やはり俺の戦姫絶唱シンフォギアはまちがっている。   作:亡き不死鳥

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最近小説の一番難しい所にハマってきた。タイトル毎回考えるのすごく大変。

PERFECT SYMPHONYやXtream Vibes歌おうと思ってたのに間違えてDAMに行っちゃって歌えなかった作者です。悲しみ。






やはり人形の性根は腐っている。

 

「ガリィちゃん帰還しました〜」

「ああ、ご苦労」

 

 

キャロルが玉座の間に来てから数分ほど経った頃、台座へ瞬間移動してきたガリィを迎える。転移先の座標固定しないと使えない錬金術らしいが何度見ても便利そうだ。

 

 

「…ではガリィも戻ってきたところで任務を伝える。といっても八幡にだけだが」

「あれま。結構早かったんですね☆」

「遺憾ではあるが、ガリィの懸念が的中した。またも世界の危機だそうだ」

 

 

平然と言われる事実に身が強張る。え、またってなに?既に世界滅びかけたのん?しかも流れ的に世界救ってこい的な任務だよね?ここって世界壊す組織じゃなかったのかよ。

 

 

「……先日からパヴァリアへ件の情報の打診をしていたのだがな、早々に発見されたそうだ。米国政府が月の公転軌道の計算を誤魔化している。しかも軌道予測からして、いずれ落下するものだと」

「…地味に穏やかじゃありませんね。しかも月の落下を阻止するとなれば公転軌道を戻す以外にない、と。派手な作戦が必須になると思われますが」

「無論俺たちが対処するわけではない。とある組織へ情報をリーク、及び支援をする事で解決にあたるそうだ。協力の要請もありその支援、及び問題解決に八幡を送り込む」

 

 

……なるほど。月の落下を防ぐ、って時点で何言ってんだこいつレベルだが何かしら方法があるのだろう。そこはいい。そこはいい、が…。

 

 

「……なあ、質問いいか?」

「どうした?」

「キャロルはそのパヴァリア?に所属しているわけじゃないんだよな?なんで支援要請を受け入れたんだ?」

「……ああ、その事か。こちらにも充分な利益があると判断したまでだ」

「利益?」

「お前の聖遺物だ」

「……俺の?」

 

 

俺の聖遺物、といっても正直何一つ分かっていない代物だ。聖詠からエクスカリバーの鞘なのだろうが、それ以外に判別できるものはないのが現状といえる。

 

 

「計画に不明瞭な聖遺物を所持し続けるのは懸念になる。此度の潜入先は聖遺物の研究に長けた機関ゆえ、詳細な情報も掴めるだろう。その手続きも押し付けてきた」

「…ちなみにその組織って?」

 

 

 

 

 

 

「……F.I.S.。米国連邦聖遺物研究機関だ」

 

 

 

 

………どこだそれ。

 

 

「櫻井了子、フィーネが米国と秘密裏に接触及び研究補助として発足された歴史の短い機関だ。しかしフィーネが存外に厄介な置き土産を残していった組織でな」

「置き土産?」

「F.I.S.の発足当初から集められたレセプターチルドレンと呼ばれるフィーネの遺伝子を持った子供達がいると最近掴んだそうだ。フィーネの『リーンカーネーションシステム』、アウフヴァッヘン波形を浴びたフィーネの遺伝子がその魂を呼び起こすシステムを意図的に発現させようという企みだな」

「……それって何が問題なのか?」

「…俺としては捨て置く問題だがな。一つの国にフィーネが永続的に所属するのはその国の聖遺物研究のみを躍進させる結果になりうる。他国や米国を根城とした錬金術師としては、早々に潰しておきたいのだそうだ」

 

 

足の引っ張り合いに関してはどこの世界も一緒という事か。度々でてくるフィーネが何者か分からないが、聞く限りそいつも変な技術を持ち寄っているのだろう。魂を呼び起こすとかいってるし、憑依系能力?

 

 

「…つまり潜入ついでにそのF.I.S.を潰してこいって事か?」

「そうなるな。F.I.S.の扇動がいつかはわからないが時が来れば施設ごと破壊しろ。その前にお前の聖遺物のことがわかればよし。分からなくても成果が0ということもあるまい」

 

 

…なるほどな。キャロルとしては月やF.I.S.について大して重要視しているわけじゃなく、むしろ本命は聖遺物研究所であることに目を付けて俺のシンフォギアについて情報を集めたいって事か。

 

確かに他の組織だって月が落ちてきたらパニックにもなるだろうし必死に止めようとするだろう。しかし人間は命がかかっていても強欲でズル賢い。

 

問題ではあるが自分の力を使いたくないなー、誰かやってくれないかなー?みたいな思考でF.I.S.に白羽の矢が立ったのだろう。しかもキャロルの言うようにレセプターチルドレンという他の問題を潰せる利点もあるわけだ。

 

 

「……了解。F.I.S.に潜入して俺の聖遺物の研究結果の確保。月の軌道を戻す作戦実行時にはF.I.S.を壊滅させてから、と」

「それでいい。F.I.S.は随分排他的だと聞いているが、そこはパヴァリアの構成員が事に当たるそうだ」

「……信用できるのか?」

「するものか。こちらでも手を打つ」

 

 

清々しいくらいの返答だ。信用?何それおいしいの?と言わんばかりの即答。最悪信用出来なくても消耗品だしいいか、みたいな扱いをされると思っていたが何かしらの補助をしてくれるらしい。

 

 

「簡易的な錬金術を八幡の身体に仕込む。通信術式であれば然程時間がかかることも無く設置可能だろう」

「ですが八幡さんは普通の人間ですわ。複数の通信術式は負担が大きいのでは?」

「そうだな。オートスコアラー一騎とパスを繋げられれば充分だろう」

 

 

通信術式、読んで字のごとくか。距離が離れていようとパスを繋いだオートスコアラーと会話ができる錬金術、という認識でいいだろう。

 

 

「……普通の人間?キャロルは普通の人間じゃないのか?」

「…俺の身体はホムンクルス躯体だ。完璧以上に完成された躯体ゆえ、多少のデタラメは倒せる道理だ。それよりも誰にパスを繋ぐか…」

「はぁ〜い!ガリィにお任せです☆」

「…………」

「そんな嫌そうな顔しないでくださいよぉ〜」

 

 

横槍のように手を挙げるガリィに露骨にキャロルの表情が歪む。因みに俺の顔も歪んでる。…なんていうか…なんていうか、な?根性ひん曲がってるっていうか性根が腐ってるっていうか…。

 

レイアやファラはまだ人間らしくも人形らしいが、ガリィの場合人形らしくて人間くさい。オーバーリアクションで怒りやすくて、そのくせ腹の中身が暗くて見えないところがどこまでも人間くさい。そのせいで信用しようとすら思われないあたりすごい。創造主にすらその対応されてるし。

 

………なんにせよガリィはないな。レイアかファラか、どちらかだ。正直錬金術のイロハが分からないが、通信術式なら風属性?ならファラの方か?とか思ってると後ろから肩を叩かれた。

 

 

「……なんだ…」

「はいちゅーっ」

「……んなっ、むぐっ!?」

「んふふ、れろぉ」

 

 

振り向けばそのまま顔を掴まれお口にキッス。あらやだ大胆。

 

………俺のファーストキッスゥゥゥ!!!??しかもベロチューって奴では!?てか、苦し、息が、が、できっ…っ!?あ、舌で口の中なぞるの辞めて!こそばゆい!かゆい!

 

 

「……ぶっはぁぁああ!?おま、ガリ、何すんだよ!」

「はぁい、刻印かーんりょー。それにしてもウブねぇ、鼻で呼吸もできないのかしら☆」

「こいつ…。…って刻印?」

「そ。地水火風の一つ、水の元素。ガリィちゃんの司る属性は人との相性も悪くないから安心なさい♪」

「…それが不意打ちじゃなきゃな…」

 

 

口元を袖で拭うが、刻印された感覚はない。恐らくベロチューでレロレロされた時に口内にでも刻まれたか。後で鏡でも見てこよう。

 

……にしてもキス、キスか。いやいや人形だからノーカウント!ノーカウントなんだ!ノーカン!ノーカン!だからガリィこの野郎こっちみんな、人形でも普通に人間くさいから照れくさいんだよ。

 

 

「……まあ、ともあれ先のことは告げた通りだ。八幡はガリィと意思疎通できるようにしておけ」

「しておけって、錬金術使えるようにしろってことか?」

「お言葉ですがマスター?お呼び出しで戻ってきましたけどぉ、まだ本日分の想い出が溜まっていませんのでガリィちゃんはまた外に出ますよ?」

「……ファラやレイアは…」

「…残念ながら、自分の属性ならともかく他の属性の錬金術知識はインストールされておりませんわ」

「我々では地味に難しいでしょう」

「…………ついてこい、八幡。最低限仕込んでやる」

「あ、ああ」

 

 

ここでの話は終わったと玉座を降りたキャロルの後に続く。チラと後ろを振り向けばオートスコアラー達は思い思いのポーズで、台座に設置されていた。

 

…ガリィだけはこちらにいい笑顔で手を振っていたが。というかやっぱガリィじゃなくてファラかレイアの属性で刻印されてればキャロルに面倒かけることもなかったんじゃ…。

 

 

「……わざわざ良いのか?ガリィに時間作らせれば…」

「最優先事項は計画の遂行。些事に一分一秒を掛けて遅延させる必要はない」

「そうか、悪いな」

「言葉ではなく結果で示せ。何より…」

 

 

赤く細身のドレスを纏ったキャロルは振り向きざまに勝気に笑う。自然と見下ろす形になるが、尻込みしてしまうほどに整った顔立ちで視線を向けられる。

 

 

「この俺に教えを乞うんだ。泣き言を漏らすなよ?」

「……うす」

 

 

………やべえ、視線だけで泣き言言いそう。というか、キャロルの瞳もなかなかどうしてドス黒い。腐った死骸を燃料に轟々と燃えているような瞳は、奥深くにある執念や執着をありありとこちらに感じさせる。

 

…世界の破壊、万象黙示録の完成。そんな壮大な夢のために数百年を生き続ける在り方。その一端を俺も担っている事実は、不自然に肩に重みを与えてくる。

 

………それでも、それも良いのかもしれない。俺がこの重みを支えることで、キャロルの足場として願いへの道になれるのなら。ただ切り捨てられて見捨てられる俺に、礎としての価値が見出されるのなら好きに使い捨ててもらおう。

 

…この小さな少女の大きな夢に。

 







シンフォギアのパチンコ話題ですね。それだけの為にパチンコ行って見たくなる。嗜んでないので実態は分からないんですがね。

お気に入り2500人ありがとうございます!更新出来る限り早めで頑張ります!

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