やはり俺の戦姫絶唱シンフォギアはまちがっている。   作:亡き不死鳥

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導入とか移動とか書こうと思ったけど書く事ないからやめた!というかその二つを書こうとして一週間潰してました。諦めって肝心。









F.I.S.

 

 

 

 

in米国連邦聖遺物研究機関研究所

 

 

 

 

 

 

「……………おぅ…」

 

 

 

……立ち竦んでいた。連れてこられたのはまさに研究所、機会が複雑に蠢きそれを操作する白衣の研究者達。チラとこちらを見る目はなるほど、ただの研究材料とでも言いたげな冷たい目。いや、むしろ本当はこちらに目もくれずに視界の端を通り過ぎただけかもしれない。

 

見たこともない数値、映像、波形が絶え間なく変化する瞬間を科学者達は見惚れるように見つめ、また新たな研究へと突き進んで行く。その様子を俺は部屋の隅っこで眺めていた。

 

 

「……来て早々放置か」

 

 

キャロルのところからこの研究所に連れてこられたのはつい先ほど。F.I.S.と呼ばれている組織は聖遺物の研究をする場所であるが、それ故に排他的で機密性が高い。それどころか政府直下の研究機関であるはずが米国政府の支配から離れ、ほぼ武装組織と化しているのだとか。

 

ここまで連れてきてくれたパヴァリアのどなたかは俺の()()が終わった瞬間消えた。俺を受け取った研究員らしき人は責任者が忙しいからそこにいろと、隅っこを指差しさっさと自分の研究に戻ってしまった。完全に放置。

 

部屋に案内するでなく、拘束して身動きを奪うでもなく、本当に時間が勿体無いからといった風に俺は匙を投げられていた。

 

 

「………ん?」

 

 

とりあえず邪魔にならないように機械もない壁に身体を預けて立っていたが、しばらくしてやけに視線を感じる。その視線の先を辿ると、部屋の入り口を半開きにして二つの目が覗き出ていた。

 

 

「……じー」

「……デース」

 

 

……………なんだアレ。黒い髪と金色の髪の毛をチラチラフラフラ揺らしながらガン見してくるガール&ガール。気づかれてないとでも思ってるのかしらん?貴様、見ているな!?

 

 

「……ふぁ…」

 

 

……なんて言えるはずもなく、嚙み殺すように空あくび一つ。気づいてませんよー、少し目線行ったかもだけどそっちを見てのことじゃないですからねーとアピールしておく。デパートとかで知ってる顔を見るときとかに超便利な方法で、わざわざ目線をよこしたクラスメイトの親が「あら、友達?」とか言われている間に颯爽と視界から消えるための時間稼ぎに習得したこの技は見破れまい。

 

…問題は俺が逃げられないからひたすら見られ続ける事だな。時間を稼げても逃げられないから意味がないでござる。

 

 

「…切ちゃん、あいつだよね?」

「…新入り、マムが言ってた奴デス」

「…すごい目が腐ってる」

「きっとあれが噂の()()()()ってやつデスよ…」

「あれが外のファッション?…趣味が悪い」

 

 

…聞こえてるぞ、お前ら。この目は自前だ。

 

 

「…って調!マムが来たデス!」

「逃げよう切ちゃん」

 

 

…バタバタと騒いだと思ったら忙しなく扉の前から二人の少女の姿が消え去った。少しして、今度はしっかりと扉が開かれる。そこから現れたのは、車椅子に座った年配の女性。片目に眼帯をしているが、もう片方の目は鋭く弱さを感じさせない。軽くウェーブのかかった紫色の髪も風貌を色褪せない役割を果たしている。

 

…しかしそれらの印象を食いそうなくらい車椅子がゴツい。車椅子と形容したが、ロッキングチェアと車でも合体させたような物体に自力でタイヤを操作する部分はない。なのに当然のように移動を可能にする異様は初対面の相手へのパンチとしては充分な威力だろう。

 

 

「あなたが比企谷八幡ですね?」

「…あ、うっす」

「私はナスターシャ・セルゲイヴナ・トルスタヤ。ここの研究員です。子供達には『マム』と呼ばれて久しいですね」

「子供達、ってのはさっきの…」

「ええ、先程の二人ともう一人。顔を合わせる機会は多いでしょう。……場所を移しましょうか」

 

 

こちらに一瞥もくれない研究員達を見やりながら、当然のようにその場で180°回転を見せてくれた車椅子(仮)の背を追いかける。白い世界に扉が張り付いているだけのような無機質な廊下。目が痛くなるような空間をただ謎車椅子と俺は進んでいく。

 

途中で何人かの研究者にすれ違ったがナスターシャさんに軽く一礼するだけで話しかけてはこない。ただの研究者達はすれ違っても反応一つしていないとかを見るにこの人中々のポジション持ちのようだ。

 

 

「ここです、入りなさい」

「うす」

 

 

歩かされてしばらく、一室に案内される。中は広く、八人用のベッドが並べられていた。だがどれも使用感はなく、整然と整い過ぎて違和感を覚える。正方形の部屋の奥に設置された本棚と各一人ずつに用意されただろう病院室にありそうな椅子と机だけが色彩を放っていた。

 

 

「…随分多いんすね。三人じゃないんすか?」

「これは過去の子供達のもの。昔はもっと多くの子供達がいましたが、他の研究所に旅立ちました。今では特殊な子供達だけがこの研究所に残っています」

「特殊?」

「ええ」

 

 

首をかしげる俺に椅子を勧めるナスターシャさん。長い話になるのだろうと適当に腰を下ろすと、先ほどよりも目つきが鋭くなり自然と背筋が伸びた。そして話の続きを促すように見つめておく。び、びびってないよ?

 

 

 

「…ええ、特殊。()()()()()、シンフォギア装者のみが存在しています」

「………」

 

 

 

…その一言で大体の察しがついた。チラリと入り口の方を見ても誰かが覗いている気配はない。

 

 

「……情報交換、しときますか」

「…話が早くて助かります」

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

………まず、俺の目的は俺の保有する聖遺物を研究してもらいそのデータを保有すること。そしてその後F.I.S.を壊滅させながらパヴァリア光明結社に支援された組織と共に月の落下を防ぐ事。大雑把にまとめればこんな感じだ。

 

だが疑問が多く残る指令だった。俺の聖遺物の研究をしてもらう、それはいい。そういう専門の研究所らしいからとりあえず投げておけばいいだろう。

 

問題は二つ目からだ。F.I.S.を『壊滅させながら』、という点からパヴァリアから支援を受けているのはF.I.S.そのものではなくその一部分の人間ということになる。まずその一部分の人間を探すことから始めようと思っていたから先に明かしてくれたのは都合がいい。

 

その上こんな後ろ暗い組織だ。武装に聖遺物関連の何かを用いている可能性は高い。なのに気安く壊滅させろと言われたので気にはしていたが、シンフォギア装者の存在を認知させてくれたおかげでナスターシャさんの立ち位置と計画の成功率が高められた。

 

そして三つ目。そも月の落下を防げるのか?という点。正直戦闘員が素人の俺一人の可能性すら考えていたところに、シンフォギア装者がプラス三人されるのはありがたい誤算だ。

 

米国政府が月の軌道を誤魔化していると聞かされていたが、正直どうにかできるならとっくにやっているだろう。恐らくパヴァリアの情報が不可欠なのだろうが、F.I.S.を壊滅させる時点で少なくとも米国には目をつけられる。介入されることを念頭に置いておくべきだ。襲撃された際の戦力次第で月の落下の阻止すら邪魔されるのではと懸念していた。それも戦力強化により希望が見えてくるのだからやはり戦いは数だよアニキ!

 

 

「……んじゃあやっぱりパヴァリアから話通されたのはナスターシャさんなんだな」

「その通り、私一人です」

「…え、一人?マジで?」

「………この組織、F.I.S.は智慧の信奉者ばかりで世界の事情などに耳を傾けない者ばかりです。未来の破滅より今の研究。そんな者たちの集まりなのですよ」

 

 

………ああ、だから俺もあんな扱いだったのか。パヴァリアの紹介だから客扱いと考えれば放置はおかしい。ただの研究材料として送られたとしても放置はないだろう、むしろ意気揚々とショッカーに改造された仮面ライダーよろしく診察台に括られてもおかしくないはずだった。

 

なのに放置。自分の研究対象にしか興味がなく新しい物でも自分と関わり合いが無ければ時間の無駄だと。そう割り切れる人達だったのだろう。

 

さっきの二人もこんな組織でシンフォギア装者やってるなら大切な研究対象だろうに、歩き回れるってことはそれ以外に価値を求められていないと見るべきか。

 

 

「……さっき言ってた子供達三人、連れてくんですよね?戦力として」

「……ええ、そしてもう一人連れて行こうと考えています」

「もう一人?」

「…私は老い先短い身。いつ倒れてもおかしくありません。ですが道半ばであの子達を放り出すことも、このまま無辜の民が月の落下で死に行く様を見逃すこともできませんから」

 

 

………随分と、正義感の強いことで。…いや、本当にそうか?世界を救う、なんて世迷言をこんな年配の人が簡単に受け入れるだろうか。しかもカマをかけたがメンバーは俺を含めてたったの六人の予定らしい。

 

シンフォギア装者四人は戦争でもするなら充分だろうが月の軌道を変えるなんて絵空事をかますには戦力不足にしか見えない。それなのにF.I.S.を壊滅させるという自らの住処を追われることを選んでまで、世界を救う選択をするだろうか?

 

 

「……その三人とは長い付き合いなんですか?」

「…何を急に?」

「いえ、なんとなく」

「…………まあ、彼女達が幼少の頃から知っています。あの子達は、レセプターチルドレンですから」

「……ああ、フィーネの…」

 

 

…………推測だが、なんとなく見えてきたな。俺が子供だからか、随分と口軽く話してくれる。これから協力態勢に入る故の情報開示か、それ以上の裏があるのかは知らないがな。

 

………随分と、お優しいことで。

 

 

「…………貴方には、多くの協力を求めるでしょう」

「ちゃんと従いますよ。…下っ端なんで」

「…そうですか。では楽にしなさい。それから、私のことはマムと呼ぶように」

「………ちなみに何故?」

「子供達はみなそう呼ぶからです。言動の差異は意識の差異。敬語も必要ありません。まずは意識の壁を取り外すのです」

「…………難しい事言いますね」

「私に従うと言いましたね?なら、従いなさい」

「…………お、オーケー。…マム」

「よろしい。ここでの生活についてはまた後ほど告げます。私もあまり研究室を空けておくわけにもいかないので」

「うっす」

 

 

再び不思議車椅子を反転させて去って行くナス…マム。それを見届けてから俺は適当なベッドに倒れこんだ。

 

 

「……はぁー」

 

 

………腹の中から貯めに貯めたため息をはきだす。緊張もあったし、不安もあった。だが滞りなく進んで行く事態に頭がようやく追いついたのだろう。

 

 

「……少し寝るか」

 

 

疲れを自覚したら眠気も自覚できた。少しだけ…すこしだけ…。と目を閉じようとすると扉の開く音がする。静かな音だったが、静寂に満ちた部屋の中では随分と大きな音で聞こえた。

 

……そこには。

 

 

 

 

 

 

「ふっふーん。新入りが先輩に挨拶しないで居眠りなんて、いい度胸デース!」

「じゃじゃーん」

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

………さっき見た二人の少女が、腕組みしながら立っていた。

 

…もう寝ていいかな?

 

 

 

 

 






調ーー!!切ちゃーーん!!出せた、二人を出せた!長かった…長かったよ…。導入で全部潰れるかと思ったら思ったより枠余って突っ込めてよかった。

暫くはF.I.S.編。Gが遠いがまあいいか。
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