やはり俺の戦姫絶唱シンフォギアはまちがっている。   作:亡き不死鳥

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マリアァ…お前ホント可愛いなぁ…。そんなに喋らないけど。
本編が進まな過ぎて駆け足じゃ足りない。

未来へのフリューゲルとか歌いに行きたいのに休日になると眠ってしまう悲しみ。

あと小説に使えないかと思って俺ガイルの方の歌も漁ってたんですが平塚先生の「いつか君が大人になるまで」が愛に溢れてて没頭しました…。なんで結婚できないのあの人。





やはり彼女は蘇る

「調ー!マリアが帰ってきたですよ!」

「切ちゃん、手袋は?」

 

 

少しの間月読に撫でられ続けガルルと威嚇して暫く、騒がしく慌ただしく暁が駆け込んできた。ちなみに両手は空いているので手袋探しは断念したようだ。新しい靴下持って来なくてよかった。

 

 

「……帰ってきた?施設の外に出られるのか?」

「…それはマリアだけ。特例でドクターと一緒に時々出かけてる」

「たまにお土産も持ってきてくれるデスよ!八幡の分が無かったら分けてあげるデス!」

「いや別にいらんが…」

 

 

…驚いた、制限付きとはいえこんな秘密の花園(闇)でも外に出られるのか。いや月読と暁は出られないらしいから件のマリアとやらが特殊なのだろうが、それにしてもだ。

 

 

「八幡も外の世界にいたんデスよね?どんなものが好きだったんデス?」

「……どんな、って言われてもな。基本ぼっちだったし本とかゲームとかで時間潰してたよ」

「「ぼっち?」」

「…………その概念すらなかったか…」

 

 

 

「仕方ないわよ。此処では独りでできることは限られているもの」

 

 

 

騒がしい二人の声に混じって聞き覚えのない声が割り込んでくる。入り口を見れば、見たことのない女性が袋を持って立っていた。

 

随分とグラマラスなボンキュボンなスタイルに珍しいピンク色の髪の毛を……ん?んん?どんな髪型してんだ?腰まで届くロングヘアがフワフワと柔らかそうに揺れ、頭部ではツノのような二つのまとまりを青い蝶のような髪留めで纏めている。どんな構造でその髪型に収まってるのか気になるところデス。

 

 

「「マリア!」」

「ただいま二人とも。はい、お土産」

「わーお!また見たことない袋デス!」

「楽しみ」

「あまり揺らさないでね?…あなたの分もあるわよ」

「…………え、あ、ども」

 

 

そして髪型にも驚いたが一番驚いたのは二人と比べてやけに大人びている、というか完全に大人だ。少なくとも俺よりは上だろう。ナスタ…マムが子供達と呼んでいたがどうやらその年齢にはまあまあ開きがあるらしい。

 

………つまり、その分一定の審美眼があるのだろうか。二人よりも瞳に険が伺える。少なくとも新入り、つまり仲間!と変換している二人よりも俺を警戒しているようだ。

 

マムから何かしら聞かされているのか、単純に目が腐った男が怪しいのか…。………後者な気がしてきた。

 

 

「…………じー」

「……おお、見つめあってるデス。調、これがふぉーりんらーゔってやつデスかね?」

「ないから」

「初対面の人に、っていうのはちょっとね…」

「…ばっさり」

「うぅ…マリアの春は遠いデスか…。……ホントにないデス?」

「うぜぇ…。…はいはい惚れた惚れた。満足か?」

「凄くどうでもよさそう…」

 

 

…施設特有の閉鎖空間であるせいか、男女集まれば色恋だなんだと騒ぐのはどこも同じらしい。ホント辞めろよ、そういう会話から「ねえねえ、比企谷ってさおりのこと好きなんだってー」「えー可哀想ー」みたいな会話が始まって罰ゲームで校舎裏に呼び出されるんだぞ。

 

わざわざラブレターを女子に書かせてまで俺に嫌がらせしてくる奴らと同じ方向に努力を向けるなよ?

 

 

「二人ともそのくらいにね。悪い気はしないけどあまり困らせるのもダメよ?」

「およ、こっちはちょっとは脈ありデスか!?」

「そうね……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…私より三つくらい年上だったら考えてたわ」

 

「のっけからいいパンチ打ってくんなアンタ」

 

 

「こっちはこっちで脈0デス!?」

「…手厳しい」

 

 

あからさま年下相手に年上なら相手してやるわという希望?何それおいしいのと言わんばかりの右ストレート。今までフラれてきた中で一番清々しいかもしれない。めっちゃ笑顔だし。

 

 

「……挨拶が遅れたわね。私はマリア。マリア・カデンツァヴナ・イヴ」

「…比企谷八幡」

「よろしく、八幡。…ごめんなさい二人とも、少し彼を借りてもいいかしら?」

「何か用事デスか?」

「ええ。マムとドクターに彼と一緒に来るよう言われてるのよ」

 

 

おっと、マムが来るかと思ったらお呼び出しか。今更だが一昼夜でシンフォギアの解析が済むとは思っていない。だから早いとこ話しを進めて欲しかった部分はある。なら願ったり叶ったりだ。…子守も疲れてきたし。あとちょくちょく出てくるドクターって誰よ。

 

 

「こっちは支度もない。すぐ行ける」

「ええ、こっちよ」

「はちまーん、気張るデスよー」

「頑張って」

「おー」

 

 

………気張って頑張らないといけない相手なんですかね?

 

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

 

とある研究室

 

 

 

 

「初めまして、僕はウェル。ドクターと呼ばれることも多く、生物学の専攻でこの研究所で聖遺物の研究もしています」

「あ、ども。比企谷八幡っす」

 

 

マリアに連れてこられた研究室は前に放置された研究室のように機械だらけなのは変わらなかった。おかしいのはここにいる面子、というか人数だろう。俺にマム、マリアにドクターの四人しか存在していないこの部屋は広過ぎて、完全に密会の様相だ。

 

そしてドクターウェル。銀髪サラサラの優男で、キラリと光る眼鏡が知的な感じを醸し出している。眼鏡が知的なイメージっていうとアホっぽいが、こんな研究所で働いているのだし実際知的なんだろう。

 

 

「そう硬くならないでください。とって食ったりなんてしませんから」

「……うす」

 

 

……そう言いながら目線はばっちりギアペンダントをガン見している。この人もこの人で例外なく研究ヒャッハー勢なのだろう。だがそれでいい。食い気味に研究してくれるならそれだけ時間も省けるってもんだ。

 

 

「……早速調べます?」

「ええ、是非」

 

 

首から下げたペンダントを渡すとマジマジと見つめ回した後機械に設置した。カタカタカタッとキーボードのようなものに入力していく。ジッと見ていたがカタカタカタ、タッーン!とエンターキーを押してくれない。黙々と数字の羅列とデータが映し出されるだけだった。

 

なのでマムにこそこそと近寄り耳打ちする。

 

 

「……あの、えと…マム。さっき部屋で言ってたもう一人って…」

「…ええ、ドクターのことです。私の知識は聖遺物に偏っています。ですがそこにドクターの思慮が加われば…」

「その通り!僕の知恵があれば、月の落下を阻止するという『英雄的な暴挙』など解決したも同然というわけです!」

「……英雄的?」

 

 

小さい声で話していたのだがバッチリ捉える耳のよさは放っておくとして、なんだ英雄的って。いやまあ世界を救うとなれば英雄的ではあるんだろうが、なんでこんな場面で…。

 

 

「そう、英雄です。一ヶ月前にルナアタックから世界を守ってみせた特異災害対策機動部二課の装者のように。今度は我々が世界を救うのです!」

「……まあ詳しい話は知らないっすけど、具体的には?」

「ふふ、その計画の足がかりは既に行なっています。マリアの協力によってね」

 

 

チラとマリアに視線を送ると腕組みして目を伏せたまま動かない。レセプターチルドレンとして育てられたマリアがこの作戦についてどう考えているか知りたいところだったが、反応は見れなそうだ。

 

 

「……ちなみにその足がかりってのは?」

「アイドルです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………なんて?」

「アイドル、です!マリアの歌声、そして僕のプロデュースがあれば彼女の劇的な躍進など造作もないこと!現にデビュー僅かですが彼女へのオファーはいくつも届いています!もしも違う世界があったならプロデューサーとしての未来も明るかったでしょうね!」

 

 

…………(絶句)。なんで急にこんなテンション高くなってんだこの人。…いや違う、そこはどうでもいい。そこじゃない!

 

 

「……いやいや、え、計画の足がかりって…?」

「まずはマリアを世界の人気者にします。そしてそこから計画実行するのです。全世界が見ている中で米国政府が月の軌道計算を改竄し、隠滅しているという事実を世界の人々に知らしめます」

「……それ、ただパニックが起きるだけでは?」

「そう、それでこそです!人々は恐れ、慌てるからこそ英雄の姿は劇的に映るってもんでしょう!」

「…………oh」

 

 

………やべえ、こいつ左巻きの人だ…。一見知的に見えるけど内包されてるもんが危う過ぎる。ていうかマッチポンプって知ってるんですかねこの人。

 

 

「…………マム?」

「……ドクターは此度の作戦に必要な人です。多少の意向は汲もうと思います」

「マジですか」

 

 

………難易度ベリーハードですか、そうですか。この英雄誇示のドクターは目立って英雄として認知される事を求め、そしてマムもそれを黙認している。

 

……それは何故だろう。こんな任務誰にも気づかれないように動き、気づかれたら止む無く戦闘という事態を計画していた。F.I.S.を潰していく以上事態が表見されるのは仕方ない事だが、わざわざ自分から世界に知らせるのはリスクが多過ぎる。

 

…ドクターが今回の計画の鍵を握っているのか、それとも…。ドクターにしかできない計画以外の理由があるのか…?

 

 

「……なぁに、心配いりません。僕たちには一騎当千の、心強い味方が付いているんですから」

「心強い味方?」

「ええ。…貴方は知ってるんですよね、レセプターチルドレンについて」

「…フィーネの遺伝子を受け継いだ子供達で、フォニックゲインを浴びると再誕するフィーネの依り代………。……っ!」

「…ええ、もうお気づきでしょう?一ヶ月前にフィーネは消滅した。つまりリィーンカーネーションシステムが発動する条件は既に整っているのです」

 

 

視線をずらすドクターの先を追えば、そこには先ほどと変わらない姿で立っているマリア。だがそれは本当にマリアなのだろうか。レセプターチルドレン、フィーネの依り代。そしてここは聖遺物の研究所だ。…何一つ、おかしくはない。

 

 

「……マリア。そう彼女こそ、再誕したフィーネなのです!」

 

 

 

 

 

 

 

 





………(目逸らし)。

あ、アイドルプロデューサーのドクターが見たい人はアプリをやりましょう。てか二ヶ月でマリアさんがあれだけ人気になったこと考えると割とバカにできない才能なのが…。

うーんこの…。

そういえばこの小説って初めから読み通してどれくらい時間かかるんですかね?ランキング載って結構早くお気に入り増えるから速読民かな?ってなったりしてる。

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