やはり俺の戦姫絶唱シンフォギアはまちがっている。   作:亡き不死鳥

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相変わらず進展なしの幕間回。色々粘ってはみたけどこのままずっとスコアラーズと絡ませるのは無理でした。今の八幡に何も響かねえ…。

というわけで予定繰り上げていく予定。きっと未来の作者がなんとかするさ。






やはり停滞は短い。

 

 

 

♪Builder Excalibur knight tron♪(輝く未来へ屍を背負う)

 

 

 

 

胸に浮かぶ聖詠を唱えれば、服は消えて灰色のインナーと鈍く光る銀色のヘッドギアに装甲。そして右手には縦に置けば腰より上に届く程度の長さの鞘が現れる。一ヶ月を要して顕現した俺のアームドギアは取っ手も刃もない、それでもなお力を宿した鞘だ。

 

鞘に灰色のラインを繋げると重力に逆らうように鞘が浮かび上がる。目の前には人類の脅威であるノイズが群がっており、その群れを腐った目で見つめていた。

 

 

「………ふっ!」

 

 

【言Falsehood嘘】

 

 

息を整えノイズの群れへ鞘を高速回転させて投げ込む。真っ直ぐ突っ込んできたノイズを真っ二つの炭に変えながら、鞘はその数を二つ、四つ、八つへと数を増やし分離しながら駆け回ることでノイズを破壊していく。

 

分離するだけ小さくなるため破壊力は落ちるがノイズ相手なら充分だ。

 

近場を一掃させながら元の鞘に戻ったアームドギアを掴みとれば、今度は飛行型ノイズがわらわらと。鞘の大きさを巨大化させてサーフボードのようになったアームドギアに飛び乗る。鞘の口の部分をブーストさせれば気分は空飛ぶ原始的戦闘機だ。

 

 

【者frivolous子person調】

 

 

桃白白の心持ちで飛行型ノイズを突き破っていく。

 

最後は地上に残っているよく分からんノイズ達、なんだあのバナナ。それらに向けて鞘の口部分を向ける。

 

エネルギーを充填、発射。

 

 

【口backbiting陰】

 

 

速度はそれなりだがへにょりながらもノイズへ向けて進んでいくレーザーを放つ。落ちていく体を再び巨大化させたアームドギアに乗せて撃ち漏らしたノイズを片付けていく。

 

一ヶ月特にやることもなく、ガリィに強制された戦闘訓練だが中々にうまくいってるとは思う。ノイズ程度ならなんとか戦えるし、アームドギアの顕現もできたしな。

 

 

「………さて。…っ!」

 

 

キィィン!

 

 

ノイズを全滅させ、一息つく間もなく襲われる。なんとか割り込ませた鞘でガードしているのは正真正銘の剣だ。俺も戦うなら剣が良かった。いや贅沢言わないから武器が良かった。なんだよ鞘って。

 

 

「ふふ、戦いの最中に考え事かしら?随分余裕ね?」

「…いや、余裕というか、どうしようもないというか…」

 

 

奇襲してきたファラを押しのけようにも普通にファラの方が力強いし…。なんとか足をずらしながらバックステップで逃げられないかと足掻いてはいるが、強い。主に圧が。

 

なんか甚振ってる時のファラの顔が怖い。Sっ気ありありなのが見て取れるあたり相性が悪い。俺と相性いい人とか見たことないけど。

 

 

「ちゃんと集中してくださいな。守るも力、攻めるも力。技術がなくとも心構えくらいは正直に、ね?」

「………うす」

「仕切り直しましょうか」

「うす。……うぉ!?」

 

 

仕切り直す(物理)と言わんばかりに錬金術の風で吹き飛ばされる。地面にみっともなく転がれば、コツコツ、カッ!と硬い足音が近づいてくる音が耳に響いて寒気が走る。

 

 

「…いや錬金術使わねえんじゃねえのかよ」

「ええ、想い出が勿体ないですわ。だからあまり使わせないでくださいね。基本的に私はこのソードブレイカーしか使わないのですから」

 

 

一応この訓練にもルール、というより暗黙の了解のようなものがあった。ちょくちょく破られる程度の軽いものだが、ノイズ戦の後のオートスコアラーとの戦いでは錬金術を使わないというもの。

 

というのも世界を破壊するには大元のエネルギー、想い出が大量に必要なので無駄遣いは厳禁とガリィが決めたのだ。現に今もガリィは想い出の採集に行っている。というか採集はガリィにしかできないらしいので基本的に戦闘訓練に付き合ってくれるのはファラかレイアのどちらかがほとんど。

 

さらにファラはソードブレイカーという、《剣殺しの剣》を持たされているので錬金術を使わなくても戦える点でよく相手になってもらっていた。レイアもちょくちょくトンファー使って参加してくれたりする。

 

 

「さあて、どうします?正面から来るもよし。裏をかく搦め手でもよし。幾らでも受け止めて差し上げますよ?」

「………いや、どう足掻いても突破できる手段が見えないんですが…」

 

 

戦い始めて一ヶ月の素人に正面突破なんてできないし、搦め手を使うにしてもそもそも自分のできることすらまだまだ把握しきれてないのに…。

 

 

「…先程も申しましたが、大切なのは心構え。力や経験は後からついて来るものです。だから今は全力でぶつかるのが最善ですわ」

「いや毎度毎度結構本気なんだが…」

「…ふふ、ならまだ足りないということですわ。敵に刃を向ける覚悟、敵に刃を振るう覚悟、それらがまだまだ足りません」

「………おう」

「…………そう不満気な顔をしなくても大丈夫。貴方の心持ちなら、このソードブレイカーが教えてくれます」

 

 

スッと手に持った剣の切っ先をこちらに向ける。一見ただの剣。それでもその正体は剣殺しの哲学兵装。呪われた剣には、あらゆる剣を殺す力がある。

 

 

「このソードブレイカーは剣と定義されたものなら硬度も強度も問わずに噛み砕く哲学兵装。…そしてその剣は心が作り出したものでもいいのです」

「…心が?」

「ええ。さあ、再開しましょう。貴方が本気で敵に向かって武器を振るうなら、この剣はその一撃を打ち砕くでしょう」

 

 

カカカッ、ビシッ!とステップ&フィニッシュ。優雅に可憐に晴れやかに。手に持つ剣を前へと翳す。

 

 

「……ソードブレイカー。その一振りが、貴方の(つるぎ)であるのなら…。哲学の牙で陵辱してさしあげます」

 

 

風を纏って突っ込んで来るファラにアームドギアを構えて応戦する。勝てる気はしないがとにかく抵抗しなければいけない。そしてさっきのファラの言葉で気づいたこともある。……つまり、

 

 

 

 

 

 

………つまり本気で振るっても勝てないと。

 

 

はちまん くん

ふっとばされた!

 

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

 

「…………いてえ」

「毎度のことだが派手にやられるな、八幡」

「いやですわ。キチンと手加減してますのに」

 

 

戦闘訓練が終われば治療タイムだ。寝そべった俺にレイアが医療キットで手当してくれるのが最近の流れになってしまっている。

 

…まあ毎度ボロ雑巾にされるが、命に関わる怪我もなければ動けなくなる事もない程度には済ませてくれるので加減はしてるのだろう。それでも抵抗全然できてないが。

 

 

「………にしても、ノイズにしろ想い出にしろ毎日使ってて大丈夫なのか?」

「想い出は使わないに越したことはないが、ノイズに関しては大丈夫だ。マスターは元々ノイズの研究をしていた関係上地味に相当数のノイズ用ジェムを精製、所持しているからな」

「もちろんマスターの許可も得ていますのでご安心を」

「………そうか」

 

 

問題ないと言うなら問題ないのだろう。正直今のところ俺は穀潰しだ。働かないか、共に未来を生きないかと言われてどんな無理難題を放り投げられるかと覚悟してたら今のところ別に何もなし。

 

人間にしか入り込めない場所での情報収集が今のところ濃厚とのことだが、火急の仕事はない。なのでシャトーの巨大空間の一部で日夜シンフォギアを扱う訓練に明け暮れていた。

 

 

「………いって…」

「動くな、地味にやりづらい」

「…別にやってくれなくても自分でできる」

「せめて立ち上がる姿勢を見せてから言うべきでは?」

「………あと五分」

「五分もあれば終わらせてやる」

 

 

そう言って消毒液やらガーゼやらをレイアに手際よく付けられていく。体力を全て取られたせいで起き上がれないのでやりたい放題されてしまう。その手から逃げようにも抵抗する力も湧いてこないのでされるがままだ。

 

 

「………ふふ、まるで姉弟のよう。八幡さんは甘えん坊かしら?」

「俺に家族はいない、よって姉もいない」

「………終わったぞ」

「……サンキュ」

 

 

身体は動かないが口は不思議と動く。そうこうしているうちにレイアは治療を終わらせていた。今日も五分に勝てなかったようだ、うん勝てないなら仕方ない。五分ってつえー。

 

 

「……八幡」

「…なんだ?」

「言っていなかったが、私には妹がいる」

「…マジ?オートスコアラーってそういうのあるのか」

「正確にはレイアちゃんをベースにした後継機ですわ。トータルバランスに優れ、出力や耐久力は随一。言語機能やオートスコアラーたる特性を持っていないですが、単純な数値上ではオーバースペックな妹さんです」

「………聞く限りやべえな。なんでここにいないんだ?」

「でかいからな」

「大きいですから」

「………でかいのか、物理的に」

 

 

この玉座の間も中々に広い空間だが、そこに収まらないか邪魔になる程度にはでかいのだろう。

 

 

「…んでなんで急に妹?」

「………ファラが言ったように、妹には言語機能が付与されていない」

「おう」

「だから私は妹に姉と呼ばれたことがない。意思疎通はできるが、呼称は必要の無いものだったからな」

「………お、おう?」

「…だからだ、八幡。お前に姉と呼ばれるのは、私は一向に構わない」

「いや呼ばないが」

「…そうか。………………そうか…」

「なんで地味に残念そうなんだよ…」

 

 

真顔で言われてもギャグか本気か分からないんだが。そも家族の記憶もなければ繋がりもないのに姉だ妹だとはしゃげるはずもない。その先にたどり着くのはお前も家族だルートとか笑えないしな。

 

 

 

「………随分と騒がしいな」

 

 

 

ダラダラと話していると、入り口からキャロルが玉座の間に入ってきた。流石にひっくり返って腹を晒すわけにもいかないので起き上がって跪く。上下関係は大事、例え体が痛くても。いてえ。

 

 

「あらマスター、こんにちは」

「ああ。…おい八幡。別に俺はお前の創造主じゃない、楽にしろ。ガリィはまだ出ているか」

「はい、地味に想い出の採集に行っているかと。ガリィに用が?」

「そういうわけではない。だが二度説明するのも面倒なのでな。ガリィが帰還してから話す」

 

 

そう言うとキャロルは玉座に腰を下ろした。…この空気、部下の集まりでいきなり上司が乱入してきた時の空気なんだろうか?雑談で盛り上がってたけど上司のまえで言うのもなー、みたいな。

 

…とりあえず医療キット片付けよ。

 

 

「………ああそうだ八幡」

「…なんだ?」

 

 

チラと手を止めてキャロルを見れば変わらず冷たい目がこちらを見下ろしている。その双眼の瞳を細め、キャロルは肘をついた。

 

 

「………近く、任務を言い渡す。準備を怠たるな」

「………了解」

 

 

…………いよいよか。

 

 

 

 





多分この小説じゃ戦闘シーンはそんなに熱くならないだろうしとりあえずそれっぽい技だけ出しとく。英語力クソ雑魚ナメクジだから調べるの大変…。

次回から少し動いてまた停滞、かなぁ?

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