これも全て、VITAのトリニティが悪い(責任転嫁)
僕はね、エタ作者なんだ……。
―――その背中を僕は一生忘れないだろう。
一面を染め上がる炎、荒野が如き残骸の景色。
飛び交うは悲鳴、怒号、嘆き、徹底した負の情念。
罪人は死後、地獄に落ちるというが、であればこの光景はなんと評せば良いのだろう?
死後に安息を、この世に地獄を。
救いがあるのは一体どちらか、数多いる哲学者に問うてみたい。
子を救おうと足掻いた男が吐き捨てられるように死んだ。
赤子を抱いた母が諸共消す炭となった。
まだ幼い兄妹が壁のシミと化した。
地獄―――この光景を評するならば地獄を置いて他に無いだろう。
あの世の地獄と違いを図るなら誰も彼もが基本的に罪を犯すことなく日常を生きてきた弱者であること。
何処かの大国の代理戦争。
民族紛争と名を借りたこの地獄の正体は徹底してただ生きていただけの人間を貪る悪魔の住処であった。
人の命より重い利権と覇権と金をかけて最新鋭の装備で武装した兵士達が民衆諸共焼き尽くす。
大儀だと立派な出で立ちの兵は言うが。
大儀? 大儀? 大儀とは一体なんだろうか。
この光景に、この地獄に、一体どんな大儀がある?
世界は常に消費する。
九の幸せには一の悲劇を必要とする。だが此処では消費の対価が見合っていない。
自分達の幸せのために流す血が、誰かを肥え太らせるための血に変わっている。
自分達で多くに悲劇を踏み越えて勝ち取った平和が、その実誰かに掠め取られている。
自由を手にしたはずなのに、その実、新たな束縛に縛られている。
絶望の果てに希望があるはずなのに絶望が終われば次の絶望が、次の次の次の―――と。
呪われた大地だと平和ボケした歴史家が言う。
火薬庫のような場所だと、対岸の向こうで学者が言う。
此処には悲劇が満ちていると、さも理解しているとばかりに記者が言う。
何様のつもりなのだろうか―――この地獄は、他ならぬオマエたちのせいだというのに。
だから、だから―――どうか、頼みます。誰か助けて。
試練といって絶望を呼ぶ神様はもう沢山だ。
見るが良い、この景色を、何処を向いても何処に言っても悲劇が山のように転がっている。
英雄様が居るなら今こそ、腕の見せ所だろう。
万来の喝采を暮れてやる、咽び泣いて跪いてやったって良い。
ほら、今なら皆、諸手を上げて湛えてくれる。
絶望の後には希望があるのだろう―――――?
だから、だから、だから―――だから!
「誰でも良い……誰か助けて、助けてくれよヒーロー……ッ!」
正義の味方がいるのなら、この地獄を終わらせられるなら、
―――僕は全てを捧げるから。
「I am the bone of my sword. 」
―――体は剣で出来ている
その背中は希望とともに現れた。
「I have created over a thousand blades. 」
―――幾たびの戦場を越えて不敗
世界がどれ程の地獄に満ちていようとも、どれ程の悲劇に満ちていようとも。
「Nor known to Life. 」
―――ただの一度も理解されない
目に見える報酬しか理解できない者達に、気味悪く思われようとも。
「Yet, those hands will never hold anything. 」
―――故に、その生涯に意味はなく
自己の幸せ一切を献上する末路であったとしても。
「So as I pray―――UNLIMITED BLADE WORKS. 」
その体は―――きっと剣で出来ていた
その悲劇の名を、僕は
神の降臨を思わせる青白い輝きとともにその背中は現れた。
最新鋭の殺人機械をただの弓一つで殲滅して、
地獄を呼び込んだ悪魔達を修羅が如く葬って、
大儀と叫ぶ悪魔の尖兵を、より巨大な大儀で轢殺する。
其は抑止の守護者。
肥大化する人類の決定的破滅を防ぐため、自らを滅ぼすカウンター。
遍く全て、正義ために最小の犠牲を呼ぶ込むもの。
最も遠大な大儀を掲げる者達。
犠牲を以って繁栄を許す、真の意味での審判者。
「赤い……弓兵―――」
真の意味での―――正義の味方だった。
「居たんだ……」
今にも消えそうな声が僕の口から漏れる。
無意識の内の呟きは次の瞬間、僕の意思で流れ出る。
「居たんだ……居たんだ……!」
この世は地獄に溢れている、この世は悲劇に溢れている。
神は試練の名の下、救いを成さず、希望は度重なる絶望を前に幻想へと堕ちた。
ゆえに彼こそ、最後の救いの化身である。
絶望的な状況、悲劇に満ちた終幕、怨嗟と嘆きの声。
それら一切を最小の犠牲を以ってして拭うご都合主義。
有史以来、絶望の数だけ、希望を齎してきた歴史に輝く超新星。
不可能はないと叫ぶ愚者。
―――
「居たんだ、居たんだ、本当に居たんだッ……!」
嘆きを忘れて叫び散らす。
悲劇の涙が感動に変わる。
例え末世の日であろうとも二度と忘れない原風景。
その日―――少年は
代価は、少年の全てを。
嘗て、救済を試みた機械のような人間は言った。
―――戦場に夢想を持ち込む、綺羅星のような
嘗て、救済を試みた機械のような英雄は言った。
―――こんな男は生まれてくることそのモノが間違いだったのだと。
そして、これから彼は言うだろう。
―――この分かりきった末路に、一体どうして絶望するのかと。
誇らしげに、痛々しく。
歓喜せよ少年。
君の末路は―――英雄だ。