やはり俺の戦姫絶唱シンフォギアはまちがっている。 作:亡き不死鳥
てか歌詞がかっこよ過ぎて書く方に集中できないのヤバイ。ほんと集大成。
inチフォージュ・シャトー
「………らしくないな、ガリィ」
「あん?」
「随分と八幡に拘っているように見える」
「……んなわけないでしょ。目的の為に重石を一つ重ねようとしてるだけ」
ファラに連れられて広間を出ていった八幡が見えなくなったあたりで、レイアがガリィに問いかける。
オートスコアラーは人間ではない。戦闘、想い出の採集、隠密行動と各々長けている部分はあるが、どうしても人間社会への侵入や潜伏は難しい。例え人間のように振舞ってはいても、人形であるという事を隠しきれないからだ。
「………理解はできる。…が、見ず知らずの人間を拾って仲間にするというのは、些か派手過ぎる」
「なーによ。シンフォギア纏ってるって希少価値に、記憶も覗いて危機管理はバッチリよ?言っとくけど、アタシはマスターの為に死ぬならともかく他人の世界征服に巻き込まれてスクラップとか真っ平御免なの」
「………フィーネ、だったか。お前の独断専行、地味に気になっていた」
「……完全聖遺物の《デュランダル》、《ネフシュタンの鎧》、《ソロモンの杖》。あんなの統合されて、下手すりゃ世界征服よ。ガリィちゃんは面倒ごとは嫌いなのよねぇ」
…今思い出しても寒気がする。無限のエネルギー、無限の再生力、無限のノイズ。それらを一つの聖遺物のように弄び暴れる赤き竜。はっきり言ってオートスコアラーでは手に余る。マスターなら解決方法を導き出せると信じているが、それでも相応の想い出の消費は避けられないだろう。
「……つーまーりー。ガリィちゃんの為よ」
「世界の崩壊…。そう何度も派手に動かれては堪らないな」
「そーゆうこと。…それに実際フィーネが動いたっていう事実が、あの男の情報の正確性を補強しちゃったのよね」
「…パヴァリア光明結社か。マスターを支援している錬金術師協会ではあるが、そちらも地味にきな臭い」
「ワールドデストラクターであるシャトーの支援とか、普通考えられないしね。自分達まで分解されちゃうわけだし。……ほんと、何考えてんだか」
マスターの悲願達成の目前でマスター自身が逸るならともかく、きな臭いのは周辺ばかりで鼻が曲がりそう。少しでも臭いを消さなければマスターの道が汚れちゃうわ。
「………何ができるとも言えないが、私も気を回しておこう」
「ええ、そうしてちょうだいな」
☆☆☆
inシャトーの一室
「………ここが…」
「仮の客間となっています。ごめんなさいね、シャトーに来客なんて想定していなかったからあまり居心地が良いかは分からないけれど」
「いや、助かる」
ファラに案内された部屋は、端的に言うと実に無機質な部屋だった。白いベット、白い机と椅子。前衛的な廊下と違ってここだけ病室を改造したような部屋。だがトイレや風呂などは備えてある最低限の設備。
寝て起きるには充分な空間だった。
「行動の制限なんかは特に聞き及んでいないけど、此処は危険な聖遺物の機能も取り込んであるから無闇に暴れないでくださいね?」
「うす」
「今日はおやすみになられましたが、明日改めてマスターにご挨拶を。早いかもしれませんがその時にここに残るか出るかの意思表示をしてくだされば…」
「その必要はない」
此処の説明をしてくれているファラの言葉が遮られ、いつのまにか部屋のドアが開け放たれていた。そこには金髪の少女が魔女のような装飾を付けた服を着て立っている。
トンガリ帽子にフリフリのフリル。整った見た目から見えるツリ目が勝気な性格を表しているようだ。
「………マスター、起きてらしたのですね」
「……マスターって…」
「…ファラ、下がれ。俺はこの男に用がある」
「………了解しました、マスター」
そう言うと風に溶けるようにファラの姿が搔き消える。室内なのに肌に触れる風に運ばれるように部屋の中から気配が消え去った。
…目の前の少女と二人きり。小さくても感じる威圧感。蛇の舌に舐められるような不気味さを感じながらこちらを見上げる少女と目を合わせた。
「………えっと…」
「…ガリィから話は聞いている。お前を仲間に引き入れないかとな」
「………」
「答えの決まった選択肢だが、選ぶ自由をやる。俺の目的を聞いて、それでも俺と共に来たければ好きにしろ」
「………目的って、なんだ?」
……そう、一番俺の踏ん切りが付かなかった部分。未来を生きるだのシンフォギアを纏えるからだの、曖昧過ぎて警戒するしかできなかった大元の部分。
オーバーテクノロジーの人形達を四騎も作り出して使役する少女。その目的が不透明だった。何一つ手元に残っていない俺でも、ただのテロ組織とかだったらともかくどこかの国家機関の一つとか言われたら正直遠慮したいというのが本音でもあるところだが。
……その目的は…。
「俺は父親の命題に則り、世界の全てを分解する」
ーーー。
「…………分解って…」
「世界をバラバラにする。俺の錬金術で世界を分解し、解析する。この世全ての理解、即ち世界を知ることこそ俺の悲願だ」
………テロリストよりやばい連中だったかもしれない。
…錬金術、錬金術師。聖遺物という異端技術がある以上俺の知らない何かがあったことには驚かない。むしろこの知識を知った記憶が全くないのに知識だけは健在なことの方が驚きなまである。俺の妄想じゃなくてよかった。
「…世界を知るってのは?」
「…言っただろう、父親の命題だ。衆愚によって殺された俺の父親が最期に残した命題。……もっと世界を知れ、とな。その為に俺は生きている」
「………」
……冗談や虚言の気配は感じられない。本気でこの少女は世界を分解しようとしているらしい。父親から託された、親子の命題。
…父親は殺されたと言った。その命題の為に生きているとも言った。たった一つの目的のために生きているのだと…。
「…俺は例え世界を敵に回すとしてもこの命題を成し遂げる。言うなれば、人類全ての敵が俺だ。その陣営にお前は…」
「分かった、協力させてくれ」
「加わる意思がある…か……。…なんだと?」
少女の言葉を遮るように告げる。
…よかった。憂がなくなった。むしろ確信に近いものを感じさせてくれる真剣さで助かる。真っ直ぐな目に剣呑な気が混じるが、それすら俺には当たり前でしかない。
「その目的に協力する。好きに使ってくれ」
「………正気か?世界を敵に回すと、俺はそう言ったぞ?」
「ああ、問題ない。…何もな」
「………相当の気狂いか、それとも記憶と共に常識まで捨て去ったか。…まあいい」
手を差し出され、咄嗟に握り返す。小さな手と握手をすれば、少女は踵を返して部屋の扉へと向かっていく。
…あれが歓迎の型なのだろうか分からないが、どうやら俺はこの場所に受け入れられたらしい。
「………ああ、そうだ」
「…?」
「俺の名はキャロル。キャロル・マールス・ディーンハイムだ」
「……比企谷八幡」
「では八幡。もとよりお前の存在は計画に存在しないものだ。時が来るまでファラをお前につける。せいぜい役に立ってみせろ」
「………了解」
それを最後にキャロルは部屋を出ていった。謎の圧迫感が消え、体の緊張も抜けたせいか思わずベットに座り込んだ。
「………世界の敵、か。大仰過ぎるな」
座り込んだままボーッと自分の現状について考える。正直、いく場所はどこでもよかった。此処じゃなくてもどこかのいつか、俺を
………心に暗い安心感が灯る。今まで生きてきて、記憶にある限り友達という存在はいない。家族にいい思い出はないし、信頼されたことも、安らぎをもらえたこともなかった。
…そこに不満はない。そういうものだと、俺はそういう人間だと思っているから。だから期待なんてものはいらない。愛とか、未来とか、そういう明るいものに頼るのは酷く恐ろしいから。
………その点、ここはいい。俺への期待がない。俺への想いがない。俺への信頼がない。だからきっと、俺は近い将来キャロルに切り捨てられるだろう。その確信と心構えが今のうちから出来ているのが、なによりも安心できる。
仲間になるのは恐ろしい。友達になるのは恐ろしい。期待されるのも、期待してしまうのも、誰かに頼ってしまうかもしれない未来が何処までも恐ろしい。
…だけどここでそんなものはないだろう。存在する必要のない異物A。使い勝手はともかく在ろうが無かろうが支障の出ない消耗品。使って、使い捨て、気にする事もない都合のいい存在。
その時がいつかは分からない。明日かもしれない、明後日かもしれない。もしかしたら今すぐにでも不要だと捨てられるかもしれない。
…ああ、それでこそだ。
「…その時まで、なんとか生きるか」
いずれ捨てられるその時まで、せめて言われたことくらいはやらなくちゃな。奪われる事しか出来ないし、騙される事しか出来ないだろうが、明確な使い捨ての自覚ができるこの場所で。
そうやって考えられる今が一番幸福なのだろう。過去を思い出せば後悔で死にたくなるし、未来を思えば不安で鬱になるから、消去法で今が一番幸福ってな。
未来と過去が真っ暗なおかげで、今日はゆっくり寝られそうだ。
…おやすみ。
愛知らぬanother八幡(仮)の部分を出していきたいけどただただ難しいしかない。早くGに突入したいけど積み重ねが足りないと話が薄くなるから頑張らねば…。
Xtrame Vibesも最後の歌って感じでとても良かった…。絶唱の歌詞も出たし、また妄想が捗ってしまう。