やはり俺の戦姫絶唱シンフォギアはまちがっている。 作:亡き不死鳥
あ、オートスコアラーで一番好きなのは銭投げおばさんことレイアさんです。かっこよ過ぎて見惚れる。なので妹の出番をね、もっと欲しかった。
では地味に書き進めていきます。
inチフォージュ・シャトー。
「………どこだここ?」
壮大な玉座、広大な広場。四つの台座に、四つの人形。整然と整えられ、静寂に包まれた空間の中で眼を覚ます。
頭が酷く痛む。グラグラとして、眠る前まで何をしていたかすら思い出せない。なのに色々な想い出がぐちゃぐちゃになりながらも頭の中で鮮明に思い出される。
下駄箱の中に置かれたイタズラブレター。遊びに誘ったが用事があると言われた当日に他のクラスメートと遊んでいた同級生。名前を間違えられたバースデーケーキ。
………うん、碌な想い出がない。いやそりゃそうか。想い出と書いてトラウマと読むパターンな俺だ。平常心は下降気味。
「…ほんとどこだここ」
痛む頭を抑えて周囲を見渡せば、何もかもが見たことの無いものばかり。正面は天井へ伸びるパイプばかり。四つの台座に存在する人型の影は少しばかり驚いたが、奇抜なポーズをとって身動き一つしないことから生きてはいないだろう。よくよく見れば関節とか人間のそれじゃ無いし。
「………人形、だよな?」
ジッとしていても始まらないので周囲の探索、という名目で人形の一つに近づいていく。触りはしない、壊したら怖いし。ただ見れば見るほど精巧で本当に人のようだ。
「…すげえな」
「……地味によく寝ていたな」
「うおっ!?」
……喋った!動いた!?え、普通に動いてる?
思わず後退りして黄色い服を着た人形を見れば、なぜ先程までピクリともしなかったのか疑問に思うくらいスムーズに動いていた。台座から足を下ろすと、ビシッと音が鳴るくらいのポージングとともに静止した。え、なにそのジョジョポーズ。地味にカッコいい。
「あらまぁ〜、レイアちゃんたら。お客様を驚かすなんて、よくないんじゃない?」
「それはガリィちゃんもでしょう?レイアちゃんに近づく彼を笑っていたのがこちらからはよく見えましたわ」
「アハハ、ファラちゃんたらぁ〜。そーんなことあるわけないじゃなーい☆」
「………こっちもかよ」
異変は終わらない。左右から新しい声とともに二つの人形が動き出した。青い服を着た人形はバレリーナのようにシャンポロンと音を立ててゆっくりと台座を降り、空色の服を着た人形はカカッと靴の音を立てながら優雅に歩を進めていた。
………面白おかしいお化け屋敷にでも迷い込んだのか?いやそれよりも台座と人形は四つあった。前と右と左、その人形が動き出したということは後ろの人形も……っ。
「………」
「………」
「………」
「………」
…後ろの人形も……っ。
「………」
「………」
う、後ろの人形もうご、うごか…ない…?赤い服を着た人形をずっと見ていたが、全く動かないことに首を傾げる。見た目的にギザギザの腕が恐ろしく、いの一番に襲いかかってきそうな見た目をしていたからビビってたんだが…。
「…熱い視線を送っているところ申し訳ないのですけれど…。ミカちゃんはまだ動きませんわ」
「…え、あ、そっすか」
「地味に動揺しているな。派手に頭でも打ったか?」
「…あー、それが気を失う前のことあんま覚えてなくて…」
「あらぁ〜それは困ったわねぇ?ならガリィちゃんがここに運んできてあげて正解だったかしら☆」
レイア、ガリィ、ファラ、ミカと違いを呼びあった四つの人形は、動いていないミカを除いてまるで人間のように笑い合う。それが不思議と違和感なく、荒れていた頭が少しだけ落ち着いてきた。
「………あんたが俺をここまで?」
「ガリィでいいわ。…ええ、ガリィちゃんが森で倒れてたアンタを連れてきたの。驚いたわぁ〜、
そう言って俺の胸元を指差す。見下ろせばそこにはもはや見慣れたペンダントが揺れていた。
「……シンフォギア…」
「そう、そのギアペンダント。貴方、纏えるの?」
「………ああ、たぶん…」
シンフォギア…。その存在を思い出せば、不思議と胸の奥に歌が浮かんでいた。歌なんて聞いた事もなければ、そもそも聞くことさえできない俺にすら認知できる歌。
……いや、そもそも俺はシンフォギアの事をいつ知ったんだか。本格的に記憶が曖昧だ。倒れる前にそんなになるほどの何かがあったのか…全く覚えてない。
「……あまり寝起きに無理をするものではありませんわ。今日のところは休まれては?」
「そうだな、地味に片された部屋もあると聞いている」
…そして目の前の人形達。シンフォギアの存在を知りつつ、何故か俺を連れてきた奴らだ。こんな気遣いすら怪しく思えるのは、あまりにこいつらが人間臭いからだろうか。
「………いやいい。俺は養われる気はあっても施される気は無い」
さっきから記憶を整理しても家のことや家族のことは全く思い出せない。だが少なくとも今日倒れるまで俺は生きてこれているんだ。なら多分なんとかなるだろう。
……何より、真っ直ぐこちらを見る目が嫌だ。逸らすこともなく、この腐った目を嘲ることもない。瞳の悪意が無いことが、どうにも気味が悪かった。あと青いヤツが中々ダメな性格していそうなのがここから出るという選択肢に拍車を掛けている気もする。そいつの目からはビンビンに悪意感じる。実は中の人入ってない?
「…まあまあ、レイアちゃんにファラちゃんにアンタも落ち着きなさいな。アンタの指針はともかく、名前くらい名乗ってもいいんじゃない?」
「………比企谷八幡だ」
「そ、よろしく八幡。ガリィ・トゥーマーンよ」
「ファラ・スユーフです。ファラとお呼びくださいな」
「レイア・ダラーヒム。八幡、地味によろしく頼む」
「何をよろしくすんだよ…」
……普通に名前呼びなのか…。あ、ダメだ、少し嬉しい。名前呼びなんていつぶり……そもそもそんな機会あったっけな?もしかしてファーストネームバージン奪われちゃった?女の子に女の子にされちゃう八幡怖い。
「ま、落ち着きなさいな。その面倒臭い性格ですし?八幡は無償の善意とか信じられないタイプかしら〜?」
「………まあ…」
「そ。なら行くあてとか、帰る場所はあるの?」
「………ない、けど…」
「あらあら〜。それは大変ね☆」
「………」
「ねぇ…なら此処で働いてみない?」
「……は?」
「施しも養いもしないけれど、協力者としてガリィ達と未来を生きてみない?って聞いてるの☆」
………働く…。え、働きたくない。…だが裸一貫で生きて行けるほど世界は優しくはないだろう。さっきはなんとかなるだろうと思ったが、あくまで楽観論だ。当てがあるならあるに越したことはない、が…。
「……なんで俺なんだよ」
「シンフォギアを纏える、その力がある。アンタだけの魅力、アンタを認め得る力。腐らせるよりも自分だけの才能を発揮して見るつもりはない?」
「………」
「…ふふ、す〜ぐ目をそらすのね」
ぬるりと心に入り込むような甘言。今まで認められるということがなかった自分に、何か期待されている事実。
…昔の、期待をして裏切られたと失望してしまう恐怖。期待をされて応えられずに失望される恐怖。そんな忌避感から目を背けると、ガリィに信じられないほど強い力で顎を掴まれ顔を正面へと動かされた。
青い、青くて無機質な瞳。それなのに感情がありありと映るその瞳。目を逸らすこともできないなか、ガリィは囁くように続けた。
「………」
「………ふふ。酷い目、酷い顔。きっと辛いことがあったのね」
「………」
「八幡、アンタに生きる理由はある?生きる方法、生きる道、挙句の果てなら死ぬ理由でもいいわ」
「………」
「…あらあら、愛されてこなかったのかしら?でもガリィ達、オートスコアラーには全部あるのよ。生きる理由、生きる方法に生きる道、最後の最後には死ぬ理由だってね」
「………死ぬ、理由?」
表情一つ変えないままそう言い放ったガリィ。そして突如掴まれていた手を離されたことでバランスを崩し、座り込んでしまう。
「…ガリィ達はお人形。マスターの夢の為に作り出され、コクリと頷く為に機能されたマリオネット。だけど八幡は自由に生きられる人間でしょう?」
「……」
…雄弁に語るガリィ。そしてそれをポージングしながら静聴するレイアとファラ。動きは間違いなく人形のそれなのに、そのあり方がまるで本物の人間のようで…。
「……自由に生きることができるなら、アンタはガリィ達を愛してみせなさいな」
…そして、やはり意味不明だった。
「………なぜ、そこで愛?」
「ガリィちゃんは愛をあげるよりもらう方がテンション上がるのよ☆」
「いやそうではなく…」
座り込んだまま、立ち上がることすら出来ずにガリィ達を見上げる。改めてみてもその身体は機械仕掛け。人のように動いているのも全てプログラムなのかもしれない。
……なのに、心を感じる。今まで感じてきた嘲りや蔑みと似たようで違う、俺ではない誰かに格別の感情を向けているような語り方。
…きっと件のマスターとやらなのだろうが…。
「………八幡」
「……え、と。レイア、さん?」
「レイアでいい。先程から、地味に難しく考え過ぎだ」
「…ってもな。此処で働くかどうかなんてそんな簡単に…」
「それこそ、簡単なことだ」
「え?」
「…生きるのなら、派手な方がいいに決まっている!」
「……お、おう」
…なんだろう、静かだったから気にならなかったがレイアも実はガリィみたいに話が通じないタイプなんだろうか。
クルクルキャハハしてるガリィにビシッ派手ッ!としてるレイア。深く考え込んでいることすら馬鹿らしく感じてくる異空間に迷い込んだ錯覚すら受けてしまう…。
「………まあ、決めるのはゆっくりでも大丈夫ですわ」
「………ファラ、さん?」
「ファラで結構です。とにかく八幡さんは目覚めたばかり。食事も休息も取らずに頭を働かせては疲れてしまいます。…せめて少しだけ、お休みを取られては?」
「………え、えと、あ、はい。お世話に、なります…」
長々と語るガリィよりも、派手さを薦めるレイアよりも、ファラの優しさに心打たれる八幡であった。
手を差し出して立ち上がらせてくれ、スカートを掴みながら一礼。あまりに優雅過ぎてガリィとレイアと見比べてしまった。ホントに製作者同じなんだろうか。
………考えは纏まらない。だけど、一つの道筋を示された。他の道が真っ暗で定まっていない事もあるが、それでも間違いなく選択肢の一つ。
………さて、どうしようか。
…目の前の楽しそうな人形達を見ながら、また俺は思考の海に溺れていった。
「………随分と、変わらないわね…」
一つ、訝し気な視線を見逃しながら。
最近はXDの曲を本編で使えないかと漁ってたら出る出るイメージ。そして書きたくなるAXZ編。まあ今はGで自分を泣かす為にガンガン進めるべしですがね。派手に行きたい。
…で、口調大丈夫?