《魔法の森周辺にて》
ようお前さんら。灰徒だ。昼辺りに基地周辺の湖に釣りでもしようかと思って行ったら妖精共に襲撃されてな。別に大した強さもねぇ連中だったが、釣りの最中に邪魔されちゃ困るんで、今対策を立てる為に基地へ戻ったところだ。内装はココらによくありそうな木造建築を採用させて貰ったよ。但し外装は難攻不落の要塞だがな。まぁ、今はソンな情報は重要じゃない。まず第一に、霧が邪魔だ。敵の位置さえわかれば葬り去れるから良いんだが、ソレができなきゃいつまでもあの鬱陶しい羽生やしたチビ共にピーピーピーピーと喚き立てられることになる。幸い霧レベルの水蒸気の塊なら竜巻かなんかで吹っ飛ばせるが、釣り上げる筈の魚まで巻き込んじまったら意味はない。ソレ以外にも方法は色々と考えたが、生憎俺が出来るのは霧が晴れるまで待つことしかなさそうだ。だが待つことは釣りの醍醐味だ。じっくりと獲物がかかるのを待つ。ソノ行程は水面に竿糸を垂らす前から始まっている。そして獲物への思いを馳せ、引っ掛かる寸前まで待ち、一気に釣り上げる。さて、お喋りはコレ位にして、霧が晴れたか見に行こうじゃねえか。一応、釣具以外にも必要そうな物は全部持っていく。
何があるかわからないからな。
《霧の湖にて》
「やぁ変態ロリコンリョナラー灰徒!白昼堂々妖精さんを蹂躙したんだって?」
ど う し て こ う な っ た。
待て。何故ココに奴がいる?アンな妖精野郎共とコイツに何の関係があるんだ?というかロリコンじゃねえし。
「テメェには関係ねぇ!さっさとどきな。俺は釣りをするんだ」
「にゃるほどにゃるほど〜?今度は湖の底にいる幼女を釣り上げて竿(意味深)で色んなことしちゃうんだ流石ロリコン鬼畜リョナラー灰徒!」
コイツ・・・さっきから言わせておけば根も歯もねぇことしか言わねえ。俺は純粋な釣りを楽しみに来たというのに始める前にとんでもねぇ大物が掛かっちまったよ。なら火炙りが得策だよな。
【魔王】
「殺れ!バハムート零式!」
俺が叫ぶと、背後から超巨大な龍が姿を現す。機械的な6枚の翼と2本の金色の角。バハムート零式だ。後は察しの良いお前さんらならわかると思うが・・・まぁ、簡単に言えばバハムート零式に星一つ消し飛ばすレーザーを発射させた。勿論虚だけに向けて放ったから魚は無事だ。遅かれ早かれ消える命だが、どうせなら俺がソノ命を奪ってやりたいからな。さて、邪魔者も消えたことだし、夜にはなっちまったが、釣りを始めるとするかな・・・
「いやー危なかった危なかった!死ぬかと思ったよ灰徒!」
「は?」
何故だ。何故奴はまだ生きている。星を壊滅させる威力を持ったバハムート零式の攻撃を受けて、なぜ生きている!?
「残念だったけど、ボクには心強い円卓の騎士達がいるのさ!」
そう言った奴の後ろにいたのは、12体の鎧を纏った巨人だった。
「ふざけんなよ・・・横暴だろ!?このチート野郎!」
「チートがチートにチートって言うなし!」
かくして、俺の釣りは台無しとなった。マジで許さんぞ虚。