《霧の湖にて》
ようお前さん方。灰徒だ。霊夢ん家の大家・・・アレは大家かどうが知らんが、兎に角強そうなヤツがいたんでちょっかいかけてたんだが、飽きたんで帰ることにした。だがその前に寄り道だ。丁度コノ世界に来てから設置した簡易的な基地の辺りに湖があってな。ソコから魚みてぇな匂いがするんで釣りに来た。そこまでは良かったんだが、とんでもねぇ霧の濃度だ。俺の経験だと霧っつーのは大抵ロクなもんがねぇ。例えばロンドンの霧からは相当際どい格好したナイフ持った殺人鬼の幼女が出てきたり、そうでないとしたら阿呆みてぇデカい左手から霧の刃飛ばすヤツが出てきたり、それ以外にも吸血鬼やらなんやらが死ぬほど出てくる。霊夢の戦闘能力を基準にするなら大したヤツは出てこねぇと思うが・・・油断は禁物だ。俺は右手で手刀を作り、そこに触手を這わせた。ひとまずはこれで対処できるだろう。そう思った矢先、予想は的中した。俺以外の存在を感じる。霧で前がほぼ見えねえが、その分視覚を抜いて四感で判別するまでだ。おそらく数は50かそこら。その中で一番強そうなヤツは・・・反応からして、ガキの人形レベルに小さい。俺がそう結論付けた瞬間、俺が判別した者はこちらに気付いたのか猛スピードでこちらに向かってきた。だが、無意味だ。霧に視界が覆われていても、触覚で霧の動きを感じて位置を割り出し、聴覚で敵の動きを聞き、嗅覚で敵の性質を知る。そして間合いに入った瞬間、最高速度で手刀を振り下ろした。
「ぎゃああ!?」
「・・・あ?」
一瞬悲鳴が聞こえたんで周囲を確認すると、そこには真っ二つになった氷の羽を持った妖精っぽいモノがあった。妖精と言えば能力は少なくとも人間よりは低かった筈。こんなヤツを警戒していたのか俺は。バカバカしい。さっさと帰るに限るぜ。
「待て!」
「チルノちゃんをよくもやってくれたな!」
ココでアクシデント発生だ。どうやらさっき叩き落とした妖精はココらで人気があったらしい。取り巻きみてぇなのがウヨウヨ出てきやがった。コンな雑魚どもには要はねぇ。消えてもらう。
【魔王】
「弱えヤツがガタガタぬかしてんじゃねえ!」
俺はそう叫び、背後から多面体のビットを展開する。それも一個や二個じゃねえ。百だ。ビットはゆっくりと回転しながら妖精どもに向けてテラフレアを放った。まぁ、流石にアレを喰らってマトモに生きてるヤツはコレまで虚以外に見た事がねぇ。死んだな。俺は確信し、さっさと湖を去った。あ?魚釣り?出直す。