東方影住録   作:ツメナシカワウソ

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シリアス注意です。以上。


第13話『救済だよナニカちゃん』

《紅魔館内にて》

「誰だおmぎゃあああああ!?」

「虐殺虐殺ー★」

「えいっ!」

はい。今ボクとフランちゃんは暇つぶしに妖精メイドを吹っ飛ばしてます。え?酷いって?これが意外と楽しいんだよ。それに妖精ならいくらでも湧いて出てくるイメージあるし。お、79体目発見。取り敢えず予め能力で出しといた黄金狂で殴る。

「あらよっと」

「きゃああああああああああ!?」

うわぁめっちゃ飛んだ。効果にばらつきでもあんのかな?今度試してみよ。さて、フランちゃんは何体吹っ飛ばしたかなっと。

「フランちゃーん。今何体目?」

「たぶんこれで100!」

そういいつつフランちゃんが両手をぎゅっと握ると、妖精はあっけなく弾け飛んだ。

「凄っ・・・フランちゃんの能力って一体何?」

「え・・・」

あ、ヤバイ。聞いちゃいけないヤツだったか。

「あぁー・・・辛かったら言わなくて良いよ?無理して聞いたら拷問みたいで嫌だし。アレ辛いし」

「・・・【ありとあらゆるものを破壊する程度の能力】」

その瞬間。ボクはなんとなくフランちゃんが理解できた。普段は無邪気だけど、何処かで闇を抱えている。多分そんな感じだろうな。それでその原因が能力にあるってことぐらいは今の重苦しい声からしてわかる。さて、困った困った。まぁ、今はこの紅魔館とかいう場所にいるであろう紅い霧を発生させたのを倒すのが先だね。だってこんな薄気味悪いのが四六時中かかってるとか嫌だし。

「・・・そっか。じゃあ、行こっか」

フランちゃんに声をかけて、そのままボクは歩いた・・・が、フランちゃんが立ち尽くしたままだ。

「どうしたの?なにかあっt」

「お姉様がね?もう少しで貴方を外に出せるから待ってろって言うの。でもね?駄目なの」

「・・・どうして?」

この時、もっと早くフランちゃんの異変に気付いていれば良かった。よく見たらおかしい所がかなりあったのに。次の瞬間、フランちゃんは何処からともなく出した剣らしきものをボクに振り下ろしてきた。

「それは・・・私が全部壊しちゃうから!」

「あぶねっ!?」

間一髪で避けたけど、肩の辺りにちょっと掠ったらしくヒリヒリする。流石にそんな軽傷と言えないものまで治療する必要は無いから能力は使わない。既に黄金狂は構えてあるけど、どちらかと言えば防御の意味合いの方が強い。

「さて・・・困ったなこりゃ」

ここで初めてボクはフランちゃんの弱点を見つけるべく注視する。そして、ようやく気付いた。

目がおかしい。

今までのフランちゃんなら、無邪気で可愛く、そして何処か悲しそうな目をしていた。けど、今は悲しさではなく狂気が宿っている。二重人格とかいうヤツなんだろうけど、これって二人としてカウントしていいんだったけか。

「もっともっと!もっと遊ぼ!」

「うおっ!?」

思考を巡らせている間にも、正気を失っているフランちゃんの攻撃は止まらない。寧ろ時間が経てば経つ程強くなってる気がする。このままではフランちゃんをどうにかする以前にボクが死んでしまうかもしれない。もう一か八かだ。

【何者でもない程度の能力】

次の瞬間、ボクの周りにの異形の武器が展開される。その数、11本。これらはe.g.oというもので、ある人曰く、『幻想を根元とし、骨には骨を、血には血をと物理的段階へ抽出したもの』だそうだ。つまり、かりそめだけど命がある。

「そんなのすぐ壊しちゃうよ?」

「残念!元々壊す為に出したんだなぁ。ボクがだけど」

ボクは更に行動を起こす。次の瞬間、ボクに天使の羽が6枚生え、金色の輪が頭上に現れる。

「『我が使徒達よ、目覚めよ。そして我を迎えるのだ。』・・・本当なら12本必要なんだけど、それはいらないし、いいよね?」

「じゃあ遠慮なく壊しちゃうね!」

「いや、それには及ばないよ」

「なんで?」

「お 前 が 1 2 “人” 目 だ か ら」

ボクは目を閉じ、右手を大きく横に振る。すると、手の軌道と全く同じように空間が裂け、何かが現れた。

そこに現れたのは、時計だった。

「さて、始めるか」

何処からともなく、鐘が鳴り響く。普通の人なら祝福の鐘の音だと思うだろうけど、ボクの敵にとっては死を告知する為のものでしかない。

時計の針が進み、その先には『フランドール・スカーレット』と書かれている。

「『フランドール・スカーレット。あなたは使徒である。この岩の上に教会を建てよう。死の門もそれには打ち勝てない』」

ボクがそう告げ終えると、敵が突然もがき苦しみだした。

「や、やめ・・・やめて、こ、われちゃ、う」

「残念だけど、“君”のせいでフランちゃんは辛い思いをしたんだ。ボクに倒してもらえるだけ幸福だと思いなよ」

やがて、フランちゃんの中から異形が飛び出る。身体の赤と白が筋肉を思わせるが、腰は歪み、その姿は壊れた天使を連想させる。古びたペストマスクを被り、灰色の羽を首に巻きつけ、ハイヒールの靴、輝く黒い目、大きな脚、長い鼻、鈍い歯を有する存在。使徒だ。

「さて・・・一応倒したし、全部使っちゃうのは勿体無いし・・・死ぬか」

更にボクは能力を使う。

そこに現れたのは、青白い光の柱。それがボクに向かって伸び、突き刺さる。

「あがっ・・・鎮圧完了・・・アハハ・・・」

そしてボクは、ここでの1回目の死を味わった。




打ち切りではないです。ハイ。

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