える存在が、現れたのだ。

 

 

「…たちばな?」

 

 

他が全て黒に染まっているのに、俺の目の前で立花だけがそこに居た。両手で自らの肩を抱いて蹲り、譫言のように呟いていた。

 

 

『壊サナキャ』

 

 

………何が起きているかは分からない。夢かもしれない、幻かもしれない。だけどその痛ましい姿を放っておくこともできない。

 

 

「…立花。………なあ。…おい」

 

 

…問いかけても何も返さない立花。なのに肩を抱く指先はまるでその身体ごと貫こうとでもするかのように爪を立て、深さを増していく。『壊サナキャ』という譫言も消えない。

 

 

「…ったく」

 

 

ぐしゃっと立花の頭に手を置き、髪の毛が乱れるくらいぐしゃぐしゃに撫で回す。手を離させる方が先かもしれない、慰めをかける方が先かもしれない。

 

…それでも下を向いていた視線が、ようやくこちらと交わった。

 

 

「………よう」

「ーーー?」

「……すまん、聞こえねえや」

 

 

もう一度手を置き直し、一度、二度と今度は優しく撫でる。立花の口は動いても言葉はどうやら届かないらしい。こんな不思議空間に適用する訳ではないが、奇妙な納得があった。

 

 

 

 

グジュッ

 

 

 

 

…変化は起こり続ける。異音とともに俺の足が消え始め、本格的に自分が消えていくような感覚に恐怖が背筋を撫でる。

 

…それなのに目の前の◾️◾️が泣きそうになっているだけで騒ぐこともなく、せめて目の届かないところでと身体は◾️◾️から離れていく。それとも何か繋がりが消えていっているのかもしれないが。

 

 

「ーーー!」

 

 

……うまく聞こえない。…あれ、てかあいつ誰だっけ?確か……いや、知らないな。でも必死に手を伸ばしてくる。何か……だれか…?うん…?

 

…………まあ、いいや。

 

 

「………あんま頑張り過ぎるなよ」

 

 

…自然と出た言葉を最後に、あいつの姿は見えなくなった。

 

…だけど最後の一瞬、あいつから放たれた小さな光が、消えかけの俺の胸元に飛び込み、そして…………

 

 

 

 

 

 

 

ーー暗転ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ゃ。………きゃ」

 

 

…場所は、小さな家だった。白い壁に自然の見える窓、そして部屋中によく分からない文字や模様が其処彼処にある。

 

…だけどそんな風景が霞むくらい、目の前の光景は衝撃的だった。

 

 

「……なきゃ。……さなきゃっ」

 

 

金髪の少女が、ブツブツと同じ言葉を呟きながら、必死に唱えながら、意味のわからない文字を書き続けている。いやきっとその少女には意味があるのだろう。その行動に迷いはなく、その目からも偽りや迷いは感じられない。

 

………ただ不気味な程に、彼女は必死だった。

 

 

 

 

「………許さなきゃっ…」

 

 

 

 

…風景が変わる。今度はもっと洋風で家具も綺麗な調度品に溢れている。机の上には想像上の科学者のようにビーカーやらメスシリンダーに液体が怪しげな色を放ちながら存在を主張している。

 

………そして当然のように、少女はいた。椅子に座り机に向かって変わらず文字を書き、棚から本をひっくり返すように引っ張り出しては取り憑かれたように研鑽を続けていた。

 

 

 

 

「………許さなきゃっ……」

 

 

 

 

……そこでもまだ、同じことを呟きながら。

 

……また風景が変わる。…いや、変わっていない。場所は変わらない。でも時が変わっている。どれだけの年月をそのまま過ごしてきたのか。少女の目元は隈で澱み、髪は風呂に入っていないのかぐしゃぐしゃ。

 

一分一秒が惜しいかのように、少女は研鑽を続ける。限界にぶつかって止まるまで動き続けるブリキのおもちゃのように。

 

 

 

 

「………きゃ…。ゆる、さなきゃ…」

 

 

 

 

…呟きは消えない。泣くように、縋るように、忘れないように、繰り返し唱えているようだ。

 

…指が震えている。落ちそうな瞼は口の中で頬の肉を噛んで耐えているのか血が流れ出ていた。必死に、必死に、ただ必死に、指を動かし続けていた。

 

 

「………ぁ…」

 

 

ついに耐えきれなくなった指からペンが離れて床に落ちてしまう。椅子の上から手を伸ばして取ろうとすると、寝不足を咎めるように身体はバランスを崩して少女を床へと放り出した。

 

 

「………ゆる、さなきゃ…。……ゆる……」

 

 

倒れた体を引きずって、落ちたペンへ手を伸ばす。カーペットの敷かれた床はペンが遠くへ行くのを防いでくれている。

 

…手を伸ばせば届く距離。

 

手を伸ばす。伸ばした指先に弾かれ、ペンは数センチの拒絶を示した。

 

 

「…………ぁぁ…」

 

 

…伸ばした指が代わりに床のカーペットを掴む。口から滲み出た血に混ざるように、少女の瞳から一筋の涙が零れ落ちた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ゆるしてくれっ………」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『………見せてあげるのはここまで。この思い出は貴方にあげられないけれど、しっかり魂にでも刻んでおきなさいな。

 

……それができたら、少しだけ貴方に期待してあげる☆』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






久しぶりの主人公パートだというのにだいたい意味不明。


蛇足。飛ばしてどうぞ。


anothr翼クリスめっっっっちゃ可愛い!俺翼ですよわたしクリスですよ!?やばない?良家のやんちゃっ子に生粋のお嬢様枠!?グレビッキーに続いてこんなことされるとanothr切歌調マリアも気になり過ぎて期待大!


あとアンケート協力ありがとうございます。2/3ぐらい歌聞いてないらしいけど歌の描写とかどう感じてるのかとても気になる…。
アニメ見て歌聞いてない人はシンフォギアを今の倍楽しめるので聞こう!沼はまだ深いぞ!

八幡さえいれば良い派はシンフォギア見て…見て…。めちゃおススメだから…。というか結構飛ばしてるからちゃんと楽しんでもらえてるのか不安だったりする。


結論、シンフォギアはいいぞ!
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