やはり俺の戦姫絶唱シンフォギアはまちがっている。   作:亡き不死鳥

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少しずつ進めてきますけどなんか曇ってる人達一人ずつやってったら話数膨らむ気しかしなくなってきた。誰だよこんなに曇らせたの。

マイナス方面もいいけどプラス方面にも向けてかなければ。






やはり彼女は思い悩む。

 

 

 

「………八幡、大丈夫デスか?」

「………心配」

「…そうだな。まあなんとかなるだろ」

 

 

じーっと心配そうにこちらを見る二人にとりあえず頷いておく。既に俺たち四人はライブ会場から離れ、誰にも見つからないよう建物の屋上にいた。増殖分裂タイプのノイズを置いて撤退することで、二課の装者が一撃必殺のフォニックゲインを発生させてくれることを祈っての行動だ。

 

これで二課がチマチマとノイズを殲滅できてしまったら、また新しく計画を練らないといけない。ネフィリムの起動は前提条件、暁や月読も不安にもなるだろう。

 

 

「………っ!来たか…」

 

 

 

 

 

 

ゴォオオオオオオ!!

 

 

 

 

 

 

 

ライブ会場から虹の竜巻が天へと放たれる。会場が小さく見える程度には距離を離しているというのに、ここまでその姿がありありと見える力の奔流はその力量、備えている力の差を見せつけるように空を穿った。

 

 

「なんデスかあのトンデモは!?」

「………綺麗」

「…………こんな化け物もまた、私達の戦う相手というわけね」

「……まあ、だからこそな部分もあるけどな」

 

 

残念ながら俺たちではあのレベルのフォニックゲインを発生させることはできない。一つの可能性としてのライブだったがそれも失敗した。つまり今回二課にネフィリムの起動を押し付けられたのは僥倖以外の何者でもない。

 

大物喰らい(ジャイアントキリング)を成す必要はない。世界が救えればいいんだ。

 

 

「………マム、作戦は?」

『作戦は成功しました。こちらでネフィリムの起動を確認できています』

「そりゃ何より。俺たちはどうしたらいい?」

『アジトへの帰還を。ドクターを回収し次第我々も戻ります』

「了解」

 

 

通信を切れば、まだライブ会場に視線を向けている三人。それほどまでにあの一撃はこちらに衝撃を与えたということだろう。…実際あれが自分に向けられたら怖いじゃ済まないしな。分かる。

 

 

「おい、アジト戻るぞ。追っ手に捕捉される前に移動だ」

「………ええ、分かってるわ」

 

 

フォニックゲインを捕捉されないために途中でシンフォギアを脱ぐ必要もある。後は監視カメラを掻い潜ったりとモタモタする時間もない。早速移動だ。

 

 

「………ねえ八幡。ホントに大丈夫デスか?」

「ん?ああ、ネフィリムも起動できたらしい。何も問題ねえよ」

「そうじゃなくて…」

「とりあえずアジトに戻るぞ。話は後だ」

「………はいデス」

 

 

ネフィリムが起動できたと言うのに暁と月読の顔は変わらない。何を心配しているのか分からないその目は、結局アジトに着いても変わらなかった。

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

 

side…

 

 

 

 

 

「どういうことだよおっさん!なんで八幡が向こう側にいるんだ!あいつは……行方不明だったんじゃないのか!?」

 

 

ノイズ、そして武装組織フィーネ。それらの撤退と迎撃を終えた装者三人は、フィーネが破壊したリディアンに存在した本部。その代わりとなる施設が建設されるまで仮設本部である次世代型潜水艦内に集まっていた。

 

話の題はノイズを操る組織、世界への宣戦布告、四人ものシンフォギア装者。しかしその本筋は、やはり敵側に回ったかつての仲間のことだった。

 

 

「………こちらでも未だ状況の整理が着いていない。だが分かった事もある」

「……分かったこと?」

「これを見て欲しい」

 

 

風鳴司令が機械を操作すると巨大なモニターにある波形が映し出される。一定の間隔で収縮拡大を繰り返すソレは、もはや見覚えのあるものですらあった。

 

 

「…アウフヴァッヘン波形」

「ああ。あらたな装者四人のアウフヴァッヘン波形を過去のデータと照合した結果、ルナアタックの日に突如発生した未知のアウフヴァッヘン波形と全く同じであることが判明した」

 

 

画面にもう一つアウフヴァッヘン波形映像が映し出される。それは全く同じ動きを繰り返し、同一のものであることを証明していた。

 

それはつまり、あのルナアタックの日に八幡のシンフォギアはなんらかの理由によって起動されたということ。…その用途は分かっていない。フィーネという敵が暴れる最中、助太刀としての起動でもなくただ行方をくらませるための起動だったのか。それとも他にも理由があったのか、推測するにはあまりにも情報が不足していた。

 

 

「………司令。私達は比企谷と対峙しましたが、その時の比企谷の様子がどうにも奇妙でした。まるで私達を覚えていないような…」

「あ、私もそう思いました!…なんていうか、初対面の相手をするような感じで…。…目も、凄く冷たかったし…」

「………ふむ、響くんや翼を忘れている。……あるいは、忘れさせられていると見るべきか…」

 

 

どこまでも憶測の域を出ない。だが直接対峙した三人の意見は実体のない貴重な証拠だ。次の動きを予想、そして阻止するために役立てようと思案する。

 

 

「………ルナアタック。本部の殆どが機能停止した故に近辺調査も満足にできていない。了子くんの策謀の影でまた他の陰謀が企てられていたと考えるべきか」

「んなこたどうだっていいんだよ!……あいつが死んだと思って、泣いてる奴がいるんだっ。あたしは絶対に、あいつを小町と両親の前に引きずってってやる!」

「………クリスちゃん…」

「……現状、断言できることは少ない。だが八幡くんが生きている。これは生死不明だった過去と違う希望だ。これから忙しくなるだろうが、頼むぞ三人とも!」

「「はいっ!」」

「………あぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

sideクリス

 

 

 

 

「………クソッ!」

「…雪音、気持ちは分かるが少し落ち着け」

 

 

仮設本部である潜水艦、その壁を殴りつければジンッとくる痛みが拳に返ってくる。この暴れたくなる衝動を消してくれるかと思えばそんな事もない。むしろどんどん湧き出てきやがる。

 

 

「……落ち着け?これを落ち着けと言うのか!?それにアンタに分かるもんかよ!あいつがあたし達を忘れてるってことは、小町や家族だって忘れてるかもしれないんだぞ!?」

「………」

「…何回泣いてる小町を見てきたと思ってる、何回強くあろうとしてくれた両親を見てきたと思ってんだ…。何より……」

 

 

何回も家に来て、明るく振舞って、それでも涙が流れてしまっている女の子を知っている。抱きしめても代わりにならない、それでも少しでもなんとかしてやろうとして。

 

…………それでも、それでもだ。いつだって、心を責めている事実がある。

 

 

 

 

「………あの日、最後に八幡と一緒にいたのはあたしだ…」

 

 

 

 

ただのたらればだ。あの時フィーネを倒すのは三人いなければ不可能だった。限定解除したあたしがすぐにフィーネのもとに向かったのだって、きっと多くの命を救ったのだろう。

 

………だけどもし、少し遅らせていれば。八幡を二課の元へ送り届けていれば、八幡の安全を確保してからだってよかったんじゃないかって。そうすれば八幡が消えてしまうこともなかったんじゃないかって、ずっと自分を責め続けていた。

 

 

「………八幡を連れ戻す、そいつはあたしの役目だ。誰かがあいつの記憶を忘れさせてるってんなら、そいつに鉛玉ぶち込んででも取り戻してやる」

「………雪音」

 

 

………そのまま風鳴翼の横を通り過ぎて部屋に向かう。この潜水艦内には医療施設や生活居住区、娯楽施設までもが設けられていて長期の任務にも問題ないように設計されている。もちろん自分達の部屋もだ。

 

………ああ、ダメだ。きっとこのまま誰かと一緒にいたら構わず当たり散らしてしまう。事実を頭が認識すればするほど、きっとあたしは苛立ってしまうから。

 

 

「………小町になんて言えばいいんだよ…」

 

 

兄を亡くして悲しんでいる妹。それだけなら兄が生きていたと教えてあげればいい。だけどその兄は妹を忘れているかもしれなくて、それどころか世界の敵として立ち回っている。

 

それだけじゃない。今回の案件はシンフォギアという異端技術が関わっているから箝口令が敷かれている。つまりあいつが生きているという事実そのものを、あたしは口にすることは叶わない。

 

……だから何も言えない。少しずつ立ち直ってきて、それでも悲しみに包まれている小町の救いにはなれない。一番近くにいるはずなのに、ただ抱きしめるしかできないなんて…。

 

 

「………小町、ちゃんと寝れてるかな?」

 

 

部屋の布団に寝転がりながら、主人のいない自宅へ想いを馳せる。きっと今日も小町が泊まりにきているはずだ。任務について話したことはないが、八幡のことと合わせて少なからず察しているらしく言及されたことはない。

 

………それでも、あいつは夜の部屋に一人ぼっちで寝られているだろうか。

 

 

「…………………八幡も、ちゃんと寝れてっかな」

 

 

そんなことを考えてしまえば止まらない。仲良し兄妹だったあの二人が、今は別々の場所にいる。それがたまらなく悔しい。

 

『俺と友達になってくれないか』と手を差し出してくれた八幡の手を拒否して、それでもなお『諦めないで』とあたしと八幡の手を繋げた小町。

 

………忘れない、忘れられるわけがない。小町だけじゃない、八幡だけじゃない。……あたしはあの兄妹に手を繋がれたんだ。

 

 

「………早く帰りてえな」

 

 

布団を丸めて抱きしめても、そこにいつもある人肌は存在しない。暖かいけれど、温かくない。ライブ会場のゴタゴタを終わらせて、もはや時間は深夜だ。遅くなるからと潜水艦での宿泊を勧められたが、もうヘリでも飛ばしてもらって家に帰ってしまおうか。

 

………辞めとこう。冷静な頭で小町に顔を合わせられる気がしない。一日だけ、少しでも頭を冷やしてまた小町を甘やかそう。そして一日でも早く八幡を連れ戻すんだ。そうすればまた小町は八幡に甘えることだろう。

 

………そうなっても、すこしくらいはあたしにも甘えてくれるだろうか。今はいつでもべったりで、まるで本当に妹ができたよう。八幡が小町を甘やかす理由も分かる程度には、愛すべき妹だ。

 

 

「………だけどやっぱり、あいつの妹なんだよな」

 

 

………それでも、小町の兄妹は八幡なんだ。ほんの少しの時間だけど誰よりも近くでその仲の良さを見てきたから分かる。その愛情が変えようのない唯一のものであるのだと。

 

……その光景をもう一度、取り戻すんだ。

 

 

「………おやすみ」

 

 

ベッドの上で、目を閉じる。

 

…その日の夜は何故だろう、随分と冷えた気がした。

 

 

 







………OTONA勢も絡ませたいなぁ。責任感じてる人達も多そうだし。……あぁ、邪念が、邪念が。斜め38度くらいの邪念が湧いてくる。

絶対Gは無印より長くなるぞ。

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