やはり俺の戦姫絶唱シンフォギアはまちがっている。 作:亡き不死鳥
感想欄が愉悦部の部室になっててビビる。装者の顔が曇り始めた瞬間部活動参加する方々嫌いじゃないぜ。
まあ今回はただの繋ぎですが。
戦火はライブ会場の中で一斉に広がっていく。そして計画も今のところまあまあ順調でもある。
俺たちの組織【FINE】の名前、そしてノイズを操る能力とシンフォギアの所持を世界中に認知させた。ドクターの欲求としては充分だろう。後はこの戦いによるフォニックゲインでネフィリムの起動ができれば完璧……なのだが。
「ねえ八幡くん!どうしてっ!?」
「…余所見ばかり。隙だらけ」
「比企谷っ、その輝きを私達に向けるのはお前の本意なのか!?」
「敵すら見ずに対応できるなどとのぼせるな、風鳴翼!」
「なぁ八幡!お前はっ!」
「マストダイ、デース!」
……俺は基本的に遠距離からの援護に徹しているわけだが、どうにも状況が良くない。具体的に言えば、『敵意が向けられてこない』。
三対三なのでどこかに加勢するより全体的に敵意を向けてもらいながら、その場その場でフォローしようとしているのに一向に俺のフォニックゲインが高まらない。敵意と共に上昇するフォニックゲインでネフィリム起動の一助となろうとしていたが予想外だ。
「…………マム、どうなってる?」
『……こちらの観測機からはフォニックゲインは現在28%をマークしています』
「俺単体のフォニックゲインは?」
『起動時から変化はありません。鞘の能力が発動していないと見るのが妥当でしょう』
…やっぱりか。というかほんとにあいつら誰だ?どうにも俺のことを知ってる様子だしまあ知り合い程度ではあったのかもしれないが。……いや、知り合いなんて呼べるほど親しい奴もいた記憶ないな。一方的に知られてるだけか。
…それとも三対四で不利と見ての懐柔?いやそんな子供騙しに引っかかる奴がいるとも思えない。見られてすぐ名前も当てられたし。なら俺の無くした記憶、それを知っている奴らということか…。
「…………どうでもいいな」
…それなら、やっぱりどうでもいいことだ。俺の記憶がどんなものであろうと、今の俺には関係ない。むしろ思い出して戦うのを躊躇でもしてみろ。世界が救えなくなったらそれこそ無駄だ。
世界と俺。天秤にかけるのもバカらしい。まあそこにかけた世界を壊そうとしてる時点で何も言えないが。
「……マム、これ以上は時間の無駄だろ。余計な手傷を負う前に次の手順に移るべきだ」
『………仕方ありませんね。最終手段に出ます』
《オォォォォン!!》
装者と装者が入り混じる会場に、突如巨大な異物が現れる。黄緑色をしたそれはまるで泡だてまくった洗剤に質量を与えたように膨れ上がる。
ノイズ。それも『増殖分裂タイプ』だ。斬れば増え、殴れば増え、時間が経つと勝手に増える。その再生力はシンフォギアを纏っていようとそう簡単には殲滅できない程度にはしぶとい性能だ。
…もちろん、時間をかければ別に倒せないわけではない。だが現在において話は別。ライブ会場から解放されたとはいえ、周囲にはまだ一般人が残っている。
ノイズが操られているからと危険度の対応を見誤ったか。なんにせよこのノイズを倒すには瞬間的な火力が必要になるだろう。
………例えば、絶唱とか。
「おい、引くぞ」
「………こんなの使うなんて聞いてない」
「増殖分裂タイプなんてこんな場所で放ったらえらいこっちゃデスよ!?」
「そうだな。……マリア」
「…………ええ」
察しが良くて助かる。倒してしまわないようにか、それとも大立ち回りには邪魔だったのか、マリアはアームドギアである槍を温存していた。そして満を持してソレを取り出した。
【HORIZON†SPEAR】
その穂先からエネルギーが凝縮された一撃、ビームが放たれる。その着弾点は増殖分裂タイプであるノイズの中心。
貫通力よし、破壊力よし、拡散力よし。現場猫もヨシッ!確実にノイズを増殖させるのに最適な一撃となり、ノイズはまるでポップコーンが弾けるように辺りに散らばっていく。
そして散らばった側から分裂分裂また分裂の繰り返しだ。時間が経てばそれだけ会場の外にも溢れ出すだろう。
……ドクター大丈夫かな。さすがにソロモンの杖持っててノイズで死んだとか笑えないんだが。…まあいいや、撤退だ。
「……っ!この状況で尻尾を撒くのかよ!」
「待って!まだっ…」
「よせ立花!このノイズを放ってはおけない!」
「でもっ…!」
……後は、あの三人のお手並みを拝見しよう。
☆☆☆
side響
「…………八幡くん」
走り去っていった四人の後ろ姿を見送りながら強く拳を握る。胸の内から溢れ出す感情の制御が追いつかない。
…だって嬉しい。嬉しくて仕方ない。あんなに死んだと思って、涙も流して胸の痛みにも耐えたけど…だけど…。
…生きててくれた。
それだけで心臓がどうにかなりそうなくらい暴れている。死んだと思っていた人が生きていて、大切な人が生きていてくれて、喜び以外の何を感じればいいんだろう。
…………なのに、苦しい。…笑って再会なんてとても言えない。武器を向けられて、明確に敵だと言われた。それにまるで私達を覚えてないように無関心な眼は、私達と一緒にいた八幡くんじゃないみたいだった。
………そんなわけないのに。絶対、絶対にあれは八幡くんだったのに…。
「…………ぃ。……おいバカ!ボーッとしてんな!」
「……クリスちゃん。…でも…」
「腹が煮え繰り返ってんのはあたしも一緒だ。…あいつ、あたしたちのことも、それどころか小町のことだって気にする素振りすら見せやがらなかった…」
「…………」
「………その全部、問い詰めてやる!こんなイボイボとっとと吹っ飛ばすぞ!」
「………うん!」
溢れそうな涙を振り払えば、目の前には既に会場一面を埋め尽くそうとしているノイズの群れが存在する。此処だけに留まらず、きっと会場の外にも…。
「…性質は増殖分裂。闇雲の一撃では増殖を促進させるばかりということか」
「それでもチンタラしてたら溢れ出すぞ!?」
……誰かを助ける。その想いは少しも変わっていない。この手は八幡くんと繋ぐことはできなかったけど、繋ぐことができる相手がいることも知っている。
「…………絶唱。……絶唱です!」
…それは翼さんとクリスちゃん。絶対に手を繋げると信じられる二人がいるから、私はまた胸の歌を歌う勇気が出せるんだ。
「絶唱って…あのコンビネーションはまだ未完成なんだぞ!?」
「……だが絶唱のエネルギーにて鎧袖一触にて打ち倒す。…豪快だが、理には適っている」
……そうだ、私達だって今日この日までただ遊んできたわけじゃない。ルナアタックのような危機に、誰かが困ったその時に、この手で救える数を増やす為に過ごしてきてる。
…そんな取っておきたいとっておきのコンビネーション!
「
♪Gatrandis babel ziggurat edenal♪
♪Emustolronzen fine el baral zizzl♪
♪Gatrandis babel ziggurat edenal♪
♪Emustolronzen fine el l zizzl♪
絶唱。歌唱にて増幅したエネルギーを一気に放出し、 対象に膨大なダメージを与える反面、 そのバックファイアはシンフォギアを身に纏い、 強化された肉体であっても負荷を軽減しきれないほどに絶大とされる歌。
……それを私達三人は手を繋いで歌う。絶唱はエネルギーの運用効率を高めるアームドギアを介して放たれるらしい。そして私のアームドギアは、この拳。
束ねて繋いで、みんなと手を繋げるアームドギア。この拳には一緒に絶唱を歌う人の負荷を抑えて、私が肩代わりできる力があるらしい。そして私自身にかかる負荷も軽減してくれるのだとか。
「………ぅぅ…。ぅぁああああ!!!」
……それでも、体を引き裂くような痛みは変わらない。あの時は限定解除をしての絶唱だった事も含め、通常状態でのこのコンビネーションの安全はまだ確立されていないからとも言われていた。
…だけどあのルナアタックの時、たとえ死んじゃったとしても世界を救ってみせるとクリスちゃんと翼さんとの三人で歌った絶唱から生きて帰れたのもこのアームドギアのおかげだ。
この拳は誰かを助けることができる!誰かと手を繋ぐことができる!それを力に変えられる!
………それを、もう一度!
「
「
「
溢れ出る、溢れ出す。高まるフォニックゲインが激流のように生み出され、この右手に集中していく。その勢いは身体の外に出たがるように暴れていて制御するのが難しい。
だけどこの一撃を外したら会場の外の人達が危ない。増殖分裂ノイズ、その中でも一際大きい個体へ向けて真っ直ぐに拳を振った。
「…………ぉぉぉおおおおお!!!!!」
フォニックゲインの上昇と共に巨大化した腕のパーツ、そこから天へ登る竜巻のようなエネルギーが周囲のノイズごと吹き飛ばしていく。虹色の竜巻がイボイボの表皮を削り切り、中から骨のようなノイズが姿を見せる。
関係ない、それも全部、全部ぶっ飛ばす。繋いだ手が生み出した、絆の力で!
「これが私達の、絶唱だぁぁぁあああ!!」
………虹色の竜巻が雲を散らし、ノイズの一欠片だってもはや残っていない。周囲への危険が無くなった。
……ちゃんと、守れたんだ。
……なのに…。
「…………」
「…………」
「…………」
………それに対する喜びを上げられるほど、私も翼さんもクリスちゃんも明るくなれなかった。
…今日だけで、たくさんのことがあって。全部終わった今、ようやく受け止め始めることができた。
…………友達で、仲間で、一緒に笑って遊んだ彼。
…八幡くんに、誰も手を繋げなかった。
…そんな苦い現実を、みんなが噛み締めた。
☆☆☆
side…
そして誰かが涙を流している時、他の誰かは笑っている。
「……夜明けの光ね」
車椅子に腰かけたナスターシャは、絶唱の輝きによってもたらされた成果に口角を上げた。画面の中で、蛹のように丸くなっている今日の主役。
…【ネフィリム】の鼓動を耳にしながら。
焦るなよ、シンフォギアGはまだ始まったばかりだぜ。接触した、その事実だけで装者は曇っていくのです。
さて、こっからは原作通りにはならない未知の世界になる(はず)。曇り始める装者や計画中のF.I.S.組みとの絡みを好き勝手書いていきたい所存。
……プロット作ろうとしては失敗してるから行き当たりばっかりなんです。衝動に任せて作者も知らない世界を作っていきます。