やはり俺の戦姫絶唱シンフォギアはまちがっている。   作:亡き不死鳥

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修行編はアニメ見てどうぞ。八幡巻き込む考えどころか書くという行為を思いつくことすら無かったので。
詰め詰めですが書きたいことしか書いてないので違和感を自分でも感じる。

あと歌の歌詞付きで小説書いて投稿前に消してるので違和感感じるかも。
やっぱ歌ってるぽさがあるとモチベが上がし。


やはり風鳴翼は引きずっている。

side翼

 

 

「…………」

 

 

風鳴邸の一室。蝋燭を立てたスタンドに囲まれながら正座を作り、瞳を閉じて精神統一。目の前に剣を、自分の分身を置きながら心の波を鎮める。鎮めようとする。

…だが、最近はそれもあまり上手くいかない。雑念を取り払おうとするたびに、心の奥に締め込んだ記憶が頭を見せる。

 

 

『両翼揃ったツヴァイウィングならどこまでも飛んでいける。…そうだろ?翼』

 

 

かつての片翼は幻の中で笑いかける。だがもうこの世界に私の片翼は、奏はもう存在しない。

二年経とうと…いや、きっと何年経とうと私は奏の幻を見続けるのだろう。風鳴翼はその身を剣と定めた戦士。迷いを断ち切る剣であれと、運命(さだめ)の悲劇の過去すらも己が刃で斬って見せると。強くなると決めたのに…。

 

 

「………ふっ!」

 

 

カッと目を見開き剣を振るう。目前の火をかき消さんと振るう剣は、灯火(ともしび)の首元で時を止める。振り抜けば風が鳴る剣は音もなく、振り抜かれる事なく鞘に収められた。

 

 

(あの時と何も変わらない。何故瞳の奥から涙が湧き出るッ)

 

 

止まらない涙を拭うこともなく部屋を後にする。もう何度これを繰り返してきたのだろう。

鍛錬を積むことに忌避はない。この身を防人足らしめるのは血よりも熱き心意気、日々を剣に捧げるのは当然だ。

ノイズと戦うことに恐怖はない。防人は人類守護の要。恐怖に折れる剣でなどあってはならない。

誰かと肩を並べるのに拘りはない。……ない、筈だ。否、あってはならない。守るべき者を背にした時に見るのは敵ただ一つ。その隣が誰であろうと…。

 

 

 

『翼さん!私と一緒に、戦ってください!』

 

 

 

「……ッ!」

 

 

……ダメだ。私はこれを、受け入れられない。

そこにいるのは奏のはずなんだ。血反吐を吐き、ノイズへの恨みを糧としながら生きてきた戦士の。何者をも貫く無双の一振り、ガングニールを構えて戦場で歌う。二人でならどこまでも、どこまでも飛んでいけると言ってくれた…。

 

 

prrrr!

 

 

 

 

「………はい」

 

 

『ノイズが現れた!翼、響くんと共に現場に急行を…!』

「…はい。ですが、私一人で十分です」

『翼…!』

「現場へ急ぎます」

 

 

…いつからだったか。本部からの呼び出しに安心するようになったのは。剣が振るわれるのは戦場(いくさば)のみ。風鳴翼が誠に歌う事が出来るのは、そこだけなのだから。

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

某桟橋

 

♪絶刀・天羽々斬

 

 

 

「……ふっ!」

 

 

【蒼ノ一閃】

 

 

天羽々斬から放たれる斬撃がノイズ達を一掃する。もう幾度も、数えることすら億劫な程に行ってきた過程だ。目に見える全てのノイズを蹴散らし、切り捨て、捌いていく。

……それにしても。

 

 

 

「はぁっ!」

 

 

少し離れた所で同じく戦っている存在がチラと目に入る。奏のギアを纏っていながら、アームドギアも構えられない未熟者。逃げるか防ぐか、その程度だったのにここ最近は地に足を着けてノイズと戦っている。

 

 

「……だからなんだというの」

 

 

【千ノ落涙】

 

 

天から落ちゆく涙雨。それが剣となってノイズ達に降り注ぐ。

所詮は未だアームドギアすら構えられない、遊び半分で戦場に立つ女生徒に過ぎない。

気が逸れていたせいか広範囲のノイズを一度に殲滅し、それがここら一帯の最後の個体をも覆い尽くしていたことに気づくのに少しばかり時間がかかった。だけどそれもどうでもいいことだ。剣を振るい、敵を斬った。それだけのことなのだから。

 

 

「……ノイズの殲滅を確認。これより帰投します」

『…ああ、ご苦労だった』

 

 

本部との通信を切り、乗ってきたバイクの元へ向かう。最近はヘリではなくバイクでの出陣が多くなった。それもこれも彼女、立花響と同じ空間にいる時間を少なくするためだけの些事だ。

けれども、今日は勝手が少々違うらしい。

 

 

「………翼さん」

「…なにか用?」

 

 

普段はこちらに何かを求めるように帰る背を見られるだけだった。助けを乞うような視線も、近付こうと迷う視線も、その全てを素知らぬ顔で背を向けるだけ。

それなのに、今日に限ってはこちらの目を見てくる。今まで見てきた顔はなく、ただ真っ直ぐに、こちらと視線を交わしてくる。

…その姿が、何故か一瞬奏と重なった。その幻影を振り払うように小さく目を瞑り、再び目を開く。そこにいるのはいつもの立花響だ。その手は空で、なにも握りしめていないシンフォギアの姿のまま。

 

 

「…翼さん」

「………」

「……私、翼さんと戦いたいです」

「…前も言ったはずよ。私はあなたを受け入れられない。風鳴翼が…」

「違います、翼さん…」

「……?」

 

 

困惑するこちらを置き去りに、小さく深呼吸をする立花。そしてまた、()()()をした。

…この身は剣。感情に振り回されてはならない。涙など流してはならない。常在戦場の心持ちを、崩すなどあってはならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ッ!翼さんと私、戦いましょう!」

 

 

 

 

……だけどこの時。確かに私は心を揺り動かすヒトであったのだろう。ただの数ミリ上がる口角を、今の私は制御出来ていなかったのだから。

 

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

side…

 

 

 

 

 

♪Imyuteus amenohabakiri tron♪(羽撃きは鋭く、風切る如く)

 

 

 

解いていたシンフォギアを再びその身に纏い、アームドギアである剣を構える。目線の先には此方とは違い、素手を構えて立つ立花の姿。

 

 

「……一応聞いておこうかしら?何故私と戦おうと思ったの?」

 

 

確かに戦っている姿を見れば分かる。戦えるようになったのかも知れない、その身を戦士として置くことが出来るようになったのかも知れない。だけどその覚悟は未だその姿を現してはいない。

 

 

「あなたは未だにアームドギアを構える事も出来ていない。それとも戦士であれば私があなたを受け入れるとでも?」

「……はっきり言って、まだまだ難しい事は全然わかりません。アームドギアを構える事も、覚悟を決める事だって。……だけど私、この胸の想いを伝えることだけはしたいんです!」

「………そう」

 

 

一層拳を引き、立花響は臨戦態勢を整えているのだろう。…ああ、だけどダメだ。その姿は心をざわめかせる。

 

 

 

♪絶刀・天羽々斬

 

 

「………つまりは遊び半分のまま。なにも成長してはいないようね!」

 

 

【天ノ逆鱗】

 

 

細い剣が巨大な剣となり、それを空より蹴りつける。嘗て一度翼から望んだ立花響との戦い。それが何を血迷ったか真逆の状態での開戦となった。だがそれでも、加減などという慈悲を与える気にはならない。きっと今日は司令(叔父様)が出て来る事もないだろう。子供には特に甘い方だ。両者合意の上での戦いに水は刺すまい。

 

 

「はぁああ!」

 

 

そして立花も、あの時の焼き増しのように(行った人は違えど)迎え撃たんと腰を落とした。

 

 

「稲妻を喰らい、雷を握りつぶす様にぃ!」

 

 

バギィ!と想像以上の力を持って天ノ逆鱗を迎え撃つ。それを見届ける事もなく翼は天ノ逆鱗を足場に跳び立っていた。

薄々感づいてはいた。立花が司令に弟子入り、もしくは鍛錬を付けてもらっていただろうことは。劇的に変わったのもそのおかげだろうが…。

 

 

「…付け焼き刃が通じるなどと、甘く見ないでちょうだい!」

 

 

【蒼ノ一閃】

 

 

「うえっ!?っとお!」

 

 

天ノ逆鱗を打ち返したことでバランスの崩れた立花に追撃をかけるも転がるように避けられる。雑で、荒削りで、大雑把。戦いのいろはなど知らんとばかりの動きは何をどうしても嘗ての片翼とは重ならない。なのに…。

 

 

「…なのに何故、貴方がそのシンフォギアを纏っているの?」

「…え?」

 

 

地上に降り、そのまま立花に斬りかかる。

オレンジ色のギアが視界に入る。見慣れた光景。だけどそこにはもう…。

 

 

「翼さん…泣いて…」

「…っ!戦いの最中に!」

 

 

此方を見ながら拳を解いた姿に、一体どれだけの想いを込めたか分からない一閃を立花に向けて振り抜いた。例えそれがまともに当たれば、立花の身に何が起きるかも考えずに。

 

 

 

バシッ

 

 

「…えっ?」

「……翼さん。私、今日は翼さんとお話ししたかったんです」

 

 

受け止められていた。シンフォギアであろうとまともに当たればその身を切り裂き、命すら奪いかねない全力の一太刀を、立花は右手でがっちり受け止めていた。

 

 

(アームドギアを形成する為のエネルギーを拳に纏って!?なんて無理筋な力の使い方を…)

 

 

「翼さん!」

「な、なに…?」

「私、翼さんと一緒に戦いたいです!」

 

 

剣を握っていたその手は、いつの間にか此方の手を包み込んでいた。それも、わざわざ剣を持っている方の手を。

 

 

「だ、だから!わたしは…!」

「私はもっと翼さんのこと知りたいです。だけど私は未熟者だから、翼さんに助けてもらいたいんです」

 

 

その瞳は此方の瞳を繋がるように、なのに心のど真ん中を撃ち抜くように語りかけてくる。

 

 

「……翼さん、私と戦ってください。

私を助けてください。

私を頼ってください。

私に翼さんのことを教えてください。

そして…」

 

 

紡がれる言葉に口を挟めない。輝く笑顔が、此方を見つめて離さない。そして…。

 

 

「私と、友達になってください!」

 

 

言葉が、剣よりも深く心に突き刺さる。

 

 

「………無理よ。私は剣、そんな機能なんて…」

「だったら!私は剣の翼さんとも手を繋いで見せます!絶対の絶対に、握ったこの手を離しません!」

 

 

今までよりも強く、強くその手を握りしめられる。僅かでも動かせばこの手に握る剣で手を切りかねない状態であるというのに。それでも離してなるものかと、掌に痛いほどの感触と温もりが伝わる。

 

 

(……ああ、そうだった。たとえ機械仕掛けでも、人の温もりはこんなにも…)

 

 

「………立花、少し痛いわ」

「あっ!すみません!でも私、本気で…!」

「分かってるわ。別に疑ってなんかいないの。だけど状況を考えなさい」

「じょ、状況?」

「今って私と貴方は戦ってるのよ?こんなに近くていいの?」

「え、それは、その!えっと…?」

 

 

するりと立花の手を抜き、少し離れて再び剣を構える。

 

 

「貴方が私の隣で戦いたいという想いは分かったわ。それなら、貴方の歌を私に聞かせて見なさい!」

「……はい!」

 

 

 

 

【♪撃槍・ガングニール】

 

 

「ふっ!」

 

「はぁ!」

 

 

剣を振るい、拳を避ける。始めたばかりと変わらぬ行為のはずなのに。何故だろう今は、この(いさか)いが心地いい…。

それは…きっと…。




流石に展開早過ぎたと反省してます。
まあもうちょいいざこざ起こしたい欲求はあるので、そのうち過去の修行編でも書きますかね。

携帯のメモにだけ歌詞付き原案があるとなんかいい…ってなる。
天ノ逆鱗前に去りなさい〜散華せよ
撃槍・ガングニールの後に何故、どうして〜
を入れてる雰囲気で。やっぱ歌がないと寂しい。


私ト云ウ音響キソノ先ニ好き
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