やはり俺の戦姫絶唱シンフォギアはまちがっている。 作:亡き不死鳥
推し!好き!切りちゃんと末永くラブラブしてほしい。まだ登場させられなくてごめんね…。
さすがに一日一日やってたら長過ぎるので時間跳躍術も使って進めてきます。
side響
………息を大きく吸って、今度は大きく吐く。生きている人間は呼吸をする。食事を摂る。睡眠をとる。歩いては止まり、走っては戻る。そしてまた、息を吸う。
…八幡くんがいなくなってもう一ヶ月が経つ。私は新しく建てられた校舎に通い、未来も、翼さんも、そしてクリスちゃんも同じ学校にいる。
…例え八幡くんがいても、同じ校舎に通うわけじゃない。連絡を頻繁にするわけじゃなければ、顔を合わせることもそんなに沢山は無かった気がする。
…………それでも…。
「……会いたいって思った時に会えないのは、寂しいよ」
おはようとか、元気とか、君が隣にいれば何度でも言えるのに。言葉が交わせなければ、姿を見ることもできない。ふと偶然あって、気ままに話すことも、もうできないんだという事実を心が認めることができたのはつい最近だ。
……そっか、まだ一ヶ月しか経ってないんだよね。
「……っ」
「ひびきー!」
「……あ、未来!」
「もう、先行っちゃうなんて酷いよっ」
「…あ、あはは。ごめんごめん。ぼーっとしてたらなんか足が動いちゃって…」
「……もう、しょうがないんだから。ほら、一緒に帰ろ」
「うん」
そう言って未来の手を握れば、同じくらいの力で握り返してくれる。その暖かさを感じながら、またいつもと同じ道を進んだ。
………最近、こうして手を繋ぐことが多くなった気がする。繋いでいないと何処かへ行っちゃうんじゃないかって怖くなる時がある。
…あの時、暗闇の中で八幡くんの手を取れていたら。繋げて束ねるこの両手は、誰かを助ける力なのに。目の前の困ってる人達を、助けるためのシンフォギアなのに…。
……だけど、二つしかないこの手じゃもし足りない時は…。私はどうしたらいいんだろう。
「……ひーびき!」
「…ん?にゃにをほほぉほ!?」
「あははっ、響ったら変な顔!」
「そそそ、そりゃそんなにぐにゃぐにゃされたら変にもなるって…」
「そうじゃなくても変な顔。響は
「そ、そう?あ、あはは…」
頬をぐにゃぐにゃとされて、自分でもムニムニと触って見るけど鏡がないからよく分からないや。
…ダメだなぁ、やっぱり未来に心配させちゃう…。
「……んもう。さっきのじゃダメなら〜こうだー!」
「うえっ!?あっひゃひゃ!ちょ、脇っ!ダメだってば未来!もーっ、こうなったら私もー!」
「あっ、ひゃんっ。あはは!そんなにくすぐらないで!」
「先にやったのは未来だもんねー!」
人通りの少ない脇道で未来をくすぐり、くすぐられて、どれくらい遊んでたんだろう。気づけば汗だくで笑いあっていた。もうすぐ夏になる通学路なんて普通にしてても暑いのに。
……それでも、暗い気分が飛んで行くくらいには、すごく笑った気がする。
「……あ、はは。笑った笑った」
「わ、私も…。つ、疲れた…」
ひとしきり笑って、まだ治らない笑いを抱えながらもう一度未来の手を取って帰路につく。気を使ってくれる親友の手を握って、あったかい手を繋いで、いつもの日常を実感するんだ。
「……ね、響」
「んー?なに、未来?」
「帰ったら一緒にご飯、食べようね」
「ん?……うん!未来のご飯今から楽しみ!」
「…そしたら一緒にお風呂に入ろっか」
「いつも一緒に入ってるよ?」
「その後は、二人で一緒に寝ようね」
「……未来?」
違和感を覚えて未来を見れば、優しく笑ってまた手を握り返してくれる。どこも変わらない、なにも変わらない、私の親友。
「…響、私はどこにも行かないから。ずっとずっと、響の隣にいるから」
「……未来」
「だから、一緒にいようね?」
「…………うん、ありがと」
………見透かされてるなぁ。でも、そんなあったかい陽だまりだから、私はいつでもここに帰って来られるんだ。
……だけど未来。未来は大丈夫なの?八幡くんがいなくなって、私を励ましてくれて、笑わせてくれて。
…辛くない?苦しくない?吐き出せないものは、ない?
その笑顔の下に、涙が隠れていそうで不安になる。…だけど、だから私もしっかりしないといけないよね。涙が溢れたときに、近くで支えて助けられるために。
……暗闇の中で、支えてくれた八幡くんのように。
「……一緒にいようね、未来」
…一緒に居たいよ、八幡くん。
☆☆☆
sideクリス
♪ピンポーン
「…あいよー、好きに入ってくれー」
「おっじゃましまーす!お義姉ちゃんこんばんわです!」
「おー、玄関鍵だけかけといてくれよー」
「はーい!ってお義姉ちゃんお風呂入っちゃったの!?」
「そりゃこんな時間なら入るだろ」
「小町も一緒に入りたかったのにー。生徒会が長引かなきゃなぁ」
「おーおー、お疲れさん」
泊まりに来た小町の相手を適当に流してテレビを眺めながらソファーに寝そべる。八幡が消えてから既に一ヶ月。二課のおっさんが手を回してくれたおかげであたしは二課所属のシンフォギア装者になり、家の手配や学校にまで通わせてもらっている。
………感謝してる。言葉にできないくらいには、感謝してる。新しい生活に新しい環境。広がる慌ただしい生活が、少しだけ考えるのを妨害してくれるおかげで、あたしも学校生活ってやつを全うに過ごせていた。
「あれー?お義姉ちゃん、小町の下着余ってなかった?」
「確か洗濯しといたのがなかったか?」
「………おっ、ほんとだ。じゃあ小町もお風呂入ってくるであります!」
「好きにしろー」
………変わった事があるとしたら、やっぱり家のことだと思う。ルナアタックまで八幡と小町の家に住まわせてもらっていた。だけど行動制限が解除されて、自分の家をもらえることになったとき。あの家の人達に引き止められた。
『この家に残る気はないか?』、『一緒に暮らさないか?』と。今までも家に置いてくれた人達の提案に、心が動かされなかったと言えば嘘になる。
……それでもあいつが、八幡が住んでいた家に居続けるのは、あたしには耐えきれなかった。
あの家から逃げた、その結果でしかない。
「あっつ〜い!湯上り小町ちゃん帰還です!」
「早くないか?ちゃんと浸かったのかよ?」
「お義姉ちゃんなに言ってるの?もう小町入ってから一時間経ってるよ?」
「……ボーッとしてんのはあたしかもしれねえな」
…そしてその結果、小町がよく泊まりに来るようになった。いや、泊まりに来るなんてもんじゃない。ほぼ毎日この家で寝泊まりするようになっている。
…小町の両親は共働きで夜帰って来るのも遅い。そんな時間まで、あの家で独りぼっちなのが耐えられないのかもしれない。今まで一人じゃなかったから尚更。
「お義姉ちゃん、ゲームしよゲーム!」
「いいけどよ…。お前宿題やったのか?」
「…………遊んだらやるよ!」
「さ・き・に・や・れ!」
「えー!頑張って生徒会終えて来たのに宿題もなんてあんまりだよー!小町的にポイント低い!」
「お前の面倒見てる以上サボらせねえからな。ほら、見てやるからちゃっちゃと終わらせるぞ」
「ぅぅ…お義姉ちゃん鬼コーチモード…。でも頼もしい…」
………いま、この家は騒がしい。小町が話しかけてきて、笑って、ふざけて。 勉強だってちょっと真面目にやらせればできないわけじゃない。わからない部分も教えてやれば丸呑みできるくらいの要領もある。…たまによく抜けるけども。
「………そろそろ寝るか」
「もうこんな時間かー。歯磨きしてくるー」
勉強を終え、ゲームをしてればもう時間は日を跨ぐ時間になっていた。いつもどおり、小町が来て宿題をして、ゲームや映画で時間を潰して寝る。
………もはやそれが、あたしの日常になっていた。
「おやすみー」
「………ああ、おやすみ」
……そして一日の終わりには、一緒の布団で夜を過ごす。一応部屋に布団も敷いてあるんだが、あの布が小町に使われたことは今のところ一度もない。毎度隣に入り込んで、コアラのようにしがみ付いて眠りにつくんだ。
「………おに…ちゃん…」
「……ごめんな」
泊まり始めの頃は夜泣きも酷かったが、それも随分マシになったな。それでも寝言ですら求めていて、小町の中で八幡がどれだけ大きかったのかが伝わって来る。
………八幡が消えて、死亡扱いになったときに小町にみんなで会いに行った時がある。あたしが小町にシンフォギアでノイズと戦うところを見せた事があるし、正直小町も薄々感付いていた所もあったから。
……事情は話せなくても、せめて謝りたくて。
…ごめんなさい。守れなくてごめんなさい。助けられなくてごめんなさい。巻き込んでごめんなさい。
…自己満足かもしれないけど、それでも謝罪と小町の憤りをぶつけられる対象にして欲しかった。泣きじゃくる小町が少しでも想いを吐き出せたらと思って。
……だけど。
『………みんなやめて下さいよ。お兄ちゃんが…あのお兄ちゃんが、みなさんを友達だって言ってたんですよ?
…そんな人達を、小町が責められるわけ無いじゃないですか…』
泣きながら、泣きながら、それでも笑ってみせた小町に、またみんなで泣いて。少しずつ一緒に、また笑えるようにと進んでる。
……ほんとに強いよ、お前の妹。
「………おやすみ、小町」
……おやすみ、八幡。
☆☆☆
side翼
「ありがとう、みんな!」
ライブ会場の中心で歌い終われば歓声が爆発して音が満ちる。光が踊り手を振ればその輝きがさらに唸りを上げた。
……八幡が消えて一ヶ月。一応死亡扱いにされていた私も前々から出演する予定だったスケジュールを調整してもらい、また歌う舞台に立たせてもらっている。
…海外で歌う仕事もそのままにしてくれていた人達には感謝してもしきれない。だからこうして歌で返すことが私にできる感謝となるだろう。
「翼さん、お疲れ様です」
「ありがとうございます緒川さん」
「少し休んで行きますか?すぐ帰るのなら車を手配しますが」
「………いえ、今日は歩きたい気分なので」
「……そうですか、分かりました。問題がありましたらいつでも連絡して下さいね」
「はい、了解しました」
歩いて帰りたいというワガママに苦笑いをして了承してくれる緒川さんに一礼すれば、顔を上げた時にはいなくなっていた。
本来なら一人で帰るなんて大問題なのかもしれないが、やはり自分の目で見たい世界があるのだから仕方ない。
「………暗い。…だが、明るいな」
変装をして夜の街を歩けば、街灯に掲示板の明るい場所。数少ない電飾のみで明るさを保っている商店街。一本道をズレればさっきまでいた道とは違う異世界のようだ。
…こうして、暇な時間に街を歩くのが好きになっていた。立花に言われた、私の知ってる世界を更に知ること。それが今ではまるで日課のように、時間があれば様々な場所を歩いている。
バイクで隣町に行くこともあれば、こうしてライブ会場から歩いて見たり。歩けば歩くほど、魅力的な場所ばかりで目が眩んでしまいそうだ。
…今まで知らなかったけど、今はもう知っている。月が出る夜は明るい。遅い時間でも人は歩いている。飯屋の前は通るだけでお腹が空く。
他にも……。
「………このコーヒーはそんなに売ってない、とかね」
チャリンと小銭を入れてボタンを押せばガコンッ、と自販機から缶が出て来る。あったかい温度のそれは、アーティストとしては殺人級のカロリーでできている。そんな飲み物を誰も知らない場所で飲むのが、微かな楽しみになっていた。
「……甘いな」
一口飲んでは甘い味。もう一口飲んでは甘い味。甘味の暴力でありながら、なかなかどうして癖になる。比企谷の布教にまんまとハマってしまっていた。
「………このマックスコーヒーを知ったのもつい最近か」
密かに愛飲してはいるが、その存在を知ったのだってまだほんの一ヶ月前だ。気怠げで目が腐っていて、捻くれ者な友人の影響。まだ比企谷が消えたことを乗り越えられていない証かもしれないが、それでもいい。忘れる必要なんてないのだから。
「…生きていると信じてるぞ、比企谷」
希望を持ち続けて、私は歌を歌う。世界中に響かせて、いつか比企谷の耳に届くまで。
…歌を聴かせる約束、私は忘れていないからな。比企谷…。
装者視点でした。全員寄り添い支え合い過ごしてます。八幡の修行パートとかすっ飛ばすだろうしいいタイミングだと思ったので。
この小説のテーマが『テンプレ』だって忘れそうになるけど都合いいところは使ってきます。
てか早く進めないと時系列ががが。難しい…。
ちなみに個人的切調の性癖は切りちゃんが手紙でまっすぐ思ったことを書く反面、調はメールで打ち直したり書き直したりできる物を使ってるところです。相手のことを思って文面を直してる調は想像するだけで吐血もんですし、手紙に向かってうぉりゃー(°▽°)してる切りちゃんとか絶対可愛い。