《魔法の森周辺にて》
さてさて。なんとかあのムエンズカとかいう所からボクの拠点がある魔法の森まで戻ってきたわけだけども。
「あ〜快適〜。眠〜い」
うん。ここまで快適だと眠くなっちゃうよね。程よい湿気と絶妙な温度。オマケにここに生えてるキノコの胞子が魔力を増強するときた。多分魔力カンストしてるけど。あとは瘴気が妖怪を寄せつけないこと。ここ重要。
「ふぁ〜。眠い・・・」
それにしても眠い。ちょっと前に作った拠点まで着くより先に多分ボクの睡魔が頭まで回るのが先なんじゃないかってぐらい眠い。いや、というかもう回りきってる。だってもう身体動かないもん。仰向けのまま動かないもん。ここまでくればもうどうでもいいや。ボクは自分の欲求に素直に答えてくーくー寝息をたてはじめた。ーーーと、思ったら。
「ん?なんか転がってんなぁ?」
ゲシッ
「ひゃう!?」
いきなり誰かに踏まれた!酷い!とーちゃんにも踏まれたことないのに!とーちゃんいたかどうかは別として。って今はそんなこと言ってる場合じゃない。ボクはやられたら殺りかえすタイプだ。すぐさま飛び起き、自分でも驚くほどの速度でボクを踏んだヤツに近づき、その子が女の子だってわかった瞬間抱きついた。
「うぉ!?重っ!?」
「失礼な!これでも10kgぐらいだ!」
まぁ人(?)を踏んだ時点で失礼だけどね。そんなことは置いといて、早速今日のエモn・・・失礼な人をじっくり見ようじゃないか。後ろからしか見れないけど。どれどれ・・・髪は金髪で長くて綺麗。白黒の服っていうセンスも良し。あとはヒラヒラしたスカートが大変魅力的でございまする。なんかいろいろ引っ付いてるのは別として。引っ付いてんの位置変わりやがれ。・・・ん?待てよ?能力使って引っ付いてんのに憑依すりゃいいじゃん!やっぱボク天才!美少女!最強!さて、善は急げだ。何?これは善ではないって?知らんな。
【何者でもない程度の能力】
瞬間ボクの身体は半透明になり、スカートに引っ付いてるよくわからんものに取り憑いた。さぁこれで見放題だ!と思ったのが先か取り憑いたのが爆発したのが先か、とにかく今ボクはとっても可愛い女の子と一緒に落下しているわけでございます。アレ爆弾だったのかよ。早く言ってよ。しかぁし!ボクは一瞬だが!確実に見た!彼女は白だ!何がとは言わん。敢えてだ。まぁ、そんなことは置いといて。
「うわぁぁぁぁぁ!落ちる!ヤバイ!」
もう悲鳴も可愛いよこの子。ずっと聞いてたい。あと顔も可愛い。欠点があるとすれば口の悪さと失礼なところだね。と、言うわけで、早速ボクにはたらいた失礼を償って貰おうじゃないの!ボクに惚れるという方法でね!
【何者でもない程度の能力】(本日二回目)
またまたボクの身体は変化を遂げ、今度は巨大な龍の姿となって、ふかふかの毛布みたいな背中に女の子を乗せて飛んでいた。
「うわぁ・・・すげえ」
よし。ここまでは完璧だ。ボクはゆっくりと彼女を下ろすと、薄暗い霧を纏って人の姿へと変わり、スタッとカッコよく宙返りして着地した。さて!ここまでの驚きの連続で彼女の心はガラ空きだ!ボクのイケボでダイレクトアタックすれば確実に落とせる!いくぜ!
「怪我はない?全く君は危なっかしいなぁ。でも大丈夫。ボクが守ってあげるから」
決まった。勝ったな(確信)。
「あれ?この辺にパチェから奪っ・・・借りた魔道書があった筈・・・あったあった」
「ゑ」
聞いてねえし!1mmたりとも耳に入ってなかったし!神様。なんて残酷な仕打ちをボクにするんでしょう?ひどい。
「あ、お前!さっき転がってた奴だろ!」
「え〜・・・あ〜・・・うん・・・」
やめて下さい。今話しかけないでください。か弱い乙女のハートが砕け散ってしまいます。
「私と勝負だ!お前が勝ったら私をこんな目に合わせたことを許してやらんでもない・・・かもしれない!」
「おあ〜。う〜ん。いい」
うん。はっきり言ってマジで辛い。失恋した男の子の気分。というか好きな子の前で盛大にイキって自爆した子の気分。
「よし!決まりだな!被弾は1回でスペルは3枚だぞ!」
「・・・ぬあ?」
え?この子今なんて?外国人だったの?よくわかんない言葉連発しましたよ?これはマズイ。さっさと逃げねば。ボクは外国の綺麗な金髪の女の子も捨てがたいけど言葉が通じないのは本末転倒だ。
「あ〜。Sorry.I can’t speak your language.good bye?」
「は?訳わかんないこと言ってないで始めるぞ!」
おーまいごっど。この子日本人だ。日本人だけど話通じない人だ。とかなんとか言ってたら、なんと話通じない子が空飛んで魔道書みたいなのから弾放ってきた。勿論当たったらヤバそうなので避けた。
「やれやれ・・・君みたいな血の気の多い子は嫌いだよ。可愛いけど」
まぁ、あっちがやってきたんだ。こっちも殺りかえさないと。
【何者でもない程度の能力】(本日三回目)
う〜ん。今回は何にしよう?多分あっちは遠距離攻撃を主体として戦う筈だから接近されたら多分弱い。ということは遠距離攻撃を無視できて近接攻撃が優秀なモノならいいかな?と、いうわけで。
「おいで。[黄金狂]」
またもやボクは霧に包まれた。けど、ボクの姿は全く変わってない。変わってるのは多分右腕だけかな?金色の目のようなのがゴージャスなガントレット。それがボクの腕をすっぽり包んでる。アレ?女の子も呆然としてて弾撃つの忘れちゃってるよ。まぁ、いいや。今までこれを人に振るったことはなかったけど、最悪の場合は医者に連れてけばなんとかなると思うし。
「じゃあいくよー」
ちょっと疲れてカッコよくない言い方になったか。って、今はそんなことを気にしてる場合じゃない。ボクが右腕の[黄金狂]を思いっきり投げると、そこから女の子へ繋がるワープゲートが開いた。と思ったらやっと女の子が我に返って弾を撃ち始めた。まぁ、今更遅いけどね。
「やっほー」
「うわぁ!?」
グシャ。
「・・・アレ?」
弱い。殴った感じが全然しない。ちょっと触っただけで内臓が吹っ飛んじゃった。どうしよ。まぁ、先にふっかけてきたのはあっちだけど、ここはこの子の可愛さに免じて復活させてあげよう!ボク優しい!慈悲の塊!と、言うわけで。
【何者でもない程度の能力】
今度のボクは蔦の生えたベッド。ふかふか度は多分龍の10倍ぐらいだと思う。つまり、寝心地抜群。オマケに蘇生機能付き。お値段なんと1垓円からになりまーす。なんつって。早速生えてる蔦の一部でさっき壊れちゃった女の子を優しく抱きかかえて、ベッドに乗っけた。うわぁ凄いコレ。この子の匂いとかすごい伝わってくる。こりゃいいや!とかなんとか言ってる内に女の子の傷は塞がり、寝息を立て始めた。うわぁ寝息もめっちゃ聞こえる。こうしてボクは女の子と初めて一緒に寝たのだった(強引)。
んにしても、やっぱりこの世界のものじゃない武器は取り出さない方がいいね。強すぎる。
急にクロスオーバーネタ思い付いたんで入れました。まさかのlobotomy corporationでございます。