やはり俺の戦姫絶唱シンフォギアはまちがっている。 作:亡き不死鳥
無印より長くなりそうだけど仕方ない。書きたいことを書きまくります。積み重ねは勢いと重みでなんとかしよう。
F.I.S.内部
「……………なあ、怖すぎるんだが」
『その場所に表立って設置をするわけにも行きませんからねぇ。あ、そこに一つ置いてください。人通りは少ないですが人目につかないように』
「へいへい」
F.I.S.に来てからしばらく経った。だがここに居ても大体が研究か模擬戦闘。あとは度々絡んで来る暁月読コンビと話す程度で生活に起伏もなく、随分と早く時間が経過したように感じる。
……あの模擬戦闘の日から、随分とマリアから視線をもらっている。もちろん友好的なものではないが。それでも絡んで来ることもなければ、陰湿な嫌がらせをしてくるわけでもないのでむしろ健全な気がして来た。話しかけて来るコンビちゃん達の方が不健全まである。
「……ん、設置完了。後は保管庫に設置して、そこの聖遺物はエアキャリアに運び込む、でいいのか?」
『ええ。監視カメラの映像は既に差し替えてあります。出入りも停止してありますが早めにお願いしますよ』
「了解」
無線に伝えられるままに、紙袋に入った重厚な機械を設置していく。バレないように、置く時に衝撃を与え過ぎないように、慎重に慎重に作業を進める。
なんせ今扱っているのは、人の身体を容易に吹き飛ばせてしまう
「…………聖遺物保管庫のパスワード入力完了。目的の『ネフィリム』に『神獣鏡』を確保。後は聖遺物の搬入か。……ドクター、シンフォギア纏っていいか?量多いんだが」
『F.I.S.に内在するフォニックゲインを観測する機械は一つではありません。聖遺物の搬入は手作業でお願いします。研究班独自で起動実験を計っている聖遺物以外に危険な聖遺物は保管されていませんので』
「…まじか。……うっす」
既に眼前に迫ったマリアと風鳴翼のライブは、俺たちにとっては戦いの狼煙となる。そこからはもはやゆっくりとしている時間はないだろう。
…しかしその前にもやることがある。F.I.S.という組織は一応米国の組織だ。内情的にはかなり排他的で結構反発しているみたいだが。しかし俺たちはその組織を壊滅させてから事に及ぶ。今はその前作業だ。
「……全部運ぶのか…」
『起動したネフィリムは聖遺物を餌とします。飢餓を感じた怪物の行方でも追ってみますか?』
「分かった、分かってる。全部運びますよ」
F.I.S.を爆破することでまるごと壊滅させる。それはいい。だがその前にF.I.S.に蓄えてある資源を根こそぎ貰っていこうという話だ。今話したように起動したネフィリムは聖遺物を喰らうので、埃を被っている保管された聖遺物をF.I.S.が保有する巨大ヘリ、通称『エアキャリア』と共に移動手段として頂戴する。
しかもこのヘリが中々の優れもので、このヘリに神獣鏡を組み込むことで『ウィザードリィステルス』という機能を発揮するらしい。この機能は、 機体を不可視とするばかりか、振動、その他シグナルの一切を低減・遮断し、 索敵機器の目をくらませる効果があるのだとか。
F.I.S.も排他的で閉鎖的とはいえ、米国に所属するれっきとした政府機関だ。米国政府からの追っ手も現れるだろうことを考えればこれほどありがたい機体もない。
「…そういやドクター、日本での潜伏先とかは用意してあるのか?流石にこのヘリ一つで計画ずっと移動、ってのも無理だろ?」
『郊外の廃棄された病院に目を付けてあります。マリアはライブ前に滞在するホテルがありますが、我々には使えませんからね。ほど近くで蜂起の時を待ちますよ』
「………それはいいけどなぁ。食料に燃料といい、先立つ物が足りなくなりそうなのが怖えな」
『F.I.S.は研究機関、銀行ではありませんからねぇ。お金はかかりますがお金が存在しているわけではない。マリアの給料がどれほど持つか…』
「財布管理してる旦那かよ……」
平然とマリアがアイドルで稼いだ金を使う気満々だ…。しかしそれでもマリアがアイドルとして活動しているのも精々が数ヶ月。有名になる前の期間もあるだろうしそれ程の蓄えがあるとも思えないが。
……むしろドクターこんなとこに勤めてるんだから金もってんだろ?ジャンプしろジャンプ。
「…まあ金が足りないで失敗する計画立てる訳もないか。にしても結構派手にF.I.S.を潰すんだな。正直隠密でやるのかと思ってたわ」
『派手地味に関わらずここの機関が停止すれば本国に気づかれます。それほど甘い組織ではありません。なので我々やシンフォギアを纏える彼女達のデータを簡単にはサルベージ出来ない程度には破壊する必要があるのですよ』
「……まあ、顔出ししてるマリアがいるからな。ライブ中に狙撃とかやってられねえし。派手に壊して調査を難航させて、ライブさえ乗り越えられればいいって考えか」
どれだけ巧妙に隠してもいずれデータはサルベージされるだろうし、この施設の研究員を殲滅している間に増援を呼ばれて行動を起こす前にバレるかもしれない。だが施設ごとぶっ飛ばせば研究員の生存や残った聖遺物の確認に、破損した設備の復旧やらで一日二日では俺たちに辿り着くこともないだろう。
……それにパヴァリアとの契約で施設ごと破壊する目的も達成できるのでこちらとしては万々歳だ。…記憶ではレセプターチルドレンの存在を危惧した錬金術師達がF.I.S.の壊滅を狙っていたはずだが、此処には残念ながら月の落下を阻止する為の戦力しかいないので成果0だが問題ないだろう。
指令は『F.I.S.を潰すこと』であって『レセプターチルドレンを殺せ』ではないのだから。他の施設に旅立った奴らは範囲外だ。
……此処に子供達がいないのが偶然か必然かは知らないがな。
「………はぁ。しんど…」
『お疲れ様でした。貴方のおかげで我々の旅立ちの狼煙を上げることができます』
「…へっ、汚ねえ花火だ」
………実際施設全体に仕掛けた爆弾が爆発すれば少なくない人間が死ぬのだろう。研究者しか入れない場所、人の出入りが多い場所はドクターが仕掛けたらしいので、もしかしたら俺の爆弾では誰も死なないかもしれない。それでもこの計画の片棒を担いだ時点でこの手は血に染まるのだろう。
……その事実に手が震える。…それでも一呼吸して、手の震えを止めた。
これは序章だ。キャロルの目的に協力する、そのための第一歩。世界を壊すのは、世界中の人間を殺すのと変わらない。そんな目的のために進んでいるのだから。…例えその目的の途中で裏切られるとしてもその道筋で背負う罪の重さは変わらない。なら早めに明確な罪を背負った方が、きっと俺が楽だ。
「………それでこれからどうすればいい?渡された爆弾以外にも仕掛ける必要があるなら一旦戻るが…」
『いえ、そこで待機していてください。僕はこれから『日本へソロモンの杖を受け取りに』外出しなければなりませんので。ナスターシャ教授に付き添いをお願いし、ボディガードにはマリアもいます。ノイズを操るソロモンの杖が暴走してしまった場合でも装者がいれば安全ですからね。念の為『エアキャリア』で緊急事態への備えも万全です』
「あーはいはい、そういう設定な。で、飛び立ったらボカンと。暁と月読には伝えてあるのか?」
『もちろん既に。間も無くそちらへ辿り着くでしょう。我々もこれから向かいます。さあ!計画始動です!』
「うるせえ…。その声でバレるなよ?」
……無線を切れば酷く耳が痛くなるような静寂に包まれた。ゴチャゴチャした聖遺物を運んだ疲れが襲ってくるし、すぐに惰眠を貪りたい欲求が襲ってくる。それと共に自然と不安が溢れてきた。
…世界を救う。そんな目的でも世界からすれば俺たちはただのテロリストだ。ルールに則らずに横紙破りで世界を救おうとしている。少なくとも日本政府と米国政府は明確に邪魔してくるのはわかっている。その妨害の大きさが計れていないのは、きっとどこかで致命的になってくるだろうことも。
………。
「…あ、はちまーん!先来てたんデスね!」
「……」
「………おー」
………それでも目の前の暁や月読のような能天気とも思える計画に俺は乗り出す。任された仕事はとりあえずこなす。臨機応変に機転を効かせてやれるとこまでやってみよう。
「…待たせたわね」
「昨夜の時点でエアキャリアに搭載できる設備の準備は整えてあります。すぐに飛び立ちましょう」
「僕が英雄となる旅路っ。今ここで見上げる人間は少ないですが、この旅路が終わる時には世界中が僕を見上げるでしょう!
さあ、出発です!」
…………マリア、マム、ドクターも到着すれば勢揃いだ。
…………舞台は揃った。役者も並んだ。そして開戦の狼煙が上がったのなら……
…………手始めに、世界を救おうか。
この小説でシンフォギアを知れたって言われるのはやっぱ嬉しい。一番目の目標は妄想を形にすることだけど二番目は布教みたいなところあるしね。
最近低評価爆撃連打されたのに赤評価保っててぬふふ、ってなる。これも読んで評価してくれる方々のおかげなのでとても感謝。
次回より戦姫絶唱シンフォギアG、開幕。